色々規格外な提督と元ブラック鎮守府   作:薪音

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艦娘達の心を開く編その2
襲撃


 深海棲艦大規模侵攻から1週間が経過し、季節はもう少しで夏本番と言う頃。

 

時雨「ッ!」

夕立「当たれっぽい!」

紅音「まぁまぁ落ち着きなさんなお二方。粗茶とお団子位ならお出しできますよ?」

 

 ここは佐世保鎮守府のとある廊下。そこでは時雨と夕立がナイフで紅音に襲いかかっている光景が広がっている。

 

夕立「馬鹿にするなっぽい!」

紅音「私荒事は嫌いなんですよね」

時雨「嘘を!」

紅音「君達の中での俺のイメージどうなってるん?」

夕立「悪魔」

時雨「厄災」

紅音「イメージ最悪じゃん」

 

 紅音は2人の攻撃を踊るように回避している。

 

紅音「てかね2人とも。俺一応提督よ? 仮に俺殺しても2人とも解体されるよ?」

時雨「構わないさ。それで皆が開放されるならね」

夕立「夕立も同じっぽい!」

紅音「......自己犠牲は何も生まないぞ」

時雨「君に何が分かる?!」

紅音「2人の事は良く知ってるさ」

夕立「夕立達の事が分かるのは夕立達だけっぽい!」

紅音「そうかも......な......!」ピクッ

 

 紅音の視線が時雨と夕立、2人の少し後ろにある曲がり角へ向けられる。

 

紅音「2人共。落ち着こう。そうしよう。それがいい」

時雨「何を今更ッ!」

紅音「まだ、まだ間に合......わないかな」

 

 

 

 

 視点は変わって蒼音。

 

蒼音(お兄何処だろう......)

 

 少し俯きながら角を曲がろうとする。その時に顔を上げ、前を向く、そして視界に映るのものは。

 

時雨「ッ!」ナイフ振り

夕立「ぽい!」ナイフ振り

紅音「oh」

 

 紅音が襲われている光景が目に映る。

 

 

 

 

 視点は戻って紅音。

 

紅音(緊急事態発生。鎮守府崩壊の可能性大......とか思ってる場合じゃねーよ。マジヤベーよ)

 

 蒼音の手には青色の粒子の粒の様な物が集まり、形を成し出来た反りのない刀。Black Bladeが握られている。

 

紅音(ああなったら聞く耳持たないからなぁ......どうしたものか)

 

 その時

 

蒼音「......」シュッ

 

一瞬。ほんの僅かにブレたかと思うと紅音の視界から消える。

 

紅音「ええい!」

「ガキン!」

時雨夕立「!?」

 

 紅音は視界の端で捉えた、蒼音の姿から刀の軌道を予想し、そこにハイキックを放つ事で時雨、夕立への攻撃を阻止するも、履いていた左足のブーツの先端がアカシウム板を残して切られる。

 

紅音「落ち着け蒼!」

蒼音「落ち着いてる......!」

紅音「ッ!」

夕立時雨「!?!!?」

紅音「2人とも退いてろ!」

 

 決して軽くはない2連撃の蹴りが時雨と夕立の腹部に放たれ、後方に吹き飛ばされる。

 

紅音「まぁ落ち着け蒼。一度頭に血が上ると冷静さを失う......お前の悪い所だぞ」

蒼音「......」

 

 夕立時雨と蒼音の間に立つ紅音。

 

蒼音「邪魔......するなら......力ずくで......どける......大丈夫......少し......痛いだけ」

紅音「カモンベイベー、久々に稽古つけてやるよ」

 

 一瞬で紅音との間合いを詰め、突きを放つ。しかしその突きはそのあまりにも速い速度のせいで、空気を突き破りながら紅音に迫る。

 

「ドゴォォォォォォン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅音「と言う事が昨日あってだな」

明石「昨日の爆音はそれですか」

 

 紅音は工廠にあるアイテム屋にて明石とカウンター越しに話をしている。

 

紅音「いやー流石にやばかったよ。蒼強くなっててさあ」

明石「それで今日は何しに来たんですか? まさか妹自慢に来ただけじゃないですよね?」

紅音「いやね? 時雨と夕立の事なんだがね?」

明石「例の2人ですか。その2人がどうしたんですか?」

紅音「その2人中々の腕前なのよ」

明石「そうなんですか?」

紅音「俺の目に狂いがなければ」

明石「それで?」

紅音「長門達と一緒に訓練させようかなってね」

明石「あの2人が了承するとは思えませんが......」

紅音「フッこの俺が何の策も考えていないとでも?」

明石「はい」

紅音「泣くぞ?」

明石「泣かないでくださいよ。それで策ってなんですか?」

紅音「決闘」

明石「ん? 聞き間違いですかね......今決闘て聞こえたんですけど」

紅音「決闘と言ったのだよ明石君」

明石「それ多分策って言いませんよ」

紅音「でもさ? ほら? 良くあるじゃん? 決闘して絆を深める的なのさ」

明石「それは現実だと極々稀にしか起こらない現象ですよ」

紅音「極々稀にはあるんだな?」

明石「えっ」

紅音「俺はその極々稀に賭ける」

明石「中々のギャンブラーですね」

紅音「明石よ」

明石「はい?」

紅音「コロシアムかなんか作ってけろ」

明石「ェェ何でですか? 機械関連ならまだしもコロシアムはちょっと......」

紅音「明石よ」

明石「なんですか?」お茶飲み

紅音「コロシアム作ってくれたらロボットの事は無かった事にしてやろう」

明石「ブフッ!」お茶吹き出し

紅音「それでどうよ?」吹き出されたお茶回避

明石「な、なんで知ってるんですか!?」

紅音「俺に隠し事なんぞ百年早いわ......で、コロシアム作るの作らないの? どっちなんだい」

明石「つ、作ります......要望は何かありますか?」

紅音「俺と蒼が暴れても壊れない位頑丈なコロシアムを作って欲しいな」

明石「そんな頑丈な!?」

紅音「あなたに作れますかね?」

明石「い、いいですとも! 明石の名にかけてどんな事しても作ってみます! きっと作りますとも!」

紅音「それを聞きたかった」

明石「ちなみに期限は......」

紅音「3日後」

明石「労働基準法って知ってます?」

紅音「労働基準法? そんなの合ってないようなもんだろ」

明石「ブラック鎮守府反対」

紅音「一体いつから――――うちがブラックじゃないと錯覚していた?」

明石「なん......だと,,,,,,」

紅音「て事で頑張!」

 

 そう言うと紅音は颯爽とアイテム屋を後にした。

 

明石「......結局なんで隠してたのが分かったんのか聞きそびれてしまった」

明石「でも、作ると決まったなら全力で作りますよ!」

 

 ガッツポーズしながら明石はアイテム屋の奥へと消えてく。

 

 

 

 

 紅音は駆逐艦寮の廊下を歩っている。

 

紅音「ここか」

扉「時雨と夕立の部屋やで」

紅音「たのもー」

「コンコンコンコン」

紅音「おーい」

「......」

紅音「へーい」

「......」

紅音「居留守はよろしくないなぁ」

「......」

紅音「そう言えばさ俺って提督じゃん? 実はもしもの時のためにマスターキー持ってるんだよね」ゴソゴソ

「ガチャ」

時雨「何の用かな?」

紅音「やあ時雨君。夕立も居るかね?」

時雨「......夕立来て」

夕立「ぽい?」

時雨「それで要件は何かな?」

紅音「3日後暇?」

時雨「用事は無いね......それがどうしたの?」

紅音「決闘しようぜ」

時雨夕立「は?」

時雨「け、決闘?」

紅音「そう決闘」

時雨「......意図は?」

紅音「俺がやりたいから。俺を殺そうとするお前らにも悪くない話だろう?」

時雨「......」

夕立「いいっぽい」

時雨「夕立!?」

夕立「提督さんは決闘で殺されても文句は無いっぽい?」

紅音「無い」

夕立「それなら受けるっぽい」

時雨「ちょっ夕立!」

夕立「時雨は受けないっぽい?」

時雨「......」

夕立「時雨が受けなくても夕立は受けるっぽい。これで提督さんを殺せれば皆開放されるっぽい。それに」チラッ

紅音「?」

夕立「この提督さんとは一度全力で戦ってみたかったっぽい」

紅音「面白そうだ」ニッ

時雨「全く仕方ないね......それは僕も参加していいのかな?」

紅音「勿論だ。元々2対2でやるつもりだったからな」

時雨「それじゃあ、僕も参加するとするよ」

紅音「了解だ。ルールは後日説明で構わないか?」

時雨「いいよ」

夕立「構わないっぽい」

紅音「それじゃあまた後日」

夕立「ぽい」

「バタン」

 

 紅音は扉が閉まるをの見届けると、踵を返し、廊下を寮の玄関の方へと歩き出す。

 

紅音「どれ」スマホ取り出し

紅音「......あ、もしもし?」

?『紅音から電話なんて珍しいわね!』

紅音「結構な頻度で電話してる気がするが......まぁいいが。それで本題なんだが」

?『なにかしら?』

紅音「少し手伝ってもらい事があるんだが、今何処に居るよ?」

?『今? 今は中央アフリカに居るわ』

紅音「中央アフリカ? そんな所に行く様な仕事あったっけ?」

?『あったわよ! 深海棲艦を崇めてる武装勢力の殲滅の依頼よ。忘れたの?』

紅音「あぁあったなそんなの。じゃあその仕事終わってからでいいんだが」

?『?』

紅音「俺の武器を持って佐世保鎮守府に来てくれ。手伝って欲しい事があるんだ」

?『分かったわ。この程度の勢力なら2日で片付くから待ってて』

紅音「ああ。了解した。それじゃご武運を」

?『うん。それじゃ』電話切り

紅音「2日で終わるなら、こっちに着くのは何日後だ......?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ?

 

 

 

 

 ここは中央アフリカのとある市街地、その主要道路を走行するは1台のHMMWVことM998四輪駆動軽汎用車。その車内にて。

 

?「誰からだったのです?」

 

 HMMWVの座席数は4。その座席全てに黒色の戦闘服にスカルバラクラを着用した人物が腰掛けており、肩のワッペンには牙をむき出しにした狼の横顔が描けられている。

 その中で声を発した運転をしている人物は、先程まで電話をしていた助手席の人物へ喋りかける。

 

?「紅音からだったわ」

?「なんて言ってたのです?」

?「仕事が終わったら佐鎮に武器を持って来いって言ってたわ」

?「佐世保行くの? 訓練の時間減っちゃうなぁ」

 

 そう言うのは右後部座席で2挺の拳銃を指で回している人物だ。

 

?「安心して良いと思うわ。紅音が私達を呼ぶ位だから、それ相当の事のはずよ」

?「まぁ、それなら良いんだけどね」

?「......」

?「相変わらず〈ジャック〉は無口だね〜!」

?「......」ギロッ

?「怒るなって!」

?「怒ってない」

 

 その言うのは1人だけ戦闘服の上に黒色のロングコートの様なものを着ている左後部座席に腰掛けている人物だ。

 

?「お話もいいですが、そろそろお仕事の場所なのですよ」

?「依頼内容の確認をするわよ。依頼は〈深海棲艦を崇めている武装勢力の殲滅〉よ。おそらく深海棲艦が関わっている可能性があるわ。気を引き締めなさい」

?「ま、頑張ればいいって事でしょ?」

?「そうなのですが少し違うと思うのです......」

?「いつも、通り、やれば、いい......」

?「ジャックの言う通りよ! いつも通りやればいいのよ!」

?(少しは集中してもらいたいのです......)

 

 数時間後。この一帯は火が包み、悲鳴、銃声が鳴り響く『地獄』になったと言う。




 会話が多いと楽で良いですね。

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