ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~   作:三途リバー

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シリアスかこれ?
エースメインの短め。エースは口が悪いけど、同時にお兄ちゃんの事を影で慕ってる子です。


ファイターorガーディアン

『俺は間違ってたのか…?なぁ、ゾフィー。教えてくれ。俺は、戦うべきだったのか…?』

 

…寝覚めが、悪い。あれは、大分昔の記憶…。あいつにとっては良いきっかけだったのかもしれん。だが、私にとって…私達にとっては文字通り悪い夢でしかない。

 

『本日只今をもって、宇宙警備隊所属となりました。恒天観測員340号改めセブンです。』

 

「くそッ…とうの昔に、受け入れた筈だ…!!」

 

 

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「はっくしょん!!あ~…誰か俺の噂でもしてんのか?」

 

「一々兄さんの事を話題に挙げる程の暇人が近隣にいるとは思えませんが。」

 

「はいはい、私が悪うござんした…。で、どうだ、エース。光学エネルギーの武器転用反応の跡はあったか?」

 

俺withエース、超巨大宇宙パノラマの前なう。

何も俺達の仕事は宇宙人や怪獣とドンパチするだけじゃない。惑星間で結ばれた武器使用制限条約が一方的に破られていないかなどの監査や、和平交渉の仲介を行ったりもする。そして現在は、とある惑星が遠距離の攻撃を食らったとかでその事実確認や究明に勤しんでいる。

 

「現場に行くならともかく、ここから感知するのは難しいんです。いきなり首根っこ引っ掴んで連れてこられたと思ったら『エネルギーの感知よろ☆』とか…ドSですね、兄さん。もっと妹をいたわって下さい。」

 

「おうおう、ドS云々以降の台詞はそっくりそのままお返しするぜ」

 

まぁ突然来てもらったのは事実だ。自慢じゃないが俺は光エネルギー転用の要領が悪い。カラータイマーがないって言うのもちょっと関係するんだが…とにかく下手くそだ。シルとかがスペシウムを効率良く撃つのに対して俺はあのワイドショット1発でふらふらになる。

そして姉弟の中でその要領が最も優れているのがエース。常に「切断魔」というイメージが付いて回っているが、あんなに多彩なギロチンを作り出せるのは光エネルギーを操るのがずば抜けて上手いからだ。それにおいては俺はこいつに絶対的な信頼を置いている。

ちなみに現場に放り込んでも良かったんだが、少し遠い。てなわけで警備隊本部内にあるこの遠距離立体地図を使用中。

 

「…相変わらず分からない人です、兄さんは。」

 

「うん?何だよ突然。何が分からねぇんだ?」

 

何を言い出すんじゃろか。視線はパノラマから動かさず、声だけをこちらに投げかけてくる。

あぁ、エースがこうなる時はマジな話だ。こいつは実はシャイな所があって真剣な雰囲気の時は人の顔を見たがらない。

 

「兄さんは、誰かに頼るという事を知っている人です。自分では手に負えない事が分かると、恥ずかしがる様子もなく助けを求めます。いえ、乏しめているわけじゃありません。尊敬しているんです、本当に。」

 

確かにな。俺は完璧超人じゃない。苦手もあれば嫌いなことだってある。誰かを頼るのを恥だと思った事はねぇ。

 

「なのに…そんなに冷静で、客観的な思考も持っているのに。誰かが傷付くのを極端に忌み嫌う。」

 

「ッ!」

 

「何でですか…何で兄さんは、そんなに優しいんですか!?兄さんは…誰かを守る為なら喜んで死地へ1人で飛び込んでしまう!無理無謀だろうがなんだろうが、絶対に1()()()()()()()()!地球にいる時だって、こっちにいる時だって…!私達を守ってくれる!何で!?分かっているはずなのに…何で…!」

 

 

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セブン兄さんは、優しい。怖いくらいに優しい。自分の身を顧みない、という点で。

どれだけ危険な事であっても…いや、危険だからこそ1人で立ち向かって行く。それは私達に対してだけじゃない。戦争中の星同士の交戦宙域に飛んでいき、講和を結ばせるなんてしょっちゅうだ。

地球防衛に就いていた私に一番気を使ってくれたのも兄さん。地球を愛しているというのもある。だけどやっぱり根底にあるのは誰かが傷付くのを見たくない、という想いだと思う。

私は不思議なのだ。冷静で、理知的という評判も少なくない兄さんは、同時に戦う場面が多い。そのことについて『インテリヤクザ系』『真紅のファイター』などと呼ばれることがあるが、違う。兄さんはファイターなんかじゃない。言うなれば、『守護者(ガーディアン)』。誰よりも優しく、強固な守護者。

 

「…臆病なんだ、俺は。怖いんだよ。」

 

「怖い?戦いがですか?」

 

「違う。俺が無理すれば守れたものを失う事が、さ。でも戦いが怖いってのも当たらずとも遠からずだなぁ。シル辺りに聞けば分かるだろうけどよ、俺はガキん頃から喧嘩が大っ嫌いだったんだよ。痛い思いなんかしたくねぇ、やりたい奴が戦っとけ…そんな風に思ってた。」

 

初めて聞く。確かにシル姉さんは兄さんは大人しかったと言っていたけれど…

 

「だけど間違ってたんだなぁ、これが。思い知らされたよ。戦いたくなくたって、やんなきゃいけない時があるってな。そりゃぁもう痛いくらいに、な。俺にとっての戦う時は誰か、何かを守る時だ。もう二度と、俺はあんな後悔はしねぇ。人が傷付くのを見てるくらいならそいつの傷も俺が受ける方が断然マシだ。優しい…っていうのとは違う。臆病になっちまったのさ、1回失って。」

 

「…すみません。」

 

「何謝ってんだ、らしくねぇぞ切断娘。とっとと仕事仕事!」

 

私は、見てきたつもりだった。考えてきたつもりだった。兄さんが戦う理由も、その強さの根源も。でも私の考えや思いなど、その苦悩の足元にも及ばなかった。

悔しい。ひたすらに悔しい。

 

「っ…私っ、私っ…!」

 

「…気にすんな。俺が勝手に背負いたがってる理由だ。お前が気に病む必要はねぇよ。」

 

「違うん、ですっ…!私は、悔しいん、ですっ…!まだ、届かない…!あなたに、まだ届かない…!憧れて、慕って、助けられて…()()()()あなたに!」

 

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参ったな。エースに本気で嫌われてるとは思ってなかったけどさ…ぶっちゃけこんなにおもってくれてるとは…。これは1人でしょい込んでた俺にも責任がある。もっと腹割いてれば良かったかもわからん。

 

「急ぐ必要もねぇ、分からねぇんだったら聞いて理解して、それで良いだろ?まだまだ時間はあるんだからよ。」

 

月並みな言葉しか出ない俺のボキャブラリーが恨めしい。本気でそんな風に考えながら、泣きじゃくるエースを抱きとめる。

 

「ごめんな…エース。悩ませちまってたんだな…」

 

「うっ…ひぐっ…うぅっ…!!」

 

久しぶりに手を回したエースの肩は、思っていたよりずっと小さかった。

 





エースが切断魔になったのってワンチャンセブンに憧れたからかなぁとか妄想してる今日このごろ。

ジード?だっけ?のpvで陛下とゼロのやり取りがツボ過ぎた。

リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?

  • 5姉弟時代
  • 6姉弟〜レオ指導時代
  • メビウス時代
  • ゼロ誕生以降、ベテラン時代

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