東方縲絏魔   作:魔妬

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自分でも3ヶ月サボるとは思わなかった


第3話「弾幕ごっこ」

白「はぁ…」

 

紅魔館の庭を軽く一望できるくらいのテラスで、小さな椅子に座りながら白夜は1人ため息をつく

つい先ほど、ここに住むのが唐突ながら決まったわけだが

その話をレミリアがした時、咲夜が凄い荒れた

理由は多少なり分かっているとしても流石にあの反応は傷ついたな…とことん俺の事悪く言いながらレミリアに反論してたもんなぁ

メイドってもっと大人しいというか、ご主人様に対しては"ザ・忠実"っていう考えがぶち壊された気がしたよ

白夜はパチュリー・ノーレッジ…という魔法使いからもらった黒ずくめのパーカーのフードを深く被る

男物の服がないこの館なのだが、ないなら作ればいいじゃないというお嬢様の幼稚的な…失礼、素晴らしい発想でパチュリーに頼んだわけなのだが

魔法使いは偉大だと思った瞬間だった。どんな服が要望か、とかを言うと謎の詠唱をし始め、急に魔法陣が展開され、その真ん中から要望通りの服が出るわけなのだから

聞くと、その作り出すもの相応の物を出せば対価交換のようにできるらしい。今回の場合は素材分の糸とか生地とか置いただけらしい

 

フ「ふぁぁ…あれ?白夜お兄様?」

 

白「あ、フラン…今お目覚めかな」

 

フ「うん…なんだか図書館がうるさくて…起きちゃった」

 

後ろ側から聞こえたあくび混じりの眠そうな声の正体はフランドール・スカーレット

昨日ここに来てから妙に懐かれている。嫌な気分はしないけど、加減を知らない子だから少し危険というか

ていうかそろそろ昼だけどこんな時間でも寝るのな…吸血鬼だからか?

少しよろよろと歩きながら、白夜とは向かいの方の椅子に座る

 

フ「もしかして今日もここにいるの?」

 

まだぱっちりと開いていない目を擦りながら白夜に聞き出す

起きた頃にはもういない、なんて考えてたんだろうな。実際何も言われなかったら帰ろうとしてたし

 

白「今日も…というより今日からだな」

 

フ「?」

 

どういう意味か分かってなさそうに首を傾げるフランに、白夜はとりあえずレミリアから言われた事を大体話す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白「…んで、咲夜とかパチュリーとかにも言ったの。図書館がうるさかったのはそのせい…」

 

フ「さっすがお姉様〜♪」

 

最後らへんは聞いてないか…

住むと聞いた途端よっぽど嬉しいのか笑顔で急に小躍りし始めるもんなぁ。ほんとなんでこんな懐かれてるんだろ…というかさっきまでの眠気はどうした

1通りくるくるし終わったフランが、テーブルをバンっと叩き白夜の目をじっと見る。白夜は今ので少し倒れそうになったテーブルを焦って掴む

 

フ「お兄様!今から遊ぼ!」

 

と、世の中の男性諸君らが金髪美少女に満面の笑みでこんなこと言われたら頷く以外の行動を取る奴なんてそうそういないだろう。もちろん白夜もNOとは言わない

 

白「唐突だな…いいけど、何して遊ぶの?鬼ごっことかかくれんぼ?」

 

フランの精神年齢的な面を考えて子供っぽい遊びをチョイスしたが、金髪美少女は首を横に振る

じゃあ何して遊ぶ?と聞こうとする前に、フランは一つの"遊び"をチョイスしてくる

その遊びの名前は、ここでは主流らしい。が、白夜には全く知らない、聞いたことのない遊びだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲「あぅ…ぁ…」

 

図書館にて、ぼろぼろの状態で倒れている咲夜

先程まで主のレミリアの決定に対して、今までにないくらいに反発した咲夜。最初は反論だけだったのだが、後半あたりは弾幕ごっこまで申し込むほどに。もちろん返り討ちにあったわけなのだが

そのレミリアと言ったら、使者が反発するのに対して全部笑って流している。今も、満面の笑みで紅茶を飲んでいるのだから

と、先程までうるさかった図書館が、元凶達が落ち着いた事によりひとまず静かになったのだが、ここの図書館の所有者のパチュリーは柄にもなく頭にきていた。その理由は

 

パ「…とりあえず、これをどうにかしてくれるかしら?」

 

…と、後ろを指差しながら半ばキレ気味に2人に言う

指さす方向を見ると、本棚が軽くドミノのように倒れていたり、ところどころ破けてる本が散らばっていたりと、まぁ大変荒らされている状況だった。弾幕ごっこの時に、流れ弾でも飛んでいったのだろう

レミリアはその状況を軽く見回すと、少し苦笑いをする

 

レ「あ、あはは、ごめん…後でちゃんと片付けるわよ…」

 

パ「はぁ。全く…」

 

呆れたようにため息をつくパチュリー

一応反省はしているようなので今回は軽く見ようと心に決めておく。"今回は"

 

と、まぁ急に始まった図書館での騒動も案外早く終わったところで、パチュリーはレミリアに抱いた疑問のことについて聞く

 

パ「さっきの…白夜?って言ったかしら。なんで唐突にあの人間が住むことに?」

 

レ「ん〜…まあ、色々面白そうだったから?」

 

無邪気な笑顔でそう言われ、パチュリーはまたしてもため息をついてしまう

そんな浅はかな理由で…と思った時、レミリアが後ろで戦闘不能状態になっている咲夜に親指で指しながら言う

 

レ「あれよ、大体咲夜の事を思ってよ。過去のトラウマの払拭のためってのと…咲夜の未来で気になるものを見たからね」

 

パ「…気になるもの?」

 

レ「白夜と平然と一緒にいる姿」

 

それを聞いて、パチュリーは少し固まった

あまり知人はいないパチュリーだが、パチュリーが知ってる中でも咲夜はかなり男に対して嫌悪感を抱いている。今までに咲夜にひと目で惚れて人里からここまで来た、なんて人間達も結構いたけど、全員酷い結果に(まぁ当然だろうが)なって帰っていったものだった。その時の男達の顔といったら見るに堪えないくらいに。かなり酷い事を言われたのだろうが

そんな咲夜が男と平然と一緒にいるようになるって言うのは…確かに面白そうではある。レミリアがあの男をここに居させたのも納得いく…気がする。レミリアの未来予知は結構な確率で当たるし

そこまで思った上で、パチュリーは発言する

 

パ「でもあの男見るからに危険よ?レミリアだって普通あの姿見て怪しいって思うでしょ?」

 

レ「あの服の血のこと?」

 

パ「そう。あれはどう考えて何らかの事故で〜なんていうものではないわね。服が破けている場所が対照的だもの。腕の関節部分。手のひら。肩。胸や腹。しかもそれぞれの穴の反対側にも穴がある。そしてその破けている辺りに血が付着している。おそらく、何かに貫通するくらい刺された、って感じでしょうね」

 

レ「破けたところに赤い縁がついているっていうデザインの服っていう可能性は…?」

 

幼稚…カリスマで溢れているレミリアお嬢様はそんな拍子抜けた質問をする

 

パ「ま、ないわね、そんな趣味の悪そうな服。第一、貴方も血って匂いで分かってたでしょ?…先に言っとくと返り血ってのもないわね。だとしたらかなり飛び散るはずだし」

 

と、ここまで聞いたレミリアだが、それでも笑って言う

 

レ「ふふ、でも見たところ大丈夫そうではあるもの。それにもし本当に危なかったらそれこそ野放しにしてはいけないものだと私は思うわね」

 

パ「…そう。まぁレミィがそう言うなら別に私は異論はないけど」

 

若干諦めた感じでそう言いながら、パチュリーは口元に手を当てる

 

パ(…まぁ、本人自体に傷一つ付いてなかったってのも少し気になるけど…)

 

レ「さて…と。咲夜起こして片付けようかしらね」

 

めんどくさそうに言いながら、レミリアは重そうに腰を上げる

そして、咲夜の方に歩みだそうとした瞬間

 

 

ドッゴォォォォン…

 

 

ちょっと遠くの方から、爆発音のようなものが聞こえた

遠く、と言っても音が聞こえる範囲内での爆発。唐突にそんな音が鳴ったのなら普通は軽くともパニックになる

が、2人の反応は薄かった。パチュリーに関しては全く気にも留めない様子で本を読んでいる

レミリアは少し顔を歪ませ考え込み、小声でつぶやく

 

レ「この音…フランの弾幕…?誰かと弾幕ごっこでもしてるのかしら…」

 

だとすると、相手は誰なのかってところになる

この館でまともに弾幕ごっこできるのはレミリア、咲夜、パチュリー、美鈴。内3名はここにいるし、美鈴は門番だから外にいるはずだし、外の爆音はここまで聞こえないはず

他にもいないことはないが、妖精メイドなど、フランにとっては相手にならないような者達。そんな奴らを相手にするような子じゃない

だとしたら考えられるのはこの館の住人じゃないヤツら?いやでも魔理沙はさっき外につまみ出されたし、他に来るやつと言ったら…

と、考えてるところに1人の名前が脳内に出てくる

さっきまで話題にしてたやつ。ついさっき、自分の勝手で紅魔館の住人にしたやつが

 

レ「…あの子って弾幕ごっこできるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道も全くわからずほぼ迷子状態になりながらも紅い廊下を全力疾走する白夜

その背後から、先端が尖って細く、赤く光っている、まるで殺意の塊のようなものが飛んでくる

 

白「うお!っぶねぇ!」

 

床を思いっきり蹴り体を横に飛ばし、スレスレで光る何かを避ける

 

フ「むー…当たらない…」

 

少し機嫌を損ねてるような顔をするが、白夜にはそんなことは関係ない。すぐに起き上がり、そして走り出す

フラン曰くこの遊びは"弾幕ごっこ"というらしい。そしてフランが飛ばしている光るアレ。あれが弾幕だと思う。うん

最初はゆっくりな、丸い小さな玉が複数って感じだったのだが、急にあんなえげつないものを投げてくるようになってきた。当たったら死…ぬのか?あれは。だとしたらかなり危険な遊びじゃ…

ともかく現時点で情報量が少なすぎる。まともなルール説明もされてないため、勝敗条件も分からないのだ

おそらく弾幕を撃ち合う遊びなのだろうが、白夜には弾幕を撃つ手段も方法も分からない

よって逃げる、という選択肢しか選べず、現在状況に至るわけだ

 

フ「あ!こら待てぇ!」

 

逃げる白夜を見てそう言いながら、軽く空中に浮遊し、えげつない加速をする

先に走り出した白夜とのスタートのラグを気にさせないほど距離がすぐ詰まっていく

これが駆けっことかだったらすぐに勝敗が分かるほどの速度差

だがこれはゴールが決められていないただの追いかけっこ。どこ向きに走ろうが逃げる奴の勝手

 

白「ってことで方向転換ッ!」

 

そう言い急ブレーキをかけ、逆にフランのいる方向へ走る

飛んでいたのが仇となったか、後ろを通り過ぎて行くのを見て、フランもすぐに方向を変えようと急ブレーキしたが、うまく止まらない

 

白(空中にいる上にあの猛スピードだ…結構距離を離せるはず…それを活かして隠れたりできれば…)

 

そう考えていたが、そのプランはすぐに壊された

フランは少し傾き、横に移動すると、壁に爪をたてて急ブレーキをかける

ギギギと嫌な音をたてながらフランは止まる

 

白「…爪…折れるぞ」

 

なんて言った矢先、白夜の方向にまっすぐと早い光の玉が飛んでくる

距離はあったため、後方に下がり避けたが、地面に着弾した弾幕は爆発した

 

白「うおぉおあ!?」

 

思わず防御の姿勢をとるが、着弾地点が少し遠かった。さっきまで的確に撃ってきたフランもようやっと外してくれた

爆発したところからは軽く煙幕がたつ。こっからはフランを視認できないけど、それは向こうも同じ。今のうちに逃げよう

そう一瞬考えたが、白夜は煙幕に向かってとっさに身構える

その瞬間、煙幕の中からフランが勢いよく飛び出してきて、白夜に強烈なパンチを喰らわせる

身構えてたため大ダメージは防げたが、後方に勢いよく飛ばされる

 

白(弾幕ごっこって肉弾戦もありなのかよ!?)

 

少しの浮遊感を味わったあと、勢いよく床に尻をつく

金髪お嬢様からの無慈悲な鉄拳をくらった場所がじんじんと痛む

が、そんなことは知るかと言わんばかりにお嬢様は追い打ちをかけるようなことをしてくる

 

白「おいおい…流石にそれは死ぬって…」

 

フ「禁忌『レーヴァテイン 』」

 

尻もちをついている白夜の前でそう呟き、緋色の剣のようなものを持つフラン

明らかに「触れたらなんでもスパッと☆」なんて見た目をしてやがる。あんなの振りかざされたらひとたまりもない

避けることのできない雑魚相手にそんな物騒なもの振りかざすほど鬼な子じゃないって私は信じたいんだけど…

 

フ「…」

 

あ、ダメですわこれ。もういつでも貴方を殺せますって構えだもん振り上げちゃってるもん

しかもなんか心無しか目の色も無くなってない?そんなゴミを見るような目で見ないで欲しいんですけどー

なんてくだらないこと言ってるが事実、命の危機状態なのだ

持ち掲げてるあの剣を振り下ろすだけで綺麗に両断され逝ってしまう

なにか解決策があれば…

 

フ「」ブォン

 

フランは無慈悲に、一切の感情を持ち合わせてないかのように振り下ろす

 

白「まぁ考える時間くれませんよねちくしょおおおおおお!」

 

やけくそに叫んだ白夜。だが彼は、ただ叫んだだけではなく、行動もした

その行動とは、避けるという行動ではなく、逆に攻撃を仕掛けた

この際女の子に手を出すのは〜なんて言ってられない。明らかにあの目は殺しに来てる

避けたとしても、第2波は避けることができないだろう。そんな予感がする

 

とはいえ、フランはあの「触れたらなんでもスパッと☆」で、白夜は素手。攻撃という行動をとったところで、結果は目に見えてる

はず、なのだ。普通なら

 

白(…いけるか…?)

 

フランの剣が、白夜の胴体に届く前に、白夜の拳はフランの目の前までに届き、そして寸前で止まった

自らパンチの勢いを殺し、攻撃をやめた。フランからすれば、わざわざ無駄な傷を負わなくてすむ好都合な行動

のはずだった。だがしかし、不可解なことが起こり始める

数センチで白夜の体を一刀両断しようとしていた剣は急に弾け、消える。そして、フランが崩れるように倒れる

 

白「あっっぶねぇぇぇぇ…」

 

冷や汗が頬を伝っていくのが分かる

いったい白夜が何をしたのか。今の一連の動きを誰が見たとしても、分からないであろう

白夜的には使いたくなかった、いわゆる"秘策"を使ったのだ

 

白(…にしても)

 

白夜は倒れているフランの方に目をやる

 

白(なんか最後あたり様子おかしかったよなぁ…)

 

楽しんでいた、というよりガチで殺しに来ていたような感じがした

全身が殺気のオーラで纏われていたようなというか

…これからは遊ぶ時ちょっと危険視した方がいいかもな…

 

 

 

 

 

 

フ「ん…うぅ…」

 

と、少し呻きながら幼女な鬼畜お姫様はゆっくり起き上がる

 

フ「…あれぇ?弾幕ごっこは?フラン負けたの?」

 

まるで何も覚えてないかのようだった

あれかな。戦闘に入ったら我を忘れるタイプなのかな?…

 

白「…フランが勝ったんだよ。遊び終わったあとすぐ疲れて寝てたのさ」

 

と、軽く嘘をつく

まぁ、勝敗に関しては間違いではない。実際あれをやらなきゃ負けてたわけだし、使うつもりはなかったのだから

フランは少し気難しい顔をする

 

フ「うーん…途中までは覚えてるんだけどなー…」

 

白「まぁ終わったんだからいいじゃない。とりあえず疲れたから少し休もうか…」

 

フ「うん…」

 

ゆっくりと立ち上がり、服についた汚れを取り払いフランは歩いていく

白夜は道が全く分からないため、1人で無造作に歩き回るよりはいいだろうと、フランの後ろをついていく

そして歩きながら白夜は荒れ果てた廊下を見回す

 

白(…俺悪くないよな?)

 

壁や床がフランと白夜の長い戦い(ほぼ一方的な暴力)によって無残に瓦礫と化している

壊したのはフランだが、遊び相手になったのは白夜のため無関係って訳ではない

ここに来て1日しか経ってないやつが家の一部を酷く荒らしたんだ

こういう館だとこんだけ修復すんのにも馬鹿にならない費用が必要になるだろうし、主人の性格によっては首チョンパなんてのも有り得なくはない

…あの優しそうなカリスマお嬢様ならきっとそんなことはしないはず。笑って許してくれるはず

そう願い、若干寒気を感じながら、白夜は荒れた廊下を悠々と歩くフランについていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう簡単には上手くいかない…かァ…」




久しぶりに書いても文章力は相変わらずやなって自分でも思いましたね。むしろ劣化してないかこれ
何言ってるのか自分でも分からなくなってるところがあるけど…いいよね?(震え声)

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