TS転生してまさかのサブヒロインに。   作:まさきたま(サンキューカッス)

40 / 61
4日空いた分、文字数はやや多めとなっております。


「決断。」

 村長の生前弔い合戦、そしてオレの指揮による初の大規模戦闘。正直な事を言えば、オレに緊張がなかった訳では無い。むしろ、皆の前で叩いた大口に対して、内心ではビビりまくっていたと言える。何せオレの失策で、家族達(みんな)が死んでしまうかもしれないのだ。

 

 何時ものように他の誰かの指揮下なら、例え死んでも本望だと割り切って闘えた。何せ、自分が背負っているのは自分の命だけなのだから。

 

 ああ、なんと身勝手な覚悟だろうか。

 

 誰かを指揮して闘う時、こんなにも声が震えるモノだと知らなかった。アルトや村長(ボス)は、何時もこんな重圧を背負って戦っていたのか。自分に従う人の命を背負う重さは、患者の命を背負う時とは全然違う。重い、重すぎる。

 

 

 

 ・・・とまぁ、2回の人生合わせて今までで1番怯えていたオレだったが、結果から言うとオレはこれ以上ないと言える大戦果を挙げてしまう。

 

 それも、特に奇策や搦手を用いた訳ではなく正々堂々の正面突破で、である。

 

 普段は積極的に搦手ハメ手を好むオレだったが、今回の目的は勝つことだけじゃなく、ハゲ爺に安心してもらうための闘いだ。実力勝負でも十全に戦えると、そう伝わられなければ意味が無い。

 

 とは言え、ミクアルの戦士達は数十人程で、所詮は小勢だ。オレは奇策に頼らずとも、勝つための戦略はキッチリ練っていた。稀代の回復術者である自分や、ミクアルの戦士の強みを考えて最も有効な陣形で挑んだのだ。

 

 ミクアルの戦士はその一人一人が千人将以上の実力を持っていて、かつ身内同士で日常的に闘いに明け暮れた結果互いの技や動きを知り尽くしている。まさに軍を一己とした動きが可能なこの国で右に出る部隊は無い究極の精鋭達だ。

 

 軍を構成する兵士全てが阿吽の呼吸で動ける。こんな戦士達だからこそ、オレの描いた馬鹿みたいな戦法がまかり通せた。

 

 

「フィオだけは何としてでも守り抜けぇぇぇぇ!!」

 

 ────見敵必殺。

 

 森と平原の風土とした自然豊かな西の自治区近域に到着したオレ達は、集落へ進撃していた牛のような魔族の群れを発見するや否や、隠れもせず全速力をもって側面から突撃した。

 

「フィオの糞ったれ!! なんて馬鹿な戦略考えやがるんだっつの!」

 

 おびただしい魔族とその死体が溢れかえり、戦場は大混乱である。味方はみんな必死でオレを庇いながら罵声を飛ばす。

 

 無理もないだろう、千を数える大軍を相手にたった数十人で切り込んでいるのだ。皆気が立っているに違いない。

 

「死んだ!! また死んだ! あーもうヤだ!」

 

 血飛沫が上がった方向に、生命力が抜け落ちる家族の気配。右後方で、誰かの命が尽きんとしている様だ。

 

 ────だが残念、そう簡単にあの世へ逃がしはしないぞ? もう少し、この現世でオレのために闘って貰わないと困る。

 

 倒れたラントが地面に倒れ落ちるまでの間に咄嗟にハイ・ヒールで蘇生し、彼はそのまま足で踏ん張って転倒すること無く戦線に復帰した。よし。

 

 今回のオレの作戦は、シンプルで単純だった。即ち、「オレを中心とした円陣を組み、敵陣を縦断する」と言う守り重視の超攻撃的戦術だった。

 

 オレや司祭の馬鹿げた魔力容量にモノを言わせ、ミクアルの戦士達を半永久的に回復させ続けた状態で円陣を組み敵に突っ込む事により、背後の憂いを無くし円状に接敵した正面の敵だけを地力の差で殲滅する。

 

 実は大軍が相手の場合、敵と正面衝突するよりこの様に円陣を組んで敵陣に潜り込んだ方が安全なのだ。味方への誤射の心配がある為に敵から飛び道具で封殺されることもなく、変に敵に勢いを付け突進されたり、回り込まれて奇襲を受けたりもしない。

 

 ただし、その円陣を維持できるならと言う条件は付くけれど。この作戦は回り込まれる心配が無いのではなく、既に囲まれているだけだ。本来なら非常にリスキーで、狂気の沙汰である。何せ少しでも陣形が崩れれば、そのまま散りじりに突き崩され壊滅するのだ。

 

 異常な練度のミクアル兵と、回復チートのオレが合わさったからこそ今回は実用に至った。

 

 傷ついた戦士の傷は即座に癒やせるので、陣が崩れる可能性は非常に低い。それに、そもそも敵の雑兵如きにそう何度も負傷するようなミクアルの戦士ではない。戦闘からしばらく経って敵魔族の動きの特徴を理解するや、戦士たちの負傷はどんどん少なくなっていく。オレが当初考えていたより、戦士達の受傷者は遙かに少なかった。

 

 想定以上に強固な陣形を構築していたオレ達は、魔王軍を側面から真っ二つに引き裂いた後も、敵が壊滅に陥るまで何度も何度も突撃を繰り返し敵軍を両断し続けた。その結果、半日と経たず西の自治区に出没していた魔王軍は殲滅される事となった。因みにミクアルの同胞に死者や負傷者は無し、オレが全員治したし。

 

 そう、オレの初陣は、これ以上ない戦果を挙げて意気揚々の凱旋となるのだった。

 

 

 

 なる、筈だった。

 

 

 

 

 

 戦闘を、実戦を、オレは舐めていた。そのツケが来たのだろうか。

 

 牛の魔族共を蹴散らした後、意気揚々と来た道を引き返すオレ達は、またしても敵に遭遇してしまう。たまたま土煙を上げて自治区の方向に進軍している魔王軍を、オレが 発見したのだ。

 

 ただ先程戦った魔王軍と比べ、数はそんなに多く無かった。アレは、後詰めの別働隊なのだろうか。何にせよ、放っておく訳には行かない。

 

 連戦にはなるがオレ達の士気はむしろ高揚しており、むしろ嬉々としてその小数の魔王軍にむけ突進する事になった。オレ自身、先の勝利に気をよくし、あの程度楽勝だろうと甘く考えていた。

 

 その敵軍は、牛の魔族では無かった。遠目から見るにゴブリン達のようだ。つまり、雑魚の代表格である。

 

 先程と同じように、オレ達は勢いを付けて敵の真っ只中に斬り込もうとした。ゴブリン如き、オレ達の敵では無い。軽く蹴散らして、爺が死ぬ前に聞かせる土産話にしてやろう。そう、考えていた。

 

 オレ達の襲撃に気付いたゴブリン達の中から、隊長格らしいオークが出て来きてすぐさま敵は陣形を整えた。整然と統率されたそのゴブリン達は、高度に連携した動きを以てオレ達を迎撃する。そのあまりに強固な敵の陣を、オレ達は打ち破る事が出来ず結局正面から打ち合う形になってしまった。

 

 堅い、堅すぎる。ただのゴブリンがココまで強いなんて、そんなまさか。予想外の強敵に内心で焦って居ると、突然に既視感(デジャヴ)に捕らわれ、記憶が揺さぶられる。

 

 ────ああ、思い出した。そうだ、オレはコイツらに見覚えがある筈だ。ゴブリンなんて、そこら中に沸いてくるからいちいち気に留めていなかったけれど。

 

 コイツら、半月前にオレ達勇者パーティに奇襲を仕掛けて来やがった、知恵の回る魔王軍だ。ゴブリンを束ねるオーク共のうち、一際大きなその1匹が、あの時オレを掴みぶん投げた奴と重なった。

 

 オレがヤツを見紛う訳が無い。今でも、あの時の光景は夢で見るのだから。

 

 

 ────と、言うことは。

 

 

 地響きがなり、獰猛な唸り声が聞こえてくる。相手にするのも馬鹿らしい、ひたすらに巨大な魔族の長。この軍を率いる、敵の総大将。

 

 あの時、あのアルトと互角に斬り結んでいた超巨大なオークが、岩陰からその姿を現した。

 

 

 

「撤退だっ!! 退け、逃げろ!」

 

 

 そんなオレの叫びに呼応し、戦士達はオレを担ぎ平野を駆ける。オークは本来、鈍重な種族だ。これで普通に逃げきれるのが、常識の筈だ。

 

 ────逃げた先には、既に敵のボスオークが回り込んでいた。コイツは、あのアルトが撒くのに苦労したほど俊敏なオークである。いくら精強なミクアルの戦士と言えど、速さでは一歩上を行かれている様だ。

 

 

「良いから突っ込め! このボス格のオーク以外はオレ達に追い付けていない、死んでも何とかしてやるから徹底的にあの群れから距離を取れ!」

 

 

 オレの指示は、直進。ボスオーク1匹を強行突破する方が、後ろの大軍を突破するより容易い筈。

 

 直後、ラントがグシャリと、ボスオークの投げた棍棒に叩き潰される。

 

 即座に蘇生してやると、その間にボスオークは既に眼前へ迫ってきており、勢い良くミクアル兵を踏み潰した。その踏み込みと同時にボスオークは棍棒を拾い上げ、踏み潰れた仲間の蘇生が終わる頃にはもう上段に振りかぶっている。

 

 ・・・ヤツの攻撃が激しすぎる! このままでは、とても回復が追い付かない。しかもボスオークは、回復術者(ヒーラー)の存在に気付いたらしく、その鋭い眼光がオレを射ぬいた。

 

 マズイ。オレが死んだら、ミクアルの戦士達は終わりなのだ。

 

 ソレを理解しているから、皆が死に物狂いにオレを庇い、結果潰され、血飛沫を上げ吹き飛んだ。ダメだ、本当に回復魔法の供給がギリギリだ。あと少し遅れていたら死んでいた、そんな奴が何人もいる。

 

 戦場で潰れ死にかけた人間はその瞬間に蘇生しないと間に合わない。肉片が地面にばらまかれ血肉と混じりきってしまうと、蘇生の対象が地面に居る虫だの植物等と混ざり合い回復魔法がエラーを起こすのだ。そもそも、回復魔術は何故か死後数秒間で使用できなくなる。死人は蘇らないモノらしい。

 

 そう、次々致命傷を負っていく周りの仲間の蘇生でオレは手一杯であり、辺りを見渡して攻撃を躱す余裕なんぞ無かったのだ。動けないオレを庇い仲間が次々と肉片になっていく。

 

 そして遂に。オレの周りの闘える人間が全て倒れ、庇ってくれる戦士がいなくなったその瞬間。

 

 ボスオークは、オレを目がけ棍棒を大きく振りかぶり、そのまま亜音速で回避不能の一撃をオレに叩きつけたのだった。

 

 

 

「さて。オレのとっておき、蜃気楼爆弾(ミラージュボム)。食らって吹き飛んでろ。」

 

 

 

 直後、ボスオークが叩きつけた“蜃気楼に映るオレの幻影”が大爆発を起こした。これぞ初見殺しの極地、オレの数少ない戦闘用の切り札。「自らの姿を蜃気楼へと映し、そこに水蒸気爆発を引き起こす設置罠を仕掛ける」自前で開発したオリジナルの水魔法。

 

 流石に面食らっただろう。ボスオークの右腕は吹っ飛び、握り締めていた奴の棍棒が遠くへ転がっていく。

 

 この隙を逃す手は無い。即座に森に紛れ、オレは奴らの前から姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死人は、居るか?」

「ん、多分いない。」

 

 森に逃げ込み奴らを撒くことに成功したオレは、疲労困憊だった。あと少し、魔法陣(とっておき)の完成が遅ければオレはボスオークにペチャンコにされていただろう。

 

 ゴブリンとか、オークとかは本来大した敵じゃない筈なのだが、あの巨大オーク率いるオーク軍は格が違う。アレが魔王軍の精鋭の標準の実力なのだろうか。それとも、あのオーク軍がひと際ヤバいのだろうか。

 

 今回は命からがら、運よく逃げ延びただけだ。しかも、虎の子で出来れば最終決戦まで隠しておきたかった”蜃気楼爆弾(ミラージュボム)”を使わされての撤退だ。

 

 あの切り札を、強敵を仕留める為でなく撤退目的に使う羽目になるとは。風で霧を散らされたらおしまいなこの初見殺し魔法は、恐らく次から対策されて使えなくなるだろう。

 

「・・・で。あのオーク、どう倒しますかフィオ殿。」

 

 厳かな修道服を纏った司祭が、オレに次なる作戦を聞いてくる。他の戦士達を見渡すと、皆が疲労困憊ではあるが諦めてる目をした奴いなかった。ここから逆転の方法はあると、そう信じ込んでいる。

 

 確かに正面突破に拘らなければ、確かに勝てる策は幾つかある。ただヤツ等は非常に頭も回る様だし、仮にここでオレが何か奇策を出しても読まれたら終わりなのだ。

 

 安全な撤退か。危険な勝利か。

 

 そんなモノ、悩む必要は無い。オレの心はとっくに決まっている。 

 

 

「いや、せっかく奴らから逃げ出せたんだ。このまま里まで退くぞ。」

 

 

 ────当然撤退、それしかないだろう。

 

「は? フィオ、何言ってるんだ? まだ戦えるぞオレ達は。」

「おいおい、魔力切れでも起こしたか? 少しくらいなら休んでいいから、こんな無様な戦果で帰れるかよ。」

「この結果を村長に何て言うつもりだ。フィオ、お前本気なのか?」

 

 不平爆発、避難轟々。兄妹達から文句が山のように浴びせられ、少し辟易とする。

 

「このまま闘っても分が悪すぎるんだよ、この雑魚共。村長に全滅しましたって伝えるのと負けましたって伝えるの、どっちがマシだよ。」

「まだ負けてねぇよ!」

「・・・バーディに伸される程度の腕のお前らでは、正直あのオークの相手はキツい。奇襲とは言え、勇者パーティと正面から闘って押してた連中だ。あのボスオークが強すぎるんだよ、絶対魔王クラスだろアレ。」

 

 残念なことにオレが今思いつく奇策の殆どは、あのボスオークにアッサリと潰される未来しか見えないのだ。ショボい落とし穴だの水攻めだの窒息だの毒殺だので、あのボスオークを殺せるとは思えない。

 

 

「・・・なら見捨てるのか? 自治区の連中を。」

 

 

 だが、此処での撤退はすなわち。ミクアルの戦士達の守り続けてきた”無辜の民”を見捨てるのと同義である。

 

「ああ、見捨てる。」

「ふざけんな糞ロリ!! 何の為にミクアルの里があると思って・・・っ!!」

 

 そう、見捨てる事になるのだ。オレの判断で、多くの罪なき人間が命を奪われるだろう。オレに力が無いから、きっと村長なら助けられたかもしれない、そんな人々が、死ぬことになる。

 

「・・・すまん、フィオ。悪かった、言い過ぎた。」

 

 それが、悔しくて、辛くて、とても背負いきれなくて。何時からだろうか、オレは目頭を押さえ歯を食い縛りながら泣いていた。

 

 勝てるかもしれない、だが分が悪すぎる。そんな理由で挑戦すらせず、オレは守るべきモノを見捨てるのだ。

 

 オレは、最低の人間だ。

 

「泣かないでください、フィオ様。それで、正解なのでございます。」

「・・・司祭。どういう意味だよソレ。」

「村長は仰っておりました。フィオ様は頭が切れるお方。そして、引き際で引けるお方であると、無謀と勇気をはき違えていないお方だと、そう言っておりました。貴方の回復術の腕だけを買って、村長はフィオ様を次期村長に指名した訳ではありません。」

「・・・つまり?」

「万一我らが窮地に陥り、そしてフィオ様が引き際を誤りそうなら、私が代わりに指揮を執って撤退させろと。村長はそう私に命じていたのですよ。ですがフィオ様は引き際を誤ることなく撤退を選択された、つまりあなたは見事村長様の期待に添えたのです。だから、ご安心ください。」

 

 村長(ボス)の野郎、そんなことを司祭に命じていたのか。つくづく食えないオッサンだ。

 

「くそったれ、要は俺達の実力不足かよ。ああフィオ、了解した。撤退する、良いな皆。」

「フィオと司祭がそう言うなら仕方ない。フィオは充分過ぎるほど戦果を上げてる。それに応えられなかったのは俺達だもんな。」

 

 オレと司祭の話を聞いて皆も、一応は撤退する事に納得してくれたようだ。

 

「負けても命ある限り、何度でもやり直せる。今日の処は負けを認めて、次に生かそうぜ。死んじまう自治区の連中には気の毒だが、諦めて貰おう。どうしようもない理不尽な事なんて、この世界に溢れてるんだから。」

 

 そういってオレは涙を拭いた。隠れたまま奴らの動向を追い、無事に撤退するための道筋を探す。

 

 そのまま様子を伺うと、オークやゴブリン達は再度結集し、西の自治区へと進軍を再開した。このままいけば間もなく、自治区では虐殺や略奪が行われることになるだろう。だが、オーク共が自治区に攻め込んでくれるなら、オレ達の撤退は間違いなく安全だ。

 

 あそこの民は、危機を察知して既に逃げているだろうか? ああ、ああ。オレは、オレのせいで、彼らの故郷は、更地にされるだろうがこれは仕方がない事で────

 

 

 

「────それが、お前(フィオ)の本心か?」

 

 ・・・だって、仕方が無いじゃないか。勝てない相手に勝てないと知って殺されに行くのは馬鹿の所業だろ。

 

「────勝てないと決めつけるのは、何故だ?」

 

 それは、戦力差が大きすぎるから。特にあのふざけたボスオークを何とかしない事には勝ち目がない。

 

「────つまり。あのデカいオークの首を取れば何とかなるんだな?」

 

 そりゃ、敵のトップを落とせればどうにでも出来るけど。問題はどうやってあのオークを倒すか、って話で。

 

 

 

 

「なら、俺に任せて貰おうか。」

 

 ・・・いつから、コイツは此処に居たのだろうか。

 

「え、誰だコイツ?」

「ひっ!? いつの間に現れやがった、気配無かったぞオイ。」

「と言うか何で森に紛れ完璧に隠れてる俺らに気付いたんだ?」

 

 おかしいだろう。だってこいつは確かコボルト討伐に行ってたはずで、あそこから王都に戻ってここまで来るとなると相当時間がかかるはずで。

 

 なら、コイツは偽物か? いや、そんな訳はない。オレがコイツを見紛うはずがない────

 

「ああ、俺の自己紹介をしようか、フィオの里の戦士達よ。聞いてくれ。」

 

 そう不敵に笑い、いつの間にやら俺の隣に来て、そのまま流れるようにオレの肩を抱きすくめる、その男の名前は。

 

「俺の名はアルト。姓はない。ただ勇者アルトと、そう呼んでくれ。」

 

 一見すると完璧超人に見え、付き合ってみるとただの色情魔。はた迷惑なオレの恋人、即ち勇者アルトその人だった。




次回更新日は、ごめんなさい、ストックが無いのでまた4日ください。9月16日までに書き上げます。
普段は定時に帰れる土日でストックを書き溜めていたのですが、今週は忙しくて書き溜め出来なかったのです。
土曜の朝、8時に出勤するでしょう? 帰宅できたの、23時半なんです。

・・・日曜日の。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。