プチファンタジー・ストーリー   作:クリステリアン

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第31話 エドラント大陸へ

 4人はしばらく海を眺めたあと、あてがわれた客室へといった。

「おっ、ここだ」ドアをあける。「うわっ、狭い…」客室はベッドが4つならんだだけの薄暗くなんとなく湿っぽい部屋だった。ライトがあったのでつけてみたが、粗末な木のベッドにほこりっぽいブランケットがのっているのがよりはっきりわかって4人は引いた。いまのままでは使いたくないということで、4人は部屋のクモの巣やベッドのほこりだけでも綺麗にしようと軽く掃除をした。

 掃除が終わり、「少し船の中を見てまわろう」4人は船の中を歩いた。客室のある通路をすぎると大きな部屋があった。そこは、椅子とテーブルがたくさんあるサロンのような部屋だった。どうやら乗客の多くはこの部屋に集まっているようだ。

 一通り船内を見てまわり、4人は再び甲板へ出た。景色はもうすっかり海の上で、遠くにぼんやりと小さい島らしきものが見えている?くらいで、周りを見ても陸地は見えない。

 きょうの午前10時出航した船は、あさっての昼エドラント大陸に着くそうだ。念動力だけではとても間に合わないので船は帆船だった。乗客数はおよそ200人、あと、先ほどちらっと見たのだが何人かの冒険者が一緒に乗っていた。この船は貨物船ではないのでめったに海賊に襲われたりはしないが、念のため護衛として雇われているのだ。

 その後は食事を食べたり、サロンで休んだりして過ごした。夜になり、4人は客室へいき寝ることにした。だが、自分たちがテントで使っている寝袋のほうがよほどよかったので、ブランケットはどけそれを使って眠った。

 次の日も船は海上を進んでいる。4人は朝食をとりに食堂へいった。この船にはパンや干し肉などの簡単な食事も売っていたが、あまりおいしくなかった。そこで船にはかまどもあったのでかまどを借り、4人はそこで持参した食料を自分で調理し、食べた。

 4人の買ったのは一番安いチケットであり、部屋が狭くて陰気臭いのでよく公共のサロンでカードゲームなどして過ごしたり、甲板に出た。

 海を眺めていると、「あっ、あれ!」サンクは突然あるものを発見して驚いた。「ん?」3人も眺めてみると、そこにはなんと海の魔物がいたのだ。珍しい、ウミガメみたいな手足をした海竜やイルカみたいな魔物……4人はわあっと引き込まれたようにそれを眺めた。

 また船で一泊し、次の日のこと──。することがなかったのでまたカードゲームをしていると、船内に、まもなく船がエドラント大陸に着くという知らせがあった。4人はそれを聞き、甲板へいき外を眺めてみた。すると……はるか向こうのほうにぼんやりと陸が広がっているのが見えたのだ!

「陸だ!」「ついに着いたんだ!」みんなはそれを見て喜んだ。4人は陸地に着くまでずっとそれを眺めていた。

 やがて船は港に到着した。船から降りた4人はあたりを眺めまわした。ここはもうエドラント大陸なのである。この場所は、かつては4人の出身の島とはちがう国だったが、いまはもう同じ国である。わずらわしい手続きも必要なく、通貨も同じだった。昔は言葉もかなりちがったのだが、同じものにいくつも名前があるのは面倒だということで、言葉もすっきり死語にして共通化されていた。そしてこの大陸に探している悪魔はいるという!

 ……でもまぁ、せっかくエドラント大陸まできたことだし、4人はまずは町の観光をすることにした。同じ港町ということで町の雰囲気はアレスポッドとあまり変わらなかったが、店や建物を見てまわったり屋台でパンやら串焼きやらを買って食べたりした。もう節約して食べたいものを我慢する必要もないのだ!夜は町の宿屋に泊まった。宿屋で寝るのは何日ぶりだろうか。

 

 朝となり、4人は宿屋を出て出発することにした。この地方はあまり気候が暑くないということで、フィリナはまた髪を下ろし、タイツを履いていた。それを見て、サンクたち3人はあ~、とどことなく残念そうだった。

「とりあえず、また悪魔のいる場所を目指そうぜ」「え~と、コンパスは…」4人はコンパスを眺めてみると、針は北を示していた。いや、わずかに北東だろうか?

「よーし!こっちだな!さっそく進もうぜ!」

 一行はそちらの方角に向けて歩いていった。町を抜けると爽やかな田園風景が広がっている。風車があり、小さな川が流れている。夕方ごろ次の町に着き、宿屋に泊まった。

 

 次の日の朝、町を見てまわっていると、「あっ、ギルドがある」ギルドを見つけ、4人はなかに入ってみた。なかには荒っぽそうな数人の男のギルドメンバーたちがしゃべっている。4人は受付にいき、ギルドマスターに依頼はないかをきいてみた。

「バッジを」4人はバッジを渡すと、マスターはプレートで調べ出した。

「きみたちいろんなクエストをこなしてきてるね」そして、マスターはいくつか依頼を見繕い、「これなんかどうだろう」と4人に見せようとしていたがそのとき、「大変だー!」男が1人ドアをあけて駆け込んできた。

「いったいどうしたんだ?」

「マスター!牧場の魔物が逃げ出して東の耕作地帯のほうへいったらしいんだ!」

「なんだって!?」

「あぁ、このままだと作物が荒されてみんなだめになっちまう!捕まえるのを手伝ってほしいんだ!」

「う~む…すぐ止めにいかねばならんな」

 マスターは目の前にいた4人とハタと目があった。

「そうだ!きみたちこれからすぐに畑へいって魔物たちを捕まえてきてくれないか!?作物を守ってくれたら報酬を払うから!」と頼まれた。

「おれたちが?」

「なっ?頼むよ!とても困ってるんだ!」マスターと男は4人に頼む。

「そんなに困ってるんじゃ仕方ないな!」

「うむ、困ってるものはほっとくわけにいかないからな!」

 4人はその依頼を受けることにした。

「きみたちも一緒に依頼を受けてくれないか!!」マスターは向こうにいたゴツい3人の男の冒険者パーティにも声をかけていた。

 そしてそのパーティもこちらに連れてきて依頼内容を話す。

「きみたちに守ってほしい耕作地帯はこの辺だ」と地図を指し示す。

「捕まえてもらいたい魔物はこれだ」と絵を見せるマスター。それは、2mほどある大きな鳥の魔物で羽毛目当てで飼われているそうだ。攻撃力が高く気性の荒い魔物だから気絶させても構わないそうだ。

「被害を食い止めた作物の量に応じて報酬を増やそう!さぁ!急いでいってくれ!」マスターはみんなを送り出し、ドアをしめた。

「急いで畑に向かおう!」サンクたちは依頼の場所まで走ろうとしたが、「おぅ、待ちな」冒険者の男に腕をつかまれた。

「っ…なんだよ!?」男たちは腕を鳴らし、「おまえたち本当におれらと組むに値する力を持ってるのか?」「おれらに頼って自分たちはなにもせず報酬だけ貰おうとしてんじゃねぇのか?」「なんだって!?」相手の男たちは、「依頼に向かう前に、ちょっくらおまえたちの腕前を見せてもらうぜ!」なんと4人に喧嘩を売ってきた!「むっ!」ユードーは構え、前に出た!

「こんな依頼おれらだけで十分だぜ!はぁーっ!」「うぉーっ!」ユードーと相手の男たちは殴り合う!相手の男たちもみんな武闘家で、彼らは武闘家(ファイター)だけあってとても好戦的なようだ。

「みんな、こんなことやってる場合じゃないわ!」「そうだよ!早く依頼にいかないと…」が、今度はユードーから離れてきたほかの2人の男が3人に攻撃を仕掛けてきた!「たあっ!」「ワァーッ!」サンクは突然男に殴られ吹っ飛ばされた!「ハーッ!」フィリナとラファエロまで殴りかかろうとされ、2人はギョッとしてたじろぎ、顔を引きつらせた。念力でズべシャッ!と男を叩きつけた!「寄らないで!!(怒りマーク)」男は一撃でノックアウトされピクピクと伸びていた。サンクは起きあがり、「ポロ!チビドラ!」ポロとチビドラは男に飛びかかり体当たりした!サンクも飛びかかって相手の男は「わあっ!」と押し倒される!サンクたちに押さえつけられ身動き取れなかった。ユードーと殴り合ってた男もすでにコテンパンにされ伸びていた。

「あーぁ、まだクエストもこなしてないってのに伸びてちゃ世話ないぜ」

「こいつらどうする?」

「まぁ一応連れてこうか」

 ラファエロが伸びていた男たちにヒールをかけた。男たちのからだが光で包まれ、「う…」と目をさます。

 男たちは4人を見、「お…おまえら、なかなかやるな…」虚勢と畏怖の入り混じったような顔をしていった。

「フン、さっさと依頼先にいくぞ」ユードーはしゃがみそれを眺めていった。

 

 サンクたちと武闘家の男たちは走り、ギルドマスターから頼まれた畑にたどり着いた。するとそこでは……「あっ!!」たくさんの魔物が畑を荒らしていた!作物を食い散らし、走り回っていくらかの作物はすでに台無しだ!

「大変だ!!」「すぐやめさせないと!!」みんなは畑にいこうとする。「その前に一応バリアーを張ったほうがいいです!」ラファエロとフィリナはみんなにプロテクションバリアーをかけた。ラファエロもこの前バリアーを自然習得して使えるようになった。からだが不思議な光で覆われ驚いている武闘家たちだったが、魔物たちのところへ走った。

 そしてみんなは魔物たちを捕まえようとした。魔物たちは素早く逃げたり、こちらに攻撃してきたりするのでこちらも魔物たちに攻撃した!力づくでぶん殴り、逃げる魔物を追い込んで倒し、火やエスパー技で攻撃する!そうしてどんどん魔物たちを気絶させていき、そこらじゅうで暴れてた魔物たちを拘束していった。

「ふぅ、これで見えるところにいる魔物は一通り捕まえたな」魔物たちは全部で20匹ほどいた。

 するとそこへ「おーい!」とギルド職員と農家の男が走ってきた。

「ハァハァ、魔物はみんな捕まえ終わったかい?」

「まぁ、おれたちがきたときにいたのは全部捕まえたつもりだが…」

 農家の男は魔物や畑を見、「だいたい捕まえてるようだな、あとで詳しく調べてみよう」といった。

「農作物も思ったより無事だ。よかった!すぐ牧場に連れもどそう!」

 魔物は農家や近隣住民の手によって運ばれていった。

 

 再びギルドにもどり、マスターはみんなにいった。

「きみたちのおかげで魔物も無事捕まえられたし、畑もそれほど被害を受けずにすんだ。さぁ、これが報酬だ!受け取ってくれ!」

 みんなは報酬を受け取り、金額を数えたりした。

 

「まぁ、おれたちにしちゃ、ちょっと物足りなかったが、今回はこの報酬で納得してやろう」そういってギルドを出ていった男たち。

 それを見ながら、「あいつら随分横柄なやつらだったな」

「わたし物理アタッカーだけのパーティなんてはじめて見たわ、アンデッドでも出たらどうするつもりかしら」

 4人は貰った給金で食事をとりまた町を見たりして宿屋にもどっていった。

 


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