ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~ 作:三途リバー
と言いつつ只の導入回です。
セブンが地球に赴くタイミングについては原作で言及が無かったので、オリジナルとさせていただきました。
あと今回、最後の方に三人称を入れてみました。戦闘や極度のシリアスでは今後も使っていこうと思いますので、よろしくお願いします。
Beginning of Despair
「…何だと?」
「信じられないのも無理はない。私も報告をしてきた隊員に二度…いや三度聞きしたからな。」
信じる信じないとかの話じゃねぇだろ…?
「攻撃を受けてるってSOSから30分足らずで
『侵略された』『降伏に追い込まれた』なら凄腕の侵略者ってことだろうが…消滅だと?侵略ってのはその星の旨みを奪う為にするもんだ。それを星ごとぶち壊すなんざ正気の沙汰じゃねぇ。手並みもそうだが頭がイカれてやがる。
「マグマ星人のグロリアという女らしい。刹那的な偕楽主義者で今まで数々の星を滅ぼしてきた外道だ。今回滅ぼされたL77星からは『怪獣が…』という声が聞こえた。何体かは知らんが怪獣を手駒にして暴れ回っているのだろう。」
「快楽の為に誰かを踏みにじる、か。手がつけられねぇな。」
人の痛みを理解出来ねぇクソ野郎が。テメェみたいな奴のせいで、宇宙人同士が信頼し合えない時代がきたんだよ…
「失礼します。セブンさん、シルさんから連絡です。急用が無ければ今すぐデータベースに来て欲しいと。」
「分かった。連絡ありがとう。」
データベース?アイツとうとう生態研究にまで手ぇ出したのか?そんな話は聞いてねぇけどな…。
それとも今回の件か?とにかく行ってみなきゃあ何も分からん。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「シルー。来たぜー。」
「セブン!ちょっとこれはヤバイ!来て!こっちこっち!」
普段の様子からは想像もつかない慌てっぷりでシルが俺を出迎える。なんだ?
「どうした?」
「マグマ星人の話はゾフィーから聞いたわよね!?」
「丁度今聞いた。それ絡みか?」
「絡みどころかドンピシャそのものよ!グロリアの取った進行路が探知できたわ。今宇宙海図出すから…」
もうか!流石だ、シルバー族の面目躍如ってとこかね。昔から頭の回転やら何やらは速いからな。
そしてL77星を中心とした立体図が展開され、オレンジの点が尾を引きながらある星へ向かっていく所が映し出される。
って…
「おい…これ、確実か。」
「残念だけど確実よ。このまま行くと3日もないわ。」
自分の顔が強張るのが、それ以上に頭に血が登るのがハッキリと理解できる。グロリアが目指しているのは…
「地球…!」
俺が…いや、ウルトラマンが愛し、守り続ける緑の星…
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「ちょっと!セブン!セブンたら!アンタ1人で行くの!?」
「元々そういう事だったろ!それに今から他の連中の出動要請を上に出す時間はない!惑星間テレポートを使う!」
「敵は星を30分で消し飛ばす様な戦力なのよ!?アンタ1人で大丈夫なわけないでしょ!?」
「不可能を可能にする。それが俺達ウルトラマンだろ。」
俺は守る為に戦う道を選んだんだ。今ここで行かなきゃあもう『ウルトラセブン』なんざ名乗れねぇよ。…そんな顔すんな、死ぬ気はさらさら無い。ちゃんと守り抜いて、帰ってくる。
「ここから飛べば海王星を経由して地球に行ける筈だ。他の連中に頼む。毎度の如く
「っ…セブン!!」
「ん?」
「今度過労死状態なんかで帰ってきたら、タダじゃ置かないから!ちゃんとフツーに帰ってきなさいよ!あと危なかったらウルトラサインをいい加減使いなさい!」
その話はもう良いだろ…俺だって反省してるって。ちょっと怪我するとすぐほじ繰り返すんだよなぁ…まぁ、それだけ心配してくれてるって事か。
「大丈夫だよ。今度はちゃんとスーツの整備までしてもらったからな。それにあの頃とは違う。今じゃ立派な武官だぜ?」
目の前で瞳を潤ませる幼なじみの頭に手を置く。…ガラじゃねぇんだけどなぁ…
「お前ら残して死ねるかよ。きっちり帰ってくる。」
「…今度こそ、約束守りなさいよ。」
「あぁ。」
答えるとほぼ同時に、俺の体は遥か彼方の宇宙へ飛んだ。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「はぁ…」
セブンから受け取った眼鏡を片手に、溜息をつく。あいつの力を信用してない訳じゃない。セブンはさっき言っていたように、もう宇宙警備隊トップ戦力の1人。戦闘訓練も受けたし、何より戦場での勘は目を見張るものがある。だけど…いや、だからこそ心配なのよ…
あいつは常に自分を犠牲にしようとする。力を持った自分が誰かの為に傷つくのは当然とか思ってる節があるのよね。だからあんなになるまで地球から離れようとしなかった。ジャックやエースを助けに行く時は率先して危険な役目を引き受けた。
『俺が傷付くだけでどれだけの命を救えると思ってんだ。目の前の…手が届く命を守る為なら、俺は喜んで命を捨ててやる。』
「分かってないのよ、アンタは…!」
自分の存在が、どれだけ大きいか…
「シル。」
あ…ゾフィー…
「ごめん…情けないとこ見せちゃったわね…」
「構わんよ。ふふ、私は皆の姉だぞ?そのくらい受け止めて安心させてやる。」
ぷっ、ポンコツがよく言うわ。でも、頼もしいのはほんとね。全く敵わないわよ、アンタには…
「…セブンなら大丈夫だ。何せ私達の弟だからな。姉は姉らしく、愚弟の帰りをゆっくりと待つとしよう。」
「そーねー…あ、ジャックとかめんどくさいなぁ。あの子勝手に行かれたってめっちゃ凹みそう。」
「それはエースとタロウも同じだろう。かく言う私も黙って行かれたのは初めてでな、些かショックだぞ。」
へー、意外。って、こんな和んでる場合じゃないわよ!?いつでも地球に救援に行けるようにしておかないと!あとマグマ星に抗議の通信も!ちょっとセブン手伝っ…て…
あれ?
セ ブ ン が い な い
ということは…
「私1人でゾフィーの面倒見るのぉ!?タロウもいるのに!?幾ら何でもそりゃ無理よぉぉぉぉっっ!!」
「なっ、失礼な事を言うな!私は子供ではない!ほら、もうコーヒーだって…む…しょっぱい…」
「ゾフィー姉、シル姉っ!セブン兄もう行っちゃったの!?どうしよ…パソコンで英語の大文字の出し方が分からないから聞こうと思ってたのにぃ…」
いやこれマジに無理だから。砂糖と塩間違えるような奴よ?パソコン未だに扱えない脳筋娘よ?つかタロウ、アンタ今まで報告書どうしてたのよ。
「セブぅぅぅぅン!!カムバぁぁぁぁぁぁック!!」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「っと…久しぶりだな。…ただいま、地球。」
故郷でも何でもないのに、そんな言葉が口をついて出た。俺が降り立ったのはある山中。沈みゆく夕日が雄大な幻想を生み出していた。
美しい…いつ見ても、いつ来ても、この地球は美しい。いずれは開発され、この景色は無くなってしまうのかもしれない。この美しさは悠久の時の中での、一瞬の物なのかも知れない。それでも、いや、だからこそ。俺はその一瞬を守りたい。
それに星だけじゃねぇ、人間の心も俺は好きだ。確かにどうしようもねぇ奴もごまんといるさ。でも、強い心を持った人間はいつの時代でも現れ、その意思は後世に繋がれていく。この山で初めて俺が出会った、あの青年のように。
さて、マグマ星人の軍団が来るまであと2日あるかないかぐらいか?今は防衛組織ってどうなってんだろうな…今から入隊出来るか?いやぁ流石に無理があるだろーなぁ…。
タイミングが良すぎるだろ、普通に考えて。宇宙からの軍団が来る直前に急遽入隊なんて流石に出来すぎた話だ。俺があの時ウルトラ警備隊に入れたのはヤマオカさんが声掛けてくれたからだし…。
「しゃあねぇ、取り敢えずこの案件を乗り切ってから考えるか。」
どんな組織なのかも分からねぇし、どうしようもねぇ。今は防衛組織の基地に警告テレパシーを送る程度が関の山か。ウルトラセブン名義なら多少真に受けてくれるだろ。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
「ふふふ…次はここね…」
その女には、くらつくような色気があった。最高級の絹糸のような金髪に、熱を纏う瞳の色。しかし、それは純粋な美しさを感じさせるものとは程遠い。
仄暗く、どこか血の匂いを連想させるような、危険な艶。
「あぁ…早く見たいわぁ…あの美しい星の最期の姿を。足掻きに足掻いて絶望を知る人間の顔を…」
マグマ星人グロリア。暴君の名を冠する宇宙人の魔の手は、刻一刻と地球に迫る…
燃ーえーろーレオー燃えろよ〜♪
あの歌スゲエ好きです。ワンツー、スリーフォー、ワンツー、ULTRA〜Seven〜♪の歌の次くらいに。
緊急告知!!!!
なんと!!こんな駄文に!!三次創作が出来ましたぁっ!
アンギラスの息子さんの、
『ULTRAMAN〜the ather universial story〜』
がウルトラマングレートを主人公にして連載中です!うちよりも凝った設定!バリバリ読み応えのあるシリアス!真面目なキャラクター!うちのセブン達も後々登場するとの事なので、是非是非御一読下さい!
アンギラスの息子さん、この場を借りて改めてお礼をさせていただきます。本当にありがとうございました!!
リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?
-
5姉弟時代
-
6姉弟〜レオ指導時代
-
メビウス時代
-
ゼロ誕生以降、ベテラン時代