ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~   作:三途リバー

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番外編ばかりの更新ですいません…でもどうしても、どうしてもこれだけはやっておきたかったんです…。


大いなる陰謀 IN 胃痛時空

マイナス宇宙、衛星ゴルゴダ。

暗黒に覆われたこの星で、6人の姉弟がとある宇宙人と対峙していた。

 

「モルド、ジュダ!ギンガ達に倒された筈じゃ…! 」

 

「誰だァ、そいつらは…!」

 

真紅のマントに身を包む姉弟の末妹、タロウが叫ぶ。だが相対する2人のグア軍団幹部は不明瞭な言葉と共に得物を振りかざすのみ。

 

「根っからの悪党に何を言っても無駄です。それに、生き返ったと言うならば切り刻んで怪獣墓場に叩き戻すまで」

 

血の気の多いエースの言だが、異論を差し挟む者はいない。

かつて全宇宙の支配を目論見、敗れてなお怨念の集合体としてウルトラ戦士抹殺を掲げたグア軍団の生き残りなのだ。情状酌量の余地はない。

 

「6人全員揃ってってのも久し振りね。景気よく行くわよ!」

 

「油断するなよ、アンドロ警備隊を散々苦しめた連中だ」

 

「ここで止めなければ、再びグランドキングが…!そんなことはさせません!」

 

「その通りだ。全員、気合いを入れろ!何としてもここで方を付ける!」

 

マントが翻り、暗闇を晴らすように光が辺り一面に広がっていく。

 

「うぬぅ…!?」

 

あまりの輝きに目を塞ぎ、数瞬立ち尽くすモルドとジュダ。

2人が目を開けた時、眼前に立ち塞がるは鋼鉄に身を包んだ伝説の戦士達。

 

 

 

光の使者、タロウ。

 

血化粧の姫君、エース。

 

白麗の流星、ジャック。

 

不倒の輝刃、セブン。

 

始まりの戦士、シル。

 

そして宇宙警備隊隊長、ゾフィー。

 

 

 

 

我ら、栄光のウルトラ六姉弟――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「はぁッ、はぁッ……コスモミラクル光線は、やり過ぎたかな…。エネルギー、使いすぎ、ちゃった…」

 

「いや…出し惜しみすべき相手では、なかった…。正しい判断だったぞ、タロウ…ぐッ…」

 

死闘の末、勝利を収めたのは姉弟達だった。

しかし流石は悪魔のグア軍団、姉弟の力をもってしても決め手を欠き、エネルギーのほとんど全てを結集したスーパーウルトラマンとなって漸く完全に消滅させることができた。

 

「あ” ーーーー… スーパーウルトラマンってこんなに疲れたっけ…私も歳かな…」

 

「お前それマリーさんの前で言ったらマザー破壊光線で粉微塵にされるぞ…。まぁ冗談はさておき、新手の奇襲が来たら不味いな。衛星の調査はまた後回しにして、今は一旦引くべき…ッ!?!?」

 

異変に真っ先に気付いたのは、セブンだった。力の使いすぎで変身が解除されたにもかかわらず、突如として感じた濃密な()()から姉妹を庇うように前へ出る。

 

「ほぅ、この時代にも中々出来る奴がいるらしい」

 

「その野性的なまでの戦闘勘は健在ですねぇ、セブン教官」

 

黄金に輝く空間から現れる、2人のウルトラマン。

銀色の鎧に血走ったような赤が散りばめられた女。

透き通るような蒼さにの奥に、仄暗い瘴気を押し込めた青年。

 

「ベリアル…!?」

 

「トレ、ギ…ア…?」

 

驚愕に固まる6人を他所に、2人は悠々と歩を進める。

 

「あのじゃじゃ馬が随分大人しくなったじゃないか。なぁ、光の使者、ウルトラマンタロウ」

 

「嘘だ…お前は、タイガが……いや、それよりその姿はっ!?」

 

「タイガ?はっ、私の研究していたあの装置がどうした?」

 

どのような苦境においても、決して笑顔を絶やすことがないタロウが悲痛な声を絞り出した。

道を違え、息子により全ての因縁に終止符が打たれたかつての親友…安らかな眠りを願い、誰にも知られぬよう光の国にひっそりと墓まで建てたというのに。

 

「スターマークなんぞ付けて、偉くなったもんだなぁゾフィー?俺の居ない警備隊で威張り散らして楽しいか?」

 

「ッ…貴女の…いや、お前の存在を忘れて権力に身をやつしたことなど1度もないぞ、ベリアル…!」

 

 

「あんたら…!」

 

「グア兄弟と同じく歴史のどこかで分岐し、時間軸を越えてここへやって来た…いや、送り込まれたのでしょう。私達の知る彼女達とは別人です」

 

冷静に状況を分析しながら生身のままジャックがウルトラランスを構えた。最早姉弟達にはスパークアーマーを纏うだけの力も残されていない。

 

「はッ、弱ったゴミ共の相手じゃたかが知れてるが… 少しでも俺を、楽しませてみせろォ!!」

 

「はァァァア…!!」

 

「くっ、どこの時間軸でも自己中心的で傍迷惑な性根は変わらないようですね…!」

 

エースもブレードを生成するが、その切っ先は疲労により微かに揺れている。

 

「はッハァ!!アブソリューティアンの力、テメェらで試させてもらーーーーッッッ!?!?!?!?」

 

ベリアルの笑い声が、途絶えた。その土手っ腹には、真紅の拳が深々と突き刺さっている。

 

「ォッ……が………!き、さ………………!!!」

 

 

誰の家族が、ゴミだって?

 

 

「ッッ!?!」

 

慌ててトレギアが回避行動を取ろうとするが、遅い。

ベリアルが血反吐を吐きながら膝を突く頃には、トレギアははるか後方の岩盤にその身を埋め込まれていた。

 

「過去の時間軸から来た貴様らは知らんだろうがな、ウルトラマン(俺達)だって日々進化し、新たな技を身に付けている。大切なものを守る為に…二度と失わないために…」

 

光の国最強と呼ばれる念力をもって、自身の身体すら限界を超えて()()…。

 

「セブンお前…!その技はッ!!!」

 

「あんたねぇ、()()は姉弟連名で封印したでしょ!!!いくらなんでも…!」

 

「いや…止めて下さい、兄さん、お願いします、兄さんっ!!」

 

自我を持つ傀儡(WILLING DOLL)

姉妹達の制止を振り切ってまで不倒たらんとするその姿こそ、ウルトラセブンがウルトラセブンたる所以である。

 

「面、白ぇ……テメェをバラして、その大切なものの心ごとへし折ってやる!!」

 

「そうまでして守護者を気取るか、ウルトラマン……!!」

 

憎悪とともに黄金のエネルギーを迸らせる2人を前に、再び鎧を纏ったセブンは不敵に笑う。

 

 

 

 

「俺の目の前で姉妹(きょうだい)に手を出そうなんざ…2億年早ぇ」

 

 

 

 

To be continued……




続くとか書いたけど多分続きません、本当にありがとうございました(土下座)

この時空だとセブンが暴れまくるし後々親父に手ェ出してんじゃねぇとか言いながらゼロも乱入してくるし恐らく大いなる陰謀はここで潰えます。やったねアブソリュートタルタロスちゃん!!!

あと、この時系列のウルトラ姉弟は皆少し大人びています。セブンも普段は口調が固くなっていますが、最後の場面ではそれが若い頃に戻るほど燃えている感じです。

トレギアに関しては追追設定を付け加えていこうと思いますが、基本色々考えすぎて闇堕ちしたタロウのストーカーという解釈で大丈夫です

リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?

  • 5姉弟時代
  • 6姉弟〜レオ指導時代
  • メビウス時代
  • ゼロ誕生以降、ベテラン時代

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