ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~   作:三途リバー

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ジャックは兄さんマジラブ2000%です。


感想欄で、ジャックは地球に来た時は既婚だったという情報を頂きました。しかしこの小説では独身という設定でお願いします。

情報を下さった多くの方々、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。


胃より心臓

「…あー…俺だけじゃキツイかぁ…」

 

ジャックのブレスレットを弄びながら1人溜息をつく。これは近接戦闘が苦手なジャックを支える為に、俺が基本能力を設計、光の国随一のマッドサイエンティストが開発したバケモノ兵器だ。いくら図面や作りの大元を理解しているとは言え、ここまで調子が悪いと1人じゃ手に負えん。

 

「アイツも任務に行ってるもんなー。どーしよ。」

 

開発者である不健康女は今は不在。こうなりゃ残された手は1つ。

 

ウルトラ念力による共振感度を極限まで増幅、接続の悪さを補うしかない。しかしこれにも問題がある。

俺とジャックの念力の力量差である。

自分で言うのもアレだが俺の念力は警備隊でもぶっちぎりと言っていいだろう。光線撃てなくなってもアイスラッガーは飛ばせるくらいだし。ジャックも下手な訳じゃねぇんだが…いかんせん俺を元にしても意味がない。仕方あるまい、ジャック本人に手伝ってもらおう。携帯って便利。え?ウルトラサインを使え?あれは遠く離れた星から星への連絡手段なんだよ。

 

「あー、もしもし?ジャック?セブンだけど。ブレスレットの事でちょっと第三研究室まで頼むわ。おう、分かったー。」

 

5分ほどかかるそうだ。その間にコーヒーでも入れてやるかね。

 

 

 

 

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「お待たせしました、兄さん。忙しい中すみません。」

 

「いやいや、構わねぇぞ。開発者(ヒカリ)がいねぇからコレいじくれるの俺だけだしな。取り敢えず掛けてくれ。コーヒーは砂糖2つでいいよな?」

 

「何から何まですみません…頂きます。」

 

ジャックの性格を地球の言葉で表すなら、大和撫子。ガキの頃から見ているが、佇まいから動作から全てが綺麗だ。

言動も女性らしく、髪の色も相まってまさに白百合って感じだなぁ。

 

とと、俺は批評をする為にジャックを呼んだんじゃない。こいつの今の念力の強さを測り、それをブレスレットにプログラムする為だ。

 

「はふぅ…美味しいです、ありがとうございます。」

 

笑顔が眩しいっ!

 

「良かった。んで本題なんだが…」

 

 

 

 

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私が兄さんにウルトラブレスレットを貰ったのは、ベムスターに敗れた時です。スペシウム光線すら吸収してしまう宇宙大怪獣に吹き飛ばされながら、私はふと兄さんの言葉を思い出しました。

 

『俺達にとってのエネルギー源は勿論プラズマスパークだ。けど地球で活動する場合は太陽光が代替品になる。』

 

傷だらけで地球から帰ってきて、退院したてなのに私の所へ来て教えてくれたのは、昨日の事のように覚えています。そこで私はさらなる力を求め、太陽に向かって飛んだのですが…

その…情けなくも、兄さんのようにプロテクターから直接エネルギーを取り込むことが出来ないのを忘れていて…ううっ、今思えばかなりの黒歴史です…

 

 

「おーい。ジャックー。聞いてるか?」

 

「っ、すみません!つい考え事を…」

 

わ、私としたことが。兄さんが私の為に時間を作って下さっているのに、なんて失礼な…

 

「あれ?」

 

「んあ?どしたん?」

 

「あ、いえ!何でもありません!」

 

…………良く考えてみれば、今…密室に、2人きり…?

 

「ぅぅ…///」

 

「大丈夫か?なんか恥ずかしい事でも思い出したか?」

 

ニヤニヤしながら兄さんが問いかけてきます。全く、鈍感かと思ったら変な所でズレて鋭いんですから…まぁでも、女 の 子 か ら !

人気のある兄さんが恋愛方面に鋭かったらそれはそれで嫌ですけど。

 

「んじゃまぁ、始めるか。ジャック、手ぇ握って良いか?」

 

「ふぇぇぇっっ///!?!?」

 

い、いきなり何を!?はっ!これはもしかして、ブレスレット修理を口実にとうとう兄妹の一線を越えるための呼び出しっ…!?

どどっ、どうしましょう!不肖ジャック、兄さんの為なら純潔でもカラータイマーでも捧げる覚悟ですが、幾ら何でも急過ぎますっ!お風呂にも入っておきたいですし、髪の手入れもいつもより丁寧にしておきたいですし、それからそれから…!!

 

「あのー…ジャックさーん…?」

 

「ふぁいっっ!!」

 

「いや、念力の感度設定をしたいから手を回線代わりに俺と繋いでくれって事なんだが…嫌か?」

 

……………恥ずかしすぎますっ!!なんですか、私がいやらしい女みたいじゃないですかっ!

手を繋げるのは嬉しいですけど!

嬉しいですけど!!

 

 

 

 

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はぁ…大きいなぁ…兄さんの手。大きくて、暖かくて、いざと言う時には力強くて…

 

なんか、変な気分になってきます…///

 

「兄さん。」

 

「なんだ?」

 

「このブレスレット、私の宝物なんです。強力な武器っていうのもそうですけど、何より兄さんが私の為に考えてくれて…私に手渡してくれた物ですから。」

 

無様に太陽の引力圏内に巻き込まれ、飛行制御を失った私を横から抱きとめてくれた姿が今でも忘れられません。

 

『この馬鹿!地球もそりゃあ大事だがな、同等以上にお前も大切なんだよ!無茶すんじゃねぇ!!』

力強く私の事を抱きしめながら、そう言ってくれた。嬉しくて、嬉しくて…

 

「おう。それほど言ってくれるなら考案者冥利に尽きるってもんだ。」

 

ふふ、考案者かぁ。

まだ見習いだった頃から、自分に自信が持てずにいた私。シル姉さんはそんな私に修行をつけてくれ、兄さんは常に近くで支えてくれていました。近接戦闘が苦手な私の為、そして兄さん曰く並外れた動体視力を活かすために考案してくれたのがウルトラブレスレット。

自分の力は他の警備隊員に劣っている。そんなコンプレックスを払う意味も、今考えてみればあったんだと思います。

 

『これは遅くなったが俺からの着任祝いだ。お前の動体視力を活かす槍にも、なんか知らんが憧れてた切断武器にもなる万能武器…威力は保証しとくぜ?なんたって一番近くでお前を見てきた俺が考えたもんだからな!だがこれだけは忘れるな。使うのはお前だ。お前が使われるんじゃない。そしてこれは暴力として振るうんじゃない。守るための力だ。』

 

なんか知らんって兄さんに憧れたからですよとか、一番近くってすごい照れますとか、言いたいことは沢山あったけど…

 

『ありがとう、ございますっ…!』

 

嬉しくて、それしか言葉が出ませんでした。

 

 

「兄さん…私、幸せです。こんなに妹思いのお兄さんを持って。」

 

「はは、俺だって幸せだぜ?ちゃんと想いが通じ合う妹をもってさ。」

 

むぅ…通じ合うって言うのは少し違います。兄さんの想いは妹に対してじゃないですか。私は、私は…

 

「好きです、兄さん。」

 

「っ…お、おう!俺もだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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修理は終わってジャックは帰った…が。

 

『好きです、兄さん。』

 

くそ、ドキッとしちまったじゃねぇか…ジャックは俺の胃に優しいけど…たまにホントに色気、つーか艶を感じる。

 

あー……心臓には、悪いな…

 

 





はい、てなわけでジャック回。女性の一人称がむずくて手こずりました。


今後の予定はタロウ、現在のシルの話を書いてその後レオ編に行きたいと思っておりますが、ネタのリクエストとかあればじゃんじゃんお願いします。まだ出てきていないキャラでも、モーマンタイ。

*ただ筆者はギンガの途中から見ていないので、十勇士とかエックスとかオーブとかはわかりません。

リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?

  • 5姉弟時代
  • 6姉弟〜レオ指導時代
  • メビウス時代
  • ゼロ誕生以降、ベテラン時代

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