意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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風間大尉ではなく少佐でした。

月月火水木金ではなく月月火水木金金でした。


夏休み特別編1

♪嫌じゃあ〜りませんか。軍隊は〜

 

軽妙小説がライトノベルと呼ばれていた時代から、夏休み特別編はいわゆる「水着回」*が定番である。作中の登場人物の中に北山さんのような大金持ちがいて、夏休みを利用して仲の良い友人達をプライベートビーチ付きの別荘に招待してくれたりして、読者のリビドーを直撃するピチピチ水着女子が登場して、ラッキースケベなイベントがあったり、一夏の恋物語が展開されたり…羨ましい限りである。フィクションだから、そんな現実的に有り得ない事も起きてしまえる。

 

だが、しかし!このブログ風私小説は、そのような創作は一切有りません。別に主人公である『僕』が誰かさんのように脳に魔法的細工を施されて情動が無くなっている為ではありません。

 

ただ、比較的若い頃に道を得た為に情動が起きにくくなっているだけだ。誤解してもらっては困るが、性欲がなかったり、全く怒らないわけではない。ただ、一人の女性を愛し続け(固執続け)たり、怒りで誰かを殺したり怪我をさせたりはしない(ただし、正当防衛はする)だけだ。

 

もっと、ぶっちゃけてしまうと「水着回」を描く元ネタになるムフフなイベントが起きないのが原因だ。世間では、それをモテないと簡単に表現する。私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

 

♪金のお椀に竹の箸

 

*水着回とは、漫画やアニメ等において、登場人物が水着を着用する回の事である。

概要

水着回は、通常より肌の露出が多くなることが常であり、再生回数を稼ぐにはもってこいの回かもしれない。

サービスシーン的要素が強いので、ストーリー本筋との関連の薄い所で、もしくは特典映像で1話完結で終わる場合が多いが、話の都合で複数話に跨がることもある。当然、重要な伏線が隠されていたり、シリアスな展開になることもある。水着姿やおっぱいばかりに目を向けすぎて重要なシーンを流さないように。

昨今の1クールアニメの場合、だいたい8話前後に水着回が多いことが多い。何かお決まりでもあるのか?

お風呂回(温泉回)とセットになることもある。

パンツじゃないから恥ずかしくないもん!的なものはいくら登場人物が水着を着用していたとしても通常水着回とは言わない…のではないかと思う。

サムネが水着姿の動画ほぼ水着回だと思っていいだろう。

※ただし、サムネが水着装備の人物であっても、動画の内容はそうでない釣り動画も存在するので、そのような場合はブラウザの戻るボタンを押すといいかもしれない。そしてサムネだけ眺めて満足しましょう。

 

☝︎この解説は、解説者の心情を露呈し過ぎだと思う。特に後半は、何か嫌な経験でもしたのだろうか?

 

♪仏様ではあるまいに(僕は、広義での仏様なんだけど…)

 

さて、水着回はないがいい話はあった。九校戦の観戦記である『Gone in 50ms』『蘇る神童』『三人のビースト』は、大変評判が良かったと出版社から連絡があった。それだけではない。某有名出版社から、司波さんと司波くんの活躍を描くの条件に契約を持ちかけられた。しかし、断った。今秋起きるであろう有事の対応で司波兄妹と対立するのはまずいとわかったのと、新しい仕事を始めるかも知れないからだ。

 

今日は新しい仕事の面接だ。場所は、特定秘密保護法に引っかかるかも知れないので都内のどこかとだけ書いておこう。昔、大学受験予備校なるものが存在していた頃、その大手予備校医学部コースの分校があった辺りだ。

 

♪一膳飯とは情けなや〜(たまに部分断食をするのは身体に良いのだが。)

 

軍歌(?)を歌いながら移動していたのが意外に早く着いた。月月火水木金金♪

 

僕は、面接室らしき部屋に通された。面接官らしき女性が怪訝な顔をしている。誰かと思ったら藤林響子さんではありませんか!奇遇ですねー。その横には風間少佐アレレレ〜おかしいゾ⤴︎

 

魔法師とは無関係な技能予備陸軍兵の面接に来たはずなのだが。どうして国防陸軍第101旅団(こくぼうりくぐんだいいちまるいちりょだん)の皆様がおられるのでしょう?

 

しかし、何の間違いもないかのように面接らしきものが始まった。

 

藤林「河原さんは、会社員と職業欄に書いていますが国立魔法大学付属第一高校の生徒ですから正しくは学生ですね」

 

僕「いいえ、給与所得で生計を立てていますし、魔法科高校での活動にかかる一切の費用を経費として申告していますので会社員で合っていると思います。学業は趣味です」

 

風間「志望動機をもっと詳しく説明してくれたまえ」

 

僕「今年の10月30日に起きる横浜事変で我国が圧勝して大亜細亜連合に有利な条件で平和条約か休戦協定を締結させるのに尽力したい為です!」

 

一同「……」

 

はなから、採用されるとは考えてなかった。技能予備兵補の募集要綱に年齢を考慮するとあった。これは、高年齢でも資格保持者なら考慮すると意図しているのをわかった上でわざと曲解して未成年なのに応募したのだ。そこで、自分に明かされた未来を軍関係者に出来るだけ知らせることに成功すれば、軍もそれなりの対応をしてくれるだろう。10月30日横浜事変勃発ですぞ!

 

僕「我国が横浜事変で軍の主力を残したまま圧勝すれば、第三次世界大戦を名実共に良い形で終わらせます。しかも、すでに始まっている第四次世界大戦でも勝てる確率を高く出来ます!」

 

ここまで、言っておけばアタマが残念なヤツだと思われるだろう。横浜事変の日付を諜報関係の藤林少尉に伝えられたし今回はこれで充分だ。ちなみに、エントリーシートに簡単な論文を書かせるようになっていたのを利用して、短期間の魔法師育成法や特別な装置無しで下級魔法師の事象改変力を強化する方法や通常兵器の強化魔法師による使用によって破壊力の増加など誇大妄想丸出しの意見もたくさん書いて提出しておいた。これで、軍はよくも面接する気になったものだ。

 

これは、余談だが心に留めておいた方がいい。本物の未来予知はその事件の日時まではっきりとわかるのだ。解釈する人によって内容だけでなく日時まで変わってしまう代物は論外だし解釈が必要な時点で偽物なのだ。

 

さぁ、帰る支度でもするか。

 

風間「次に簡単な実技を行なってもらいたい」

 

えー?。まだ面接続けるの。しかも実技のテスト?

 

◇◇◇

 

柳連(やなぎ むらじ)と名乗った男性はかなりやり込んでいる躰つきだ。ただし格闘技。彼と模擬戦をして僕の実力を測るのだそうだ。僕がCADを持ってないと伝えると皆さんから呆れ返られた。ただ、柳さんはむしろ険しい表情になった。魔法師がCADを持ち歩かないのは、ただのバカか余程自信があるかと考えられるからだ。

 

急遽、魔法の模擬戦から体術の試合に変更された。

 

「はじめ!」

風間さんが開始を告げた。

 

僕は、柳さんに向かって歩いて行く。違和感を感じた彼は大きく後に飛び退いて距離を取った。僕は構わず歩き続ける。彼は、予備動作無しで遠間から前蹴りを放ってきた。しかも上半身のガードをしたまま。歩き続ける僕の身体に彼の足が触れた。彼はそこから足首を伸ばしてつま先まで僕の身体にのめり込ませるつもりだったのだろう。

 

結果から言うと、柳さんはその場に崩れ落ちた。藤林さんが血相を変えて飛んで来た。殺す気は無かったけど、内臓破裂を意図した攻撃を手加減するほど僕はお人好しではありませんので。泡を吹いたり、血を吐いたりしてないので柳さんの内臓はそんなに壊れてないはずだ。

 

「肺を中心に治してあげて下さい」

僕が指摘すると藤林さんは、魔法治療を始めた。現代魔法って便利だね。まもなく柳さんは普通に喋れるまで回復した。

 

「河原くん、今の技はなんなのか教えて欲しい」

顔色がまだ悪いのに、質問してきた。その向上心には頭が下がります。

 

「形意拳の劈拳です。ただし暗勁ですが」

 

「履歴書には、特技は太極拳とあったはずが」

 

「柳さんが、蹴りからの連続技を考えていたので太極拳は使いませんでした。ちなみに八卦掌も多少は使えます」

 

面接官を放置したまま武術談義は続いた。柳さんは、太極拳も習った経験があるそうだ。

 

「ところで、君は、『転』を出来るのかい?」

 

僕が『転』を知らないと答えると彼はどのような技術か説明してくれた。

 

「巷で聞く太極拳の化勁の事ですね」

 

「それだ!もし、差し支えなければ教えて欲しいのだが…」

 

「じゃあ、太極拳の下半身の使い方を説明しますね」

 

「お、教えてくれるのか?」

 

えっ!そんなに凄い事なの?僕が習った時は昔のプロ野球の選手が「フルチン打法」と名付けた技術に似たようなものだと先生は言ってたけど。確か国民栄誉賞を取った長嶋茂雄だった。


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