プチファンタジー・ストーリー   作:クリステリアン

36 / 43
第35話 魔物からの依頼〈後〉

 ここまでたくさん歩いてきて、もうかなり奥まできたようだ。分かれていた道を、どちらか悩みながら進み、部屋のような空洞を見つけては覗き込み、地下へ降りる道があればちょっと降りてみて探してみたが見つからず、またもどったりしていた。4人はだんだん疲れてきた。

「う~っ、洞窟のマップがないからどう進めばいいかさっぱりだぞ」とイライラ気味のユードー。「一体どこにいるんだろうな、ゴースト」とサンク、「広いんだからそう簡単に見つからないわ。今度はこっちを探しましょ」4人はそちらへ歩いていった。

 

 洞窟内をさらに進んでいくと、先のほうになにかが落ちていることに気づいた。

「なんだ?あれ」4人は近寄ってしゃがんで見てみると、それは盾であった。

「盾だ」と持ち上げ眺めてみる。錆びてボロボロだ。おそらくだれかが捨てたものだろう。

「随分古そうです」

「でもこれ、まだ使えないこともなさそうだぞ」ユードーはいい、盾をこちらに向けた。

「じゃあ、これ、どうしよう?」サンクはいうが、ユードーは、「武闘家は盾を装備しながらじゃ戦えない」フィリナとラファエロも、「わたしたちも後衛だから盾は必要ないの」「重いのは嫌です」といわれてしまい……「おれ?」結局その盾はサンクが持つことになった。

 サンクは盾を持ってみるが、「ぐっ…(汗)」結構重い。サンクは盾を見つめた。

 

 盾を手にしたサンクと3人はまた進み始める。

「これは上り坂みたいです」4人が今度はその道を上がっていくと、どうやら上の階にきたようだ。

「上にも空洞があったんだなー」あたりを眺めまわし、また進む。

「でも、わたしこんな大きい洞窟を歩くのってはじめてだわ」とフィリナはいった。

「おれもだ」

「ぼくもです」

「おれはこの前ダンジョンの地下に潜ったけど、でもこんなに広くなかったな」とサンクはいい、4人は歩いていた。すると突然!「キィ~ッ!」なにかが上から飛んできた!「わっ!?」「なんだ!?」4人は慌ててよける!するとそれは、コウモリにそっくりな生き物だった!

「あれは…」「コウモリ…?」ラファエロはじっと見て、「いえ、あれはコウモリの姿をした悪魔です!」と叫んだ。悪魔はこちらに飛んできてユードーの腕に噛みついた!「わっ!」ユードーは驚き腕を振り、コウモリを振り飛ばした。

「もう少しで噛まれるとこだったぞ~」と腕を見る。「あいつおれの血を吸おうとしてたみたいだぞ」

「チビドラ!そいつに火を吐くんだ!」「ブライトボール!」サンクとフィリナが攻撃!が、あと少しのところでよけられてしまった。

「よけられたぞ!」

「思ったより素早いわね」

「あいつめ!」ユードーは向かっていき、殴ろうとしたが、また悪魔は上に飛んでよけられてしまった!

「ああっ!くそ!」

「ハイスピード!」ラファエロが加速技をかけてくれた。

「チビドラ!火を吐くんだ」「ホワイトブラスター!」サンクとフィリナが攻撃し、今度はよけられず技が命中した!「ギャッ!」

 すると、悪魔は翼を揺らし、「キィイイィ」とないた。「わっ!!」突如、衝撃波に襲われて、4人は思わず後ずさった。

「超音波です」ラファエロはこらえながらいう。

「キィ~ッ!」またしても悪魔はこちらに飛んできて、今度はサンクに噛みつこうとした。「うわっ!」サンクはとっさに盾を向け、コウモリの攻撃をガードした!

「危なかった~」

「さっそく盾が役に立ったわね!」

 盾のおかげで少しは防御力が上がったようだ。

「おりゃあ!」「キャッ!」悪魔がこちらに近づいていた隙をついてユードーがパンチで攻撃した!フィリナも、「ブライトボール!」と攻撃!悪魔はダメージを受けた。「ポロ!突進だ!チビドラも火を吐くんだ!」「ワウッ!」「ギャッ!」ポロとチビドラも向かっていって攻撃した!

「たあっ!」「えいっ!」「いけーっ!」ユードーとフィリナとサンクはさらに攻撃をし、そのうちに悪魔は、「キュウ~ッ…」と倒れ、消えてしまった。

「やったぜ!」みんなは喜んだ。

 

「今度の敵もちょろいもんだったぜ」

「加速技がないとよけられてたでしょ」

 4人はまた先を進んでいった。

「まぁ、パーティってのはそれぞれ役割があって連携して戦うものだからな。おれは武闘家だから物理攻撃はできるんだが補助技はできん」

「補助はフィリナさんやぼくがしていますからね、でもぼくは回復は使えますが、エスプ攻撃はフィリナさんのほうが得意です」

「なんだかこうやってちがう職業同士で探検して戦っていると、冒険小説みたいだわ!」

 サンクもさっきのことを考えながら、「みんなで力を合わせると、強い敵でも倒せるんだ!」そして魔物たちを見、「それにおれの魔物もだいぶ強くなってさっきも活躍してくれたしな!」

 ユードーが、「そうだな。他人任せ勇者」「なんだよ!それ!」

 4人は喋りながらそのフロアの洞窟内も探して歩いた。だが、ほかの部屋に入ってみたり、だいぶいろんな場所を探してみてもやはりゴーストは見つからない。

 

「う~ん…このフロアでもなかったか…」

「もう疲れてきたよ~」

 難航するゴースト探しにだいぶ疲労が溜まったころ……少しくたびれた足でまた前に進んだがそのとき、「うわっ!!」サンクが踏んだ地面が突如崩れ、下に落ちてしまった!

「う~ん…いてて…」

「サンクッ!!」3人は下を覗き、慌てて自分たちもその穴から下へ飛び下りた。さっきの地面には落とし穴があったのだ!

「だいじょうぶ?」

「あぁ」上を見上げ、「随分もろい床だな」といった。

「下の階に落ちたみたいですね」とラファエロ。

 4人はとりあえずどこに落ちたか確かめるため、あたりを眺めた。すると、向こうの岩壁の奥の部屋に……なにかがこちらを見つめているのに4人は気づいた。それは、水色のからだで、フィリナがかいた絵の魔物に似ていた!

「あれ…!!」「もしかして、ペールゴースト…!?」4人は驚き、まじまじと見つめる。そしてサンクたちはそっと近づいてみた。ゴーストはたじろいだように少しからだを動かしたが、4人がそばまでくると、「なんだ?お前たちは」といった。どうやらこの魔物も言葉が喋れるみたいだった。

「ペールゴーストのロイドさんですか?」とサンク。

 魔物は、「いかにも、わしはロイドだがお前たちは…」と警戒するように。

「おれたちこの手紙を渡すよう頼まれて」と手紙を差し出す。

「…手紙?」ゴーストはそっとそれを受け取った。「アースさんから」「なに?アースから?」ロイドは驚いた顔をし、手にした手紙を見た。

 

 そしてロイドは手紙をそっと開き、読み始めた。岩に座り、アースからの手紙をただただ読みふけっていた…。

 4人は、これでもう依頼をこなしたわけだし、そろそろ帰ろうと、そんなゴーストを見つつそっとその場を立ち去った。

 

「これでよかったんだよな?」

「あぁ、やっと洞窟を出れるぞ。そういや、このあともう一度あの館にいって手紙を渡したことを魔物たちに伝えなくちゃいけないんだっけ。たしかなにかお礼が貰えるっていってた」

「アンデッドのお礼ってなんでしょうね?」

「うわー、なんか怪しげなもんだったりして」ユードーは震えてみせ、4人は喋りながら歩いていった。

「ところでここまでの道ってお前ら覚えてるか?」

「ハイ、一応どうやってもどるかは覚えてるつもりですが…」

 フィリナが、「わざわざ歩いてもどらなくてもここからテレポートすればいいわ。きのうの屋敷までもどれるわよ」といいだした。

 3人は驚き、「本当か?」「そりゃ助かるー!」長いこと洞窟を歩き、疲れていたのでみんな喜んだ。

「じゃあみんな手をつないで」フィリナはみんなを光で包み、テレポートした。

 

 フッ…と現れた場所を見ると、きのう泊まったアンデッドの屋敷の前だった。あたりはまだ明るい。おそらくいまいってもまだ魔物たちは寝てるかもしれないと思い、4人はまだ昼食を食べていないことを思い出し、食事を作って食べたりした。

 

 そのうちに…。だんだん空は暗くなってきて夜になりかけてきた。そこで、サンクたちは、そろそろ屋敷のなかへいってみることにした。ドアの呼び鈴を鳴らしてみるが返事はない。ドアを引いてみたら開いており、「アースさぁん」サンクはそっとドアを開け、呼びかけてみたがやはり返事はない。

 4人はとりあえず屋敷を歩き、きのう魔物たちが寝ていた部屋へいってみた。すると…そこではきのうの魔物たちがまだ寝ており、4人は仕方なく「起きてよ!ねぇ、きのう受けた依頼にいったよ!」と揺さぶり起こした。魔物はハッと眠っていた目を開き、そんなサンクたちに気づいた。

「依頼が終わったって?」

「うん!ロイドってゴーストに会ってきた!」そういわれ魔物は立ち上がり、周りに寝ていた魔物たちも起こした。

「この者どもが手紙を届けてくれたって」

 魔物たちは顔を見合わせなにか声をあげていたが、こちらを向き、「それでロイドはなにかいっとったかね?」ときいてきた。

 4人は微妙な顔をし、「ううん、なにも」「わたしたち渡したらすぐ帰ってきちゃったのよね」といった。

 そういわれ魔物は、「…そうか。まぁ、渡してきてくれてありがとう。そうだ、お礼を渡す約束だったな」となにかを取りにいった。4人はなにをくれるのかとドキドキしながら待った。そして、魔物はもどってくると手につかんでいたものをジャラ、とサンクの手に乗せた。見ると、それは、宝石?がつき、少しくすんでいたものの、金色のネックレス、指輪、ブローチ…その他もろもろの装飾品が一掴みほどだった。

 4人はポカンとしたように、「これは…?」「なんかの金属のくずか?」といった。

 魔物は、「それはこの屋敷の元の持ち主が持っておった装飾品じゃ」そしてそのなかの1つをつまみだし、「ホレ、わしのみたところこれなんかは状態無効の効果があるようだぞ。つまり、眠りや麻痺などあらゆる状態変化の技を受け付けないということだな」といった。

 4人はそれを聞き、驚き、「本当かよ!?」「すげ~…」と目を輝かせていた。4人はバトルで使えそうなそのアイテムに喜んだ。

「わしらが持っとっても意味ないからお前たちが役立ててくれ」と魔物。

「あぁ!」4人はもらった装飾品類をバッグにしまった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。