アフターひだしん越後屋大戦(凍結)   作:越後屋大輔

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その気はなかったのですが前話の続きっぽくなりました。


第12話殷一族の陰謀

 殷一族は日本人と結婚した一族の娘、初美の夫が事故死したのを機に故郷(くに)へ帰って再婚するように薦めたが彼らの決めた相手が子供を引き取らないと聞くとその縁談を断わってきた。

 「前夫との子供も一緒ならいいと?」

 「他人との子供をか?捨てさせろ!」日本では結婚相手が子連れの場合、その子も我が子として受け入れるのは当然だが彼らにとってはありえない事らしい。

 「そうだ、拐ってっちまおうよ。飛行機にさえ乗せちまえばこっちのモンさ」だがそんな彼らの企みはあっさり崩れる。

 

 「すみません、貴方がたの入国は認められません」日本の入国管理局で足止めされて強制送還されるハメになった。無論抗議はしたが

 「表向きは観光が目的となってますが本当は誘拐を目論んでるそうですね」いつの間に調べたのか真の目的が知られていた。

 「しかし、それは一族の掟で…」

 「その掟は貴国の法律で認められていますか?でなければ速やかにご帰国願います」入国管理官は口調は丁寧だがゴミを見るような目付きで告げる、一応記しておくがこの管理官も破嵐万丈ゆかりの人間である。

 

 やむなく帰国した連中だが諦めていなかった、今度はその道のプロに依頼して拐って来させようという事で話がまとまった。

 「報酬は6100万元(およそ1億円)だす、それじゃ頼んだぞ」

 「任せておけ」以来を受けた誘拐組織のボスはこうして来日した。

 

 「その初美って女はここで奥方のメイドとして働いているんですよね、ボス」豪奢な邸の近くに潜む子分から連絡が入る。

 「ああ、旦那は執事と一緒に留守にしているらしい。女2人ならどうって事ないだろ」ボスはニタリと薄笑いを浮かべる。

 邸ではゆのが来客を迎えていた、いずれも昔から親しい人ばかりである。

 「何度来ても立派なお邸よね、8年出入りしているのに全然なれないわね」

 「これって本格的な英国アフタヌーンティーセットじゃない?やっぱりお金持ちは違うわね」

 「そんなんじゃないですよ、あのですね」

 「ゆの様、そのようにキョドってらしては当日も上手くいきません」初美は自分の主にピシャリと言う。

 「万丈さんの奥様ともなれば上流階級な人達とのお付き合いはどうしても避けられないっスからね」

 「ケーキもサンドイッチも美味しそう、でも小っちゃいね。コラ龍斗も美花も勝手に食べちゃダメ!」

 「モグモグ…」

 「パクパク…」

 「この面子でお茶会の練習自体間違ってるんじゃ…」実は万丈がさるセレブから近い内にお茶会に誘われていて妻であるゆのも同行する為リハーサルしようと沙英、ヒロ、宮子とかつての春日部防衛隊を招いていたのだ。

 「あいちゃんも呼べばよかったのに、こういうの詳しいハズだよ」

 「生憎今日はご都合が合わないらしくお出で頂けませんでした」

 「これはリアルおままごとのネタにもなかったわ、再現しようがないわね」

 「ボーちゃん、さっきから何キョロキョロしてるんだい?」

 「幸太、兄ちゃん、が、いない」そういえば夏休みでマリネラから帰省していた幸太も誘っていてみんなと一緒に邸まで来ていたのだがいつの間にか姿を消していた。

 「皆さん、こんにちは」双葉幼稚園の園長夫妻と2人の保育士を連れて幸太が戻ってきた。

 「幼稚園とこの邸、誘拐犯に狙われてますよ。万丈さんにも既に連絡してあります」幸太は声に出さずSMSで全員に伝える。

 (((((えっ?)))))みんな驚いて声が出そうになるのを慌てて呑み込む。

 「そこかぁーっ!」邸の門前から数百メートル先に隠れていた誘拐犯の1人を見つけて取り押さえる幸太。

 「貴様!なんで分かった?!」喚く誘拐犯に幸太が放ったセリフは

 「心音さ。後メールだと痕跡が残るからって無線機で会話していただろ?全部聞こえてたんだよ!」そう言うと相手の脛骨を叩き折って足の自由を奪う。

 「ギャアアアア!」誘拐犯は悲痛な叫び声をあげる。

 「しんのすけ君、彼は一体…」青褪めた顔で従兄だという幸太についてしんのすけに問う園長。

 「メカザウルス素手で破壊するほど強いんスよ、鍛えてますから」

 (((((相変わらずの地獄耳とバカ力…)))))

 

 「幸太様、今日のご恩は生涯忘れません」その後の警察の調べで標的が自分と知った初美は幸太に頭を下げる。

 「別に。こんぐらいどうって事ないし」照れながらわざと目を背ける幸太にゆのも宮子もしんのすけも万丈も吹き出してしまう。

 「じ、じゃ、俺PS学園に戻ります。展開!」世界最強のアーマードスーツ『PS』を纏いマリネラへ飛んでいく幸太を全員で見送った。

 

 後日、マリネラはPS学園にて。

 「幸太、アンタの知り合いが誘拐されかけたってホント?」中国からの留学生、凰鈴音が真剣な目で尋ねる。

 「ああ、誰から聞いたんだ、鈴?」

 「自国のニュースくらいチェックしてるわよ。犯人、被害者共に中国人らしいわね」

 「未遂だから被害者はでなかったけどな、それに日本に帰化したから正式には中国人とも言い切れん」

 「そう。これその人に渡しといて、謝罪の手紙よ」

 「ケツを拭くのか?」

 「その手紙じゃないわよ!レターの方‼アンタわざとボケてるでしょ?!」

 「お前が謝罪するのも変だろ、犯人の関係者でも政府の役人でもあるまいし」

 「あんな少数部族のせいであたし達まで誤解されたくないの、住所知らないからアンタが届けてよ」

 「律儀だな、一夏にもそういう態度とってれば好感度上がるのに」そうからかうと途端に顔どころか全身まで赤く染まった鈴、PSを腕にだけ部分展開させて

 「死ねぇーっ!」思いっきり殴りかかるが

 「(ソル)!」まんまと逃げられて立つ瀬のない鈴であった。

 

 

 

 

 




久し振りの2000字越えの話に。ナゼ?

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