プチファンタジー・ストーリー   作:クリステリアン

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第15話 3人目の仲間

 次の日の朝……

 

 軽く町を散策した後ギルドへ向かった。

 ギルドマスターはサンクたちから依頼をきかれ、ファイルを探し出した。するとそのとき、ドアがあくと男が1人飛び込んできた。

「おい!やつの居所がようやく見つかったぜ!」

 マスターは、「なに!ほんとか!」男のところへいって話し始めた。

「では、一刻も早く討伐にいかなくてはなぁ……」

「あぁ、放っておいたらまた犠牲者が出る」

 サンクたちはなんだろうと顔を見合わせた。

「誰か腕の立つやつで手の空いているものはいるか?」

「待ってろ」マスターは名簿をしばらく調べ、「……ダメだ。この町のやつらはみんな他のことで出払っている……」

「じゃあ他の町に連絡して……」

「きてもらうとかなり料金がかかるぞ」などと話し合い、困った様子だった。

 フィリナは、「どうかしたんですか?」ときいた。

 マスターは「この町に最近ある事件が起こってたんだけど、その事件の犯人の悪魔の居所がようやくわかったのでこれから倒しにいきたいのさ」

「事件?」と3人。

「あぁ、この町では近頃人が朝起きたとき顔が土気色になってとても疲れている現象が多発していたんだ。もともとからだの弱かった人のなかには朝死んでしまっていた人もいたらしいよ。調べた結果どうもそれは夜になると現れる悪魔が寝込みを襲っているものらしいとわかったんだ」

 3人はその話を聞いてゾッとした。

「こえー……そんな恐ろしい町におれたち泊まってたのか……」「おれたち無事でよかったな」

 うんうんと3人うなずきあっていた。

「それでいまその悪魔を討伐してもらう人間を探してるのさ。新たな犠牲者が出ないうちにな」とマスター。

 ユードーが、「それならおれたちがその悪魔の討伐を引き受けよう!」といった。

「えっ!?」マスターと男は驚いた。

「きみたちがかい?」

「だいじょうぶか?」

「あぁ!どうせ仕事を探しにきたんだからちょうどいい!お前らもいいだろ?」サンクとフィリナを振り返った。

「まぁ、そうだけどね」

「早く倒しにいったほうがいいし、力を貸しましょう」

 ギルドマスターは、「それは助かる!いや、ありがとう!よろしく頼むよ。では早速これからお願いできるかな?」といった。「ハイ」3人はうなずく。

 

 マスターは「これが倒してほしい悪魔の討伐書だ」と紙を出した。

「その悪魔はどうやらこの町の南のほうにある石碑からやってくるとわかった。ほらここだ」と地図を示す男。

「よぅし!それじゃあさっそくいこう!」とサンクたち。

「まぁまてまて、あの悪魔は夜にならんと出てはこない、ただし、ある呪文を使えば昼間でも呼び出せるらしい。しかも昼間のほうが弱いそうだ!」

「呪文?」と首をかしげる。

「そう。ああゆうタイプの悪魔を呼び出す方法がこの町には昔から伝わっているんだ。この本のこのページを見るといい」

 3人は覗き込んだ。なにか図形と少し古いタイプの文字で呪文のようなものが書いてある。

「その呪文を悪魔の居つく石碑の前で唱えれば悪魔を呼び出すことができるはずだ」

 サンクは本を受け取った。

 マスターは深刻な面持ちで、「今回の敵はおそらくかなり手ごわいだろう。わたしも一応他のギルドメンバーに連絡をとって応援に向かわせるように計らってみるから、どうかそれまでがんばってくれ!」

 3人は「えっ」と青ざめた。手ごわい!?

「じゃあよろしく頼むぞ!」3人は送り出され、ギルドのドアが閉まった。

 

 

 

「……どうする?」

「もう引き受けてしまったし、いくっきゃないだろ……」

 とぼとぼと向かった。

 

「どんな悪魔だろうな?」

「ま、案外楽に勝てるかもしれん」

「そうだな!それにいざとなったらテレポートもできるし!」

「頼りにしてるぞ!」

「テレポートがあっても必ず逃げ切れるとはいいきれないのよ」

 

 

 

 やがて、町外れにある石碑らしき石のある場所に到着した。

「石碑ってこれかしら?」

「そうらしいな、ここに悪魔がいるわけか」

 昼に悪魔を呼び出すには呪文を唱えればいいといっていた。

 サンクは本を取り出し、「このページみたいだぞ」とフィリナに本を渡した。「さぁ!」「頼んだぞ!」「どうしてわたしが?」背中をぐいと2人に押されてフィリナはたじろぐ。「一番効果がありそうだから」

 

 フィリナは仕方なく本に書いてあるとおり石碑の前で呪文を詠んだ。

「わが呼びかけに答えたまえ・・・悪しき力を持つものよ……ディモンス イノンス……」

 文字が古いので所々読めないところもあった。

「この地に宿る……新月の……この世を悪魔の力によりて……」そして「ミロールエクール……キラントバーラン、その力をわれの前に示せ!」 フィリナは最後まで呪文を唱えた!すると……

「!!」

 あたりが紫色に染まり、ゴゴゴ……と石碑が揺らいだ。とたん、煙が出たかと思うとなにかが石碑から飛び出してきた!「キャッ!」「うわっ!」

 

 3人が見ると、そこには黒っぽくてガスのような悪魔がいた。悪魔はローブをまとい鎌を持った人間の形によく似ていた。ローブのフードから骸骨のような顔がのぞく!

「これが悪魔か!」

 悪魔はいきなり、3人の目の前にふわりと降り立つと、ブン!と鎌を振り回した!

「わあっ!」「キャッ!」

 3人は身を引いたが間に合わず、ダメージを受けた。

「ハァ……ハァ……」

「すごい威力だわ!」フィリナは手を振って全員を回復させた。物理的な鎌ではないので外傷はなかったが、攻撃されると体力を大きく削られた。

 ユードーは「うおりゃああぁ!」とパンチを繰り出すが、敵のからだをすり抜けてしまう。?と思うユードー。

「なんだ……?当たった感覚がない……もしかして物理攻撃が効かないのか?」

「えぇ、その悪魔はアンデッドだわ!」

「アンデッド?」

「死にきれずに存在してるってこと」

 

 悪魔は今度は口をあけ、そこから黒い霧を吐き出した!

「うわあっ!」サンクたちはまたダメージを食らった!なかでもユードーは倒れる寸前の大ダメージだ。思わず耐え切れなくてユードーはしゃがみこんだ……。

「ユードー!」「くっ……おれとしたことが……」と悔しそうなユードー、「ヒーリングオール!」フィリナはまた回復し、ユードーは動けるようになった。

「このブレスは闇属性技だわ!アンデッドが使う闇属性の効果は絶大なの!ユードー!この敵にあなたは役に立たないから後ろへ下がっていて!」「な……っ」ユードーは納得いかなそうだったが、そのとおりなので、おとなしく後ろへ下がっていった。

「サンク……アンデッドには火が効くわ」「ホントか!?チビドラ!」サンクはチビドラに火を吐かせた!

 悪魔は火の攻撃を受けのけぞった!フィリナも火のロッドで攻撃しようとしてロッドを取り出し構えた、が、また悪魔が鎌を振りかざし、ダメージを食らってしまった!フィリナはまた回復した。

「ライトバリアー!」光で全員のからだを包む。だが、それでも敵の攻撃はかなり激しく、一度攻撃されるだけで大ダメージを受け回復が必須だった。主にチビドラの火で攻め、フィリナもスキを見て技を使うこともあったが、たいてい回復に追われて攻撃をする暇はほとんどなかった。敵のHPも結構高いようで、なかなか大きなダメージは与えられていなかった。

「……このままじゃMPが持たないわ。あと1人くらいいないと追いつかない」フィリナはくっと唇をかみ締めた。

 

 サンクたちが悪魔と戦っていると……ふっと悪魔の姿が消えた。2人はびっくりしてあたりを見回した。すると……離れた場所にいたユードーの前に悪魔は現れ、口から黒いブレスを吐いた。

「うわぁぁ!」「ユードー!」ユードーはブレスを受け倒れてしまった。

「テレポートしたのか!?」「あれは、からだを透明にして移動したみたいだわ!」2人はユードーの元へ走り、フィリナは回復してあげた。「うっ……なんであいつおれのところに……」気がついたユードー、「多分、一番自分の攻撃が効く相手だとわかって狙われたのね」「なんてことだ!」この悪魔は、相手が一番弱いと見るや否やその相手をわざと狙いにくる鬼畜であった。

 

 悪魔はまた黒いブレスをはいてきた!

「わあっ!」全員大ダメージ!ユードーの分も回復してさらにフィリナの負担が増えた。

(なんとしてもテレポートするだけのMPは残しておかなければ……)フィリナは戦闘中、常に味方の身の危険に気をくばっていたが、今回は撤退することも視野にいれはじめた。

 サンクはチビドラに攻撃させ、フィリナも敵の攻撃のたびに回復していたが、それももう限界が近づいていた。そしてまた敵の黒いブレス!サンクが技を受け倒れかける!

 

「ヒーリングオール!」

 

 突然、白い光がサンクたち全員を包んだ。からだの疲れが回復するサンクたち……。サンクたちが振り向くと、そこには杖を持ち、帽子をかぶり白いローブを着た少年が立っていた。

 

「きみは……」

「たまたまこの近くを通りかかったら、あなたがたが悪魔に襲われているのが見えたもので……戦っていたんですか?」

「あぁ!うわっ!」また敵が鎌を振りかざしてきてサンクたちはダメージを受けた。少年は手を振り回復してあげた。フィリナが、「わたしたちを助けてくれる!?わたしたちが攻撃をするからあなたは回復をお願い!」

 そしてサンクとフィリナは敵に向かい技を放ちだした。敵も攻撃してくる!新たに現れた少年はダメージを受けたサンクたちを回復してあげた。サンクはチビドラの火のブレス!フィリナは火のロッドで攻撃したり、光属性攻撃したり、はたまた回復技を敵にかけたりして攻めた!敵も攻撃してきてそのたびに少年は回復!サンクとフィリナもどんどん敵に攻撃し攻め続けた!悪魔はだいぶ弱っていたが、こちらも消耗しかけていた。

 

 そうやって攻撃を繰り返しているうちについに……

 悪魔は「クファァ……」からだをのけぞらせ前に倒れ掛かると同時にシュウゥ……と消えてしまった。コロン、と魔石が落ちる。

「やった!」喜んで魔石を拾った。戦いはかなり時間がかかり、チビドラのブレスもエネルギー(PPである)がつきかけ、フィリナのMPももうほとんど空となっていた。

 

 サンクたちは少年のほうを向いた。

「助かったわ!あなたがいなかったらわたしたち、とてもあの悪魔を倒しきれなくて撤退してたところだわ」

「いいえ、お礼には及びません。お役に立てたみたいでよかったですよ」

「きみの名前はなんていうの?」

「ぼく、ラファエロです。回復専門のエスパーなんです」

 

 ラファエロは、癖っ毛の薄茶の髪に緑色の目のかわいい顔をした少年だった。ユードーほどではなかったが、サンクやフィリナより身長は高く、年齢もそのくらいだと思われる。

 なんでも、ラファエロは立派なエスパーとなるべく修行をしているそうだ。

「この近くに住んでるのか?」ユードーにきかれ、ラファエロは、「家はこの町からわりと近いですが、いまは修行中で旅をしているところなんです」と答えた。それを聞くや否や、ユードーとフィリナは、「それならおれたちと一緒にいかないか?」「そうよ!わたしたちの旅に付き合って修行すればいいわ!」と左右から腕をつかんだ。「えっ、えっ?あの……」とラファエロは戸惑うが、2人は強引にユードーを仲間に引き入れた。サンクはそれを見て苦笑いを浮かべていた。

 

 4人は町まで歩いていった。

 ラファエロによれば、「あの石碑の下には死体が埋まってるというもっぱらの噂なんです。なんでも昔の有名な悪魔研究家の死体を祭った石碑だとか」ユードーはそれを聞き、「ハァ~ッ、悪魔が沸くわけだ」「もう今後は2度とあそこに悪魔が住み着かないように、あの石碑を清めるようにいっておきましょう」

 

 

 

 もうすぐ町に着くというとき、町から3人ほどの男たちがかけてくるのが見えた。サンクたちは、彼らの会話や石碑のほうへ向かうらしいのを見て、もしかしたらと思って声をかけた。

 「あのぅ、石碑にいた悪魔ならついさっきおれたちがやっつけましたけど」男たちは振り返り足を止め、「なに!?それは本当か!?」「はい」と魔石を見せる。「そうか、一足遅かったようだな」

 男たちはギルドマスターの連絡を受け、急いで用事をすませ、サンクたちの助っ人にやってきてくれたようだ。そしてサンク一行とその男たちは一緒にギルドに戻った。

 

 

 

 ギルドマスターに悪魔を倒したことを報告し、魔石を見せた。

 ギルドマスターは魔石を確かめ驚いていた。

「こりゃ本当にあの悪魔の魔石だ。いやぁ、ありがとうよ、きみたち。これで今夜から我々も安心して眠れる」

「うん、今回の悪魔はかなりの強敵だと思っておれたちも手のあいたメンバーを探して応援によこしたんだがなぁ」

「実をいうと、あと少しで危なかったんです。このラファエロがちょうどきて助けてくれたから勝てたんです」

「おぉ、そうか。それは大変だったな。それじゃ報酬を受け取ってくれ!」

 サンクたちは報酬を受け取った。

 

 ラファエロはギルドマスターたちにあの石碑に悪魔が沸いた原因と、石碑の清め方などを指示していた。サンクたちは助っ人にきてくれた男たちと話し、男たちがこの町ではわりとレベルの高いギルドメンバーであり、ぜひ町に残って自分たちと組んで仕事をしないか?と誘われたが、あいにく旅をしなければいけないので……と断った。

 

 

 

 4人は宿にいきからだを休めた。


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