アフターひだしん越後屋大戦(凍結)   作:越後屋大輔

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岸さんにインタビューに向かう春日部中学校新聞部、その行き先は?


第7話映画監督に取材

 幸司の運転するワゴン車で岸麻衣子の元にインタビューへ向かう春日部中学校新聞部の面々と斎藤一家、指定された午前10時に待ち合わせ場所の喫茶店『ラビットハウス』に到着すると岸はまだ来ていなかった。

 「時間、間違えたかなあ?」

 「そんなハズはないよ、メールでも返事もらってるし」その文面にも午前10時に来てほしいと記録されている。

 「君達、春日部中学校新聞部の子達?」美人の店員がお冷やを並べながら尋ねる、年齢は22才といったところか。

 「は、はい~❤」

 「い、いかにも僕ら春日部中学校新聞部です❤」

 「美しいお姉さん、ボクタチにご用ですかぁ~❤」

 「運命、的な、出逢い❤」

 「これこれ若人達よ、鼻の下が伸びとるぞい」宮子が中学生達を諌める。

 「どこぞの仙人だ、お前は?」幸司が突っ込む、その様子に気の抜ける女性店員。が気を取り直して

 「岸麻衣子さんからの伝言です、こちらに着くのが少し遅れるから待っていてほしいそうよ。あ、ご注文が決まりましたらお呼び下さい」そう言うとお辞儀をして店の奥に下がっていった。

 

 「ごめんね、携帯が壊れちゃってメールできなくて」しばらくして岸麻衣子が到着した、佇まいを直す中学生達。宮子は立ち上がって岸に挨拶する。

 「岸先輩、ご無沙汰しています、8年前特別授業のクラスにいた斎藤宮子です」頭を下げて自己紹介する、岸は一瞬?な顔になったが

 「思い出した、私が『夢』について質問したら寝ながら返事した娘よね」恥ずかしい過去をバラされ真っ赤になる宮子、幸司としんのすけ達も吹き出した。

 

 「そう、『ボヘミアン・ラプソディー』観てくれたのね。販売はされなくて今じゃ幻のデビュー作なんていわれてるけど」

 「宮子さんの担任の先生がサンプルをコピーしてくれたそうです、お金は当時理事長だった破嵐万丈さんがだしたそうですが」

 「そう。でも何で中学生が持ってるの?」

 「破嵐さんから彼が譲り受けたそうです。な、しんのすけ」

 「ええ、6枚くらいあるからって」

 「さすが、スポンサー」

 「みんな破嵐会長とお知り合いなの?」

 「はい、仲良くさせて頂いてます」

 

 「それでは改めて質問します、岸さんにとって映画とはなんですか?」

 「そうね、監督になりたての頃は恋人って感じだったわね。あの時はそう答えたと思うけど、宮子さん覚えてる?」

 「あ、そ、そうでしたね。アハハハ」急に話を振られて慌てる宮子、そこに

 「宮ちゃん寝ながら聞いてたんだ?」

 「ゆのっち!?」ゆのが両親と共にラビットハウスに訪れていた、腕には赤ん坊を抱いている。

 「木村さん、『裏新宿の狼』の上映会以来じゃない?お久し振り!」

 「お久し振りです、岸さん。それと今は破嵐ゆのです」

 「えっ?」

 「破嵐会長の奥さんですよ」あまりの衝撃に固まった岸。

 「ゆのさん、今日は万丈さんは一緒じゃないんスか?」しんのすけの問いに

 「主人は仕事よ、両親が以前こちらにお世話になったから今日はそのお礼をしに。私もついてきたの」

 「レイカちゃんも一(ちょ)でちゅかあ?ホラ、龍斗。君のお嫁さんだよ」

 「宮ちゃん、誤魔化そうとしないの」

 「レイカを嫁にはやらーん!」

 「お父さん、今からそんな事言ってどうするの?レイカはまだ赤ちゃんですよ」ムキになるゆのの父の悟を母の和澄が諌める。

 「龍斗君だって4才だよ。レイカが生まれてから万丈さんと2人、ずっとこんな調子なんだから」呆れたように語るが顔は微笑んでいるゆの、悟と和澄はカウンターに移動すると店の主人らしき壮年の男性に手土産を渡し会話に花を咲かせていた。

 「話が本題からドンドン逸れていく…」果たして記事になるのか、風間君だけが不安に陥っていた。

 

 

 

 




相変わらずてんやわんやな連中ですね、まともな取材もちゃんとしてますよ。それはまた次回

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