俺は古参プレイヤー   作:サンデイクローズ

10 / 22
わぁい評価がついた!

いつも読んでくださってありがとうございます。


紅魔宮タイトルマッチ

 最近、ハセヲ君がアリーナで勝ち進んで行ってるらしい。この調子だと近々行われる紅魔宮タイトルマッチに出場するんじゃ?とか言われるほどの勢いらしい。……紅魔宮って一番タイトル争い激しいよな。まぁ、初心者〜中級者向けのタイトルって形になってるからちょくちょくタイトルマッチをしてるせいも有るんだろうけど。

 

 さて、そんなこんなで今日は揺光と二人で黙々とレベル上げをしている。……最近レベル上げ過ぎだって?あんな化物に襲われたらそりゃ自衛のためにも戦闘力上げるしかないだろ。

 それにしても今日は昨日の気まずさを引き継いで、どことなく会話がよそよそしい。……まぁ主に意識してるの俺なんですけどね。

 

「ねぇ、ライ!ライったら!」

 

「んー?」

 

「ボーッとしちゃってどうしたのよ?」

 

「んー揺光可愛いなってな」

 

「なっ……!」

 

「いやだって考えてみろよ、ネットじゃこんな勝気な女の子なのにお前リアルで文学少女てお前。……狡すぎるだろお前、絶対ぇ馬鹿な男に告られてるだろ。それにもうお前あれだよ?ツンデレのツン期間短すぎるからな?なんだよただのデレじゃねぇかよ俺の大好物だよ畜生。あー!The Worldやってて良かったー!!」

 

「……」

 

 あれ?俺今とんでもない事口走ったのか?揺光の顔が真っ赤どころかもうトマトなんだけどなんだあれ可愛いな。……あれ?俺の思考おかしくね?

 

「恥ずかしいよ、バカ……」

 

 あっれぇー?揺光さんの態度がまた乙女チックな感じになってるんだけどマジで俺何口走ったんだよ!チックショー照れていく過程も見たかったのに何で上の空だったんだ俺のバカ!

 

「ねぇ、ライ。……早く会いたいよ」

 

「ちょっ!揺光さん!?何で抱きつくんすか?!」

 

「イヤ……だった?」

 

 あぁ、それダメだわ。そんな上目遣いおじさんは教えたつもりありませんぞ!そんな悲しそうな顔されたら恥ずかしから離れようなんて言えなくなっちゃうだろぉ!?

 

「いや、驚いただけだよ」

 

 ハハハハハハ他プレイヤーの視線が痛い。俺はいつからクーンになってしまったんだ……。あぁクーン、アンタすげぇよこれをなんも感じずに出来るなんて俺には無理だ。具体的には羞恥心と嫉妬の視線に心がやられちまう。

 

 

 

「そういやお前、紅魔宮のタイトルマッチ出るのか?そろそろ有るっぽいけど」

 

「んー?別に出なくてもいいかなーって。あっ、ライと一緒に出れるなら出たいかなーなんて。……えへへ」

 

 何だ今のえへへって、俺を殺す気か?そうか、そういうことかリリン!……ふざけ過ぎた。

 

「そうなんか?てっきり紅魔宮チャンピオンにこだわってるモンだとばっかり思ってたわ」

 

「前までは確かに拘ってたけど、でもライがギルド作ったりしてくれたお陰で楽しみ方はそれだけじゃないって気付かせてもらえたし。……それに今はライと一緒に居たいかなって」

 

 なん……だと……!?ついに揺光のツン部分が無くなってしまっただと?デレデレ揺光……鼻血が止まりません!

 

「おっ、おう」

 

「何よその反応?ライがその気じゃなくても、もう私決めちゃったから。だから覚悟してね?──私は一途でしつこいんだから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 紅魔宮トーナメント当日。俺は揺光、クビアと共にルミナ・クロスに来ていた。

 

「本当に良かったの?別に出場なんてしないで棄権にしても良かったのよ?」

 

「いーんだよ、せっかくの出場機会なんだから派手に爪痕残さないと意味無いだろ?」

 

「そうそう。それに、僕は初めての対人戦だからね、すっごく楽しみだよ」

 

 俺たちの参加表明を聞いた揺光はあぁ、やっぱり。みたいな顔をして微笑んでいた。なんやかんやで彼女も俺らに毒され始めてる気がする。自重はしないけど。

 

「揺光ちゃんが毒されてるのは確実にライのせいだと思うよ?」

 

「……お前、ナチュラルに心読むのやめような?」

 

「だって僕はキミの反存在だからね、腕輪を通して大体のことは分かるんだからしょうがないだろ?」

 

 

 

 アリーナ受付でちょっとしたトラブルが発生した。なんでも、揺光とパーティー登録されているプレイヤーのみが出場可能であり、俺とクビアはパーティメンバーではないため出場出来ないと言われてしまったのだ。

 仕方がないから欅に泣きついて登録メンバーのデータを改ざんしてもらい、無事出場することができた。……受付のお姉さんの視線が痛かったけど気にしない。

 

「アンタ、たまにバカみたいなことするわよね?なんで目の前で欅に通話始めちゃうのよ。しかも通話内容が出場メンバーのデータ改ざんって」

 

「大丈夫大丈夫、俺CC社の株主だし。それなりの無茶は目瞑ってくれるはず」

 

「くれるはずってアンタねぇ……」

 

「まぁまぁ、無事三人揃って出場出来るんだから良いじゃないか!」

 

 

 心配する揺光を無理矢理丸め込み、無事アリーナの選手控え室へと通される。……ん?俺たちってシード枠なの?

 

「あぁ、そうそう元チャンピオンはシード枠で3回戦からになるわね」

 

「なーんだつまんないの。折角有象無象の雑魚を蹂躙してトラウマ植え付けてやろうと思ってたのに」

 

「クビアお前えげつない事考えてたんだな……」

 

「えへへーライも同じようなこと考えてたくせにー」

 

「アンタ達ねぇ……!」

 

 あっやばいこれ揺光怒りだしちゃうやつだ。しょうがない、真面目っぽく作戦会議でもしよう。

 

「さぁ!作戦会議だ!序盤にヒーラーを全力で叩いてあとは流れでOKか!?」

 

「何でそんなに気合い入ってんのよ。……まぁそれでいいんじゃない?私たちにヒーラー役いないから早く潰せるだけ有利になるし」

 

「よしっ!じゃあヒーラー潰し役はクビア、キミに決めた!」

 

「そう来なくっちゃね!」

 

 

 

 控え室で遊んでいたらいつの間にか2回戦までが終わり、いよいよ出番ってなったんだけど、まさか対戦相手がハセヲチームだとは。

 

「よっし、じゃあ行くか!」

 

 

 

 

『お待たせいたしました!皆さんお待ちかねの紅魔宮第3回戦です!今回の対戦カードは前紅魔宮のチャンピオン揺光率いるチーム揺光と新進気鋭のハセヲチームというどちらが勝ってもおかしくは無いカードとなっております!』

 

『先に登場したのは揺光チーム!なんと今回初出場のライ選手、クビア選手がアリーナ初参戦という異色チームです!』

 

「あれ?ライって初出場なんだ?」

「あぁなんか好きじゃないからなアリーナって」

 

『続いて登場するのはハセヲチームだっ!連勝に次ぐ連勝!もう誰も奴らを止められないのか!?誰かコイツらを止めてくれー!』

 

「なんか実況の人面白いねw」

「二人共、もっと緊張感もってよねっ!」

 

『さぁ勝った方が準決勝に駒を進めることになります!前チャンピオン揺光チームか!それとも挑戦者ハセヲチームか!戦いの火蓋が切って落とされますっ!』

 

 試合が始まると同時にクビアが相手の呪療師へと襲いかかる!満面の笑みで。あっ、あの呪療師の子志乃ちゃんと同じ型のキャラしてんじゃん。中身だいぶ違うっぽいけど。

 クビアの動向を見守ってたらまさかのワンパンだった。……もう一度言おう、鎌の一振りで相手のヒーラーを潰してしまった。

 

「……やりすぎちゃった(๑>؂•̀๑)テヘペロ」

「顔文字使っても許されないと思うぞー」

 

「ちょっと二人共マジメにやる!」

 

「マジメにやるとワンパンしちゃうので僕たち見学してまーす!」

 

「はぁ!?せめてライは手伝って!そこのスチームガンナー潰して!」

 

「……すまない、君に恨みはないけど揺光の頼みは断れないんだよ 」

 

 

 

 俺がスチームガンナーを潰し、残りはハセヲ君だけになった時、それは起こった。

 ──嫌な感じだ。前回揺光とエンデュランスの紅魔宮決勝を見た時と同じ感覚だ。

 

「審判!俺たちきけ……」

 

 

 

 

「……なんだここ?揺光?クビア?」

 

 アリーナの会場に居たはずなのに気付けば見知らぬ場所に立って?浮いて?いた。

 

「あぁ、僕は大丈夫だよ。……揺光ちゃんは固まっちゃってるね」

「ここはどこだ?それになんで揺光が──」

 

「ストップ、あっちの方を見てご覧?」

 

 そうクビアが指し示した先では妖しく笑っているハセヲ君の姿があった。その背後には大きな仕様外モンスターが──

 

「なぁ、あれってもしかしなくてもあれか?」

 

「うん、そうだね。どうする?僕たちなら迎撃することも出来るけど?」

 

「いや、悪戯に腕輪の力もお前の力も見せるべきじゃないだろ。ここは穏便に事を済ませるぞ?」

「どうやってさ?」

「こうやってだよ」

 

 そう言い、ハセヲ君の方へ向かい歩いていく。途中、俺に気が付いたのたろう、ハセヲ君の後ろの化け物がコチラに鎌を振るってきた。

 ……こっわ!あれ食らったらまた未帰還者になりそうで怖い。つーか俺のこと未帰還者にしたの多分コイツだよな?マジで腸煮えくり返るんだけど。

 

「やぁ、ハセヲ君!少し話をしないかい?」

 

「あぁっ!?ウゼーんだよ、お前ら全員消えちまえよ……」

 

 あっ、ダメだこれ対話もクソも無いやつだ。……化け物がまた鎌を振るってくる。対話モードに入っていたせいで反応が遅れ、咄嗟に腕で鎌を防いだ。

 

 ──その瞬間、眩い光が辺りを包み込んだ。

 

 

「はっ!」

 

 気が付けば俺達はまたアリーナの会場に立っていた。

 

「審判!俺たちは棄権するっ!」

 

 一拍後、会場中から鳴り響くブーイングの嵐。……しかしこれでいい、たかがアリーナのチャンピオンになるぐらいで未帰還者になるリスクを背負うよりかは。

 

 

 あれから控え室に移動してことの顛末を危ないところは抜いて揺光に説明した。

 

「ちょっと!なんで……」

「ごめん、揺光。でも──」

 

「許してあげてよ揺光ちゃん。ライも棄権したくてした訳じゃないんだし」

 

「そういう事じゃないの!……なんで、なんで私を蚊帳の外にするのかって言ってるの!」

 

「揺光……」

 

「私、ライのこと好き!ライも私のことを思って危険なことに巻き込まないようにしてるのは何となく分かってるよ。──でも、自分の知らないところで好きな人が危ない思いしてるのは嫌っ!」

 

「ハハッ、これはライが悪いかもねー」

 

「……なんつーか、強いなお前。強くなったな」

「誰かさんのシゴキのお陰でねっ!」

 

 

 その後、揺光に色々な説明、クビアと腕輪の関係とかその他もろもろを詳しく説明しながら決勝戦のハセヲvsエン様を見ていた。

 

 両者互角の状態から二人共動かなくなり、急にエン様が倒れて新チャンピオンハセヲが誕生した。

 

 

 ──やっぱ紅魔宮のチャンピオンころころ変わりすぎじゃね?

 




だれだこの揺光!?

しつこいぞ!→しつこいんだから!への改変は賛否あると思う。むしろ否しかないと思う。すまぬ……。ハセヲと違って対等な関係っていうより師弟関係に近いからこうなったんだ……。

ちなみに未帰還者になるルートだとライが揺光への想いに気付いたのは彼女が未帰還者になってからっていうストーリーになっただろうなぁ。
書かないけど。誰が書いてくださいオナシャス!主人公ハセヲでも誰でもいいんで。


アバターvs半覚醒腕輪→互角

次回予告は嘘じゃなかった、いいね?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。