アフターひだしん越後屋大戦(凍結) 作:越後屋大輔
時系列は3話→1話→2話→4話の順になります
目を覚ました万丈は全てを知ると如何ともしがたい自己嫌悪に落ち込んでいた。
「僕とした事が…」サルにまんまとしてやられたのがよほどショックだったらしい。
「万丈さん、気にしちゃダメ。相手はバケモノなんだよ、それにあなたに万が一の事があると思うと私…」そこから先は声にならなかった。すがり付くゆのの背中を万丈は優しく撫でる。
そんな2人の様子を空気中の微生物に化けて見守っていたルカは異世界に帰ろうと人目を避けて元の姿に戻ると觔斗雲に飛び乗ろうとジャンプする、そこへタックルを食らい地面に激突してアスファルトに顔型が付く。捕らえたのは宮子だった。
「ねぇ、ゆのっちの言ってたサルってあなただよね?」脚を掴んだまま宮子が問う。ルカは返事をせず風に化けて逃げた。更に追いかける宮子だが流石に風を捕まえるのはムリ、遂に見失ってしまった。
「チクショー!ドコ行ったーっ?」
「宮ちゃん、もう止めなさい」ヒロが諌める。
「しかし、本人がいないとゆのっちが嘘つきになりますぞ」
「私と沙英は信じるわよ」
「証拠もありますしね」ヒロの夫の
「これを警察に届けて、DNA鑑定を頼みましょう」あんな男でも一にとっては昔からの友人だ。供養の意味でもせめてどこの誰だかハッキリさせたい、それに破嵐万丈に代わりダイターンを操縦した者なら警察としても身元を調べる口実が成り立つ。
「必要ないわよ」沙英は一からハンカチをサッと取り上げるとギャリソン野原(ひろし)に捨ててくれるように頼んで
「さ、高坂も無事死んだし私達はもう帰ろっか」元鑑識官の一は消化不良な気分だったがこの場は大人しく引っ込む。
「現役刑事の伍代に相談するか、でもあいつの嫁さんもこの2人の友達だっけ。仕方ない、サルの身元調査は諦めよう」それぞれの家に帰る。
「ふーっ今回はヤバかったぜ」地上一万メートルの高さまで逃げていたルカは彼らがこれ以上追跡してこないと分かるとようやく人心地ついた。
「さて、連中の記憶を操作して俺の事を忘れさせよう。木村は…あっ今は破嵐ゆのだっけ。あいつの記憶もいじっとくか、しっかしあの怪物女すげぇ握力だな。まだ踝を掴まれた痕消えてねえよ」地球でいえば軍艦並みの巨体と屈強さを誇るリヴァイアサンですら軟弱といい放つルカの体に痕跡を残す宮子、やはりただ者ではなかった。
話は戻り今日は沙英とヒロの2人で越後屋2号店に行こうと決めた日である。慧には赤ちゃんをみてもらい久し振りに2人で出掛ける、ステアリングを握る沙英は意を決してある情報をヒロに伝える事にした。
「ヒロ、今から行く店だけど」言い切らないうちに言葉が重なる。
「大輔さんがオーナーなんでしょ?とっくに知ってるわよ、勿論主人もね」
「そ、そう。私、昔あそこの常連だった青山先生から聞いたの。7、8年前の話らしいわ」
「ふ~ん、意外なトコで繋がりがあったのね。ねぇ沙英」
「何?」
「心配してくれてアリガト、私はもう吹っ切れてるから大丈夫よ」越後屋の近くまで来ると「当アーケード街ご利用お客様はお車をこちらへ」と立看板が示す駐車場に移動してそこから徒歩で向かう。
越後屋に入るとそこには中年夫婦と2人と同い年くらいの女性の店員がいた、自分達の正体は伏せて日替わり定食を注文する。
「ヨォっ、沙英さん、ヒロさん」懐かしさを感じる呼ばれ方に振り向くと野原ひまわりがいた、しんのすけも一緒だ。
「しんのすけ君、ひまわりちゃん。どうしてここに?」
「オレがガキの頃親父に連れてきてもらったのを話したんスよ、そしたらコイツが自分も行きたいってグズりだして」
「グズってないモン!」兄妹のやり取りに吹き出す沙英とヒロ。
「ひまちゃん、小さい頃のしんのすけ君そっくり」
「えーっ?お兄ちゃんになんて似てないよーっ」むくれるひまわり。
「オレこんなんじゃなかったっスよ」やり返すしんのすけだが
「「イヤ、おんなじ」」
「ハモった!」せっかくなので同じテーブルにつき思い出話に華を咲かす4人、店をでてから今日は偵察に来ていたのを忘れていた事に気付いた。
「やっちゃったわね」
「8年前のしんのすけ君ならこういうわね」再び声がハモる沙英とヒロ。
「「やれやれ」」
ひだまりズ並びに関係者は高坂を倒したのは万丈だとルカに記憶を操作されてます。(万丈本人含む)
ゆのだけは真実を覚えている上でルカに他言無用と念を押されたというニセの記憶が上書きされてます。