意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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横浜騒乱編17

「私の小説を読んだ人は刑事告発する権利がなくなるのですか?」

 

『そんなことじゃないの!あなた、私の資料を盗み見たのね?』

 

「私に電子の魔女を出し抜くハッキングスキルはありません。ところで藤林さん。服を着て下さい。目のやり場に困ります」

 

『へェっ!?』

 

慌ててドタバタする音が聞こえてくる。

 

『と、とにかく勝手な行動は控えて下さい』

 

「藤林さん」

僕は、彼女の話を遮った。

 

「戦争は、戦力の優劣だけで決まるものではありません」

 

戦力だけなら、我軍が大亜を圧倒する。大亜が我軍より有利なのは物量くらいなものだ。ただ、大亜は政治力はある。第二次世界大戦でもいつのまにか戦勝国に入り込んでいる。我帝国軍に勝利した戦い無しにだ。

 

「今回も、奴等は我軍の防衛出動をあの手この手で遅らせてくるでしょう。当該地方自治体首長は我軍の派遣要請を出せないだろうし首相は足を引っ張っられ防衛出動の決断を遅らされるでしょう。このまま何もしなければ」

 

そこで、国内の売国奴を抑える為に外患罪*等の刑事告発と懲戒請求*を利用する。

 

*外患罪は国家の存立に対する罪である。いわゆる国家への反逆となる戦争犯罪(売国行為)であり、刑法の中でも最も厳しい刑罰を科すものである。未遂・予備に留まらず、陰謀をすることによって処罰されうる点でも特異である。内乱罪が国家の対内的存立を保護法益とするのに対し、外患罪は国家の対外的存立を保護法益とする。

 

要は、売国利敵行為は全て外患罪にあてはめられるのだ。ただし政府が有事であると宣言しなければならないが。

これに加えて弁護士の懲戒請求*はもっとアバウトでも申し立てできる。反日弁護士に嫌がらせするのに持って来いなのだ。

 

 

(*懲戒の請求、調査及び審査)

第五十八条 何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。

 

こちらは、誰でもたとえ法的根拠を明らかにしなくても問題があると思っただけで懲戒請求できてしまうのだ。防衛出動の制限を求める等の政治的な反日利敵活動をしている弁護士は全部標的にした。

 

『わかったわ。でもこれははっきりさせて欲しいの。どうやって盗み見たの?』

 

気配を消して光学迷彩で姿を消せば君達レベルの魔法師にはわからないだろう。十師族でさえわからないのだから。とは言わないであげよう。

 

「佐伯さんに頼んで見せてもらっただけですよ」

 

藤林さんが椅子から転げ落ちそうになったのを感じる。

 

『そ、そうなの。なら、仕方ないわ』

 

「では、これで」

 

『ちょっと待って!まだ訊きたい事があるの。今日あなたは学校に行ったはずよ。でも、今日、海軍の潜水艦にも乗り込んでいたわ。どういう事なの?』

 

双子の妹がいて男装して…等と嘘をつくのはやめておこう。妹さえいればいい。のだが。

 

「藤林さん。目を瞑ってみて下さい」

 

『何よ。突然?』

 

ブツブツこぼしながら彼女は眼を閉じた。

 

『もう眼を開けていい?』

 

『やっはろー!』

 

藤林さんが美人台無しの心になっていた。

 

『どうやって。どこから』

 

「どうかしましたか?藤林さん」

 

『あれっ?今のは。あなた、もしかして分身できるの』

 

「眼を瞑ったでしょう。【あなたの夢に化けて出た】だけですよ」

 

一瞬の沈黙があった。藤林さんは先程は確かに眼を瞑ったままだったと思い出したようだ。

 

『待って!今のはそれで納得出来たわ。潜水艦の乗船はどうやったの?』

 

◇◇◇

 

さて、横浜有事まであと一週間となった。本日は、ゴルゴ13第581話無音潜水艦で有名になった神龍改良型(何番艦は内緒だよ!)にお邪魔している。どうやって乗り込んだかって?佐伯さんから頼まれただけだ。海軍に恩を売って来いと言われて。

 

佐伯さんは、決して表に出せないコネクションを持っていると判明した。その筋からも今回の件よろしくと伝えられた。

 

当時のゴルゴ13でもスターリングエンジンを積んだ神龍は、米軍の原潜を除けば世界最強の潜水艦だと描かれている。(当時の米原潜の加圧水型原子炉は音がでかいから、日本近海なら神龍のほうが強いだろう。)今は、すっかり時代遅れになったが、ある実験の為に今回は使用される。

 

漫画の中で、水深670メートルまで潜ってもビクともしない様子が描かれている。当時から潜るだけなら1000メートルは可能だった。ちなみに中華製は200メートルで艦内に異音が生じると当時暴露されていた。

 

それを潜るだけでなく自由に航行して深々々度魚雷やミサイル(核弾頭付き)をぶっ放せるようにしたい。のと、海中で作戦本部等と不自由なく通信したいのだ。

 

ゴルゴ13でも、せっかくの無音潜水艦なのに潜望鏡を出す音が敵に探知されてしまう描写がある。スパイ衛星等から自由に通信できれば、潜望鏡を出す必要はなくなる。しかし、海中では思うように電波が伝播しない。

 

海中ケーブルが施設されている海域は、携帯電話での通信のように海中ケーブルセンサーやアンテナ、中継機を使って通信できる。技術の進歩とともにケーブルはノンケーブルとなったが、この方法ではいづれにせよ海底に通信設備を施設しなければならない。

 

そんな大規模なケーブル網が日本近海に、しかも100年前にあるはずがない!とお叱りを受けそうだ。チ、チ、チ、チ。地震観測を理由に我国は、ケーブルセンサーを海中に施設しまくっていたのだ。防衛費はGDPの1%とするお馬鹿な縛りをこうしてクリアしていたのさ。話を戻そう!

 

とはいえ、広大な海底に施設し続けるのは持続可能な行為ではない。その解決策として電子の魔女の魔法技術がとても有用だ。だから、海軍に恩を売る良い機会だと佐伯さんが言い出したのだ。その代わり藤林さんのデータ収集法やデータそのものを見せてもらった。(本人には内緒で。)藤林さんは怒るかも知れない。何かお返ししないといけないな。あげまんになる方法とか良いかな?

 

司波くんさえも、真似できないネットの女王様、電子の魔女の秘密は鋭敏な皮膚感覚だ。全身を使って全方位的にネットにアクセスし必要な情報を得、改ざんをも行う。自分の肉体を酷使し痛みも消し去ってしまう司波くんとは真反対の考え方が必要となる。なので、ある意味箱入り娘のお嬢様でなければできない魔法なのだ。

 

やり方も独特だ。今、これを見ている本人は怒るかも知れないが、真っ裸になって魔法式を組み上げているのだ。音無とか鮎喰とか「響」つながりの女の子はユニークな人が多いのかも知れない。

 

冗談はさておき、全身の皮膚を隈なく使って魔法式を組み上げるととてつもない快感を得る場合がある。彼女はおそらくその体質だ。ただ、あんまりやるとそのままネットの海に溶けてしまう恐れがある。そこまで行かなくても異性を欲しない体質になる可能性が高い。正直彼女の将来が心配だ。一応フォローしておこう。

 

若くして悟りを開くと異性がいらない体質になる人がたまにいる。座禅等の気持ち良さが性的な快感よりもまさる体質の持ち主だ。普通は、どちらも好きで両方ともこなす様になる。禁欲的になる方がむしろ例外だと考えていた方が良いのだ。行かず後家になる前に、さっさと結婚した方がいいと思うよ。電子の魔女さん。

 

全然フォローになってないとお怒りのご様子だ。

 

さて、電子の魔女が使う皮膚感覚による電磁波の感知は、その性質から電波や電気にも応用できる。微弱な電波を拾うのもお手の物だ。しかし、電子の魔女クラスの魔法師を潜水艦に一人づつ載せるのは不可能だ。そんなレベルの魔法師がたくさんいれば苦労しない。そこで、一計を案じた。海軍の着眼点はなかなか鋭い。

 

パシフィックリム方式とも瞬間、心、重ねて方式とも、ウルトラマンA方式とも、バロム1方式とでも表現出来る方法を考案したのだ。

 

僕はその候補生を紹介された。個人のプライバシー保護の為、藤掛(仮名)さんと渡辺(仮名)さんとしておく。

 

どうしてわざわざ仮名と書いたのか?それはバロム1方式♂×♂だからだ。

 

柴田さん垂涎ものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


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