ロクでなし魔術講師と死神魔術師   作:またたび猫

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『ロクでなし魔術講師と禁忌の経典11巻発売』
おめでとうございます‼︎

発売を記念してお話し書きました。
一応これでこの章は終わって
『新しい章』に移ります。


魔術競技編
過去に囚われし者


ノワールは転送方陣の塔の入り口の近くに来ると

巨大なゴーレムが複数いて大きな拳を突き上げて

ノワールに向けて振りかざす。

 

 

「最後の最後でこんな木偶人形頼みとは…

本当に対したことはないな…」

 

 

ノワールはその言ってゴーレムの攻撃を軽々と

避けて目の前のゴーレムを冥府の鎌で解体した。

 

 

「僕を殺したいならその倍は

連れてこないとな?」

 

 

 

ノワールはそう言って冥府の鎌で全部のゴーレム

を一瞬にして解体した。

 

 

「これで…全部か…」

 

 

ノワールはそう言って転送方陣の塔の中に

入って行った。その内部、長く続く螺旋階段を

登った先、最上階の大広間、そこにルミアはいた。

しかしそこにはルミアだけでなくもう一人の青年

がいた。

 

 

今回の事件の黒幕であり、学院内にいた裏切り者

───ヒューイ=ルイセンがそこにいた。

転送法陣の上で魔術により拘束されていたルミア

がヒューイに叫んだ。

 

 

「ヒューイ先生! 貴方はこんなことをする人

じゃなかった…!私を転送して、自分の魂ごと

学院を爆破させるなんて───…!」

 

 

ヒューイは静かにルミアの悲痛な叫びを

聞いていた。そのうちやがてヒューイが

口を開いた。

 

 

「僕はもとより───」

 

 

「王族、もしくは政府要人の身内。

そのような奴等がこの学院に入学された時、

そいつを自爆テロで殺害するため、そんな僅かに

ないかもしれない事の為だけにこの学院に在籍

していたいた人間爆弾だろ?天の智慧研究会の

メンバーであり、裏切り者の内通者なんだろう。

なぁ?『ヒューイ=ルイセン?』」

 

 

 

ノワールがそう言うとヒューイは暗い空間の中、

コツコツと音を立てて歩いく。

 

 

「いや…僕の予想ではここに来るのは間違いなく

『グレン=レーダス』だと思っていたのですが…

まさか…貴方が来るとは思いませんでしたよ?

幻影の死神さん?どうして分かったのですか?」

 

 

 

「死神さん‼︎」

 

 

ルミアはノワールを名前を呼びヒューイは

ノワールを見ながらそう言うとノワールは顔を

引きつらせながら淡々と話し始める。

 

 

「他の奴らから聞いてるとあんたは

出来過ぎなんだよ?」

 

 

 

「出来過ぎてる……?」

 

 

 

「ああ、そうだ…そもそもあんたがいなくなった

時期にも疑問があったんだよ…」

 

 

ノワールは訝しむヒューイを見て淡々と更に

話しを続けようとするが

 

 

「言いたい事はそれだけですか? まぁ…僕は

元々戦闘が得意な魔術師ではありません。

だから…「その為の白魔儀《サクリファイス》

だろ?」」

 

 

 

「‼︎」

 

 

ノワールがそう言って看破するとヒューイは

驚きを隠せないと言う青ざめた表情を

浮かべていた。

 

 

「白魔儀《サクリファイス》……自分の魂を

食いつぶして錬成した莫大な魔力でこの学院を

爆破か…なるほど…なるほど…」

 

 

 

「ど、どうして…分かったのですか?

普通なら分かるはずがありません……」

 

 

ヒューイは肩を震わせながらノワールに

聞くとノワールは平然とした表情で

頭を傾げながら

 

 

「どうしてってそりゃあ…お前ら天の智慧研究会

はそんな事を平気で『崇高』だの『孤高』だのと

言って『平然と魔術を娯楽のように使って人殺し

や殺戮をやって楽しむ腐ったイカレ宗教共の

集まりだろ?』」

 

 

ノワールがそう言うとヒューイは冷や汗を

かきながら少しずつと冷静さを取り戻し話しを

続ける。

 

 

「で、ですが貴方にはこの複雑な術式を解く事は

不可能に近いはずです‼︎このまま時間が来れば

私の勝ちです‼︎」

 

 

ヒューイはそう言うとノワールはつまらなそうに

ヒューイを見ていた。

 

 

「あんた…つまんない事言うね?」

 

 

「つまらない…ですか?」

 

 

「まぁ別に良いけど…」

 

 

ノワールはヒューイにそう言ってルミアの前に

行くとルミアは死神を見て

 

 

「死神さん…貴方だけでも逃げてください…ッ‼︎」

 

 

 

ルミアはノワールにそう言うがノワールは

そんなルミアの言葉を無視して

 

 

「《原初の力よ・我が血潮通いて・

道を成せ》!」

 

 

ノワールは『ブラッドキャタライズ』をして

淡々と作業に取り掛かる。

 

 

 

「《終えよ天鎖・静寂の基底・

理の頸木は此処に解放すべし》‼︎」

 

 

ノワールはそう言って黒魔儀《イレイズ》を使い

第一階層の術式を解呪をした。

 

 

「速い…もう第一階層の解呪を…‼︎」

 

 

ヒューイは呟き、ルミアは涙を流しながら

解呪をしているノワールに

 

 

「そんな体でそれ以上魔術を行使したら

死んじゃいます‼︎」

 

 

「死んだらまあ…そん時はそん時かな?」

 

 

「どうしてそんな事を言うんですか…?

それに、逃げたって誰も貴方を責められません‼︎

なのに…どうして?どうしてそこまで

するんですか?」

 

 

「…………」

 

 

 

 

「やっぱり…あの人が言ったように私はこの世に

生まれたらいけなかったんです…だって…私は

異能者…悪魔の生まれ変わりだから…」

 

 

 

 

 

 

ノワールはルミア言葉に黙っているとルミアは

ノワールに逃げるように言うするとノワールは

立ち上がって

 

 

「なるほど……悪魔の生まれ変わりで異能者で

ある私の事なんかよりも自分の命を大事に

しましょうてか? 確かに…お前の言う通りだ

……まるで聖女のような正論でご立派な考えだよ…

お前の言いたい事は分かったよ…」

 

 

「だったら‼︎」

 

 

「だから私の事なんか良いから貴方だけでも

脇目も振らずに逃げてくださいってか?」

 

 

「そ、それは……でも…私は異能者…

悪魔の生まれ変わりなんです‼︎ だから…」

 

 

「違うだろ‼︎怖くて‼︎不安で‼︎手が震えて

どうしたら全く良いか分からなくてしょうがない

んだろ‼︎本当にそう思っているならそんな今にも

泣きそうな寂しそうな目をして涙をぼろぼろと

流しはしないだろ‼︎」

 

 

「え?……あ、あれ…?」

 

 

 

ノワールがそう言うとルミアは自分の頬に

流れて溢れ出る涙や震えてる手を見てルミアは

必死に涙や手の震えを止めようとするが

それどころか震えは一向に止まらなかった。

 

 

「ど、どうして……?」

 

 

そんなルミアの姿を見たノワールは

 

 

 

「なぁ…心の奥底の本音を言おうぜ?

本当は助けて欲しいってクラスのみんなの所に

帰りたいって一緒に居たいんだろ?」

 

 

「で、でも…私がいたらみんなが…

「そんな理屈や御託や自己犠牲はどうでも

良いんだよ‼︎お前自身はどうしたいのかって

聞いてんだよ‼︎居たいのか?居たくないのか?

どっちなんだよルミア‼︎」」

 

 

ノワールはルミアにそう聞くとルミアは俯いて

右手を胸あたりに当てて握り締めながら少して

顔を上げて涙をぼろぼろと流し頬につたって

地面に落ちていた。

 

 

 

「…死神さん…私…素直に…望んでも

良いのかな…?この世に生まれてきちゃ

いけない悪魔の生まれ変わりなのに…なのに…

こんなにも欲張っちゃっても良いのかな…?」

 

 

 

「あぁ、お前は謙虚過ぎる。少しぐらい

欲張ってもいいんだ…お前にはそれだけの

権利があるんだから…それに僕が死ぬ前提で

考えて進めるなよ?少しくらい誰かに頼れよ?」

 

 

 

ノワールはルミアに優しく諭す様に言うとルミア

はノワールの言葉を聞いてルミアは心の奥底に

閉まっていた本当の感情が溢れてノワールに

 

 

 

「……お願い…死神さん…どうか…どうか…

私を…私を…助けて…助けてください……

本当は…今も…怖くて…不安で体が震えが

一向に止まってくれないんです……我儘かも

しれないですけど…許されるなら…システィ…

ノワール君…クラスのみんなや…グレン先生と

これからもずっと…ずっと…一緒にいたい‼︎

離れたくない‼︎」

 

 

 

そう言うとノワールは薄く笑って

 

 

 

「上出来だ…後は任せろ…」

 

 

 

ノワールがそう言うとルミアの動きを封じている

魔法陣に視線を戻して解呪の続きをする。

 

 

 

「…貴方は何故そこまでするんですか?」

 

 

「何がだ?」

 

 

「貴方と彼女は赤の他人で何も関係ないはず

ですよね?」

 

 

「そうだけど? それに別にお前が心配する

ことじゃないだろ? それとも今更、罪悪感か?

ヒューイ=ルイセン?」

 

 

 

ノワールがヒューイに言うと一瞬だが口元が

ピクリと動いた。恐らく、動揺したのだろう。

だが、ヒューイは動揺がバレないように平然を

装った。

 

 

 

 

「幻影の死神と呼ばれた貴方が一体…

一体何が貴方をそうさせているんですか?」

 

 

ヒューイはノワールに質問するとノワールは

解呪を続けながらルミアを見てノワールの脳裏

をよぎる『過去の記憶の中の少女』を無意識に

重なりながらも答える。

 

 

「別に…僕は…愚者…グレン=レーダスみたいに

正義の魔法使いみたいな御大層な志なんて

思っていないし、持ってすらいない人殺しの

最低な屑野郎だけど…だけど…こんな僕でも

一つだけ言える事はある…」

 

 

「それは…?」

 

 

 

ヒューイは興味津々に聞くとノワールは

目を瞑りそして一呼吸して

 

 

「もう二度と間違えない…だ…

《終えよ天鎖・静寂の基底・

理の頸木は此処に解放すべし》ーーッ‼︎」

 

 

 

ノワールはそう叫んで最後の魔法陣を

解呪する。するとルミアを囲んでいた

魔法陣が消えていった。

 

 

「…僕の負け…ですか…」

 

 

「そうだな……お前の負けだ……」

 

 

ノワールがヒューイにそう言うと

ヒューイは安心した表情で

 

 

「…不思議ですね…計画は頓挫したと言うのに…

生徒達が無事でほっとしている自分が

いるんです…」

 

 

「それが今のお前、『ヒューイ=ルイセン』だよ…

それにどんなに悪人や道具ぶっても心の奥底に

染み付いた今のお前じゃあ暗殺者としては

失格だよ……」

 

 

ノワールはヒューイにそう言うとヒューイは

俯いたままでルミアは心配そうに見ていると

 

 

「だから、あんたは『この裏世界』に向いて

なかった…それがあんたの一番の敗因…ただ

それだけだよ…それに…あんた等の自分勝手

な都合にルミア達を巻き込んでんじゃねーよ‼︎」

 

 

ノワールがヒューイの顔を殴るとヒューイは

ギリギリ耐え切り持ち堪えていた。

 

 

「そうです…ね…私にはこの裏世界は

向いていなかった…そして自分の道を

決められなかった僕の愚かしい選択のせいで

あと少しでルミアさんや、他の生徒達の人生を

奪ってしまうところでした…すみませんでした…

ルミアさん……」

 

 

 

「ヒューイ先生……」

 

 

ヒューイはルミアに謝るとルミアは

ヒューイの言葉を聞いて安心したのか

地面に座り込んで落ち着いていると

 

 

「さて、僕の言いたい事は全て言ったから

位置あんたに聞くけど他に言い残す事はあるか…?

最後だから聞いてやるぞヒューイ=ルイセン……」

 

 

ノワールはヒューイの首筋に禍々しい鎌、

『冥府の鎌』を首筋に当てて冥府の処刑人の

ように低い声で言うとヒューイはノワールを見て

 

 

「…そうですね…私の様な悪人にはこんな

最後がお似合いですね…いえ…寧ろ…

今頃になって今迄の人生が走馬灯のように

頭の中に浮かんで思い返しましたが…

やはり…私は貴方に介錯してもらう程の

価値すらないロクでなしみたいですね…」

 

 

 

 

「な⁉︎ 何を言っているのですか⁉︎

やめて…やめてください‼︎

もう、もう終わったじゃないですか‼︎」

 

 

 

ルミアが叫ぶ中、ヒューイがそう言って

ノワールの元に近づいて

 

 

「ルミアさん……天の智慧研究会だった

私が言えた身分ではありませんですが…

どうか…どうか…生きてください」

 

 

ヒューイは清々しい笑顔でルミアに

優しく微笑んでそう言うと

 

 

「その潔さは評価するよ…

その潔さに敬意を表して

苦しくないようにしてやるよ…」

 

 

「…ありがとうございます…

あなたに早く会えていたなら…

良かったかもしれません……」

 

 

「そうだな……

違う出会いをしていたら…」

 

 

ノワールはそう言うと冥府の鎌を

ヒューイに向いて鎌を構えていた。

 

 

「お願い‼︎お願いします‼︎

死神さん‼︎やめてください‼︎

ヒューイ先生は何も悪くないんです‼︎

ヒューイ先生は本当は優しい人なんです‼︎

だから‼︎お願いだから‼︎お願いだから‼︎

ヒューイ先生を殺さないでーー‼︎」

 

 

 

ルミアはノワールに必死になって腹の底から

声を出して目の前で懇願するがノワールは鎌を

下ろすどころか更に鎌を握る力を強くして

ヒューイを罪人を見るような光無き瞳で

 

 

「……悪いな…ルミア…

それは…それだけは…出来ない…」

 

 

ノワールはルミアにそう言うとノワールは

鎌をヒューイに振りかざすとヒューイは倒れた。

 

 

「う、嘘…そ、そんな…ひ、ヒューイ先生……」

 

 

ルミアはヒューイの元に近づいて

声をかけるが反応はなかった。

 

 

「任務…完了…」

 

 

ノワールがそう言うとルミアは

立ち上がってノワールの元に

近づいて俯きながら掠れた声で

 

 

「……が…です…か……」

 

 

「何か言ったか?」

 

 

ノワールが何事もなかったかのように

平然と聞くとルミアは顔を上げて

 

 

「何が任務完了ですか‼︎

何であんな酷いことをしたんですか‼︎

あんな事、『天の智慧研究会』と

同じじゃないですか⁉︎」

 

 

ルミアはノワールに食い掛かり

涙を流しながらノワールにそう訴えて

言うとノワールは

 

 

「ルミア…分かっていると思うが…

あいつは…天の智慧研究会のメンバーの

一員で『人間爆弾』として動いて

白魔儀《サクリファイス》でルミアを

転送した後はこの学院ごと爆破して無差別に

関係ない大量の人間を殺そうと…

大量殺人をしようとしていた悪人だぞ?

それでも…僕が間違っていると?

それともあのまま爆破されてみんな仲良く

死ねば良かったと言うのかルミア?」

 

 

「そ、それ…は‼︎」

 

 

ノワールの言葉にどう答えれば良いのか

分からなくなって黙ってしまったルミアを見て

ルミアで頭に手を乗せようとすると

 

 

「てめぇ‼︎ルミアから離れろ‼︎」

 

 

「ぐ、グレン先生‼︎」

 

 

グレンが叫びながら勢いを加えた全力のパンチを

ノワールに目掛けて放つが

 

 

「よっと……」

 

 

ノワールはグレンの全力のパンチを

軽々と避けていく。だか、グレンはそれを

読んでいたかのように軍用魔術の

【 ライトニング・ピアス】の呪文を詠唱していた。

 

 

「《猛き雷帝よ・極光の閃槍以てっー」

 

 

「《霧散せよーー》」

 

 

「ぐっ⁉︎」

 

 

だがノワールはグレンの詠唱を許さず

霧散させてグレンとの距離を少しずつ

近づいていく。

 

 

「ここまできて…どこまで甘いんだ…

グレン=レーダス…殺るなら本気で来い…」

 

 

「…あぁ、分かったよ…

そこまで言うなら…本気でやってやるよ!」

 

 

グレンはそう言って『愚者のアルカナ』を

手に持って帝国式軍隊格闘術の構えをしていた。

 

 

「それに…貴様なら分かっていると思うが

あの時に力の差を嫌って言うほど

知っているはずだと思うのだが…愚者?」

 

 

ノワールがそう殺気を隠そうとせずに

放ちながらそう言うとグレンは

 

 

「だから勝てないってか…?

誰が絶対勝てねぇって決めたよ?

勝手に決め付けて見下してんじゃねーよ‼︎

テメェを倒してルミアを助け出す‼︎」

 

 

ノワールにそう言うとノワールは

鎌を構えながらグレンを見据えて

 

 

「そうか……だったら来るなら…

さっさと来い…愚者…」

 

 

「そのつもりだ‼︎」

 

 

グレンはそう言うとグレンは拳を作りは

パンチを放つがノワールはグレンの拳を

華麗に鮮やかに弾いていく。

 

 

「これで終わりか…グレン=レーダス…

これで僕を倒すと?この程度でよく言えたな?」

 

 

「クソが‼︎」

 

 

グレンが悪態をついてそして全力のパンチを

出していたその瞬間、

 

 

「二人共、やめてください‼︎」

 

 

 

「‼︎」 【ノワール】

 

 

「⁉︎、る、ルミア……」 【グレン】

 

 

ルミアが腹の底から叫ぶと

二人は驚いていたがグレンは拳を

止められずにノワールの溝に当たった。

 

 

「ぐ、ぐはっ…⁉︎」

 

 

するとノワールは口からあり得ない程の

大量の血を流して膝が地に付いていた。

 

 

 

(ど、どうして…死神さんの口から大量の血が…?

⁉︎、ま、まさか⁉︎)

 

 

その瞬間、ルミアだけは分かった。

黒魔儀《イレイズ》を使い階層の術式を

解呪をした影響であると言う事がそして

一刻も早く治療しなけばマナ欠乏症で

死んでしまう事が分かった。

 

 

「流石だな…愚者…いや…

今はグレン=レーダス…だったな?」

 

 

 

ノワールは口元の血を拭いながら

無表情のままでそう言うと

 

 

「死神…もうお縄につけ…そんな傷だらけの

『ボロボロの体』、そして今の俺でも分かる

『今のマナ欠乏症の状態』で何が出来るんだ?

いくらお前でも勝てる筈がないだろ?」

 

 

グレンはノワールにそう諭すと

 

 

「…貴様何か?憐れみのつもりか?

だが…貴様が言っている事は

間違いなく事実だな…」

 

 

ノワールがそう言うと転送方陣の塔の

窓から破って外に出ていった。

 

 

「⁉︎ま、待て‼︎死神‼︎」

 

 

「死神さん⁉︎」

 

 

グレンが叫びながらノワールに手を伸ばすが

手が届かずにノワールは落ちていく。

 

 

(あの傷じゃあ死んでるだろ‼︎

って言うか、普通は自殺行為だろ⁉︎)

 

 

グレンは急いで破れた窓を見ると

 

 

「いない⁉︎」

 

 

ノワールの姿は全く見当たらなかった。

 

 

「まあ…

ルミアが無事だったならいいか……」

 

 

「先生‼︎ヒューイ先生が‼︎」

 

 

ルミアを保護した後、ルミアはグレンに

そう言って倒れたヒューイを見て確認すると

 

 

「…大丈夫だ…生きてる…」

 

 

「本当ですか⁉︎」

 

 

「あぁ…間違いない…」

 

 

「良かった……」

 

 

 

ルミアはそう言って安心した後に

グレンと一緒に転送方陣の塔を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

ノワールは転送方陣の塔から脱出した後、

ボロボロの黒のロングコートのパーカーで

街のだれもいない路地裏を歩いていた。

 

 

「傷は塞いだし…影武者も用意したしなぁ……

このまま帰るか……」

 

 

ノワールは死んだ魚のような瞳で空を見上げて

メルガリウスの天空の城を見てそう言って

傷だらけでマナ欠乏症の体で歩いていると

 

 

 

「おーい早くしろよ‼︎置いていくぞ‼︎」

 

 

「待ってよ‼︎お兄ちゃん‼︎」

 

 

 

二人の小さな兄妹達が無邪気な笑顔で

走ってノワールとすれ違った。

 

 

「兄妹…か…」

 

 

ノワールがその呟いたその瞬間、

 

 

(何を今更、後悔する?)

 

 

ノワールの心の中で自分自身の心の奥底に

しまっていた泥のようなドロドロした感情と

自分自身の本心が少しずつ溢れ出していた。

 

 

(グレン=レーダスが去った後に

お前がクラスの全員に言ってた

『魔術を真に理解して自分達が魔術という

強すぎる力を誰かが間違って使って道を

踏み外しまわない様にする為にこれらも

魔術を戒めなくてはいけないし恐ろしさを

忘れてはいけない……』なんて貴様何様だよ?

何も出来ない無力なクズ以下のお前が

何も生み出せず何も救えないのに

今更になって偽善者気取りか貴様は?)

 

 

 

「………」

 

 

 

そう自分自身に言われると自分自身の心臓が

ドクドクと心拍が早まり

 

 

 

 

(まさか…『ルミア』を『イルシア』と

姿を重ねて見て過去の罪を清算出来たと

自己満足して思っているのか?)

 

 

 

(……うるさい…)

 

 

(イルシアとシオンさんを

犠牲にしといて生き残った愚かな化物が…)

 

 

(…うるさい…)

 

 

(その他人を殺した醜くい人殺しの手で

お前は何を成そうとする? 何を残そうとする?

レイクが言っていただろ?

『復讐と言う輪廻の呪いと言う業』に

囚われた愚かな化物であり亡霊だろ?

人間の真似事など笑わせるなよ?

あの時、お前があの二人の代わりに

身代わりになって死ねばーー)

 

 

 

『黙れ‼︎黙れ‼︎黙れ‼︎

黙れ‼︎ 黙れーーーーーー‼︎』

 

 

 

ノワールは知らないうちに叫んで

右手で壁を何度も何度も殴りつけていた。

すると右手から大量の血がポタポタと

地面に流れ落ちていた。

 

 

 

「…頼むから…黙ってくれ……」

 

 

 

ノワールはそう呟き幽霊のようにゆっくりと

歩いているとノワールの足がピタリと止まった。

 

 

「…イルシア…?」

 

 

ノワールがそう言うと『少女』は

いきなり走り出して路地裏の角を曲がっていった。

 

 

「待って…待ってくれ‼︎イルシア‼︎」

 

 

ノワールはそう言って少女をパーカーが

外れながら追いかけると街の広場に出て

沢山の人混みに溢れていた。

 

 

「イルシア‼︎イルシア‼︎何処だ‼︎」

 

 

ノワールは人混みの中叫びながら

何時間も探したが一向に見つからなかった。

 

 

 

「……見間違い…か…馬鹿だな…だって

イルシアは血を流して死んだじゃないか……」

 

 

 

ノワールはそう言った後、フードを被って

先程通った路地裏に戻り闇に紛れて消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗教国家レザリア王国の侵略併合行為や

天の智慧研究会によるテロ行為に

悩まされ続けているほか、帝国政府内でも

国軍省や強硬派議員からなる「武断派」と

魔道省や穏健派議員からなる「文治派」との

諍いがあるなど多くの周りの二つの勢力の

人間達が会議に参加して話し合っていた。

 

 

 

「エルミアナ王女…グレン=レーダス……

更には都市伝説の暗殺者の幻影の死神まで

とは流石に捨ておくわけにはいかんな…

手を打っておくか……今すぐ動ける者は?」

 

 

 

長官らしき男が頭を抱えながらそう言うと

 

 

「はっ!すでに『戦車』と『星』を

向かわせております」

 

 

「あの二人か

まぁ…能力的には問題あるまい」

 

 

「はい適任かと…」

 

 

 

長官と部下達はそう言って

その日の会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おいおいもう一回言ってみな嬢ちゃん」

 

 

 

アルザーノ帝国 『帝都オルランド』では

ゴロツキ達と『ある少女』が揉めていた。

 

 

「返してそれ私のゴハン」

 

 

「ハッハッハッ 人様にぶつかっといて

態度がなってねーなァ!」

 

 

ゴロツキはそう言って

更に調子に乗って態度がでかくなる。

 

 

 

「見た事ねーか?

俺ァおたずね者でなここいらの裏の奴は

俺が仕切ってる。こんなチンケなパン如きで

やめたほうがいいぜ? ま、もうおせーけどな?」

 

 

ゴロツキ達のリーダーが少女にそう言うと

ゴロツキ達の部下とリーダーが

 

 

 

「アニキまだガキだが結構な上玉だぜコイツ」

 

 

「ああ攫って売ればいい金に…」

 

 

 

そう話していると

 

 

「…返してくれないの?なら…」

 

 

少女は十字の剣を錬成してゴロツキ達のリーダー

に向けて

 

 

『斬る』

 

 

 

少女はそう言って剣を握りながらゴロツキ達

を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ…あれどうなってるの…?」

 

 

「ひでぇな…だれか憲兵呼べよ…」

 

 

 

街人達がザワザワと騒いでる中、一人の青年

が現場にゆっくり向かって歩いて来ていた。

 

 

「『リィエル』探したぞ何をしている」

 

 

「アルベルト何って…」

 

 

リィエルはハムスターのようにモグモグと

パンを頬張りながら

 

 

「斬った。 この人達が私のご飯取るから」

 

 

プハッとパンを飲み込んだ

リィエルは無邪気な子供のように答えた。

 

 

「全く…目立つ行動は控えろと言ってるだろう

殺してはいないな?」

 

 

 

「うん…前 アルベルトにダメって言われたし…

それより…何の用?」

 

 

リィエルがアルベルトに聞くとアルベルトは

淡々と答えた。

 

 

「俺達二人に任務だそうだ」

 

 

アルベルトの言葉にリィエルは頭を傾げて

 

 

「任務?…何?」

 

 

「ああ…フェジテにある魔術学院は知ってるな?」

 

 

アルベルトがリィエルにそう言うとリィエルは

興味が全く無さげで眠たそう瞳で

 

 

「知らない…そんなところ行かない

話しがそれだけなら帰る」

 

 

「まて聞け」

 

 

アルベルトはそう言って更に話しを続ける。

 

 

「実行日は女王陛下も来賓として迎える学院の

魔術競技祭の日ターゲットは三人…生徒の一人

である『ルミア=ティンジェル』と…都市伝説

の暗殺者『幻影の死神』と最後に…

『グレン=レーダス』だ」

 

 

アルベルトがそう言うとリィエルはピクリと

反応してアルベルトのほうを向いて

 

 

「…グレン?

……そうグレンがいるの…?」

 

 

アルベルトにそう言うリィエルは先程の表情

とは違って獲物を狙う獅子のような表情を

していた。

 

 

「…先に言っておくが勝手な事はするなよ?

『幻影の死神』も出て来る可能性は高いからな?」

 

 

アルベルトはリィエル淡々と冷静にそう言うと

アルベルトとリィエルは帝都オルランドから

アルザーノ帝国魔術学院に視線を向けて

 

 

「では行くぞ。アルザーノ帝国魔術学院へ」

 

 

アルベルトがそう言ってアルベルトとリィエルは

アルザーノ帝国魔術学院へと向かって行った。




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なんとか終わった……(心の声)


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