私事ですが、先日イロドリミドリのライブに行ってきました。
声優とかそこまで興味なかったんですが、佐倉薫さんって方、めっちゃ可愛くないですか?
ワートリのアニメ再開するようなことがあればぜひ誰かの声を……(蹴
お目汚し失礼しました。では今回も宜しくお願い致します。
【春日雄也・那須隊隊室】
今日も玲の訓練に付き合い、今は那須隊の隊室で先日のランク戦の反省会を兼ねて雑談中だ。
6月に入り、部隊ランク戦も始まった。
那須隊は現在ランク戦でB級中位に位置しているが、1戦落とせば下位に転落しかねない位置なので油断はできないところだ。
「んー、やっぱり火力に欠けんだよな。日浦がもう少しポイント稼げるといいんだが……」
「すいませぇん……」
試合のログを見た後に、軽く意見を出した。
那須隊のコンセプト的にも玲を攻めの中心としてポイントを取りに行く、というのはいいのだが、他2人が自分の課された役割に没頭している感じがするというのが見たところの感想だ。
特に狙撃手である日浦は隙を見てもっとガンガン攻めていっていいと思う。B級の中位も、下の方は割と甘いとこがあるからチャンスはそれなりにあるわけだし。
「いや、責めてるわけじゃないよ。まぁ玲がポイントゲッターで2人はどっちかというとサポートだけど、狙撃手の旨味まで殺すのは違うって話。チャンスがあったらもっとガンガンぶっ放していいよ」
「本当ですか?」
「うん。ランク戦って結局は点取り合戦だから。どれだけ実力があってもポイント稼げなきゃ何の意味もない。熊谷に関しても同様に」
「わかってんだけど、B級もある程度のランクになってくると相手も強くなるからなかなか……」
熊谷にしても、取れる時にはどんどん点を稼いでほしいが、攻撃手は少しワケが違う。狙撃手と違い、奇襲や乱戦に特化していない限り紛れがあまり起きないので、特に攻撃手同士の戦闘になると、実力差がモロに出てしまう。
順位が上がればそれだけ強い相手とぶつかることになるわけだから、熊谷的には辛いところだろう。
「その辺は頑張れ、としか言いようがないな。諒にも一回話はしてみたんだけど、あいつ受け太刀あんまりできないみたいだから、スタイル的に力になれそうにないみたい。悪い」
「いいよ。でも黒木って弧月なら自由自在ってイメージなんだけど案外そうでもないのね」
「わたしもそう思ってました」
「でも黒木君って旋空とか使わないよね?」
やっぱり諒のイメージは、剣に限れば何でもできるというものなんだな。実際は結構不器用なんだよな……。
「あいつそこまで器用じゃないぞ? 確かに弧月で戦わせたらボーダーでも1,2を争うレベルだけど、旋空も上手く使えないらしいし」
「え? 何で?」
「間合いが変わるようなことするのは嫌とか何とか言ってたのは覚えてるな。多分攻撃範囲は生駒さん超えられるらしいんだが……」
「うっそ」
戦闘中にいちいち剣速を特定の速度にするのはナンセンス、その時々で最速で一撃を入れることが肝要、と言い張る以上、言っても聞かないだろうし。
「マジマジ……おっと、話がズレた。とりあえず日浦はもっと積極的に取りに行くようにするといい、奈良坂をもっと扱き使え。熊谷は……まぁ考えとく。あまりタメになるかはわかんないけど諒の都合がいい時に、やれるようにセッティングくらいはする」
「はい」
「あんがとね」
まぁ2人は一旦これでいいかな
「玲は……もうちょい時間かかるだろうな」
「そういや2人ともよく一緒に訓練室行ってるみたいだけど何やってんの?」
「私は知っていますけどね」
後ろの方に控えていた志岐も、ヒョイと顔を出してきた。
会った当初は目すら合わせてもらえなかったが、今では普通に話すこともできるようになった、うん、成長した。
「まぁ志岐には美奈ちゃんいないときに付き合ってもらってるからね。ってかあれ? 言ってなかったの?」
「訓練に付き合ってもらってるとしか……せっかくだから2人を驚かせたくて」
「あー……なんか悪いな」
2人をビックリさせたかったやつか……悪いことしたな。
「で! 2人はいったい何をやってるんですか!?」
日浦がグイっと1歩踏み込み尋ねてくる。
「皆に言ってもいいかな?」
「別に俺は隠してたつもりはないから」
「そうだったね。実は今雄也君に合成弾の使い方を教えてもらってるの」
合成弾、と聞いて2人は驚いた顔をしていた。
「合成弾って春日先輩や出水先輩とかがよく使ってるやつですか?」
「そうだよ」
「へぇ。どんなのを練習してんの?」
「セットの都合もあるけど、とりあえずトマホークを実戦で使えるようにってのを目標にやらせてるよ」
「他のは練習しないんですか?」
「玲の強みを考えるとバイパーは外せないし、一番都合がいいのはトマホークだから。もし使うとしても別々の特殊弾2つの合成を実戦レベルでできるようになったら、他のは楽勝だから」
「そうなの?」
「うん。つか多分徹甲弾なら今の玲ならある程度の水準で使えないこともないと思う」
「ホントなの?」
「そのくらいのレベルにはあると思うよ。通常弾同士ってこともあってやりやすいし。ただトリオンそれなりに持っていかれるから、きちんと使いこなせないうちにはランク戦では使わないほうがいい。つか、そもそもセット的に使えないか」
「そうだね」
ここまで話すと矢継ぎ早に飛んでくる熊谷と日浦の質問が止まったが、少し間を開けて日浦が別件で俺に話しかけてきた。
「あの……春日先輩。少しお願いが~……」
「ん? どうした日浦」
「奈良坂先輩もなんですけど、古賀先輩にも少しお話聞けたらな、って思ってるんですけど……」
「清隆に?」
「はい」
「あいつあんまり時間ないからな……諒以上に都合を合わせるのが難しいんだよな。訓練の時一緒になったら話しかけるといい。別に俺にことわる必要はないよ」
「ありがとうございます」
確かに清隆も狙撃手として実力、実績共にかなり高い地位にいる。金稼ぐために多めに防衛任務に当たり、アホみたいにトリオン兵狩りまくってるからポイントがかなり貯まっているだろうし、当真さんとのポイント差もおそらくそんなにないはずだ。
そういう部分で見れば清隆の意見も欲しいと思うのも確かに理解できる。だが――
「でも狙撃手として上手くなりたいのなら奈良坂を頼るのが一番だよ。清隆は多分その辺教えるのは向いてないから」
「そうなんですか?」
「あいつの師匠だった人も言ってたんだけど、清隆の腕は完全に才能だ。感覚でやってそれで上手くやってるんだから指導できるのかはっきり言って怪しい」
「ほぇ~、そうなんですね」
いわゆる天才肌で何でもかんでもこなせる奴なので、人に教えるのは向かないだろう。
「よく古賀みたいなの見つけたね」
「逆、逆。俺があいつに誘われたんだよ。入隊時の訓練の時に話しかけられて、そっからなんやかんやで部隊組むことになったんだよ」
「なんやかんやのとこが気になるんだけど」
「まぁそれは時間があるときにでも話すよ。――さて、そろそろ防衛任務の準備しないと」
「そっか。忙しい中わざわざありがとね」
「春日先輩、またよろしくお願いします」
この後防衛任務があるので、いい時間だし隊室を出ようとしたところで、もう一つ大切なことを思い出した。
「おっと、そうだ、玲」
「どうしたの?」
「あー……えっと、これ」
「え? 何?」
自分の荷物からラッピングされた白い箱を取り出し手渡すと、玲は驚いた顔をしてこちらを向いた。
「いや、そろそろ誕生日だろ。当日は俺防衛任務とかでいないから今のうちにと思って」
「うれしい……ありがとう。開けていい?」
「いいけど……恥ずかしいから俺が出て行ってからにしてくれ。じゃあ、また」
「うん。じゃあまたね」
ふと、玲の後ろに視線をやると、からかうタイミングをうかがっている熊谷たちの姿があった。
これはヤバいやつだ、と察した俺は巻き込まれないうちに那須隊の隊室を後にした。
次回は流石にちょろっと原作に触れます。
そこから数話入って原作入りします。