東方縲絏魔   作:魔妬

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第2話「お嬢様」

早朝

いつもより早く起きた紅白の巫女、博麗 霊夢は昨日紫に言われた通り、人探しをしていた

ここ、幻想郷でどこにいるかすら、考えてることすら分からない奴を探さなくてはいけない。そう考えると、霊夢はため息をつく

人手が欲しいところだが、この問題は個人で解決しなくてはならない。あまり周りの奴らに知られてはならない。と、紫が言っていた

その理由は霊夢にはわからないが、なにか考えがあると踏んで1人で捜索していた

 

と、少し遠くに見慣れた人物がいる

箒に乗って飛んでおり、全体的に白黒な魔女の様な格好をしている

霧雨 魔理沙。よく神社に来るがお賽銭はあまり入れてくれない。が、霊夢の中では良い奴っていう部類に入る

魔理沙は霊夢には気付かず、長い金髪をなびかせながら猛スピードで一直線に飛んでいく。その方向を見て紅白の巫女はため息をつく

 

霊「あっちは紅魔館…てことはまた本でも盗むのかしらね…」

 

霊夢は魔理沙を無視し、別の方向へ飛んでいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白「…ここまで世話焼いてもらっていいの…?」

 

長い廊下をメイド長の横に並び歩きながら、白夜は咲夜に質問する

白夜はあの後、大量のご飯を食べさてもらったうえに、1晩泊めてもらっていた

正直ハプニングはあった。うん。主に風呂場

あの金髪無邪気な幼女お嬢様が一緒に入ろうと迫ってきたり

風呂入ったあと変えの服がメイド服とか女物しかなかったり

まぁ…何事もなく終われたけど。因みに服は使いまわしているためまだボロボロのやつ

と、少し白夜から距離をとっているような感じに歩く咲夜が短く答える

 

咲「全て主の命令ですので」

 

白「主…?フランのこと?」

 

咲「フランお嬢様の姉にあたるお方です。今から会いに行ってもらいますよ」

 

さっきからどこに向かって歩いているのか、と思ってたけどそういう事か。にしても姉か

そういや昨日フランから姉がいるって聞いたような

優しいし強い!なんて言ってた気がする

歳は5歳離れているらしい…が、吸血鬼にとっての5歳はあってないようなものだと思っている

フランの様に見た目も中身も幼いんじゃないかなって思ってるわけだが

…てかなんで泊めてくれてまでしたんだろ

なんて考えてたら咲夜が足を止めた。目の前には大きな扉がある

 

咲「この部屋にお嬢様はいらっしゃいます。…お嬢様、先日の客人です」

 

咲夜は大きな扉を軽くノックしながら言う。そして一歩下がり、扉をずっと見つめている

すると、扉の向こうから甲高い幼げな声が聞こえてきた

 

「入ってきていいわよ」

 

短く返ってくる

隣にいるメイド長は小さくお辞儀をし、扉を押す。その間に遠慮なく入らせてもらう

中はほんの少し薄暗く、結構広い。扉から真っ直ぐ、奥側に大きな椅子がある

その玉座の様なものに、ぽつりと小さく座っている可愛い女の子…って言ったら失礼かな

カリスマ性が溢れ出しているお方が足を組んでこちらを見下すように座っている

このお方がレミリア・スカーレット…でいいよね。薄い青髪の真っ黒の羽を生やした吸血鬼

 

レ「咲夜から色々聞いたわ。空腹で倒れていたとか」

 

白「えぇまぁ…でもそちらのメイドさんにご飯とか作ってもらったので大丈夫だったのですが」

 

レ「ふふ、それはよかったわ」

 

見た目はフラン同様幼いのだが、なんていうか圧が違う

今更ながらこんな格好で来ているのがものすごく申し訳なくなってきた

 

レ「さて、貴方をここに呼んだ理由は話があるからなんだけど」

 

そう言いながらレミリアは視線を咲夜に移す

 

レ「咲夜、少し席を外してもらえるかしら」

 

咲「…!ですが…」

 

咲夜が何か言いたげな顔をするが、踏みとどまり、そして一歩引く

 

咲「…分かりました」

 

そう言うと咲夜はその場からパッと消えてしまった

白夜はその光景を見て固まってしまった

瞬間移動とかそんな事をしたのか、白夜の頭では理解出来ずただただ唖然とした

と、ずっと同じところを見ながらあほ面を晒していると、横からお嬢様が問いかけてくる

 

レ「…どう?あの子、貴方に対して冷たい態度とってなかった?」

 

白「え?あぁ…」

 

そう言われて我に戻り、さっきまでの記憶を巡る

ことある事に睨みつけられたり…主にフランと一緒にいた時とか

自分に対してだけ無愛想だったり

さっき歩いてた時も距離を置かれてたり…

思いつく節を上げていくと、だんだん難しい表情になっていく

 

白「俺って会ったばっかの人に嫌われてるのかな…」

 

なんだかそう思うと凄く落ち込むというかなんというか

 

レ「あはは!まぁあの子には貴方みたいな人にはちょっとしたトラウマがあるのよ。気にしないでくれると嬉しいわ」

 

白「…トラウマ?」

 

レ「うーん…言うなら男性恐怖症ってところかしら。…詳しい話はしないわよ」

 

レミリアは少し表情を変える

人のトラウマ話は深追いしてもいいことは無いしな…ここは大人しくスルーしておこう

男性恐怖症…なのか。じゃあ世の男性の誰もが話しかけたりしてもあの態度をとられるわけだ

そう思うとなんだかほっとする。何もしていないのに俺だけあんな綺麗な人に嫌われるなんて本気で凹むぞ

 

レ「と、早速本題に入りたいわけなんだけど」

 

気高き吸血鬼のお嬢様は組む足を変え、ボロボロで貧相な格好をしている愚民の目をじーっと見つめる

それは静寂の中しばらく続いていたが、次第にお嬢様がため息をついて目をそらす

 

レ「…貴方、なんで私の能力が効かないのかしら?」

 

白「…え?」

 

レミリアは続けて言う

 

レ「私の能力は運命を操る程度の能力…完全には使いこなせていないのだけれど、対象の運命を少し変えたり、未来が見えるわけなのよ」

 

白「は、はぁ。非常に便利そうな能力をお持ちでして」

 

レ「フランには馬鹿にされたりするけどね…それで、貴方がここに来た時から貴方の未来を見ようとしたのだけれど、全くと言っていいほど見れないのよね。…貴方そういう系の能力とか持ってたりする?」

 

白「え…いや特には」

 

レ「ふーん」

 

怪しげな目でこちらを見つめる

なんでかしら、と首を傾げるお嬢様。白夜は少し焦ってるかのように話を変える

 

白「えと、呼んだ理由はその話をするためだけ…?」

 

そう言うとレミリアはくすっと笑う

 

レ「そんなに焦らない。本題はこっからよ」

 

椅子から立ち上がり、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる

その響き渡る足音で無駄に緊張感が増す

歩みながら、話し始める

 

レ「私最近暇だったのよ。こんな平和なところで、綺麗でいつもと変わらない景色を見ながら、いつもと変わらない味の紅茶を飲み、いつもと変わらない1日を過ごす。そんな何気ない毎日が楽しかったりするけれど」

 

白「はぁ…さようでございますか」

 

レ「そんな時に貴方みたいな、他とは何かが違う。私を楽しませてくれそうな奴がここに転がってきたわけなのよ」

 

レミリアの目が紅く妖しく光るのを見て、白夜の背中に寒気がする

 

レ「私は吸血鬼。鬼、つまり狩る側。ハンターが目の前に転がってきた美味しそうな獲物を逃すわけないでしょう?」

 

白「…え?俺って食われるの?狩られる豚なの?」

 

レ「まぁ単刀直入に言うわね」

 

下等な家畜の不安そうな鳴き声を無視して、お上品なお嬢様ははっきりと白夜に告げる

 

 

 

レ「貴方、ここに住んでみる気は無いかしら?」

 

 

 

 

少し、衝撃だった

というかたった1日の時間を過ごしただけ…レミリアとは今会ったばっかしの初対面のやつにそんなこと聞くか?なんていう考えは瞬時に心の中に閉まった

 

吸血鬼だし、食料にでもされるのかと思っていたが…失礼だった。考えすぎた

 

レ「…もしかして食べられると思った?」

 

その思考がバレてた。もしかして顔に出てたりしてたかな

白夜は小さく震えつつ頷く。レミリアはそれを見て小さく笑う

 

レ「ふふ、そんなことしないわよ。私の能力が効かないなんて初めてだもの。そんな珍しい奴をただ単に食うだけなんて面白くないしね。…あ、住むって言うなら多少食料になってもらうけど」

 

白「あぁ…え?」

 

レ「食料って言ってもちょっと血を吸うだけよ」

 

その言葉を聞き、白夜はそっと胸をなでおろす

言えば、ほぼ身寄りがないという状況に、こんな豪華な館に住まわせてもらうなんて、ちょっと血を取られるだけにしては良すぎるくらいの対価

今なら血を女の子に吸われるだけ!いや、吸ってもらってこんな館に住めるのだ!こんな、主もメイドも綺麗な女の子の館に

これは流石に贅沢すぎないか。やはり少し疑ってしまうが、ここで断る、という選択をしてもメリットは少ない

白夜は少し考えるふりをしながらも、すぐレミリアに対してゆっくり頭を下げる

 

 

白「じゃあ…お言葉に甘えてお世話にならせていただきます」

 

レ「決まりね」

 

 

その言葉だけを聞くと、白夜は頭を上げる

正直不安なことが多いが、こっから追い出されて野宿を続ける、よりはかなりマシだろう

レミリアは扉の方に向かって歩き、白夜の横を通りすがる時に、白夜の肩に小さな手をぽんっと置く

 

レ「ここに住んでもらう際自由にしてもらって構わないんだけど、流石に身だしなみは整えてもらうわ。ってわけで付いてきて」

 

そう言い歩みをまた進める

流石にそうなるよね…でもこの館に男用の服ないって昨日咲夜に言われた気がしたんだけど

そう思いながら、部屋を出ていくレミリアに白夜はついていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ!今の危なかったぜ…」

 

白黒の普通の魔法使い、霧雨 魔理沙は現在、紅魔館の地下図書館にてパチュリー&咲夜と交戦中

理由は今家にある魔導書じゃ飽き足らず、ここにある図書館の本を盗もうと…じゃなくて、無断で借りようとしたところを見つかり、今に至るわけだ

 

咲「そろそろ諦めて捕まってくれると嬉しいのだけれど」

 

魔「捕まってくれと頼まれて捕まるやつはいないぜ!」

 

パ「貴女は何回盗んだら気が済むの…」

 

2対1。しかも逃げ口はほぼ咲夜に塞がれる。もし少しのスキをついて逃げたとしても、スピードで咲夜に勝てるとは思えない。何しろ相手は時を止めてくるのだから

そしてここで睨みあっててもパチュリーの高火力が1度でも被弾したら一気に戦況が不利になる

もたもたしてる時間はない。早急に逃げないと。その為には本棚とかを使って咲夜とパチュリー死角から見つからないように逃げるのが…いやダメか。この2人から死角を作るのは難しい。失敗の確率のが高い

と、ほぼ積みな状況で必死になって作戦を考えていると、図書館の扉が勢いよく開く

 

レ「パチェ!少し用があるのだけれど…って魔理沙じゃない」

 

魔「げ、レミリア…」

 

そこには紅魔館では見慣れた小さな吸血鬼がいた。この館の主、レミリア・スカーレットが

状況は悪化。もはや反撃なしにただ逃げるのは不可能

仕方ない。ここは強行突破でマスタースパークを…

そう思い、ポケットの中に手を突っ込み秘策の準備をしようとした瞬間、扉の奥からもう一つ人影が見えてくる

 

「うわ…想像はしてたけど広いな…」

 

そこには見知らぬ男が、おそらく普通の人間であろう人物が出てきた

着ているボロボロの白い服には穴がところどころ空いていて、その周りには赤い何かが付着している

青と白が混ざっているような少し不思議な髪型。というか誰か知らんけどなんで紅魔館にいるんだ…それにあの格好、何も知らない魔理沙からしたら普通じゃない。何か知っていても普通じゃないと思うが

その男の登場により、魔理沙は一瞬呆気にとられてしまった。その隙は捕まえるには十分な隙

 

パ「余所見とは中々いい度胸じゃない」

 

その隙に瞬時に反応したパチュリーが高速で魔理沙の後ろに回り込む

 

魔「!?しまっ…」

 

ゴスッ

という鈍い音が鳴り、その衝撃で意識が一瞬で遠のくのが分かる。重い一撃。冗談抜きに気絶してもいいレベル。本とかで殴られたのだろう、目の前が暗転していき、床にばたりと倒れる。が、意識が朦朧とする中話し声はかろうじて聞こえた

今、この状況では流石に捕まるしかない。が、せめてあの男の名くらいは聞いておこうとしていた

 

 

咲「お見事ですパチュリー様…これはどうしておきましょうか」

 

 

パ「湖にでも捨てておきなさい。ところでレミィ、用っていうのは?あとその横にいるのは?」

 

 

こちらに向かってる足音が聞こえる。多分、咲夜の

名前はすぐに聞き出せそうな雰囲気、今にも意識が飛びそうだが、かろうじて聞こえる話を死んだフリのような倒れ方をしながらも耳を傾かせた

 

 

レ「さらっとえぐいことするわねパチェ…そうそう用って言うのはこの男のことなんだけど…」

 

 

 

ここまで話を聞いて、耳元に小さな声で、少し低くしたメイド長の声が聞こえた

 

咲「…寝といてください」

 

 

その瞬間、首元に鋭い衝撃が走る。ここで完全に魔理沙の意識は途切れてしまった




なんか無理矢理話を進めている感があるような…気のせいですかね
これが私の文章力の限界なんです泣きそう
話が落ち着いたらゆったりとした感じに書くつもりですが

あと、紅魔館内の構造のイメージがイマイチ掴めてないのでレミリアの部屋とか伝わりにくかったらすみません
調べたりしてもよく分からなかったもので…
さてと、今回もおかしい点、誤字脱字、ここはこうした方がいいというのがあったら教えていただけると嬉しいです。言われたら直していきたいと思っています
それでは、また3話で

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