サンクたちははまた新たな町へと旅立った。そして立ち寄る町の先々でさまざまなクエストを引き受けこなしていった。サンクは自分の持つ魔物のポロやチビドラに興味を持った。戦うたびにどんどん強くなっていっているのだ。一応エスプの修行も続けていたものの、相変わらずサンクができることはフィリナに借りた杖で、たいまつ代わりにもならない弱い光を出すことだけ。成果の出ないエスパーの修行より魔物にどんどん心が引かれていった。
魔物というのは育てればいろいろな技を覚え、人間に遜色ない強さになるらしい。この前の氷の悪魔のときもそうだったが、魔物はフィリナには使うことのできない属性攻撃をできたので、バトルでもとても役に立ってくれた。バトルの仕方も剣よりもむしろ魔物を指揮するほうがメインになっていった。また、そうした戦い方はサンクにとってとても生きがいを感じた。
そんな風になっていったサンクを見てフィリナは、「魔物は連れ歩くものではなく召喚するものよ」といった。聞けばフィリナもいくつかの召喚獣と契約しているらしい。ただし召喚できるのはテレパシーでフィリナの呼びかけを受け取ることができ、テレポートできるものに限られるそうだ。召喚獣とはようは魔物なのだが、彼女はその名前で呼んでいた。
「今度見せてあげるわ」とフィリナ。
そしてその機会はすぐにやってきた。新たに立ち寄った町でまたクエストをうける。なんでも、近くの土地に悪魔が大量に発生して住民が困ってるらしい。その町のギルドには2人のほかにも何人もの冒険者がいて、ギルドマスターは全員に指令を出した。
「依頼の場所の悪魔を1人3匹以上倒すこと!」
そのギルドにいたほかの冒険者たちやもちろん2人も急いでその土地に向かった。報酬は早い者勝ちだそうだ。
そして2人はいわれた場所にきた。「悪魔はどこにいるんだ?」2人はあちこち探す。
途中、ほかの冒険者たちがすでに悪魔と戦っているのを見た。
うかうかしていられない!と急いでそこらじゅうを探し、少し遠くまできたとき、「あっ!」2人はそこにいくつもの悪魔が漂っているのを見つけた。
悪魔たちは2人を見つけると、襲い掛かってきた!サンクは驚きあわてて剣を取り出し、ポロとチビドラを向かわせた。6匹以上はおり、ちょうどこれを倒せば報酬は貰えそうだった。
「ポロ!チビドラ!そっちからもきたぞ!攻撃するんだ!」
フィリナは「フフフ、わたしの召喚獣を呼び出すときがきたようね」といった。
サンクは、「フィリナ!なにしてるんだ!早く手伝ってくれ!うわっ!」悪魔に襲われそうになって驚いてよける!
「待ってて!いま召喚獣を呼び出してやっつけるわ!それまで援護を頼むわね!」
そしてフィリナは手を交差させなにやら集中しはじめた。「親愛なる友よ……わが呼びかけに応じよ……」祈るフィリナ、サンクは悪魔に四苦八苦!魔物にあちこち指図し、自身も剣を振りまわし追い払った。
「フィリナ!まだか!?」と襲いくる悪魔に手こずりながらきくサンク。
「時間がかかるのよ、話しかけないで」
フィリナは祈り続ける。
そしてやがて目を見開き、「出でよ!ルシアランティス!」と両手を広げた。
白い猫みたいな宙に浮く魔物が森のなかで光を発した。「どんな名前だよ……」とサンク。
そしてフィリナの目の前に光が現れその光が渦を巻いた。渦のなかから白い魔物が現れポーズをとった。
「聖なる光によりて裁きを与えよ!エクサルクス!」
フィリナの呼び出した魔物は力をためると天高く飛び上がり悪魔めがけて無数の光線を放った!
ダメージカンスト!怒涛の攻撃!あたり一面輝くド派手な技だった。
登場シーンも長かったが、技を出すのも長い召喚獣であった。
約1分の攻撃が終わりフィリナは「ありがとう」とお礼をいい召喚獣はテレポートで帰っていった。
そして気づくとそこにいたすべての悪魔が煙のように消え、次々に魔石となった。サンクはあっけにとられ、フィリナは魔石を拾い集めた。「やったわ!これで2人分の報酬がもらえるわ!」とよろこんだ。サンクは、「なんかいろいろとすごいな」という。「ええ!さぁはやくギルドに戻りましょ!」
2人は町のギルドに戻り魔石を渡すと報酬を得ることができた。
サンクはきょう初めてフィリナの召喚獣を見せてもらい、なんか自分の魔物とは世界が違う気がした。なんだあの魔物の使う技は!!やりすぎだろ!!それにあの技の名前って一体──!?