遠山金次は静かに暮らしたい   作:rockzero21

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原典でヒステリアをhisteriaとありましたが、英独はhysteria 。原典の方は何語なんでしょう、分かった方、教えて頂ければ幸いです。そして此の拙著に、微々ながらもお気に入り登録が…有難う御座います。できれば評価の方や感想もお願い致します。
前に言った艦これ✖️ジョジョとのコラボ回を15〜24巻辺りで作りたいのですが…何時にしましょうか。


追伸 2017年十二月二十五日の零時から日中にクリスマスプレゼントとしてサンプルみたいな感じで艦これの小説をあげます。期間限定なのでご注意ください。好評だった場合や次話の催促をされれば公開&連載いたします。また同時刻にデアラの更新もします。こっちはずっと見れます。

ad2017/12/29-08:47…後書きの追加、及びそれに関する文書の削除


第1弾(2)Disasters makes me mad.

今日は本当に災難な日だった。

先ず俺が教室を確認すると、ジョセフィーヌと出渚は同じだが白雪とは別れてしまった。だがそれ程問題ではない。と教室に着くと先行していた二人に武藤、強襲科(アサルト)の不知火、俺と同じ探偵科(インケスタ)の理子といつものメンバーが勢揃いだった。

「おい武藤、テメーの所為でバスに乗れなかったんだよ。自分のに乗りやがれ。」

「乗れねぇ方が悪いんだぜ。オマケに切符切られっちまってるし。」

「法律無視したお前はどうなんだ。」

「後ろに掴まってれば、タダで乗れますの。」

「其れこそ犯罪だろ。何だ、車輌科は気狂いしかいねぇのか。」

などと他愛のない会話が流れる。此処までは良かった。問題は始業式の直後だった。何でも三学期から新しい生徒が入ったとのことで…

「先生、あたしはアイツの隣に座りたい。」

そう、此れこそ()()()()の正体だったのだッ!同じ2年A組だったこと。誰が此のような事を予想できようか。もっと言えば、彼女は不可避だったとはいえ痴漢行為をされたのである。だとすれば復讐に来たのだろうか。若しくは奴の色んな意味での標的に置かれたか。

何れにせよ無視に限る、理子を筆頭として騒ぎ立てる周囲を尻目にファイナンシャル本を開いた。然し武藤も武藤だ。自由席なんだから先に坐った者勝ちだ。譲らなければ幸福とは言わないまでも平和に生きれたのに、あ、神崎の奴撃ちやがった。此れで怒られないのが流石武偵高だ。他なら停学どころか警察沙汰だ、持ってるだけで。

その日は何とか彼女から逃げ果せ、帰路に着いたが…つけられている。恐らく神崎だろう。其処でわざと路地裏に入り爆弾を仕掛けると、気持ち良いぐらいに吹っ飛んで行った。頑丈な彼女のことだ、威力も抑えてあるし大丈夫だろう。そのまま家に帰り白雪やらと駄弁っていたが、乱暴なドアホンに中断された。相手を伺うと、件の彼女。どうやら意地で此処を見つけたらしい、流石強襲科には恐れ入る。然し距離的にも時間的にも俺たちの声は聞こえてなかったようだ。そのまま俺たちは黙りを決め込むことにしたが、鍵を掛けていなかったのは迂闊だった、戸を開けた神崎に見つかった。

「居るんならあたしがチャイムを押したら五秒以内に出なさい。」などといわれたが、此方は命令される理由もなければそれを守り通す義理もない。無視しておこうかとも思ったが、当の本人はとっくに部屋に上がりこんでトイレを探している。さらに今度はトランクを入れるよう言ってきた。成る程、玄関先の明らかにブランド物と分かるロゴのついたトランプ柄のそれのことだろう。というか彼女物をブランドで選んでないだろうか。ブランドは自身が気に入っている場合と体裁の場合があり、例えばジョセフィーヌはグッチの物を持っているが彼女は前者に当たる。それに並ぶのがしまむらやらユニクロやらなのは報われないがそれはそれで匹敵する何かがあるということだろう。一方俺は後者に当たる、ならばイミテーションでも十分可能ということだ。そして神崎は後者だが、おそらく品質と言うよりは数が対応しているのだろう。これだから貴族社会は嫌いだ。平社員で生きていければ十分だろう。などと考えていると神崎が手水から帰ってき、なぜかこの部屋に住む人の人数を聞かれた。この部屋は本来四人用に作られており、それ相応の広さはEランク武偵一人には勿体ない。だがそれなりに人の目を気にせず過ごせるのは利点かもしれない。ともかくこの部屋に住むのは俺一人であると答えると、何故か彼女は居間に行き窓をバックにこう宣言した。

 

「ーー金次、アンタ、あたしのドレイになりなさい!」

 

……あぁ

………………言いやがったな此奴。一回リンカーンに謝ってきてほしい。然し、今回すべきなのは()()()心配だ。ほらドタドタと『お淑やかなアイツ』には似つかわしくない音が…

「キンちゃんに何をしたァーッ!」

「ちょっと何よアンタ、一人しかいないんじゃなかったの!」

「住んでいる人数を聞かれたまでなので。来客が来てない保証はありませんし、彼女らも就寝時は各自の部屋へ帰りますよ。」

「うるさ「キンちゃんを奴隷にするなんて、でも私だったらそういうことキンちゃんにしてほしいけど…そんな事絶ッ対、絶ッ対、絶ッ対、絶ッ対、絶ェェ〜〜〜〜〜〜〜ッ対許さないんだから!」何よ!兎に角コイツを止めなさい。」

嫌だ。勝手に俺の平穏を侵しておいて其の言い草はないだろう。とりあえず白雪の鬱憤が晴れるまで放っておいた後、彼女の要件を聞くためソファーに座る事を進めた。ちなみにこの時エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオというコーヒーを頼まれたので、腹いせにジョージアを出したら満足したように飲んでいた。大丈夫か彼女。それかジョージアがすごいのか。

 

 

「まずは礼を言っておきましょう。今朝の事ですが私をて助けていただき有難うございます。また同時に不可抗力とはいえあなたに恥辱を晒させてしまったこと謹んでお詫び申し上げます。さて、本題に移りましょう。あなた、神崎・H・アリアさんは私が先ほど申し上げたような非礼を働いたためかそれこそ執着するように付きまとわれていたようですが、それだけの事でここまでするとは、些か不自然ではないでしょうか。とすると私に何か別件があるという事ですが。」

他社と商談を交わすように神崎に話すと当の彼女はコーヒーカップ(ジョージア入り)を持ったまま目だけを動かし、

「わかんないの?あとアリアでいいわ。」

と、さも当然のように言ってきた。少なくとも会ったのは今日が初めてであり、そんな奴と一心同体になれる、もしくは何かを匂わせる、などという事ができるだろうか。できるとすれば俺の隣に座る付添人ぐらいだろう。

「失礼しますが我々の接触は今回が初めてであり、相手の状況もわからない中で察しろ、というのは困難な事でしょう。」

「そんな論理的な説明なんて必要ないわ。それにそのうちわかるでしょうし、まあいいわ。」

「御言葉ですが、主観的な認識と客観的な認識とに差があった場合、其れが後々大きな歪みとなってプロジェクトの阻害になりかねません。ここで双方の認識を合致させたいのですが。」

「おなかへった。何か食べる物ないー?」

恐らく頭は弱い方だから論理的な話は苦手なのだろう、話題を変えてきた。まぁそろそろ晩飯時だ。

「白雪、冷蔵庫の中身はどんな感じだ。」

「キンちゃんがコンビニ弁当で済ませてたから空っぽだよ。でもキンちゃんのためだったら今すぐにつくってくるから。」

「ねぇ松本屋のももまんはないー?」

「待て、白雪。アリアさんのご所望のももまんは下のコンビニにあるからそこでついでに買ってこよう。」

などといって飯を買いに行ったが、あいつ大量に、しかも俺の金から買いやがった。貴族とはなんだったのかと言いたいが、平気で野糞し平気で蟋蟀やら甲虫やら人肉やらを食う貴族が居るんだから今更だろう。

 

「成る程、自分に見合うパートナーつまり奴隷を探しており、私が丁度適正気質だったためそのまま奴隷となり、また戦力をつけるため強襲科に戻って欲しいと言うことでよろしいでしょうか。」

飯を終えた後、会話を避球か何かと勘違いしているアリアの為に一旦二人で相手の欲求を聞き、その上で俺と白雪で異論や質問を出す、という形式にした。心なしかうまく行っている気がする。それはそうと、

「それでは此方から幾らか指摘させて貰います。先ず奴隷になれという言葉は世界人権宣言第4条や日本国憲法第18条による奴隷の禁止に違反する可能性があり、若し貴女が其れ相応の扱いをした場合、周囲が、国が、そして何より白雪(隣のやつ)が黙ってないでしょう。」

「別に生活を拘束しようなんて考えてないわよ。」

「ならば言い方を変えていただければ幸いです。そして次、私が約4ヶ月前に強襲科から探偵科に移ったのは御存知でしたよね。」

「もちろん、さっき言ったはずよ。」

「でしたら、私は何故移ったのか。全過程修了した訳でもありませんし、楽そうな方を選んだ訳でもありません。」

「さぁ、むしろ移るヤツの気がしれないわ。」

「そうでしたか。ならば納得と言わざるを得ません。私が移ったのは、単に強襲科に嫌気がさしたからです。そもそもこの学校が、というべきでしょうが、あのような常に命の危険にさらされているようなところでは、ストレスが溜まりに溜まる一方でその時はだいぶうなされましたね。今になっては何故入ったのか疑いたくなります。来るたび来るたび死ねと言われるくらいなら、安全な内地でのんびり暮らす方があってますし、それを弱虫だとか家畜以下だとか罵られようと、事実のため潔くそれを肯定するに至るでしょう。」

「そんなバカなことやってないであたしと強襲科で練習しなさい!」

「その宣言は個人の意思を無視しているように思われますが。そして最後、何故私なのでしょうか。まぁぴったりだと感じた、と言われればそれだけなのですが、御存知の通り頭の方も体の方も全国の高校生の期待値あたりとなっています。例えば不知火などなら全て可能なオールラウンダーでとてもいいと思うのですが。」

「あたしはキライな言葉が三つあるわ。」

人の話を聞け。転換の接続詞を使わずに別の話題を持ってくるとは、今までどうやって生きてきたのだろう。特に疑問文という形で相手に応答を迫ってるんだからうんとかすんとか言ってもらいたい。横目で見ると白雪もイライラしているのが目に見えて分かる。

「『ムリ』『つかれた』『めんどくさい』これらはすべて人の可能性を奪う言葉よ。」

「それは分かったから何でキンちゃんになったの?」

「二人とも、太陽はなんで昇る?月はなぜ輝く?」

「「質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているの(か)?私(キンちゃん)が「理由」はと聞いているんだッ! 」」

もう限界だった。小坊の餓鬼でも間違えないようなことを一々間違えるこいつがうっとおしい。

「な、何よ?あたしは『自分で考えろ』ってことを指摘したまでよ!子供じゃないんだからそれくらいできるでしょ⁉︎」

「さっきも言ったはずだッ!『双方の理解が食い違っていてはいけない』となッ!…フゥ〜…兎も角、此の計画に於ける理解の支障が双方で起こると判断し、此の相談は決裂となります。ただ、情報提供などについては此方からもさせていただこうかと思います。」

いけないいけない、少々感情的になりすぎたか。何はともあれこれでひと段落…とは行かなかったようだ。

「じゃあ、金次が強襲科であたしのパーティーに入るっていうまで帰らないわ。」

「いえ、もう夜ですしお帰りになられた方が…」

「私には時間がないんだからわざわざ帰るなんてもっての他よ。若し言わないんだったら泊まっていくから。」

どういう神経してんだ此奴。まぁだからと言って此方が首を縦に振る気はさらさらない。その代わり此方も切り札(ジョーカー)を切らせてもらおう。俺は白雪に肘で小突くと彼女も分かってくれたらしい。突然アリアに襲いかかるとそのまま抜刀して振り回し、さらにどこから持ってきたか某人間武器庫のような重機関砲を持って射撃体勢に入った。その殺気溢れる姿にアリアは何やら叫びながら部屋を出て行き、二人だけとなった。

「すまないな、白雪。」

「大丈夫、キンちゃんだったら掃除や洗濯、炊事からお世話まで、全部私がやってあげるから…」

 

 さて、一日目はアリアを巻いた俺だったが、彼女が執念深い借金取のように家まできていたことを忘れていた。彼女なら昇降口前で待つなど、

「キーンジ」

朝飯前のはずだ。

「何ですか? ストーカーならお引き取り願いたいのですが。」

「あんたの武偵活動を見に来たのよ。」

「ほっといてください、別に協力した訳じゃありません。」

「あんたはあたしの奴隷なんだから上の指示には従ってもらうわよ。」

「何だコイツ! ライダー助けて!」

「ん、君達、どうかした?」

「あ、すいません。少し此方の事情でですね。どうかお気になさらず……」

エスニック調の服を来た通行人さんに呼び止められてしまいもう構っていられるかと歩き出す。今回の仕事は猫探し。然も五匹ときた。此れは賞金の額も相応といえよう。そして前方には何故か地主面したアリア。商店街をあちこち行きながら歩く姿は、まるで子供だ。何かマネキンを食い入るように見ているが……あ、幼児体型か。まあ悔やむだけ悔やめばいいさ。結果でかくなった奴もいるんだし。そういえばいつもの連中は皆巨乳だな、理子やジョセフィーヌは兎も角、一月にはつるぺただった出渚についても現在CとDの間とのこと。白雪も隠れだ。

 その後、腹が減ったというので飯をやり、猫を捕まえ、ゲームセンターに行きライオンのぬいぐるみをとってやり、五匹目を見つけたころには既に夕刻だった。何だろうな、本人は必死で猫を捕まえようとしているのだがただ猫と戯れているようにしか見えない。何だか和やかな気分になってきて平生の彼女なんか忘れてしまう。さて、と

「いるんだろ、出てこい。」

其の言葉を聞いて木の陰から少女が出てくる。アリアと同じ幼児体型だが彼女は一年生なんだろう。とするとアリアの得意さがわかりそうだ。体型で縁があったのかは知らないが、確か彼女の戦姉妹の奴だな。然し一体()()()は何をしてたんだ。

「撒けてねーじゃあねーか、彼奴(風魔)の奴。で、お前はアリアのとこの……」

「はい、間宮あかりと言います。」

間宮ねえ、家の関係か。そう考えると此れも因縁かな。

 俺が間宮と聞いて真っ先に考えるのは遠山家の家臣だった奴らだ。確か数年前に襲われて分解したとか聞いてたが、其の遠山の雇い主の戦姉妹となったのはなかなかに面白い出来事だ。

「何故尾けるんだ。」

「だってやっとの事でアリア先輩にお近づきになれたのに、遠山先輩はひっつかれてるじゃないですか。そんなのズルいです。」

おい、切っておいたから其の地雷から足を離せ。一番言われたくなかったことなんだよ!

「そうだな、あんたは神崎さんにひっついて欲しいのかもしれない。だがな、彼女がヒーローなのは飽くまで武偵の間だ。俺は特に武偵になりたいと思った訳でもないし、武偵高もしばらくしたら出て行くつもりだ。」

どうにか納得したみたいだ。まあ何を指摘するんだという話があるが。然し彼女の観察眼は別のところを捉えたらしい。

「金次先輩、何か『隠して』ますね。」

やばい、中学の時のことをすっかり忘れていた。俺はベレッタを構える。何時の間にか風魔もいた。

「おい、お前、何処中だ。」

「……一般出身です。中学三年の二学期に転校しました。」

緊張が音がたつ程に緩んだ感覚があった。どうやら若かりし頃のことは封印されたようだ。さて帰路につこう。アリアは犬と戯れて本来の目的を忘れてるし。そうだ、伝言を……

「まあ、此れからもうまくやっていこうや。あと彼奴(アリア)に連絡宜しく。」

 

 

 そして、数週後俺は思ってもみない事件に当たることになった。いや、十分推理できたことかもしれない。然し此れらの話はもう少し先。一年の奴らのこともちゃんと語るべきだろう?




間宮 あかり(まみやーー)
 主人公である金次の家系、遠山家に仕えていた幕府隠密の一族。樺太と大陸が陸続きでないことを発見した間宮林蔵とも血縁関係にあるが、別に冒険家でもない。元々間宮一族として技を訓練させられていたが、最終的に人殺しを嫌う彼女は殆どを放棄している。然し乍ら昔取った杵柄というか体が覚えているというか、未だにその習慣が抜け切れていない。神崎アリアの戦姉妹である。

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