意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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夏休み特別篇3

思わぬ事態となった為、夏休みの後半は忙しくなった。某研究所で通常兵器と魔法を組み合わせて最新兵器(主に米国製を想定している)と同じかそれ以上の性能を発揮させようとする試みに協力する事になったからだ。その詳細は、大人の事情により後で書く。

 

今回は、学生らしく部活のメンバーと夏休み中に部活動をした時の話だ。というか、部員と一緒に練習しただけの話だ。

 

「みんな、少し日焼けしているけど海水浴でもしたの?」

ちょっと羨ましいぞ。

 

「師匠も焼けているよ。九校戦はどうだった?」

長岡さんは、身体から熱や光でも発しているのかと思うくらい陽気が一杯だった。どんだけ練習していたんだ?

 

ネット中継で九校戦のライブもダイジェストも配信していたので部員は一高の三連覇と新人戦一高優勝を知っている。もっと詳しいことを知りたいのだ。特に大活躍だった司波兄妹は、司波くんが同じクラスというのもあって興味深々だった。

 

僕は、モノリスコードで優勝した三人の活躍を部員に話した。『三人のビースト』で書いた内容を話したのだ。意外な事に司波くんが一条くんを倒した指パッチンをみんな出来なかった。指の摩擦音ではなく指の打突音だと知らなかったからだ。余談だが、バイオニック・ジェミーを誰も知らなかった。

 

司波くんチームが数的優位を作り出すチーム戦術と個の力を十分に発揮できる根性を持っていたのと一条くんチームは二枚看板以外は存在が消えていた程度のチームワークしかなかったのと個人の諦めが早すぎ、状況判断が悪すぎが勝敗を分けたとクドクドと説明した。意外に涼野さんが熱心に聞いていた。

 

今度は、僕が部員に何かあったか尋ねてみた。

 

白石くんが、森崎くんが女の子を怪しい連中から救ったそうだと言った。「森崎くん、凄い〜!」と部員一同感心した。「怪我さえなかったら、モノリスコードで優勝出来たかもね」と朝田さんが言った。良かったね!森崎くん。でも、僕が一番気になったのは、どこでその話を聞いてきたんだよ!白石くん。

 

みんなの話題が尽きて来た時に、長岡さんから質問された。

「神に祈って力を得る方法は、他にどんな練習をすれば良いの?」

直球ですね。どんだけ強くなるつもりですか?長岡さん。生ける神になり切るまで強くなって下さい。

 

そこで、僕は神を信じるとか祈るとかを主軸に神化した人物の話を紹介した。

 

マタイによる福音書からだ。

 

夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じたとおり、妻を迎え入れ、男の子が生まれるまでマリアと関係することはなかった。そして、その子をイエスと名付けた。

 

 ☝マリアさんが結婚前に不適切な関係を婚約者以外の男性と持ち、その男の子供を身籠ってしまった。ただヨセフ父さんは、穏便に済まそうとしたらしい。いい人だぁ。

 

主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている 」ヨセフは起きて 、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた 。

 

☝夢を根拠にして住まいも仕事場も変わるとは・・・・凄いと言うよりも呆れる。

 

主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった」そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。

 

夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、ナザレという町に行って住んだ。

 

☝引っ越し貧乏にならなかったのだろうかともはや心配するレベルだ。

 

「要は、神からのお告げ通りに行動するだけだよ!」

どうや!めっちゃ簡単やろ!

 

「「「えーーッ」」」

部員達に、そもそも『神のお告げ』がないとブーイングされた。何故か長岡さんはブーイングしなかった。さては、あったな。『神のお告げ』

 

「これには仕掛けがあって、神のお告げを実行出来そうな人物に神のお告げがあるようになっているんだ」

 

部員が、きょとんとした。理解ができなかったようだ。

 

「実行できない人に神のお告げは来ないから大丈夫。つまり、その人に実行可能なお告げしか来ないのだよ」

 

ヨセフ父さんに話を戻す。無事息子が成長したら、一体誰に似たのか?とんでもない男の子だった!

 

トマスによるイエスの幼児物語

 

 さて、ザッカイという名の教師が何かの折にそこに居合わせ、イエスがこんなことを父親に言っているのを聞いて、子供なのにそんな口をきくので大変驚いた。

 それで数日後ヨセフに近寄って言った。「あなたは賢い子を持っている。知性があります。さあ字を習わせにこの子をわたしのところに寄越しなさい。そうすればわたしが字と一緒にあらゆる知識を授け、またすべての年寄りに挨拶し、その人たちを先祖や父親のごとく敬い、また同年輩の者をも愛することを教えましょう」

 そしてすべての文字をアルファからオメガまで正確に吟味しながらはっきりと言ってみせた。しかしイエスは教師ザッカイをみつめて言った。「あなたはアルファの本性をも知らないのに、どうしてほかの者にベーターを教えるのですか。偽善者よ、もし知っているならまず第一にアルファを教えなさい。そうすればベーターについてもあなたを信じましょう」それから教師に最初の文字について質問を始めたが、教師は彼に答えることが出来なかった。

 それから沢山の人が聞いている前でザッカイに言った。「先生、第一の文字の構成秩序について聞きなさい。そして次の点に注意なさい。斜めの線と真中の線があるが、それはごらんのように一緒になる線を横切っていて、一点に集まり、上にあがり、輪舞してまた分岐する。アルファは三部の同種の同じ長さの線を持っている」

 

☝教師もただの人なんだから、ガキに人前でぼろくそに言われたらプライドはズタズタになったと思うのだが・・・・

 

 彼の父は大工で、そのころは鋤や軛を作っていた。ある金持から彼に寝台を作るよう注文があった。しかし一枚の板がその反対側の板より短くて、ヨセフが何をしたらいいかわからないでいると、少年イエスがその父親ヨセフに言った。「二枚の木を下に置いてまん中からみて一方を同じにあわせて下さい」

 それでヨセフは少年が言う通りにした。するとイエスはほかの端に立ち、短い方の木を掴み、それを引き伸ばし、他方と同じ長さにした。その父ヨセフはこれを見て驚き、子供を抱いて口づけして言った。「わたしは幸いだ、神様がこんな子をわたしに下さったのだから」

 

☝今でこそ「私の息子は将来、一流魔法師になれるかも知れん!」と喜ぶ親父もいるだろうが、普通はブルっちまうだろう。

 

 さて彼が一二歳だった時、両親は慣習に従って、巡礼の人々と一緒に過越の祭りにエルサレムへ行った。そして過越の祭りの後、家に向かって帰途についた。するとその途上で少年イエスはエルサレムに上って行った。それでも両親はイエスが巡礼の人々の中にいると思っていた。

 彼らは一日の道中をしてから、親戚の間でイエスを探したが見つからないので、悲しんで、探しながらもう一度町に戻った。そして三日目に、彼が神殿で教師たちの間に座って耳を傾けたり質問したりしているのを見出した。みなが注意を向けて、どうして子供でありながら律法の要点や予言者たちの比喩を解釈し、長老たちや民の教師たちの口をつぐませたりできるのか驚いていた。

 そこで母マリアが近寄って言った。「どうしてわたしたちにこんなことをしたのですか。子よ、ごらんなさい、心配してあなたを探していたのですよ」そこでイエスは言った。「何故わたしを探すのですか。わたしが必ず父のところにいることがわからないのですか」

 それで律法学者とパリサイ人たちは言った。「あなたはこの少年の母ですか」彼女が、「わたしがそうです」と言うと、彼女に言った。「あなたは女の中で幸せな方。神があなたの胎の実を祝福されたのです。本当にこのような尊厳と徳と知恵とをいまだかつて見たことも聞いたこともありません」

 そしてイエスは立って母に従って行き、その両親に服従していた。しかし母親はすべての出来事を心にとめておいた。そしてイエスには知恵も年齢も恵みも増していった。世々に彼に栄光あれかし。アーメン。

 

☝元ビッチのマリア母さんが常識的な母親になっている。今でこそ「うちの息子は、天才よ!飛び級させて末は博士か大臣よ」と喜ぶ教育熱心な親ばかママもいるが。

 

「少年イエスは、頭はとびきり良いのかも知れないが、かなりの問題児だったようだよ。ヨセフ父さんは器がでかかったね」

 

ここで、一同爆笑!のはず。しかし、何故か部員が僕を真顔で見つめている。

 

「師匠、もしかしてイエスと同じような事をしてご両親に迷惑掛けてない?」

 

「いやいや、涼野さん。こんな大それたこと僕は……」

 

やばい。墓穴をほった。良く考えたら僕も随分と今までやらかして来た。でもでもでも、☟ここまでは、ひどくないからね。

 

再びトマスによるイエスの幼児物語のまとめ

 

 5歳のイエスが、河原で泥をこねて12の雀を作りながら遊んでいると、父ヨセフから安息日には物を創ってはならないと注意され、イエスが手を拍って雀に「行ってしまえ」と叫ぶと、雀は羽をひろげて鳴きながら飛んでいった。

 

イエスの噂を聞いた律法学者アンナスの息子がやってきて、イエスがせき止めておいた水を流してしまう。イエスは怒り、「愚かなる者よ。この穴と水がお前に何の不正をなしたというのか。見よ、今やお前は木のように枯れる」と言うと、アンナスは本当に枯れてしまった。イエスが走ってきた子供と肩がぶつかると、イエスは怒り「お前はもう道を歩けない」と言うと、その子は本当に死んでしまう。枯れた子供と死んだ子供の両親はヨセフに抗議を申し立てる。父ヨセフは「どうしてあんなことをするんだ。あの人達も困るし、それに私達を憎んで迫害しているぞ」と叱ると、イエスは「こうしたお言葉が貴方のものでない事は解っています。でも貴方のために黙っていましょう。しかしあの人達は罰を受けるのです」と返事をすると、苦情を言い立てた人は全員盲目になってしまう。さすがにヨセフは怒り、イエスの耳を引張り叱るが、イエスは「貴方は物を探しても見つけないのが良いのです。貴方は本当に賢からぬ振る舞いをした。私が貴方のものだという事が解らないのですか。私を悲しませないで下さい」と父をなじった。

 

ザッカイという教師がその様子を見てヨセフに、イエスの教育を自分に任せるように言う。教師はイエスに、アルファからオメガまでの文字を教え始めるが、イエスから「あなたはアルファの本性も知らないくせに、どうして他の者にベータを教えるのです。偽善者よ、先ず知っているものなら、アルファを教えなさい。そうしたら、ベータについてもあなたを信用しましょう」と言う。教師は答えられない。そこでイエスは、「先生、第一の文字(A)の構成を聞きなさい。まず次の事に注意しなさい。この字は(二本の)直線と一本の中間線を持ち、これはご覧の通り(ふたつの)一緒になる直線を渡っている。そして(ふたつの)直線は一点に集り、上にあがり、輪舞し、ぐるりとまわって来る。Aという字は三部分の、同種の、同じ長さの直線を持っているのです」と難解で意味不明な事を言って煙に巻くので、教師は嘆き悲しむ。周囲の人が教師を慰めていると、イエスは大笑いしながら「今度はお前の方が実を結び、心の盲人なら見えるようになるべきだ。私は上から来たもの、それはお前達のために私を遣した方が私に命ずる通りに、人を呪っては天へと呼ぶためなのだ」と言うと、これまでイエスが呪って死なせたりした人達が復活してしまう。そのため、それ以降、少年イエスを怒らせる人はいなくなってしまった。

 

数日後、イエスは屋根の上の露台で友人と遊んでいると、一人が屋根から落ちて死んだ。他の子供は逃げてしまうが、死んだ子の親がやってきて、イエスにお前が突き落としたんだろと怒る。親があまりしつこく言うので、イエスは死んだ子の傍ら立ち「おいゼーノン、起きて言っておくれ、僕が君を突き落としたのかい」と呼びかけると、倒れていた子供が起き上がった。生き返った子供は「いいえ、主よ、あなたは突き落としたのではなく、生き返らせたのです」と答えたので、両親は感謝してイエスを拝んだ。また数日後、木を切っていた若者が誤って自分の足を切り、出血多量で死んでしまう。人だかりの中からイエスが現われ、若者の足をつかむと治ってしまう。「すぐ起き上がるんだよ。木を割ったら僕の事を思い出してね」と恩きせがましい事を言うが、周囲の人達はイエスを拝んで、「まことに神の霊がこの子の中に住んでいる」と話しあった。

 

ある時、イエスは母親に言われて、水瓶を持って水汲みに行った。しかし、途中で落として水瓶を割ってしまった。するとイエスは、着ていた上衣を拡げ、それに水を満たして、母親の処に運んで来た。

 

8歳になったイエスは、親と一緒に種蒔きに行った。イエスが蒔いた種は一粒だったが、刈り入れて脱穀すると、何と100コル(約四万リットル)の麦がとれたのだ。

 

大工である父の処に、寝台を作ってくれという注文が入った。ところが、一枚の板がそれと組み合わせる板より短く、ヨセフがどうしたものかと困っていると、イエスが「二枚の木を下に置いて、真ん中からみて片方の端を合わせるのです」と言う。ヨセフが言われた通りやってみると、当然片方の端が合わない。するとイエスが板引っ張ると、板が伸びて長さが同じになった。

 

父ヨセフは、息子イエスが賢くなってきてはいるが、まだ文字を知らない事から、やはり教師に付けた方が良いと思って、教師の処へ連れて行った。教師は、まずギリシア文字を、その後ヘブライ文字を教えましょうと言った。それは、その教師が少年の知識の程を知っていて怖れたから。いろいろ教えてみるが、イエスは「貴方が本当に先生で、良く文字を知っておいでなら、私にアルファの力を言ってごらんなさい。そしたら私はベータの力を申しましょう」と言う。教師は怒ってイエスの頭を叩く。するとイエスはは痛かったので、教師を呪った。すると先生は、たちまち気を失って倒れ、頭を地面にぶつけてしまった。イエスは家に帰った。ヨセフは妻マリアに、息子のイエスを外へ出すと、すぐ人を殺してしまうから外へ出すなと言った。

 

別の教師が、自分ならばうまく教えられるだろうと言う。そこでヨセフは「兄弟よ、もし勇気がおありなら、この子を連れていって下さい」と言ってイエスと教師を送り出した。教室に入ったイエスは、前に立って語り出した。口を開いて、聖霊によって語り、周りに立って聞いている人達に、律法を教え始めた。大勢の人が集まって来て、傍に立って聞いていたが、その教えの美しさと言葉の巧みさとに驚いてしまった。家で待っていたヨセフだったが、心配になって学校に来てみると、誰も死んでいない。しかも、教師はイエスの事を褒めてくれる。その様子を見ていたイエスは、「貴方は正しく語り、また正しく証言したから、貴方のためにあの打たれた教師も癒やされるのです」と言うと、以前に死んだ教師も生き返った。

 

ヨセフは息子ヤコブに、木を束にして家に運ぶよう命じた。ヤコブは途中で蝮(マムシ)に噛まれてしまう。もう駄目だと思った時にイエスが現れ、ヤコブの傷口に息を吹きかけると治ってしまう。蝮も体が裂けて死んでしまった。

 

以降も奇跡の話が続く。近所の死んだ赤子を生き返らせ「この子を起こして乳をやり、僕を憶えて下さい」と言ったり、建築現場で死んだ人を生き返らせたり・・・

 

この話はみんなには黙っておこう。

 

 

 


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