「ナシロ、クロナ誕生日おめでとう!」
大きなクラッカーの音があの頃は私は少し怖かったっけ?妹のはしゃぐ声を聞きながら自分の1番大切な人と一緒に居れる幸せなんて考えた事もなかったな...
そんな...儚くも幸福に満ちた日々
子供の頃は永遠にこれが続くとばかりおもっていた
「クロナ!!逃げなさい!」
母親が無残にも呆気なく赤子の手を捻るように
切り裂かれる...血、この時かな?私が赤色を
嫌いになったのは
「...クロ..な、にげ…て」
母親が倒れると後ろには
赤い点が2つ…汚い、どす黒い紅が2つ
誰?あくまさん?...死神さん
首を掴まれて私の身長の2倍程まで持ち上げられる
「...怖いか?怖いなら私が導いてやろう」
「...私は子供がすきだからな」
そういう...不気味な笑みな仮面の首には
十字架のネックレスがかかっていた
「うわぁぁぁぁあ!」
振り向くと...台所の包丁を振りかざす
妹が泣き目で訴える
「離せっ!お姉ちゃんを離してよ!」
ドスと鈍い音と共に...妹は弾き飛ばされ
動かなくなる
「あぁ...うぁぁああ」
泣く事しかできない
私は何もできない
ゴト...と物音が聞こえる
瓦礫をどけ...妹が立ち上がっている
「こいつ...そうか、はははは」
「君の両親はなかなかいい趣味をお持ちのようだ!」
「はぁ、はぁ...ふー、ふー」
バキバキと音をたてながら
紅い...赤い...朱い何かが...蠢く
「ナシロ!」
と唐突に目を覚ます
なんだ...夢かあの日の事は何度も夢に見る
あの赤いものが今ならはっきりと分かる
隣にいるこいつは生意気でワガママで
どうしようもなく育ったけども
私のたった1人の家族、1番大事な人…とは
言いきれないけど...
なんで紅くなってんだろ私...
ふと思うと余計に頬が紅くなった
あの夢はなんだったんだろう
昔を思い出す事なんて何度もあったけどあそこまで鮮明な夢は初めてだ、と言っても忘れてるだけかもしれないけどね...正夢にならなければいいけど
ナシロ「クロナ、どうしたの?ボーッとして」
少し不安げに妹が聞いてきた
クロナ「あぁ、ごめんね...少し疲れてて」
不安が的中したのであろうか数cmでキスをしてしまう距離まで顔が近づく
クロナ「ちょ!?...近いよ///」
すると扉の向こうから六月さんの声が聞こえる
六月「クロナさ〜ん、ナシロさ〜ん朝食できますよ〜」
ナシロ「あっ...すぐに行きます!」
2人ともダルそうにベットから体を出す
季節としては蝉も泣いているのにまだ、朝方は肌寒い
着替えている間にも妹は何度か私の事を見つめていた、心配をかけてしまったのか
私は着替えが2人ともおわった時をみて妹を抱きしめる
ナシロ「は?...えっちょ!///」
クロナ「私は大丈夫...自分の事を1番に考えな」
納得したのかわからないが、その場では妹は頷いてくれた
クロナ「さてと...待たせてるしご飯行こうか」
「うん!」といつも通りの声が部屋に響く