アフターひだしん越後屋大戦(凍結) 作:越後屋大輔
メガボーグとなった高坂は足下の人間を片っ端から踏み潰そうとした、逃げ惑う人々を見つめて薄ら笑いを浮かべる。
「人がゴミのように見えるとは正にこの事だな、アーハッハ。世界中の奴ら磨り潰してやるよ」その高坂を攻撃する飛行物体があった、マッハアタッカーである。
「ダイターンだ、ダイターンがきたぞ!」人々が歓声をあげる。
「そんな奴、とっとと殺っちまえ!」この時から少し前、ニュースを聞いた万丈とギャリソンの間でこんなやり取りがあった。
「ギャリソン、ダイターンは発進できるか?」
「はい、万丈様。準備万端にございます。このギャリソン、何時如何なる時も整備は怠っておりません」
「流石だね、むしろ覚束ないのは僕の操縦技術かな?何たって8年振りに動かすからね」
「あなた、無茶はしないで」妻のゆのが不安そうに見つめる、本音をいえばダイターンに乗ってほしくはない。ナゼ自分の夫だけがこんなリスキーな役を引き受けなければならないのか、しかしあのメガボーグを止める手段が他にないのも承知している。
「大丈夫、必ず勝って帰ってくるさ」妻を宥めいよいよ乗り込もうとする万丈が突然気を失った、ギャリソン野原もいつのまにかその場に突っ伏して眠っている。茫然とするゆのの前に現れた1人の男。
「8年前とは事情が違う、今の貴方には家族…嫁さんともうすぐ子供も生まれんだからよ、後は俺がやる!」2人を横たえるとゆのに顔を向ける。
「よぉ、久し振りっ!」
「あっ、えっと…どちら様?」どことなく見覚えある気もするが会った事のない男に困惑する。
「オット、いけねえ。前世の姿に化けたままだった」人差し指と中指を立て鼻に当て呪文を唱える男、一瞬でゆのがよく見知った姿に変わった。
「アンタ、あの時のサル!」
「そういうこった、こいつは借りてくぜ。あと旦那と執事さんは眠っているだけだから心配すんな、じゃあな!」ダイターンに乗り込むルカを見送りながら様々な気持ちがごちゃ混ぜになったゆのだがため息を吐いて一言、
「ホントに男ってバカなんだから」それだけ小さく呟いた。
「世のため人のため、手前ぇの野望を打ち砕くダイターン3!この日輪の輝きを恐れぬなら、かかってきやがれ!」やはりこの男もお馴染みのパターンを決めていた。
「アレ?乗ってるの万丈さんじゃないの?」
「紳士な万丈さんと比べると随分とお下品な口調ですなあ」
「とにかく高坂のバカを始末しちゃってよね」家族と一緒に破嵐邸に避難していたヒロ、宮子、沙英が上空を見上げてそれぞれの思いを口にする。
「破嵐さんはどうしたんだ?」ヒロの夫の
「男性の皆さん、万丈様とウチの人を運ぶの手伝っていただけませんか?」
「じゃあ、その謎のサルが2人を眠らせて、ダイターンに乗ってるって事?」ゆのから事情を聞いた全員がへちょ顔になる。
「私も最初に会った時は驚きました、でも何度か助けてもらってる内に妙な親近感沸いちゃって」
「それで今日も助けにきてくれたって訳ね」
「ゆのっちに気があるのでは?」
「私、既婚者!しかも妊婦だけど?」
(その彼も異世界からきたのだろうか?ピコリーノなら知ってたかもな)慧だけはみんなと違う事を考えていた。
「死ね、ダイターン3!」高坂はダイターンの腕を引きちぎり腹部を拳で貫き、額のサンアタック発射板を破壊してダイターンに馬乗りになる。ひょっとして負けるんじゃないか。そんな雰囲気が漂い始める。
「フッ」コックピットから嘲笑を見せるルカは高坂にこう告げる。
「手前ぇ俺を忘れたな、まあ実際に記憶を消したのは他ならぬ俺だがな」
「何っ?貴様、破嵐万丈じゃないな!まあいい。どうせサンアタックは使えまい」
「そうでもねーよ」コックピットから外へでると割れた発射板の上に立つと自らが発射板に化けて叫ぶ
「日輪の力を借りて、今!必殺の!サン・アタック!」馬乗りになったままでいた高坂の体に穴が開く
「クソッ、だがダイターンも動けまい。俺にもまだ勝機がある」しかしダイターンの全高と同じくらいの鉄棒が振り下ろされ脳天を直撃して開いた穴に刺さるとグングン巨大化する。
「手前ぇの負けだ、如意棒うぅぉぉォォ━━━━━━━━━━━━━ウォォウッ‼」
「ナ、ナゼだ?!世界はナゼ人間を選んだあーっ!」断末魔の叫びと共に高坂は死んだ。
後始末編は少し空けてから書きます。(他に書きたいエピソードがあってもうすぐ完成予定なモノで)