意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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サブタイトル変更しました。


九校戦編27

「危ない!」

少佐が叫んだ。西城くんに二高オフェンスから移動魔法が仕掛けられた!

 

「ハルト!」

西城くんが、叫ぶ。完全に遅れて魔法を発動し情報固定を図った。なぜかそれで間に合ってしまう。

 

「キャー」

溜息なのか悲鳴なのか歓声なのか判別のしようがない叫びを観客席の女子達中心に上がる。彼女達が口々に情報交換し始めた。

 

「彼の名前は?」

「西城レオンハルトだって!」

「私、一高に知り合いいる!」

「アドレスは?アドレス!」

 

『甲子園ギャル』の時代から、女子高生の興味の大半はスポーツそのものではなくチョーカッコいいスポーツ選手らしい。

 

こちらの狙いは、九校戦を通して魔法スポーツを一般化するだけでなく魔法師をスターやアイドルにして社会の魔法に対するイメージを良くするものだ。そういう事でこちらの狙い通りではある。

 

日本の神が魔法師を篩にかけ良しとしたものをこちら側に組入れよとしたのだから、その意志を我々は行動に移して行く。

 

さて、大ピンチを切り抜けた西城くんだったが、一杯一杯の感がある。やはり狭い空間では彼の新兵器は使いづらい。それを念頭に入れているように司波くんは、次々と作戦を遂行して行く。

 

ここからは、少佐の「水晶眼」で視た解説も参考にして司波くんのとんでもない作戦行動を描写する。

 

司波くんは、「喚起魔法」によって、予め貼り付けておいた精霊を喚起した。いつ司波くんが精霊魔法を習得したのか?おそらく吉田くんのCADの再調整をしただけで精霊を喚起するだけなら出来る様になったのだろう。これは、後から取材して本人に直接尋ねてみたい。

 

司波くんに喚起された精霊は、元の主人である吉田くんとリンクを確立する。この時点で魔法を使用した司波くんの位置が二高選手にバレてしまうが、重要な精霊魔法の実行者は吉田くんに移っているので無問題。その上、司波くんは相手選手を万全の態勢で迎え撃つのも可能になった。

 

「幹比古が視覚同調に成功した!」

少佐が小さく叫ぶ。

 

それにしても、「水晶眼」の威力はすごい。司波くんが喚起魔法だけ起動させ精霊を再活性化しその精霊を使って吉田くんが感覚同調の一つ視覚同調で相手チームのモノリスのコードを読み込むのを正確に視て実況中継してくれるのだ。吉田くんが「水晶眼」を手に入れたがるもの無理はない。

 

「あの〜、一高の方ですよね」

「甲子園ギャル」の一人だ。一高の三人について教えて欲しいそうだ。できたら、西城くんを紹介して欲しいらしい。お取り込み中です!と無碍に断るわけにも行かないので生返事をしてテキトーに対処しておこうと思ったが、機嫌が良いので西城くん達と同じクラスだと伝えて彼女達を大いに喜ばせて彼女達のプライベートナンバーをもらって僕の名前を伝えておいた。

 

それにしても、彼女達の行動力は凄まじい。ただ、一条くんあたりにもアプローチを試みているのだからあまりに節操がないとも言える。冗談みたいな話だが、たくさんアプローチすれば、一人くらいは引っかかる。下手な鉄砲数撃ちゃ当たるのは今もなお真理である。

 

ついでに書いておくが、人気絶頂のアイドルやタレントは難しいかも知れないが、アナウンサーや人気絶頂ではないアイドルやタレントならこの方法で充分仲良くなれるチャンスがある。特に画像や動画の映りの良い女子や男子は試してみる価値がある。その後、何があっても僕は関知しないのは言うまでもない。

 

 一高対二高の試合が終わった。

 

            ◇◇◇

 

「太陽光に当たりに行くべきだ!」と少佐を通して吉田くんに伝えた。モノリスコードでかなり消耗しているはずだ。しかも、厄介なことにその疲労が自覚しにくい。現代魔法の特徴だ。欠点と言っていいだろう。いきなり疲労感を覚え始め、すぐにサイオン不足に陥り魔法起動が出来なくなる。

 

疲れを覚える前に、エネルギー補給が必要なのだ。

 

ソーラーパワーだ!吉田幹比古!ソーラークライシスは、別所哲也!☜興味のある方は調べてみよう。ない方はスルー。

 

 僕等は、一条・吉祥寺組の試合を観戦した。

 

まあ、何というか、一言でいえば圧勝。もっと言えば、一条選手一人で八高三人を倒してしまった。まるで、アントニオ猪木対国際プロレス軍団だ。

 

『1981年10月8日、蔵前国技館で「新日本プロレス対国際プロレス」の全面対抗戦が行われた。その直前の1981年8月に国際は倒産して興行機能を失っており、そこで国際の代表であった吉原功は、新日本との対抗戦を模索したものだが、この大会のポスターにも名を連ねていたマイティ井上、鶴見五郎など多くの選手が反発し、井上、阿修羅・原、冬木弘道(後のサムソン冬木)などは全日本プロレスへ移籍し、鶴見、マッハ隼人は海外遠征するなどしたため、残党としてラッシャー木村、アニマル浜口、寺西勇の3人が新日本へ乗り込んだ。

 

この「10・8蔵前決戦」にて、木村、浜口、寺西に、かつての国際プロレスのエースだったストロング小林(当時新日本所属)を加えた4人が「国際軍団」の結成を宣言、「我々はプロレス界の(新日本・全日本を向こうに回しての)第3勢力になる」とアピールした(最終的には小林はリング上で共闘することなく腰痛のため引退)。

 

これに先駆けた1981年9月23日、木村と浜口は新日本の田園コロシアムでの興行に姿を現し、決意表明。この際に、マイクを向けられた木村は「こんばんは…」と第一声を発してファンからの苦笑を誘った一方、浜口はまずリングサイドにいた元国際プロレスの剛竜馬を挑発した後に「俺たちが勝つんだ! 10月8日を見てろ!」とアジテートし、うって変わってファンからのヒートを買った。これと前後して国際軍団は、スポーツ会館(現:GENスポーツパレス)や秩父でトレーニングを行っていた。なお木村は1975年6月にアントニオ猪木に挑戦状を叩き付けており、猪木戦は6年越しに実現することになった。

 

そんななかで“10・8蔵前”で行われた猪木と木村の一騎討ちは、腕ひしぎ逆十字固めを極めたままレフェリーのブレイク要請を無視したとして、猪木が反則負けとなり、遺恨を残す形となった。

 

そこで国際軍団は、新日本に対して再度の挑戦を執拗に迫った。そのアピールのために私服姿での会場への乱入も辞さないようになり、時には実況の古舘伊知郎さえ襲撃した。ここに至るまでの過程のなかで、いつしか新国際軍団はヒール軍団扱いをさせられ、マスコミから「はぐれ国際軍団」、「剣が峰に立たされた崖っぷち国際軍団」などの汚名を着せられていく。

 

1981年11月5日、前回と同じ蔵前国技館でランバージャック・デスマッチとして行われた、猪木と木村の再戦は、猪木が腕ひしぎ逆十字固めで執拗に木村を攻め立て、骨折寸前を察知した国際軍団セコンド陣のタオル投入で、今度は木村のTKO負け。そして翌1982年9月21日に大阪府立体育会館でヘア・ベンド・マッチ(敗者髪切りマッチ)として行われた両者の一騎討ちは、試合は猪木が制したものの、勝負が決まる前の場外乱闘の際、リングサイドにいた小林からハサミを渡された浜口が、猪木の髪をハサミで切り刻んでしまうという暴挙をはたらいた。それどころか、敗れたはずの木村を始めとする国際軍団は、勝負が決まるや否や会場から逃走。これには猪木も「男の恥を知れ! てめえら永久追放にしてやる!」と激怒、会場内も不穏な空気に包まれた。

 

それでもなお猪木との完全決着をあきらめなかった国際軍団は、試合への乱入を先鋭化させ(猪木を控室へ拉致し暴行するなど)徹底的にアピールを繰り返し、ついには【猪木が木村・浜口・寺西の3人を一度に相手にするという変則タッグマッチ】を実現させた。1982年11月4日と、1983年2月7日の2度にわたり行われたこの試合は、猪木は3人全員を倒さなければ勝利とならず、一方の国際軍団は誰かが猪木から1本取ればその時点で勝利となるルールであった。結局猪木は2戦とも、3人全員を仕留めることができず、形の上では国際軍団の2連勝で終わった。』

 

興味のない方にはどうでもよい話なので無視して頂いて結構だ。良く読んだらアントニオ猪木は、1対3の勝負で結局勝てなかった。プロレスでもそういうシナリオにしているのに一条選手はリアルのハンディキャップマッチで勝ってしまう。

 

「キャ〜‼︎一条くん⤴︎」

さっきの甲子園ギャル達だ。本気で節操のない連中だった。ここまで開き直っているのを見ているとこちらまで晴れ晴れとして愉快になって来た。アッパレ‼

 

「ちょっと!師匠。なんか変だよ?」

少佐が僕の異変に気付いたようだ。

 

はい、実は今断食中です。このハイテンションはいわば断食トリップです。午前中まではそうでもなかったが甲子園ギャルと遭遇したあたりから妙に元気になって若干ラリっている感じです。だから大丈夫です!

 

「えええ!食べてないの?」

 

「朝食と昼食を抜いただけだよ!」

 

「身体大丈夫?」

 

「平気平気。月に二回はしているよ!」

 

九校戦の取材で少し疲れが溜まっていたから、予定を前倒しして本日断食をしてみました!以前も妙にテンションが高い文章を書いている箇所があるがそれは断食中かその翌日だったと解釈して頂きたい。

 

そうそう、甲子園ギャルで思い出した。

 

昼食を抜いて水分補給(白湯補給)をしようとホテルの部屋に行こうとしたら、

 

「次兄上は、この女と付き合い始めて堕落しました!」

ホテルのロビーで、千葉エリカお嬢様が声を荒げておられた。いつもの軽い積極的で外交的な表面上の印象とは違い怒り方もお上品ですねー。人は見かけによらないものだ。

 

 というわけで、僕は携帯端末を取り出し先ほど知ったプライベートナンバーで外見上「甲子園ギャル」に回線をつなぐ。

 

「俺、俺、と言っても詐欺ではありません。ギャル子ちゃん。ニャル子ではないね?今から言う場所に、目的の人物がいるよ。キョウ子ちゃんとクドちゃんにヨロシク!」

 

少佐が唖然としている。僕は全知全能感に浸ったまま教えてあげた。

 

「陸軍の諜報員に特別サービスしただけだよ。サービス、サービス↗」

 

 

 


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