東方縲絏魔   作:魔妬

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第1話「異物」

「妹様…そんなに動き回って日光に当たってしまってはお体に障ってしまいます」

 

小雨くらいなら多少なり降りそうな天気の中、大して光が降り注がないのに大きな日傘を持ちながら紅魔館のメイド長、十六夜 咲夜は自分の目の前にいる小さな女の子に対してそんな些細な忠告をする

 

「えへへーだって最近あんまり外に出れなかったんだもーん」

 

そう言いながら咲夜からあまり離れない範囲で走り回ったり小躍りをしているフランドール・スカーレット

吸血鬼であるため、日光が晒される下では体に害を与えられたり行動が制限されるため、この種族は好んで昼に外に出るものは少ない

しかし彼女はは見た目には似合わない年齢なのだが、精神年齢は見た目道理の幼さで、本人が外に出たいと主張するため、お嬢様なフランドール・スカーレットは1人メイドと同行動するのと、天気が曇っている時というのを条件に昼の外出が許可されている

 

咲「そうですね…ですが程々にしてくださいね。体調を崩してしまっては姉様が悲しんでしまいます」

 

フ「む…そっか…」

 

姉様、と聞いて急に大人しくなるフランドール。とぼとぼと咲夜の持ってる日傘の中に入り、紅魔館へとゆっくり歩いていく2人

そんないつもと変わらず、微笑ましい光景に「異物」が入る

 

 

 

ガサッ

 

 

 

「…!」

 

近くの草むらから物音がする

小動物が通った音にしては少し大きく、ここら辺にいる妖怪が通ったにしては小さな音

咲夜の前を歩いていたフランドールは足を止め、羽をピクつかせながら草むらを見つめる

その揺れは次第に、ゆっくりと大きくなっていき、何かが近づいてくるのがはっきりとわかる

もし攻撃が飛んできた時のことを考え、すぐ妹様の身を守る態勢をとる咲夜。が、守られる側のフランドールも臨戦態勢に入っている

 

 

 

ガサッ…ガサッ

 

 

 

徐々に、そして確実に近づいてくる物音

静かに、落ち着きながら構える咲夜とフランドール

 

 

 

ガサガサッ

 

 

 

そして、物音がすぐそこで聞こえた時、音の正体が倒れるように姿を現した

急に現れたのにびくつきながらも、倒れているその正体をしっかりと確認する

やはり小動物や妖怪などでは無かった。見たところ敵対心があるわけでも無さそうなため、ゆっくりと構えを降ろしていく。しかし、ここにいるのは少し不思議なものだった

そこにいたのは…

 

 

 

 

咲「…おと…こ?」

 

 

そこにいたのは、血まみれでボロボロの服を着ている、青と白の混ざった不思議な髪型をした青年の様だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は…なぜあそこから抜け出して来たのだろう

 

人目がつかなかったあの場所から

 

自分から望んで閉じこもった牢屋から

 

理由もなく抜け出してしまったのだろうか?

 

光が見たくて、光を握りたくて、外に出たのだろうか?

 

…いや、違う。俺はもっと別の目的を持って出てきたんだ

 

そうだ、俺の目的はー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

目が覚めると、目の前に移ったのは真っ赤な壁。正しくは、天井

自分は人様のベットに寝かされていた。律儀に肩まで毛布がかぶされている

周りを見た感じ誰もいないようだった。しかし、綺麗に掃除されていたり、色々な物が置いてあるとこを見るあたり誰かの部屋というのは間違いないようだった

起き上がり、改めて自分の体に目を下ろす

服がところどころ突かれた様な穴が空いており、その穴の周りに血が付着している。だが自分の体が怪我をしている、という訳では無い

そんな感じに冷静に状況確認をしていると、部屋の扉が開く

 

「あ、起きてるー」

 

「…」

 

扉の向こうから出てきたのは、赤と白の可愛らしい服を着ている金髪の女の子。しかし、七色の羽が生えている為、人間じゃないのは人目で分かる

もう一人、きりっとしたメイド服を着ている、銀髪の女性。こちらは見た感じ普通の人間に見えるが、なんだか普通と違う感じがする

 

「お兄さん大丈夫?意識とかしっかりしている?」

 

近づいてきた金髪の幼女に心配される。自分より小さい子に心配されるとなんとも言えない気持ちになるような…

 

「あぁ…うん。特には問題ないかな」

 

寝起きだからか頭がぼうっとするが、支障をきたすほどではなかった

毛布をどかし、ベットに座る様な体制に直す

そして、目の前にいる2人に向かって一番最初に思い浮かんだ疑問を投げる

 

「ここはどこ?」

 

今いるここの部屋だけを見ても大分広いのだが、家具とかを見ても明らかに誰か一人の部屋

それにこの2人が入る時、扉の奥に廊下の様なものが見えた。かなり広い屋敷とかなのだろう

と、少し無愛想なメイドが前に出る

 

「ここは紅魔館です。私達が散歩をしている時に、貴方が道端に倒れていたのでここまで運んできました」

 

「あ…ご丁寧にどうも」

 

紅魔館…?どこだろう…とりあえず、この人達は恩人ってことか

銀髪のメイドは小さくお辞儀をしながら、こちらを睨みつけられる。…なんか悪いことしたかな

そんなメイドとは真逆に目をキラキラさせながら顔を近づけてくる

 

「ねぇねぇ!お兄さん名前何ていうの?」

 

「ふ、お嬢さん。人に名前を聞く時はまず自分から名乗るもんでっせ」

 

…恩人に対して、とっさに思った言ってみたかったことを口に出してしまった

と、言った直後に後悔した。メイドさんの眉がぴくぴく動いてるのが見える。…あの人怒らせたらまずい気がする…。しかしお嬢さんの方はそんな事は気にせず名乗り始める

 

フ「私はフランドール・スカーレット!吸血鬼で…えっと…よろしく!」

 

やはり背中についてる羽は偽物とかではなかった。本物の吸血鬼らしい

続いてメイド姿の銀髪さんも名乗り始める

 

咲「ここ、紅魔館にてメイド長を務めさせていただいてます。十六夜 咲夜です」

 

こちらも予想通り特に変な種族とかではなく、人間っぽい。だがやっぱり何かが普通と違う気がする

フランドール・スカーレットがこちらをじーっと見つめてくる。頭を搔きながら軽く自己紹介を始める

 

 

白「終天 白夜(しゅうてん びゃくや)それが俺の名前。まぁなんて呼んでもいいよ」

 

 

適当に言う白夜。そして、名前を聞いた途端フランドールは目をまた一段と輝かせる

 

フ「白夜お兄様!」

 

白「お兄様って…」

 

少しツッコミたかったが、本人はそれで満足したのでとりあえずそのままで放置しておくことにした

が、メイド長の咲夜さんはそれが納得いかないようで、顔をしからめフランドールに耳打ちをする

しかし、何を言われたのか知らないけど少し怒った様子でいた。…咲夜さんに怪しい人物とでも思われてんのかな俺…

 

 

…とりあえず今自分がどういう状況に陥っているか大体把握することができた

自分はあれから走り続けて、倒れたところをこの人達に介護させてもらった

ここなら。この人達なら

あそこから逃げた"目的"を果たせられるかもしれない

 

白「…1つ頼んでもいいかな…?」

 

少し声を低くして言う

その言葉ににフランドール・スカーレットは首を傾げ、十六夜 咲夜は鋭い目つきでこちらを見る

正直、見ず知らずの人にこんな事を言うのは変なのかもしれない

倒れてるところを助けてもらって図々しいかもしれない

でも、ここでチャンスを逃しては次がないかもしれない

白夜は小さく深呼吸をし、また言葉を発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白「お腹すいたんでご飯ください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げられた…?」

 

神社に1人佇んでいた紅白の巫女。博麗 霊夢が、突如に現れた八雲 紫の発言に顔をしからめる

同じく難しそうな顔をしながら紫も言葉を返す

 

紫「えぇ…何重にも貼っていた結界も全部破壊されていたわ。…しかもそれを誰も気づかなかった」

 

霊「…」

 

霊夢は頭を抱え込む

面倒事が増えた。あいつが人を無差別に襲うとは思えないけど、抜け出したってことは何らか理由があったはず

しかも結界を全て破壊したってことはもしかしたら…

 

紫「…多分同じこと思ってるわね」

 

紫が全てを見透かしているような目で言う

少し腹立つが、おそらく合ってるだろう

 

 

紫「霊夢には少し悪いけど、探し出してくれないかしら」

 

いつもはどんなことがあっても落ち着いているような紫だけど、今回は少し焦っているように見えた

それだけ不味い状況なのが分かる。その状況は自分でも理解してるつもりでいる

おそらく、普段の異変より数倍めんどくさい事態になっていることが

紫は一呼吸置いて、霊夢に告げる

 

 

 

 

 

 

紫「今の状態の白夜は危険よ。…速やかにお願いね」




初めまして、魔妬というものです
今回が初投稿で、初めての小説なのでとりあえず自由に書いてみました
自分は文章力にはあまり自信が無いため、多々おかしいところがあるかもしれません
また、初めてというのもあるので、ここはこうしたほうがいい。とか、こうやった方が〜。みたいなのがあれば教えていただけると幸いです
これからも頑張って続けていきますが、間違った点とかあればどんどんご指摘していただくと嬉しいです
まだ1話目ですが、見ていただきありがとうございました

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