俺は古参プレイヤー   作:サンデイクローズ

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今日は休みなんで調子がよければもう一話ぐらい書けそう。

5/26光式・忍冬に訂正


忍冬

「──The WorldR:2にはR:1時代の『紅衣の騎士団』のようにギルド『月の樹』が存在していて、プレイヤーのPK行為とかを取り締まってる訳だ。そして、さっきお前に説教垂れたのがその月の樹に所属している榊ってやつな、月の樹で一番めんどうな奴だから近づかないように。分かったか?」

 

 現在、@HOMEに戻り、クビアに如何に、月の樹という組織が面倒かの説明をしていた。説明だけならってことで揺光は攻略に必要なアイテム類を買いに行ってもらっている。

 

 

「はーい、先生質問でーす!トップと繋がりがある相手に何で彼はあんなに強気なんですかー?」

 

「いい質問ですね!それはな、今も何故かギルドにいる月の樹のトップが知ってるはずだ」

 

「えー、ボクも一応はギルドメンバーなんだけどなぁ。……と、質問の答えはね、『トップがお飾りだと思われていて舐められているから』でしたー!はい、拍手ー!」

 

 パラパラとクビアだけが素直に拍手をしている。……となりの楓さんの吐きなれてしまった溜め息を聞き、悲しくなってくる。月の樹一の苦労人は大変だよなぁ、上は頼りにならない、下は野心を隠さないって状態だと中間管理職は大変だよな、半分ぐらい俺のせいの気もするけど。

 

「もうっ欅様!早く帰ってお仕事して下さい!こうやって遊び呆けていたら、いつまで経っても……」

「楓はボクのお母さんみたいだよねーwww」

 

「……っ、そう、でしょうか?」

 

 

 

 あれから、何故か急に静かになってしまった楓さんを置いて、欅様からの有難い月の樹講座を受け、そのあと自由解散の運びとなった。その頃には楓さんも復活しており、欅を引き摺って月の樹本部へと連行していった。

 

 

「つーか、The Worldやってて月の樹のことも知らないとか今までよくやってこれたよなお前」

「うーん、何でだろうね?運が良かったのかなー、なんてね」

 

「はぁ、お前の秘密主義もここまで来ると見事なもんだな。ったく、あと分からないことあるか?」

「うーん、揺光ちゃんはまだ帰ってきそうにないかなぁ、それじゃ一つだけ!ライは揺光ちゃんのことどう思ってんの?……結構分かりやすいじゃん、あの子」

 

 またコイツは面倒なことを……。つーか、ホント人の色恋沙汰好きすぎだろ、なんだコイツのリアルは女の子なのか?

 うーん、コイツが女だったら結構な男子を泣かせてそうだな、毒舌的な意味で。

 

「あぁ?ンなもんアレだよ、リアルで会ったこともないような奴を好きになるのはどうかと思うしな、俺は。こんなゲームの中でだったらどんなイケメンにもなれるし、実際そういう言動してハーレムみたいなことしてる奴もいる。……ネットって怖いね」

 

「えぇーでも、それと揺光ちゃんに答えを出さないのは関係ないじゃん?正直揺光ちゃんはリアルでも可愛いと思うよー僕は」

 

「いやな、リアルが可愛いだろうとかじゃなくってな」

「うーん、ライは答えちゃうのが怖いんじゃないの?今の関係がーとかいうありきたりな理由で」

 

「ぶっ!バッ、バカ!オメェ、俺はあれよ?そんなナヨナヨした理由で答え出してないわけじゃねぇし、ただ20半ばに差し掛かったオッサンが女子高生相手に付き合おうなんて言えるわけないじゃんか!えぇ、好きですよ好きですともさ、じゃなきゃギルドに入れる訳もないしさぁ!」

 

 相変わらずタイミングが良いのか悪いのか、気がつけば@HOMEのエントランスに揺光が立っていた。……やっべぇやらかしたヤベェわ俺のThe Worldの歴史もここで終止符か、あぁ、未成年への淫行とかでっち上げられてブタ箱に入るんだ。ははっ、なんだよクビア、何笑ってんだよ。……笑え笑え、大いに笑って愉快になれ。アッハッハッハッハッ

 

「ライ、今の……」

 

「はっはっは……通報はやめて下さい!お願いします!まだやりたいことは沢山あるんですっ!」

「やりたいこと……ライのえっち!それは、その、もっとお互いの事知ってからっていうか……まだ早いって言うか……」

 

 やだ、何か揺光ちゃんが勘違いして一人で悶え始めた!そして相変わらずクビアがメッチャ笑ってる。俺を助けろよクビア!えっ、無理?何でだよ、クッソお前のこと友達だと思ってた俺が馬鹿だったよ!

 

 

 

 

「ハハハハ……ふぅ、揺光ちゃん、落ち着いて。はい、深呼吸ー」

「すぅーはぁーー。うん、落ち着いた。ごめんね、クビア」

 

 やだあの二人だけ落ち着いてる。ひどい、仲間はずれにされた。つーかクビアの観察時間メチャクチャ長かったな。酸欠になってるだろ、あれ。

 あっ揺光さんがこっちに来ちゃう、ヤバイどうしよ。

 

「ねぇ、ライ。ライが待ってくれるなら、その」

「あぁもうそれ以上言うな。俺の負けだよ、お前北海道だったっけか?夏休みの時期にそっちに旅行行くからそん時もっと話そう。……これでこの話は終わり、いいな?」

 

「……うんっ!」

 

 その時の揺光はチャンピオンになった時よりも素敵な笑顔をしていた。……こっそりスクショを撮りました。はい。

 

 

 

「いやー、良かったね揺光ちゃん」

「うん、ありがとうクビア。でも、からかうのは無しよ?」

 

「えー、解禁しようよ、解禁。正直揺光ちゃんからかうの楽しいんだよね」

「アンタ本当に自分に素直よね、まぁたまになら良いわよ。うん」

 

 クビアが揺光に絡んで怒られていない……だとっ?!くっ、こんな事であのなんの生産性もない時間が無くなるなんて。なんか納得行かねぇ。

 

 

 

 ん?珍しくグランティが起きてきたな。

 

「おめでとうブヒ!これあげるブヒ!」

 

『光式・忍冬を入手した』

 

「おっ、サンキュな。って、お前これ双剣なんだけどそしておめでとうってお前……ってもう居ねぇし」

「はぁ。俺が持っててもしゃーねし、揺光、これやるよ」

 

『光式・忍冬を揺光に渡しました』

 

 

 

 なんでクビアはあんなに楽しそうな顔してんだ?……あれ、今俺なんかやらかしたか?

 

「流石だねぇ、ライ。忍冬の花言葉は『愛の絆』らしいよ。いや〜良かったねえ、揺光ちゃん」

「……っ!うん、私大事にするっ!ずっと使い続けるよ!ありがとうライっ!」

 

 なっ!?あぁもう何もしてないのに恥ずかしすぎるんだけど!何これどんなイジメだよ!くっそ、グランティに嵌められた。あいつのせいだ。

 

「さて、ここで本日のMVPライくんに話を聞いてみましょうか。ライくん、今のお気持ちは?」

 

「……恥ずか死ぬ」

 

 

 もう、今日は落ちよう。うん、そしてベッドに入って一日中寝てやるんだ。

 

 それから、揺光からいつ来れるのかとか嬉しかったとか何とかかんとか色々書かれているメールの返信をして精根尽き果てた俺は泥のように眠った。

 あぁもうほんと恥ずかしい……。




楓さんの過去重すぎる
つーか.hackの登場人物の過去が基本的に重すぎる
少年の頃みたいに何も考えないで楽しみたいなぁ

なんか揺光に未帰還者フラグ立ちそうな感じがする
おっかしいなぁー不思議だなー


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