アフターひだしん越後屋大戦(凍結)   作:越後屋大輔

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VRMMOの内容はコーエー版「西遊記」を基にしています


第11話未亡人メイド

 結局、風間君が三蔵法師、しんのすけが孫悟空、マサオ君が沙悟浄、ボーちゃんが猪八戒になる、ネネとあいはこのゲームのオリキャラだ。

 「私、ネコ耳だぁ。名前は(びょう)悟紅(ごこう)?」

 「(わたくし)は耳が犬のモノになってますわ。 ()悟月(ごづき)というのですね、中々愛らしい姿ですわ」

 「何か、シンパシーを、感じる」

 「あ~きっと作者のせいだな」

 「内側の話するなよ」

 「そうだよ、早く次のステージに行こう。確か金角、銀角を倒すんだよね」天から降って来るように初美の声が聞こえる。

 「次のメインステージへ向かって下さい、ここからは誰かお一人でも負けてしまうと全員ログアウトになりますのでご注意を」

 

 そして金角銀角戦、周囲の雑魚敵に構う事なくよってたかって全員で金角1人をボッコボコにする。こんなの現実でやったら逮捕か停学は免れないし色んな意味で大問題だ、しんのすけ達が勝利すると忽ち2人の小さな女の子に変わる。

 「どーなってんの?」6人が呆気にとられてると再度初美の声がする。

 「キャラによっては倒すとこちらの交換アバターにする事もできます、次回からその2人も使用できますのでお気に召しましたらどうぞ」 

 

 初美はその日の仕事を終えて3才になる娘楓と1才の息子祐を双葉幼稚園に迎えに行くと再びしんのすけ達に会う。

 「初美さん、今帰りっスか?」

 「ええ、幼稚園に息子を預けているの。しんのすけ君こそどうしてここに?」今はプライベートなので砕けた口調で話す。

 「オレ達この幼稚園出身なんスよ。オレと風間君、マサオ君とボーちゃんは新聞部の取材も兼ねて。せっかくだから園長と旧交を深めようと」

 「何だかんだいってもしんのすけは園長の事が大好きだったもんな」風間君がからかい半分に話を繋ぐ。

 「条河先生、奈津先生さようなら」園児達が2人の保育士に手を振る、彼女達も笑顔で

 「はいさようなら、また明日ね」よく見ると2人共結構若い、少なくてもしんのすけが通っていた頃からはいないだろう。

 「おや、楓ちゃんと祐君のお母さんじゃないですか」園長が門前にでてきた。相変わらず強面だが話し方は至って穏やかだ。

 「今2人を連れてきますね」

 「オレ、手伝います」踵を返す園長にしんのすけはついていく、初美は園長に頭を下げると子供達を抱え自宅へ帰っていく。

 

 夫の死後は結局彼の両親や弟と同居する事にした、実の両親が再婚するのに子供達は邪魔だから捨ててこいなどと言ってきたからだ。多民族で構成される中国では例え国の法にそぐわぬ事でも民族間の掟を重視する傾向が未だ残っており、初美の両親もそういうタイプの人間であった。

 「相手側の希望らしいけどそんな了見の狭い男なんて願い下げよ、大体ウチの両親も孫が可愛くないのかしら?」その日から初美は両親に絶縁を言い渡した、しかも彼女以上に腹を立てたのが夫の家族である。

 「初美さんはアタシらの養女にするよ!どっちにしろ娘にゃ変わんないだからね」

 「文句があるなら裁判でもなんでも申し立てなされ!」実の親より暖かく受け入れてくれた亡夫の両親に初美は生涯をかけて恩返しするつもりだ。

 「ただいま」家に帰ると義弟が女性を連れて来ていた、おそらく付き合っている相手だろうと思われた。

 「お義姉さんも正式に両親の養女になったし、俺もこの人と所帯を持ちたいんだ。心配しないで、ウチの事情は承知の上だから」

 「そう、いい話じゃない。私に反対する理由なんてないわ、むしろ待たせてしまってご免なさいね」

 「いいえ。私も彼の判断は正しいと思いましたし子供を捨てろなんて言う人は許せません」義弟の婚約者もそう言ってくれた。夫には死なれたものの彼が遺してくれた縁はなによりかけがいのない大切なモノだった、彼女の中で様々な気持ちが複雑に絡み合い、気づけば涙が止まらなかった。




VRMMOシーンが短すぎたかもです

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