意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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サブタイトル変更しました。


九校戦編26

武装一体型CADは、ものものしい。大刀にしか見えない西条くんのCADは特に彼の体躯に似合って破壊力抜群に誰もが感じるだろう。司波くんの二丁拳銃型CADも単なる拳銃にしか見えない。掴みはOK!だ。相手高の選手はたじろいだと思う。

 

ついでに観客席の女子達のハートも鷲掴みだ!彼等を題材に魔法スポーツノンフィクションを書けば関係者以外の読者を開拓できる。

冷静に考えれば、技術スタッフと登録外の生徒を急遽選手として登録したのだから最初に選ばれていた森崎くん達よりも魔法力は劣るとなる。しかし、今や司波達也の名は他校の選手、スタッフ、大会関係者の間で知らないものがいない程度まで認知されている。

 

そういうわけで、八高の選手とスタッフはかなり警戒している様子だ。八高は野外演習に重点を置いているにもかかわらず。

 

一高対八高の試合が始まった。とにかく一高の行動が早い。司波くんは開始の合図ともに駆け出した。吉田くんはいつの間にか行方をくらました。

 

会場に設置されている巨大モニターには、競技中の選手を隠し撮りした映像が流れているのだが、司波くんの動きを追跡し切れてない。

 

あっという間に司波くんは、八高のモノリスに到達した。とい言うか、モニターに司波くんの背中がいきなり映し出された。間髪を入れずに彼は再び移動。八高のディフェンダーが片膝をついている映像が映し出される。司波くんは、右側に回り込む。

 

八高ディフェンダーが、回復して反撃に出た。

 

「グラムデモリッション!」

少佐が思わず歓声をあげる。

 

良く、ご存知で。術式解体のことですね。ちなみに、長岡さんや千葉さんは、相手に肉体的なダメージを与えてサイオンの流れを寸断させて事象改変させない、結果的に術式を解体してしまう方法を取っている。ただし、この方法は近い間合いでなければ実行できないが。

 

僕には、術式解体よりも司波くんの身のこなしの方が驚きだった。間違いなくプロだ。しかも、訓練を受けただけではなく実戦経験をかなり積んでいる。どうりで彼がたくさん人を殺しているのがハッキリ観えたわけだ。

 

術式解体されて呆然としている八高ディフェンダーを尻目にモノリスを開いて去って行く司波くん?あれっ?ディフェンダーを倒さない?ディフェンダーは、司波くんを追いかける。

 

「凄いな」

思わず本音を口にしてしまう。

 

「何が?」

少佐は、それを聞き逃さない。

 

「司波くん。優勝するつもりだ」

 

少佐は、理解不能だったようだ。

 

「どう言うこと?」

 

「司波くんは、本気を出さないで勝ち抜くつもりだろう」

 

「えっ!どうして?」

 

「服部副会長を余裕で倒せたのに八高ディフェンダーを一撃で倒さなかった。そのおかげで西条くんや吉田くんは実戦を経験できるし、司波くんは自分の能力をグラムデモリッションと優れた頭脳と身体能力だけだと他校に錯覚させられる」

 

「そこまでしないといけないかなぁ?」

 

「司波くん達は勝ち抜けば、三高の一条くんと吉祥寺くんに必ず当たる。この存在自体がレギュレーション違反なコンビに勝つにはそこで初めて見せる魔法を使うしかない。それを今見せたら対策をたてられる。それと、吉田くんか西条くんに一条くんか吉祥寺くんを倒してもらう必要もあるから、今のうちに二人に試合慣れしておいてもらわなければならない」

 

「幹比古が吉祥寺を倒す…」

少佐は考え込んだ。多分、それは無理と思っている。

 

「男は、女の為なら底力を発揮できるものだよ!」

僕は、吉田くんのことを言ったつもりなのになぜか司波さんの姿が心に映った。

 

「へ〜、師匠はどうなの?」

さすがは少佐。すぐにそこに突っ込んで来た。

 

「意外に思うかも知れないけど、お国の為に底力を発揮するよ(゚∀゚)」

 

「もう、師匠はすぐにはぐらかす」

 

いや、今の発言は本気なんですけどね。それと西条くんも吉田くんも吉祥寺くんなら十分倒せると思う。一条くんは厳しいかな。

 

吉田くんが、昨夜僕を訪ねて来た時に神に頼り人にも頼るべきだと主張して、吉田くんの心に映った人物を僕は彼に告げた。その人物は、柴田美月さんだ。彼女に彼が何をどの様に頼ったかは知らない。

 

ただ、彼の古式魔法はその遠隔性隠密性を遺憾なく発揮して八高選手を単なる林の中で迷子にさせている。もしかしたら、司波くんの再構築した起動式のおかげの方が大きいのかも知れないが。

 

さっきの司波さんの話だが、僕は司波くんが本気で優勝を狙う動機が理解出来ず、もやもやしていた。しかし、これでわかった。司波くんは司波さんの為に優勝する気満々になっているのだと。

 

最後は、西条くんが如意刀(?☜正式名称がわからないので、伸び縮みする如意棒からの仮称)で八高攻撃選手を殴り倒し、吉田くんが八高攻撃選手を林で遭難させ、司波くんが八高守備選手を痛めつけてモノリスコードを入力した。これで、他校のライバル達は選手としての司波くんは術式解体以外の魔法は大したことないと判断しただろう。何しろ、司波くんは攻撃魔法で八高守備選手を結局気絶させられなかったのだから。

 

◇◇◇

 

光井さんと北山さんに取材を申し込んだ時に、女子達の不審な態度の変化も理由が判明した。当初は、二科生の僕が一科生しかもエース、もっと言えばアイドル級女子に気軽に声を掛けてたのを不愉快に思ったと納得していたがそうではなかった。

 

1ーEは、司波くん達が異常に目立っているので残りのメンバーが多少やらかしても大して目立ちはしないと考えていたが、僕も目立つ(しかも悪い方に)らしい。一緒にいる女子が変わるのが、その理由の一つだ。(司波くんも同じだと思うが。)少佐情報によると。

 

やることはやってないので、そのうち彼女達の興味も失せるだろう。(司波くんも、やってないはず。じつは、やれば24時間以内ならわかる人にはすぐバレるのだ。)

 

次の一高の試合は30分後だ。相手は二校。市街地ステージだ。

 

アホやろ!大会役員どもは。市街地ステージで大問題をが起きてしまい大混乱したのだから懲りて市街地ステージだけは普通避けるやろ。あいつら自分らには責任はないとアピールしよった!

 

僕は、少しカリカリした。怒るのは、健康に悪い。凄く健康になりたければ怒るのを止めよと座禅の先生に習い始めの頃に教わったが、その教えの通りにいつのまにかカリカリはなくなった。

 

彼等と僕は、関係はほとんどないし死後成仏させてくれと頼まれても知らない、君達とは無関係だと伝えれば良いだけだ。

 

◇◇◇

 

司波くん達の二試合目が始まった。彼は、その超人的な身体能力で魔法を使わずにビルからビルへ移動し二高のモノリスが設置されているビルにたどり着いた。二高の索敵は魔法を想定している。なので、魔法を使わずに侵入すれば相手に探知されない寸法だ。

 

というか、一試合目で司波くんの身体能力や身のこなしを観察すればそうしてくると警戒出来ると思うのだが、そこら辺は所詮高校生レベルなのだろう。

 

一方、守る西条くんと吉田くんは二高オフェンスとランデブー。メイデイ!メイデイ!と叫びたくなる状況だろう。西条くんの小通連は、狭い場所では使いづらいからだ。これは、第1試合で他校にも知れ渡った弱点だ。しかし!彼はプロサッカー選手とフィジカル面では何ら変わりない。

 

なので、大太刀に体重を小さい動作で浴びせて二高オフェンスを倒した。腕力だけではパワー不足なのだ。狭い場所では使いづらいはずだと甘く見ていた二高オフェンスは、度肝を抜かれただろう。まさに足元をすくわれたのだから。

 

その上、間髪入れずに吉田くんの電撃!司波くんも調整してくれたCADによって無駄がない事象改変が早く生じて転倒のダメージから回復する前に電撃を二高選手は受けてしまい気絶してしまった。

 

局地的に数的優位を作って二対一で敵を囲み連携技で倒す。これは、以前体育の授業に二人がレッグボールで見せた連携を彷彿させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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