ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~ 作:三途リバー
かつてないほどのスランプが三途リバーを襲う!!
いやもう、驚くほど筆が進まないっす…誰か助けて…。
「うっ、うっ…お母さんっ…お母さぁぁぁぁぁん!!」
廃墟と化した集落に、宇宙人の子供の叫びが響き渡る。事切れた母親を幾度も幾度も揺すり、声をかけ続ける。
「餓鬼は高く売れる、傷を付けねぇように縛り上げておけ。」
その幼子を取り巻くのは、連合の者と思しき宇宙人達だった。地球、光の国だけではなく、星雲中の国が現在侵攻を受けているのだ。
「いいんですかい、お頭?メフィラス星人が勝手な行動は禁止って…」
「はっ、構うこたねぇよ。この連合の発起人は確かに奴らだが…あいつらは上下関係のない横の組織を作ると言ったんだぜ?人身売買程度がバレた所で、建前上一構成員でしかない奴らに俺達を裁く権利はねぇ。ほら、さっさと連れてけ!」
「やだぁ!嫌だぁぁ!!」
「オラ、暴れんじゃねぇ糞ガキが!」
遺体から強引に引き剥がそうと、1人の宇宙人が腕を掴む。抵抗しようと力を振り絞る幼子だが、子供の力ではどうにもならない。ズルズルと引き摺られて行こうとした、その矢先。
「ところで、発起人どうこうの話もちっと詳しく。」
少年の口から、あっけらかんとした言葉が飛び出した。
「はっ?何言ってやが…ぶぐぅぉぁっ!?!?」
『!!』
腕を掴んでいた手が、宙に飛ぶ。幼子の手には、いつの間にか大刃のナイフが順手で握られている。
「あぁ、嫌だ嫌だ。死体に1時間もしがみついてたのに釣れたのはこんな雑魚か…。だがまぁ少しは甲斐があったか?」
「てっ、てめぇ…!何者だ!餓鬼に化けてやがったのか!」
「そんなモン見りゃ分かんだろ馬鹿共が。俺が話を聞きてぇのはそこのボスだけだ。後は要らねぇ、とっとと失せろ。」
その言葉の終わらぬ内に幼子は…いや、それに化けていた男は、手近な1人を切り倒していた。
顔の左から叩き付けるような斬撃を受け、宇宙人は悲鳴と共にのたうち回る。銀色のヘッドギアには返り血が飛び、深紅の足が目の前に転がる宇宙人の顔を踏み潰す。残酷なまでには力の差を見せつける男の様は、悪鬼としか言いようが無かった。
「忠告は1度だけだ。…失せろ。」
地の底から響くような声に、連合の者達は散を乱して潰走する。
地にへたりこんだ頭目と男だけを残す、見事なまでの逃げっぷりだった。
「さてと…「ま、さか…」あん?」
「『無貌のレジア』…警備隊最悪の、化け物ぉっ…!」
「人を化け物呼ばわりはいかんぜ、三下。ところで、俺ァさっきの話の続きを聞きたいんだが…」
ウルトラマンレジア。武勇の誉れ高き宇宙警備隊勇士司令部において、副長官を
その最たる能力はありとあらゆる生命体に変身できること。
顔貌や年齢、性別も自由自在、果てはアメーバ状の不定形生物にすら完璧に化ける彼は、かのウルトラ姉弟以上に敵対者に恐れられる。
潜伏捜査はお手の物で、警備隊に入ってくる膨大な情報の三割方は彼の手によると言われるほど。
容姿も性別もはっきりとした情報が出回らず、それゆえいつか着いた二つ名は『無貌』。
警備隊隊長たるゾフィーが、年下の彼に敬意をもって接するという事からも、その実力は押して図るべしである。
「話す、話すからぁっ…!」
「まずは今回の首謀者だ。メフィラス星人、マグマ星人が中心か?」
「メフィラス…リーネだ。奴が言うには、今まで地球がその平和を保ってきたのは一重にウルトラマンの働きによる。そこでまずは徹底的にウルトラマンの戦力、特にウルトラ姉弟を各個撃破して光の国を行動不能に。他所に手を出す余裕がなくなったところで地球を墜すと…。その計画を、宇宙各地を荒し回ってたマグマ星人に持ちかけて、それから人脈をたどって…」
「マグマ星人の人脈だと?」
「あ、あぁ、あの女は人身売買や宇宙麻薬の取引、戦争兵器の開発やら悪事になら何でも手を染めてて…その過程で知り合ったバルタン星人やテンペラー星人を誘ったんだ。俺たちに話が回ってきたのは…L77星が落ちる直前、ウルトラセブンの地球赴任が確定した頃で「なに!?」ひっ!」
思わず、レジアは怒鳴り声を上げた。
当然ながら答えは一つ。
「裏切り者はッ…警備隊内にいる、テメェらのスパイは何処の何奴だァッ!!」
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「ふふふ…七転八倒、思う存分楽しんでね?
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オマケ
○万年前の胃痛持ち
「ふぅ…」
ため息と共に、ケンはその身をソファへと沈めた。目を閉じれば瞼の裏で光が明滅し、異物感が喉へせり上がってくる。
この半年、彼は激務による極度の疲労に襲われていた。朝から昼にかけては尋常ではない量の書類仕事に精を出し、昼から夕方までは後輩達への実技指導。最近は食事をとる間すらも怪獣出現の報に奪われ、帰還した途端に報告書が彼を待ち構えている。深夜でも避難警報に叩き起されるうち、不眠症まで患った。
最後に熟睡したのはいつの事だったろうか…そんな詮無い事を考えていると、ふと顔がなにかに包まれる感触があった。
「…?」
柔らかく、暖かい。あまりの心地良さに身を預けきるうちに、光の明滅が消えていった。
(これ、は…。)
母性すら感じる感触に意識を持っていかれそうになるが、ギリギリの所でケンは踏みとどまった。この素晴らしき癒しの正体を確かめるべく、目を開き…
「ん…」
「ふふっ、くすぐったいわ、ケン?」
「!?!?!?!?!?」
驚愕と共に納得した。
そりゃあ母性も感じるわ、だって母性の塊だもの、と。
「ここ最近、ずうっと働き詰めでしょう?私の力で少しは楽にしてあげられるといいのだけれど…」
己の顔を胸でつつみながら、銀髪の乙女がそう呟く。
彼女の口からこぼれ落ちる一言一言が甘美な響きを含み、ボロボロの身体を癒していく。
「マ、マリー…その、君は女性なんだ…こんな事、男にするべきじゃないだろう…」
襲いくる眠気と男としての欲望に必死に抵抗し、なけなしの理性で言葉を紡ぐ。しかしそれに対してマリーは優しく微笑むだけ。
「誰にでもなんてしないわ。」
「それ、は…どう…いう…」
「そのままよ。ほら、おやすみなさい…貴方は頑張りすぎなのよ、私だけの
彼女の言葉の意味を理解する間もなく、ケンの意識は深い闇へと…
「おいこらマリィィィ!!堂々と抜け駆けしてんじゃねぇッッッ!!!」
落ちなかった。
重厚な金属製扉をご自慢のクローでぶち破り、部屋へ乱入してきたもう1人の女性が大声で吼える。
「あら、ベリアル。今ようやくケンが眠れそうな所だったのに…人の事を考えられないわね、相変わらず。」
「んだとォ!?」
ベリアルと呼ばれた女性が、所々赤が混じった美しい白髪と爪を振りかざすも、涼しい顔でマリーは返す。
「ケンの不眠と疲労は貴女のその野蛮さが原因ではなくって?」
「おい、そうやってすぐ「ほら、寝てていいのよケン?」むぐっ!?」
口を挟もうと起き上がったケンを再び胸の中へと沈め、勝ち誇った顔でベリアルを横目に見るマリー。
「てッ…めぇ…!!」
一方のベリアルは噴火寸前、すぐにでも腕を十字に組まんばかりである。
「俺が原因だと!?俺は本部で待ってるだけのテメェとは違うんだよ!ケンの背中を守れるのは俺だけ、俺の背中を守れんのもケンだけだ!だよなぁケン…って乳にデレデレしてんじゃねぇよこのむっつりスケベ!!」
「ちが、これは不可抗力で…」
「あら、それはただの役割の違いよ。私はケンを癒す事に喜びを感じているわ。自分こそベストパートナーだなんて勘違いしてる何処かのお馬鹿さんとは違ってね?」
「もうホントにやめてくれないかマリー…」
「表出やがれ牛乳女ァ…!てかテメェもテメェだこの角野郎!そのっ、疲れてんなら俺に頼っても…」
「その貴女が報告書をほっぽりだすからケンに仕事が回ってるのよ?」
「そっ、それは…その、お前が言ってた役割の違いだっ!」
「全く、貴女のような自分勝手な女にまとわりつかれるからケンがこんなに…」
「うがぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
これ見よがしにケンを抱き締めるマリーに、ベリアルが顔を真っ赤にして叫びを上げる。
自分を眺めるマリーの顔がツヤツヤしている事に、彼女は気付いていない。
(なんだかんだ言ってマリーはベリアル大好きだからな…いや、ベリアル弄りが大好きなのか…?)
口には出さないものの、お互いが友と認めあっているからこその応酬であると、ケンは理解している。理解はしているのだが…
「ほら、邪魔が入ったけれど貴方はもう休んで?このまま私の胸の中で…」
「待ッ、お、俺だって胸はそこそこあんだろうが!こっちに来やがれケン!」
「力加減を知らない貴女がケンを抱いたら、ケンの顔が潰れちゃうわよ。貴女の肋骨でね。」
「コロセウム行こうぜ…久々にキレちまったよ…」
最近追加された最大最悪の症状、胃痛の原因を前にし、白目を剥くことしか出来なかった。
いやね、別に死ぬほど忙しいわけではないんですが…何故か筆が乗らない。
もうケンの修羅場・ラ・ランバを書くという現実逃避に走りました。
ついでに、Twitter始めました。同名でやってますが、特に今の所投稿とかはしてません。でもウルトラファンの方と会話出来たらなー位は思ってます。宜しければ〜
リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?
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5姉弟時代
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6姉弟〜レオ指導時代
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メビウス時代
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ゼロ誕生以降、ベテラン時代