Fate/Blue Order   作:カレーネコ

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初投稿!
反省も後悔もしたくない。


プロローグ

 

 

 

アメノウキハシでの紫電との決戦。

アメノサカホコでのアシモフとの対決。

 

シアンを助けるも守り切れず。

父親の様だった恩師を殺して。

待っていてくれた仲間に何て説明すれば解らず。

逃げるように その場から去った。

 

『大丈夫だよ、GV。私が側にいるから。』

 

この身に同化した彼女の言葉に無責任にも安堵する。

どこかで選択肢を間違ったのだろうか。

もっと良い未来があった筈だ。

どこが最強の第七波動《セブンス》能力者だ。

ボクは結局、誰も助けられなかったじゃないか。

もうフェザーには接触出来ない。

組織のリーダーを殺したボクが、どの面下げて戻るのだ。

でも、だとしたら。

ボクは一体どこに行けば–––––––––––––––––––

 

『大丈夫。』

 

彼女の声に我に帰る。

 

『大丈夫だよ、GV。』

 

彼女は宥めるように繰り返す。

 

『貴方のしたい様にすればいい。

それがどんな事だろうと、私が側にいてあげるから。』

 

彼女の言葉に落ち着きを取り戻す。

そうだ。こんなことを考える暇はない。

ひとまず、家に戻って荷物を纏めるべきだ。

それなりに愛着はあったが、

フェザーやスメラギに知られている以上、

留まることは出来ないだろう。

先のことはその後に考えよう。

現実逃避かもしれないが そこで思考を打ち止め、

ボクは足早に家へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

ニ時間後。

 

ボクは荷物を纏め、家を出ていた。

能力を全開にして駆けた行き道と違い、

帰りは意外と時間が掛かった。

必要な荷物を大きめのリュックに仕舞い、

戦闘服から普段着に着替え、

パソコンなどの機器を能力で全ての処分した。

心残りは多々あるが、下手をするとジーノ達が

押し掛けて来かねない。

早々に立ち去るべきだった。

 

「じゃあ、行こうかシアン。」

 

室内を見回していたシアンに声をかける。

 

『うん、GV。.........さよなら、私達の家。』

 

「......ああ。さよならだ、ボク達の家。」

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

家を去ったボク達は半日程かけて、とある観光地に来ていた。

何も知らない場所へ行くよりかは、

兼ねてより旅行に行こうと考えて調べていた場所の方が良いという話になったからだ。

 

『うわぁ!見て見てGV!

あそこって雑誌に載ってた場所だよね!』

 

スメラギに囚われていた過去を持つシアンは、

そこから助け出された後も学校くらいしか外出の経験がない。

だからはしゃぐのもわかるのだが……

 

『‼︎ あ、あれって何時間も並ばなきゃいけない程人気のスイーツ店だよね⁉︎

今から並べば食べれるんじゃない⁉︎』

 

......いくらボク以外には見えないし聞こえないとしても、気恥ずかしくなるなぁ…

 

『もう!聞いてるのGV!』

 

「あ、うん。聞いてるよ。

でもまずは宿を探さないと。

スイーツは明日まで我慢してくれるかい?」

 

『あっ、そうだね…。

うん、じゃあ宿探しにシュッパーツ!』

 

………なんだかモルフォみたいになってるような…

昨日の戦いが嘘みたいだな…

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

時間も時間だったからか空いている宿がなく、

ボク達は都心部から大分離れた所まで彷徨っていた。

もう今日は野宿しかないのだろうか。

今までついぞ出番のなかったアシモフ流 町野宿の心得に頼る時がとうとう来たのか。

というか何故アシモフはこんな心得を作ったんだ?…と、

どうでもいい思考に陥りかけていたボクを引き戻したのは………

遠くから聞こえた小さな、女性の悲鳴だった。

 

「⁉︎」

 

『GV!今のって⁉︎』

 

とにかく悲鳴が聞こえた方向へと走る。

しかし、向かえば向かう程 人気が少なくなる様子に

嫌な予感は増していく。

ここが悲鳴の発生場所の筈だが……。

そこで見つけたのは散乱した食材と買い物袋だった。

 

「くっ、遅かったか…!」

 

どう考えても悲鳴の主が危険な状況にあるのは明らか。

だが、居場所が分からない以上どうすることも…!

 

『GV!あっちのほうにある廃ビルの中!

すごく怯えた気持ちがある!』

 

「!」

 

シアンの第七波動《セブンス》は感応系能力であり、

能力の化身そのものと化したシアンは、よりその力を増したらしい。

シアンのいう方向に全力で向かい、廃ビルの中に突入する。

するとそこには、やはりというべきが若い女性が

数人の男に押さえつけられ今にも暴行を加えられようとしていた。

 

「やめろ!」

 

男の1人に強化した蹴りを放ち、壁際まで吹き飛ばす。

能力者でもないようで、男は倒れこみ動けなくなったようだ。

 

「ちぃっ⁉︎何だこのガキッ⁉︎」

 

「おい、離れろ!多分能力者だ!兄貴を呼ばねぇと…⁉︎」

 

一気に接近して2人の男の首を掴み、多少手加減した雷撃を放つ。

これで三人の無力化に成功したが、残り2人には距離を取られた。

けど、女性は解放されている。

未だ呆然とした女性

––いや、遠めに見た印象から大人に見えたが、顔に残る幼さからしてそう年は違わないのかもしれない

––に向かって叫ぶ。

 

「早く逃げて!こいつらはボクが抑えます!」

 

「え、でも、そうしたら貴方が「早く!」っ!

ど、どうかご無事で!」

 

少し迷った様な彼女を強引に逃がし、再び男達に向き直る。

すると、なんと男達は懐から拳銃を取り出した。

 

「へっ!正義の味方ごっこか知れねぇが、

能力者だからって俺達に敵対するのはいけねぇなぁ?

見るに身体強化系の第七波動《セブンス》だろ?

だが銃弾より早く動けるわけがねぇ!」

 

「そういうことだ。

俺達に敵対したのを後悔して死になぁ!」

 

そう言い放ち発砲する–––––が、

ボクは弾をすり抜け片方の男に肉迫した。

 

「なっ––––––

 

「電磁結界《カゲロウ》––

あらゆる攻撃はボクに通用しない。」

 

そのまま溝尾に肘を叩き込み無力化する。

そして素早く身を返して最後の1人に接近、

顎に掌底を打ち込み気絶させる。

これで制圧完了。

後は警察を呼んで任せよう––––––と思った所で、

 

「––––––っ!」

 

突如感じた気配から咄嗟に離れる。

そこには––––––––––––

 

「おいおい…。

俺の舎弟どもを随分可愛がってくれたじゃねぇか。ええ?」

 

見るからに不良のボスのような男が釘バット片手に立っていた。

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

『凄い!GV、不良だよ⁉︎

こんな不良みたいな不良、絶対今ドキいないよね⁉︎』

 

さっきまでボクの中で大人しくしていたシアンがはしゃぎだした。

まぁ、こんな不良オブ不良みたいな人、テレビ以外で初めて見たけど…。

なんでこんなバカっぽい人に彼らは従ってたんだ?自分とは違う存在への憧れみたいな?

……いや、待て。

ボクを能力者だと気付いたヤツが言っていなかったか?

「兄貴を呼べ」とか何とか。

つまりこいつは能力者を相手取ることが出来る?

それはつまり––––––––––––––––––

 

「おいおい。敵を前にして考え事か?

テメェ俺を舐めすぎだぜ?」

 

刹那、腹部に感じる違和感。

目を落とすとそこからは男の持つ釘バットが刺さって

––––––否、生えていた。

 

「––––––っ⁉︎」

 

「ほい、余所見。」

 

瞬間、眼前に迫る足刀。

敢えてガードし、そのまま吹き飛ばされる事で距離を取る。

なんだ⁉︎気配さえもが急に目の前に現れた。

腹部に生えるバットといい、コレは…!

 

「空間置換…いや、瞬間移動の第七波動《セブンス》か…!」

 

「お?御名答。お前やっぱり只のガキじゃねぇな?」

 

「さあね…、でも。」

 

「あ?」

 

「いや、こんな場末の町でコソコソやってる奴にしては、強力な第七波動《セブンス》だと思ってね。

雑魚山の大将さん。」

 

「……ほぉ?それが遺言でいいんだな?

クソガキよお!!」

 

背後への転移からの回し蹴り。

成る程、確かに初見殺しのいい手段だ。でも…

 

「なぁっ⁉︎すり抜け…っ⁉︎」

 

「……やっぱり強くはないな。」

 

ボクには通じない。

あんな挑発で激昂する時点で器が知れる。

体内に異物を移動させ続けられる方がよっぽど厄介だった。

雷撃鱗を発動し、敵を焼く。

 

「ギャァァアアアアアアアッッ⁉︎」

 

「......ふう。」

 

制圧完了。

思いの外 深そうな傷に油断は良くないと再確認した。

 

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

『大丈夫⁉︎GV!』

 

「うん、何とかね。」

 

スキルの1つ【ヒーリング・ヴォルト】で十分治せる傷だ。

カゲロウを使いながら抜けば痛みも少ないだろう…と、

警察を呼び、傷口を観察しながら考えていた時だった。

ガリッ、と。

何かを噛み砕いたような音が無音のビルに響いた。

 

「––––––っ⁉︎」

 

「ヒヒッ、このまま捕まってたまるかよ。

スメラギの実験体になるぐらいなら、

テメェ諸共道連れだぁっ!!!」

 

男の眼から第七波動《セブンス》の輝きが漏れ、

ボクと男の間の空間が歪む........!

不味い!まさかさっきの音は…!

 

「スメラギ謹製の第七波動《セブンス》暴走薬だぁっ‼︎

このまま歪みに呑み込まれて肉塊になっちまいなぁ!!」

 

カゲロウでも肉体を空間ごと持っていかれたら防げない!

生け捕りにしようと手加減した結果がこれか!

油断は良くないと戒めたばかりなのに!

いや、後悔してる場合じゃない。

このままじゃ死ぬ!

呑まれる前に奴を仕留めるしかない!

全力で雷撃麟を放つ、が空間の歪みが原因か

ヤツに雷撃が届かない!

 

『GV!』

 

瞬間、シアンの歌が響く。

自身が強化されるのを感じた。

これならいけるっ…!

 

「仕留める…っ!」

 

「ガアアアアアッッ!!!!?」

 

男が今度こそ事切れる。

安堵しかけた刹那。

 

「–––––なっ!歪みが消えないっ…!」

 

それどころが先程よりも歪みが大きくなっている!

どういうことかと思考を巡らせ気づく。

男は「強化薬」ではなく「暴走薬」と言っていた。

「道連れ」とも。

 

「まさかっ…!」

 

あの薬は限界を超えて第七波動《セブンス》を暴走させる薬。

ここまで暴走してしまえば、

能力者が死んでも関係ないっ…!

しかもボクの雷撃を取り込んだせいか、

歪みが変質し、

まるでブラックホールのようになっている。

あれに呑み込まれたら間違いなく死ぬ。

だが、この距離じゃ逃げられないっ…!

 

『うわぁぁっ、じ、GVぃぃぃ!!』

 

「シアンッッ!ぐ、くそぉっ!!」

 

とうとう足を掬われ歪みに呑み込まれる。

せめてもの抵抗にカゲロウを発動したが……、

 

ボクの意識は激痛とともにブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

とある世界。とある国のとある路地裏で。

 

「………? 今なにか…?」

 

とある正義の味方が感じた直感が。

 

 

「何だ…?この感覚。こっちに何かが……っ⁉︎」

 

とある少年ととある謡精の。

 

 

「おいっ!しっかりしろっ!

くそっ、なんて怪我だ!こうなったら…!」

 

運命《Fate》を変えるキッカケとなる––––––––––––

 

 

 




プロローグ終了!
次回から本格的にFGO展開に入る予定です。
……まぁ、書けたらですが。

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