遠山金次は静かに暮らしたい   作:rockzero21

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名札なんてあるんですね。私の高校時代は寧ろなくて戸惑いましたが。
禁書の方は原典がなく進んでいません。 主にルビと呪文と旧字体とインデックスの口調の所為です。
今後投稿予定の小説
艦これ✖️ジョジョ(同世界観)
艦これ✖️仮面ライダー(同世界観)
東方✖️エグゼイド(同世界観)
リゼロ✖️アマゾンズ
デアラの五河兄の代わりにオリ主
男の娘っぽい主人公と彼に勝るとも劣らないラッキースケベな二形神様が魔法の世界に転生
結構ありますね。あと編集に当たり、類語辞典さまさまでした。
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双剣双銃の独唱曲(前編)
第一弾(1) Meet girl with gunpowder smoke and bombs.


 寮のベッドで目覚めた俺は、寝惚け目でリビングに出窓から眼下の海を一望した。この自分一人には有り余るほどの部屋から見る東京湾は、近頃の公害問題等全く意に介す程で無いくらい澄んでおり朝日を受けて輝いていた。然し其の様な景色とは裏腹に、いや寧ろその所為か、俺の心は曇っていた…と、ドアベルの音が慎ましく鳴り響いた。その心当たりのあり過ぎる程の音に、俺は若干の期待に懐疑も混ざった気持ちでドアの方へ向かった。が、杞憂だった様だ、ドアの前の人物は我が友人、星伽白雪だった。

 俺が彼女を迎え入れると、春休み中の俺の食事が不安だったらしく、何と態々朝御飯を作ってくれた様だった。作って貰っていらないというのは気が引けるし、実際休みの間は殆ど一階のコンビニの弁当で済ませていたので有難く頂くことにした、がその量は重箱サイズ、おまけに彼女のことだから、毒で無い何かが入っていそうで困る。

「そう言えば、」と白雪が口を開いた。「最近武偵殺しが横行しているらしいよ。」

「武偵殺し?奴には捕まったんじゃ無いのか。」

「いや、模倣犯なの。其れも殺すというよりは悪戯っぽい感じなんだって。」

 白雪の言葉を聞きつつ、俺は武偵という言葉を頭の中で反芻した。

 武偵、正式に言えば武装探偵、其れは文字通り凶悪犯罪者に対し合法的に武力を振るえる武装した探偵のことである。日本に於いても近年導入され実際効力を見せている。然し、と俺は思う、決して武偵は正義とは限らない。抑探偵というのは所謂情報やであり相手の善悪を考えない。更に其れがあることで武偵殺しなんかの新しい事件も増え、武装しているが故に武器の流出もある。そして何より兄さんは武偵に殺された。武偵ではなく、"武偵"に。

 まあそんなこと駄弁ってたって如何にか成る訳でも無い。俺が出来るのは其れを参考にし、前に進むことだけだろう。そう再度心に決め、飯も終わったので席を立とうとした。すると、

「キンちゃん、今日は入学式だからちゃんと名札つけないと。」

と、白雪が近寄って来た。流石は生徒会長、バレー部主将その他諸々をこなす優等生である。然し俺は一つ、この清楚な八方美人には似つかわしくない部分を発見した。制服である水兵服の胸元から見える下着なのだが、其れが所謂オトナの下着。水商売の子達も吃驚である。

 然し其れとは別に自身はある種の不快感に襲われていた。否、其れ自体がどうという訳じゃあない。ただこの感覚、血液がどっと出る様な感覚は、其れ自体は悪影響を及ぼす物でなくとも、自身の理性が其れに苦手意識を持っていた。其れを見て白雪も心配した様子になる。

 …良し、今回は如何にか治った様だ。

「ごめんね、キンちゃん。また()()()()()にならなかっただけ良かった…」と白雪が詫びてくるので其れに答える。

  ここで、今になって始めてチャイムが鳴っていたことに気付いた。少なくとも席を立つ前はなかったので、ここ数秒の間に来たのだろう。然し此の乱暴でありながら且つ慎ましやかな音と繰れば該当者は彼奴の筈。斯くして予想通りの人物が扉の先にいた。

「お早う御座います、まさか朝っぱらからいちゃついているとは。」

「お早う。あ、此れ鑑賞代ね。」

などと言いつつ入ってきたのは、ブロンドのロングに白雪と張り合える程の胸、砕けたお嬢様言葉と如何にもお嬢様といった風で、実際令嬢なジョセフィーヌ、そして金銀のメッシュを三箇所で三つ編みにしフリルのカチューシャをつけた名実共にメイドな出渚である。何方も俺の友人で特に出渚なんかは学科が同じこともあってか、白雪とは馬が合うらしい。因みに制服もメイドっぽくしている出渚に対しジョセフィーヌはでかい鎖に明らかに女の子がつける様なものではないアクセサリーが大量についており、如何にも一昔前の不良の様なスタイルである。此の学校が改造制服可だったことに感謝しろ。

「其れで態々乳繰り合っているのを見に来た訳じゃあないだろ。」

「いえ、曲解すれば強ち間違いじゃあありませんのよ。ただ、誘いに来ただけというか…」

「詰まり、友人の顔を拝みに来たらこうなっていたという事。あんたらはまだ用事があるみたいだから、先ぃ行ってるぞ。遅刻すんなよ〜。」

 今行くところだから、と返答し俺も出ようとした。が白雪に呼び止められた。

「キンちゃん、まだ名札つけてないでしょ。」

此奴を撒くのはレベルX(未知数)の至難の技の様だ。俺は素直に名札をつけた。

「あと()()()()も持っていかないと。」

 やはり普通じゃない事を実感させられる。其れに対して不満げに返事をすると、先に準備していた白雪は、二人のあとを追うかのように玄関へ行き、其処で振り返って、

「キンちゃんは嫌かもしれないけど、武偵高に入ったならそうしないと。」

と言い出て行った。此れは詰まり携行せず学校に行ける訳だが、いざ着いてどうなるかは先程学習した。俺は愛用のベレッタM92Fと兄さんの形見であるバタフライナイフを装備した。そして家の家具やセキュリティ等を確認し、我が学校に向かった。

 

 武偵高…()()()()()へと。

 

 

 武偵高、其れは文字通り武偵を育てる学校であり、『高』と言う文字からも分かる通り、日本の教育課程に於ける高等学校に相当する。その実態は実業高校の其れと似ているが、その学科は探偵らしく、調査や推理、更に武装してるだけあり武器の扱いも学習する。然し、以上の事から教諭はその各々に長けた存在となるのは自然の事だろう。…お気づきだろうか。武器の扱いに長けた人物、即ちヤクザや軍人、果ては犯罪者予備軍に至る異常人物が教師なのだから、速攻戦争状態である。武偵高が東京湾の人工島を半ば学園都市化して隔離されるのも理解できる。校則に於いてもなるべく撃たない、詰まり撃っていいという事だ。元々兄さんを追って入った俺だが、今は平和に生きる事が第一の望みだ。例えるなら、そう、植物の様に。

 だが少なくとも、教師勢の手でEFランク校にまで下がっている此の学校から転校するならば、相応の成績と学力を納めなければならない。そうなると此の異常地帯で真面目に生きていく他、其れを叶えるアテはない。

 そう考えつつ、俺は目的のバス停に多少の余裕を持って辿り着いた。然し乍ら、予定より早く辿り着いたバスは已に満員だった。よく見ると友人、武藤もいる。御前は車輌科(ロジ)なんだから自分のに乗れ。まぁ乗れなかったなら仕方ないと、俺は時刻表を見る。どうやら次のバスでは間に合わなそうだ。歩いて行ってもやはり遅刻。となると、自転車しかない。幸い自転車なら余裕で辿り着ける。

 今思えば、此のバスに乗れなかった事を一生悔やむだろう。何故なら、此れがあの、独唱曲との出会いだったから。そんなことはいざ知らず俺は自転車に跨った。

 

 以上が数分前の俺である。現在俺は得体の知れない機械音声(VOCALOID)に追い回されていた。曰く此の自転車に爆弾を仕掛けた、スピードを落とす、通報するなどで爆破する、との事。乗る前に見慣れない筐体を見つけたが恐らくそれだ。兎も角周囲への影響はできるだけ避けなければなるまい。少なくとも此方は軽症じゃ済まされないだろう。然し、俺の頭にある方が浮かんだ。

 突然爆弾が爆発した。前に提示された条件の何れも満たしていないのにである。其れに爆発も搭載された薬物の量に対して、精々擦り瑕程度のものだ。そう此れが俺の()だった。

 然し一難去ってまた一難というべくか、セグウェイ二体が追っかけてきた。秒間十発もパラベラム弾をぶっ放すUZIまで付いている。逃げ切るか、迎え撃つか、そう考えているうちにビルの上の少女が目に入った。その少女がパラグライダーを背負い…こっちに向かっているだとォォッ

「其処の君!ここは危ない‼︎逃げてください‼︎」

と俺は警告したが、

「其処のバカ!さっさと頭を下げなさいよ!」

 何たる屈辱だろうか!一応全国平均程度の学力なら有する俺が、餓鬼何ぞにバカ呼ばわりとは。若し彼女が其れを言うに相応しい存在ならば彼女に敬服する前にあさましく思うだろう。そう感じる間に彼女は2丁拳銃をセグウェイ一体にぶっ放した。パラグライダーという不安定な場から過たず撃つ姿は、正に圧巻の一言に尽きただろう。そのまま彼女は白いスニーカーで俺を踏みつけ、

「行くわよ!」

 俺にどうしろというのだ。少なくとも此奴(セグウェイ)を抑えていれば、助かるのだ。謝礼については後日出すし、彼女がやろうとする事よりもずっと楽だろう。

「こっちはどうにもなってないから、あのセグウェイを破壊、いや止めるだけでいい!」

「黙って従いなさい!武偵憲章1条『仲間を信じ、仲間を助けよ。』!」

その仲間を信じたからだろうか。パラグライダーは桜の木に引っかかり、俺たちはそのまま縺れて転んだ。擦過傷に籠変形で助かったのは運が良かったからだろうか。ただ一つ言えるのは、此の原因が十割少女の不注意だったということだ。

 

 軽い脳震盪を起こしていたらしい俺は数秒の気絶の後、意識を戻した。そして丁度覆いかぶさる様に先程の少女が倒れているのが見えた。此の様な時に言い出すのは不謹慎に思われるかもしれないが、とても可愛かった。其の途端自身の顔が何かに挟まれているのに気づいた。その『何か』は紛れもない、少女の肌だった。

 込み上げる性的興奮を抑えつ此の状態を改善しようと試みるものの上手くいかない。其処で少女のブラが見えた。タグ曰く『65A→B』。寄せて胸をでかく見せるやつか。然し可成り小さい。フルフラットだった四ヶ月前の出渚よりマシか。まぁ胸が何事にも関わってくるかと言えばそうでもないだろう。

 然う斯うしているとついに少女まで目覚めてしまった。

「へ、へへへ、ヘンタイ〜〜‼︎」

 その叫びたい気持ちが分からないでもない。然しだからどうしろというのだ。抑も俺だって此の状況は嫌だ。でなければ忌々しいあの『モード』になってしまう。

「蟬なんかどこにもいませんが。」

「あああ、アンタよアンタ‼︎ほんっとサイテー!」

と言って出ようともがく。然し、その結果は実証済みだ。お陰でもっと露出が…ヤバい。体の芯に熱くなった血液が集まるような此の感覚。白雪の時なら理解してくれていたから助かったが、今はこういうのを避けれない。寧ろ状況は悪化している。そう思っている間にも、少女ーー名札に依れば『神崎・H・アリア』だったかーーはもがきつつ俺に幾度となくハンマーパンチをしてきた。力が入らなかったのが幸いだろう。

「このチカン!恩知らず!人でなし!」

「此れは不可抗力であり、少なくとも私の意志でそうなった訳じゃあない。其れに日本の社会が御恩と奉公により成り立つことも重々承知している。何より私は二つのヒトゲノムを持つホモサピエンスだ。」

「知らないわよそんなこ…うっ!まだいたの!」

『いた』とは何か尋ねつつ前方を向くと、成る程、先のセグウェイが七体もいた。するとアリアは行成俺にあるようで無い胸を押し付けてきた。此れの所為で痴漢扱いされたらとんだとばっちりだ。そう思う間に彼女は射撃をしていた。どうやら夢中で胸部の間隔には気づいてないらしい。お陰でで俺はーーなってしまった。あの忌々しいモードに。

 サヴァン症候群をご存知だろうか。脳の障害により一部機能が低下する代わりに記憶力が優れる病。原理は異なれど俺のモードも同じようなものだ。ヒステリアモード、正式にはヒステリア(Hysteria)サヴァン(Savant)シンドローム(Syndrome )。この症状を持つ者は、性的興奮でβエンドルフィンが常人の約三十倍の神経伝達物質を媒介、能力が格段に向上するのだ。

 然し、俺がこの能力を嫌うのはその本質にある。抑もHSSとは遺伝形質であり、本能と直結している。何が言いたいかと言えば、ヒステリアモードは『モテる』為のもので、結果言動もそういうものになってしまうという事だ。其れに加え、女に優しくなり傷つけられないという欠点も存在する。中学時代はよく其れで周囲に揶揄されていた。其れからこの能力が嫌いになり、使わなくなった。高校で転校した事もあり、知るのは白雪やジョセフィーヌ等、極一部に過ぎない。

 然しなってしまった以上このままいくしかない。俺は神崎をお姫様抱っこして立ち上がった。

「ちょちょちょっと!何するのよアンタ!」

「いや、アリアさんのような可愛い子に重労働をさせるのは気が進まないのでね。謝礼金であれば払おう。奴らを、始末してからね。」

 そのような気障ったらしい台詞を吐くや否や、俺は七発の弾丸を放った。其れは過たず合計七体のセグウェイ全てに当たり、UZIを吹っ飛ばした。そして俺は仕事が終わったとばかりに俺は自転車に戻ろうとするが、セグウェイは意地悪く追いかけてきた。然しその後ろから髑髏のついた小型戦車が近づいている事に気付く者は誰もいない。

 此れがヒステリアモードとはまた違う俺の能力、スタンド。漢字では幽波紋(スタンド)と書き、生命力を具現化した存在である。其れが普通の超能力と違うのは、(ヴィジョン)があるという事、即ち物を浮かせたり急に壊れたりではなく、()()が持ち上げたり殴って破壊しているという事だ。此の像はスタンド使いにしか見えない為知る者は更に少ないだろう。

 俺はその能力ーー『キラークイーン』の『シアーハートアタック』にセグウェイを追撃するよう指示を出した。そしてセグウェイは爆発。はなから見れば勝手に爆発したとしか見えないだろう。

 俺は神崎を座らせ自転車を立てた。そして交通手段を持たない彼女に気付き、話しかけた。

「このままじゃあ遅刻する。連絡しておこう。中等部かい。」

「何よ、胸見といてそのまま立ち去るつもり⁉︎責任とんなさいよ此の強猥犯!それにあたしは中学生じゃない‼︎」

「神崎さんが暴れたから見えたのではないのでしょうか。ならば自分の責任は自分で持ってこそ一人前のレディと言えるでしょう。然し小学生で此の度胸とは、見上げたものだ。」

すると神崎は頭を下げて太腿を叩き、

「こんなヤツ…助けるんじゃ、なかった!」

と言うが否や二丁拳銃を構え

 

() () () () () 2() () !」

 

放ってきた。

 然し此方はヒステリアモード。一発撃って全て落としてやった。尚も撃とうとしてくるが、

ガキンガキンッ!

弾切れのようだ。然し更に徒手格闘で突っかかってくる。

「逃げられないわよ!あたしは逃走する犯人を逃したことは一度ウァッ!」

怒りの余り足元の弾丸を踏んで転けたようだ。

「一度も…何だって?それに俺は実の()ない人間だ。無実の人間なんかしょっぴいたら其方の汚点となるのでは。」

そして俺は、未だ刀を二本出して応戦体勢からまた転んだ彼女を尻目に、武偵高に向けて自転車を走らせた。

 兎も角時間迄に辿り着いた。その後白雪から女難の相が出ているとメールに来ていた。もう少し早く伝えてはくれなかっただろうか。

 




星伽白雪/ほとぎ しらゆき
何故か苗字が出てこない人物。原作と同じだが、HSSやスタンドについて知っている。ただしスタンドは見れない。また若干ヤンデレ気質が抑え気味だが、外的要因によるものの為本質的には変わらない。超能力捜査研究会、通称SSR所属。

東方・ジョセフィーヌ・ジョースター/ひがしかたーー
ジョジョのジョセフと仗助をイメージしたオリキャラ。祖父が不動産王で、所謂お嬢様である。その割に大衆文化に詳しかったりなど庶民の匂いがする。また人種差別が激しい。彼女の意見は私の意見ではないので御理解頂きたい。
髪は金、目は緑がかった黒で、前髪を立たせている。私服ではメッシュキャップを愛用し表生地にだけ穴の空いたシャツ(仗助ASBスペシャルコスチュームを参照)をよく着る。肌は白だが乳頭は茶色(本人談)。
先祖に貴族の末裔、北米大陸横断レース準優勝者がいる。
車輌科所属だが、狙撃科や装備科にも入り浸っている。

十六夜出渚/いざよい いづな
DIOをイメージしたオリキャラ。ただし外道かというとそうでもない。親にマフィアのボスを持っているが、可成り温厚。またメイドの親も持つ(どちらも実親)。HSSについて知っている。料理が上手いが何を作っても和食になる。但しカステラなんかは例外で、カレーは合わせ出汁のものとなる。また、アキバ系女子。あとジョセフィーヌと同部屋の幼なじみ。
髪は金銀メッシュで前方左右と後ろの三箇所で三つ編みにしている。目は瞳孔側が金で、白目側が紺と、虹彩の内側から外にかけグラデーションが出来ている。私服は基本、メイド服か痛T。また寝間着は浴衣(ジョセフィーヌも同様)。
SSR所属で、同じ科の白雪とは馬が合う。

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