遠山金次は静かに暮らしたい   作:rockzero21

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色んなmadを見ると吉良が味方のものがあったりします。ただ、遠山とであれば素数の人が良かったかも。


始動
第0弾『装塡』


 此の世界というものはとてもうまくできている。此の世界は幾らかの数式でできているという話はよくあるが、其れは物理法則がうまくできている以上に世界がそういう数式の元にあるということもあるだろう。

 然し何事にも例外というものがある。異常現象、魔法、超能力etc... ただし普通の人なら見間違いで済ませてしまうかもしれない。

 とまあ考えてみたが俺が何故こんな話をしているかといえば、その『例外』とやらに遭遇してしまったからである。しかも()()は何時経とうとずっと動かず、自身が見間違えによる産物ではないことをしっかり伝えていた。そして知らないふりをして逃げようかとも思ったが、逃げようとすれば声をかけられ逃げればつきまとわれ、どうにもコンタクトをとるしか助かる方法はないようだ、と、とりあえず声をかけてみる。

「あの…何方でしょうか。」

「そうですね玄神とでも言いましょうか。」

と、彼女はそういった。然し姿の其れはどう見ても女子高生以外の他ならない。

「あくまで姿は仮と言いますか…まあそんなものです。触れればおそらく違いに気付くでしょうが。」

こいつ、心を読んだのか。

「いえ、大体そんな感じですが読んだというよりは思ったといったところですね。」

「…あ、あぁ…」

意味はわからないがとりあえず納得し、その体に触れてみた。なるほど、彼女に着いた手は何の反動もなく彼女の体を通過していった。

「霊とも言えるかもしれませんね。どうです、信じる気になりましたか。」

「あぁ。だが何故俺の前に現れた。」

「其れには先ず私の本体について話しましょう。私は所謂石、もっと言えば隕石です。私は更新世に地球に落ちました。いえ、更新世の隕石なら幾らでもあるでしょう。私が特別なのは()()を持つこと、そして触れた者に()()を与えることです。」

「能力…だって…?」

「はい、其れについては後々話しましょう。其れで何故貴方の前に現れたか。其れは単純、貴方が私の『所有者』だからです。貴方は自覚していないかもしれませんが、貴方の中には私の(コア)が入っています。其れによって件の如くなった訳です。」

「…突拍子もなさすぎてよくわかんねえな。ともかく俺が御前を自由にできる、といった感じか。」

「其れには少し訂正が必要ですね。あくまで私の主導権は今のように私が握っています。其れを所有者である貴方に渡すという形です。」

「それじゃあ、若し俺が其の力を自分の意思とは違う方向に使ったらどうするつもりだ。」

「どうもこうもありません。そもそも私が資格者に選ぶのは正義の道を行く『黄金の精神』を持つ人だけ。仮にそうでなくとも私はその人に従う…其れが私の()()ですから。」

成る程、自分が誰かについていく…リュークと似た感じがする。そう思いつつ、もう一つの疑問を投げかけてみた。

「其れで…『能力』って何なんだ。シャーマンとかと何か違うのか。」

「其れを話すのであれば、少々昔話から始めないといけません。私が地球に落ちた、旧石器時代の頃の話です。私が落ちた翌朝原住民が私に触れました。たったそれだけ、触れただけで大半の人が死んでしまったんです。そしてその代わり、生き残った人は特殊な能力を身につけた、其の能力は『スタンド』、幽霊の『幽』に『波紋』と書いて『幽波紋(スタンド)』と呼ばれています。尤も此の呼称ができたのは、平成初期の頃ですが。」

「平安京ができたのが794年だから…んっ、平()。だったら本の数十年前のことじゃないか。」

「寧ろ漢字がついているのが異常だと思いますが。まあ其れはいいとして、此の能力は一つ特徴があります。其れは…」

 

「其れが(ヴィジョン)を持つということです。」

 

「ヴィジョン…だって…?」

「はい。其の超能力には姿()()()()のです。例えば木箱か何かを空中に浮かばせたとしましょう。普通の人は能力者が浮力を加えた…といった解釈をするでしょう。然し仮に『見えない誰かが木箱を持ち上げた』のだとしたら。此れはそういう能力です。少なくとも形は人や生物、無機物に環境までいろいろありますが。また、スタンドには……といったルールがあります。」

取り敢えず記憶に留めておいた。極当たり前のことだったし。然し此の内容からすると…

「じゃあ俺もスタンドを持ってるってことか。」

「話が早くて助かります。という訳で其のスタンドを見せては頂けませんか。少し闘志を高めてみてください。」

言われ、俺は気合を入れた。すると…

「俺の腕から…別の腕が…!」

俺の『スタンド』は俺から幽体離脱でもするかのように出てき、立ち上がった。其の姿は猫のようであり、手には髑髏を模したグローブと人差し指のスイッチが其の存在を主張するかのようにあった。

「此のスタンドは…キラークイーンか。また随分と物騒なのを…」

「キラークイーン…何かすっごい怖いんだけど…」

「さっきも説明したはず、其れは『貴方』よ。貴方が自虐衝動に陥らない限り危害は加えてこないわ。其れからキラークイーンの能力の説明をするわね。一言に言えば『爆破を操る程度の能力』かしら。」

そう言われて記憶を探る。すると見事にキラークイーンに対する知識があった。自分のことと同じ、いや其れ以上に。

「あら、見慣れない能力があるわね。四つ目の爆弾…」

「人を守る爆弾か。一つだけ実用的だな。」

「へぇ、殺し屋が生かすとは、一見矛盾であるようで筋が通っているわね。」

そう言った後、玄神は思い出したように俺に向き直った。

「其れはそうと、此の私…というより此のスタンドに名をつけて下さい。」

「スタンド?一人に一つずつじゃあないのか。」

「スタンドにも色んな種類があります。其の中の一つに憑依型スタンドというものがあり、独立したスタンドがある人物のスタンドとなり、操る、若しくは脅すといったことをします。若し此れが元々スタンドを持つ者に取り付いた場合、二つのスタンドが同時に扱えることになります。また()()()()()()()()場合其の両方にスタンドが芽生え、結果一人で二人分扱えます。此れはどちらかと言えば後者の方で、私の力と貴方の力が混ざって生まれたものでしょう。能力といえば、『武器を召喚する程度の能力』で、さらに私の力として『物事を客観的に見れる程度の能力』と『魂を食らう程度の能力』…あ、此れを使うと先ず自分が食われます。またHSS(ヒステリアモード)が私とキラークイーンにも反映される様ですね。」

「成る程。なら…よし、()()()()ッ!お前は『狂乱の正義(ヒステリック・ジャスティス)』‼︎」

「私の力の強さ、飽くまで客観的なものですが、や黄金の精神、厨二心を擽られる感じが何とも言えませんね。其れでは、何ぞと宜しくお願い致します。」

 

 こうして俺、遠山金次は力を手に入れた。然し其れが嬉しいとは、少なくとも其の時は思わなかった。なぜなら、此の平穏を静かに暮らしたかったから。

 




遠山金次(とおやま きんじ、Toyama Kinji)
原作設定の通りだが、サラリーマンスキルが高く、親しくない間柄は吉良の様になる。
幽波紋
キラークイーン
第一の爆弾:射程圏内なら幾らでも作れる様に。他は原作通り
シアーハートアタック:原作通り
バイツァダスト:原作通り
第四の爆弾他詳しい情報:次話

ヒステリックジャスティス:次話に

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