色々規格外な提督と元ブラック鎮守府   作:薪音

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紅い流星

戦水艦装「ガアァァァァァ!」

紅音「遅い!」

 

 後ろに飛び退き回避をこころみる......が

 

紅音「!?」

潜水棲姫「......」足つかみ

紅音「しまっ」

「ドオォォォォォォン!」

紅音「ッゥ!?」

 

足を掴まれた事により回避が出来ず艦装の拳が次々と紅音を襲う。

 

紅音「こざかしいぞ!」

 

 噴出孔を使い潜水棲姫を引きずりながら艦装へタックルし、そのまま上空へ急上昇する。

 

潜水棲姫「!!?」

 

 雲を突き抜けさらに上へ上へ上がっていく。そして地球が球体である事が確認できる高さまで来る。成層圏と言われる所だ。

 

紅音「時速80kmで水にぶつかると水はコンクリートの硬さに変わるらしいぞ?」

 

 紅音は重力に従う様に下へ落ち始める。

 

紅音「じゃあマッハ30でぶつかったらどうなるんだろうな!」

 

 全ての噴射孔を使いあっという間にマッハ30に達するが、落下によりさらに加速していく。

 

潜水棲姫「熱イ......熱イ!? 燃エル様二熱イ!!」

紅音「燃える様じゃねぇ! すぐに燃えるぞ!」

 

 その言葉が終わると2人を炎が覆う。

 

潜水棲姫「アアアアアアアアアアア!?」

紅音「もう水浴びれぞ! 激痛を伴うがな!」

 

 程なくして2人は爆音と共に海面と激突する。

 

紅音「くぅ......流石に効くぜ......」

 

 紅音はすぐに海上へ出てくるが、潜水棲姫は2度と浮上してくる事はなかった。しかし紅音も全くの無傷と言うわけでは無いのか、少しふらついている様に見える。

 

紅音「これは少し......厳しいかな?」

戦艦水鬼「......」

南方棲鬼「......」

空母棲鬼「......」

重巡棲姫「......」

装甲空母鬼「......」

 

 顔を上げた紅音が見たものはこちらを睨みつける4人の鬼級と1人の姫級。そしてそれを取り囲む様に無数に存在するeliteとflagshipクラスのイロハ級。まさしく「絶望」が目の前に広がっている。

 

紅音「だがな。こういう窮地に陥るのは初めてじゃないんでね!」

 

 絶望と対峙する紅音。

 

 

 

 

 その頃工廠の地下は。

 

妖精A「発進、準備」

妖精F「発進準備」

妖精G「第一ロックボルト外せ!」

妖精F「回路確認、ブリッジ移動開始」

妖精G「第二ロックボルト外せ!」

妖精F「第一拘束具、除去」

妖精H「同じく、第二拘束具除去」

妖精F「一番から十五番までの、安全装置を解除」

妖精I「解除確認、現在KT-J2cの状況はフリー」

妖精G「外部電源、充電完了」

妖精J「外部電源接続、異状なし」

妖精D「了解、KT-J2c改めケニアントロプス、射出口へ 進路クリア、オールグリーン」

妖精J「発進準備完了」

明石「いつでも行けます」

妖精A「了解しました。ケニアントロプス発進!」

 

 鎮守府のグラウンド。

 

妖精達「危ないので近づかないでくださ〜い」

「ザワザワ」

 

 妖精達が艦娘が近づかない様に働いている。

 そして

 

「ビービービー!」

 

と言う音と共にグラウンドに巨大な正四角形の穴が現れる。

 

「ガシャン!」

「ゴオォォォォォォォ!」

「ガァン!」

艦娘達「!?」

 

 ケニアントロプスがとうとう姿を現す。

 

妖精A「最終安全装置解除、ケニアントロプス、リフトオフ!」

「ガン!」

「ズゥン......!」

 

 大地に降りたケニアントロプスにより地面が揺れる。

 

明石「こちら明石。これより佐世保全域の防衛にあたります!」

 

 ケニアントロプスの細長いモノアイが赤く光る。

 

 

 

 

 一方窮地に陥った紅音。

 

紅音「クッ!」

 

 艦載機による攻撃とそれを回避したあと的確に狙ってくるイロハ級に苦戦をしいられていた。

 

紅音(スキルを使うか? しかし攻撃系のスキルの全体攻撃は極端すぎて川内達も確実に巻き込んでしまう......)

紅音(キャラの能力は同じだ。少数の人数と戦う能力と集団を相手にする能力の差が極端すぎる)

紅音(噴射孔での突撃は圧倒的な格下しか殺せない。鬼や姫に突撃しても吹き飛ぶだけで、たいしたダメージも入らないだろう......)

紅音(てか、ここに主戦力全員集合してるんじゃないか?)

紅音「ッ!」

 

 艦載機の機銃攻撃を避けていく。そして避けた先にイロハ級による雷撃と砲撃が放たれる。

 

「ドォォン」

紅音「ナァッ!?」

 

 紅音の頭に砲弾が直撃し、一瞬動きが止まる。それを見逃す深海棲艦では無い。今まで高みの見物をしていた鬼や姫も次々と攻撃を放つ。

 

紅音「ガァ......」ガクッ

 

 紅音が膝から崩れ落ちるが不思議と沈まない。

 そして姫と鬼、イロハ級が次々と止めを刺すために攻撃を放つ。砲弾と艦載機が空を埋め尽くし、海面を隙間なく魚雷が紅音に迫る。

 

紅音「ッゥ......」

 

 紅音は何とか前のめりながら立ち上がる。

 

紅音「ガハッ」吐血

 

 兜の外に吐血した血が出る。

 

「ドオォォォォォォォン!!」

 

 紅音が居たところに先ほどの何倍もある水柱が立つ。

 

紅音「......」シュウゥゥゥゥゥ

 

 紅音が前に倒れ様とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅音「......油断したな」

 

 唸るような声でそう言った紅音は倒れる寸前に右足を前に出し、

 

紅音「噴出孔最大出力!」

 

深海棲艦の一瞬の隙をついた紅音はイロハ級を無視し1番手前に居た重巡棲姫の顔を鷲掴みにして上空に飛ぶ。

 

重巡棲姫「......!」ジタバタ

紅音「噴出孔」

 

 噴出孔が手のひらに現れる。

 

紅音「最大出力」

 

 衝撃と共に重巡棲姫の頭部が消失する。

 紅音に攻撃を仕掛けようとする深海棲艦。

 

紅音「さっきの攻撃のおかげで肩こりがほぐれたぜ」

 

 紅音に襲いかかる無数の砲弾......だが

 

紅音「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

全ての砲弾を拳で粉砕する。

 

紅音「ロシアのとある空挺軍にはこういう言葉がある。Побеждает сильнейший」

深海棲艦「?」

紅音「意味は」

 

 紅音の姿が消える。

 

紅音「最強の者が勝つ。だ」

装甲空母鬼「!?」

 

 装甲空母鬼は紅音に反撃をする暇もなく、背後から心臓を握りつぶされる。

 

紅音「深海棲艦や艦娘の心臓は人間の心臓と同じ役割をしているのは知っている。まぁ、深海棲艦と艦娘の場合は燃料だがな」

戦水艦装「ゴアァァァァァ!」

紅音「遅せぇよ」

戦艦水鬼「!?」

 

 紅音は戦艦水鬼の艦装の腕の上に乗る。

 

紅音「だが最後に勝敗を分かつのは」

戦水艦装「ゴガアァァァァァ!」

 

 艦装が紅音を腕から振り落とす。

 

紅音「場数の差だぁ!」

「ダァン!」

戦水艦装「ゴガッ!?」

 

 艦装の腹部を紅音の拳が貫き、腹部に巨大な穴が出来る。

 それを見たイロハ級が攻撃をしかようとするが。

 

紅音「雑魚は引っ込んでろォ!!!」

イロハ級「!?」ビクッ

紅音「さぁ、残るは貴様ら2人だけだ。どこからでも来い」

空母棲姫「ッ!」

 

 発艦させようと空母棲姫は艦装の口を開ける。

 

紅音「敵の目の前で弱点を晒すか!」

 

 口を開けた瞬間、紅音は口の中に入り、

 

紅音「噴射孔!」

 

手にひらの噴射孔を口の中で次々と放っていく。

 

空母棲姫「グゥゥ......!」

「ガチン!」

 

 口を閉める......が

 

紅音「この程度じゃ俺を閉じ込める事は出来んぞ」

 

歯を粉砕し、舌の様な物を引き抜いて出てくる。

 

空母棲姫「アァ......アア」口パクパク

紅音「艦装の口と本体の口は連動しているのか」

 

 しばらくすると空母棲姫は沈んでいく。

 

紅音「ゴホッ!」吐血

紅音(流石に無茶が過ぎたぜ)

南方棲鬼「ソンナ状態デ私二勝テルカナ?」

紅音「あぁ、問題ないさ。逆にこれぐらいのハンデがあった方面白い」

南方棲鬼「ソノ余裕......ドコマデ持ツカナ!」

 

 砲撃は通じないと思った南方棲鬼は紅音との距離を一気に詰め、拳や蹴りを次々と放っていく。

 

紅音「クッ!」

南方棲鬼「貴様サッキ勝敗ヲ分カツノハ場数ダト言ッタナ?」

紅音「それがどうした?」

南方棲鬼「ナラバコノ勝負貰ッタゾ!」

紅音「そうかね?」

南方棲鬼「ソウサ! 私ハ最初期カラ生キ残ッテイルカラナ!」

紅音「それはご苦労なこって」

 

 紅音は南方棲鬼のラッシュを何とか全てさばいている。

 

紅音「噴射k」

南方棲鬼「サセン!」

紅音「ッ!」

 

 噴射孔を使おうとすると南方棲鬼のラッシュが一層激しくなる。

 

南方棲鬼「本気ヲ出シタラドウダ!?」

紅音「お前こそそれが本気か? 怪我人にかすりもしないそれが本気ですかぁ? そんなんで良く最初期から今まで生きてこられましたねぇ? あ、そうか! 部下たちの後ろでデカい顔してるだけですもねぇ! 自分の所に敵が辿り着く前に部下が倒してくれますもんねぇ? だから今まで生きてこられたんですもんねぇ!」

南方棲鬼「ダ、黙レェェェェ!」

 

 南方棲鬼が拳を大きく後ろに引く。

 

紅音「図星かよ......」

 

 しかし、その一瞬の隙に紅音の蹴りが南方棲鬼の頭を吹き飛ばす。

 

紅音「さぁ、残るはお前らだけだ」

イロハ級「ヒッ!」ビクッ

紅音「どいつから死にたい? 相手になってやるよ」

 

 紅音は拳を鳴らしながら深海棲艦の方へ歩んでいく。




ケニアントロプス(KT-J2c)
全長:65m(鎧装着時は70mを超える)

見た目はMGS5:TPPに出てくるサヘラントロプスに『外見』だけ似ている。
本体は中の人工筋肉で出来た真っ黒い人間の形をした物で、外は鎧に過ぎない。しかし本体には口も耳もなく、目の様な物があるだけ。コックピットは心臓部にある。

鎧には背中と足裏にバーニアがついている。その他にもレールガンが標準装備されており、他にも様々な機能がついている。宇宙空間でも一応活動できる。勿論アカシウムで出来ている。

本体はひたすらに身軽。走れば最高光速(鎧を装着するとマッハ25程)。ジャンプすれば最高800mまで行ける。衝撃吸収能力が非常に高いおかげで、どんな高さから落ちてもダメージはほぼ通らないとか。しかし攻撃に対する防御力は皆無。



 KTはケニアントロプスのケとトの事。J2cは明石と命名される前の明石の事。




 紅音視点は今回で一旦終了です。

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