意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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サブタイトル変更しました。


九校戦編18

ニホニウム元素は、存在するがジャパニウム元素は存在しない。ちなみにジャパニウム元素はマジンガーZに使われている超合金Zの材料だ。何の話か全く理解できない方はこの知識を無視してもらって構わない。なぜなら、本編に何の影響もないからだ。今のところ。

 

『ニホニウム

原子番号113の元素

ニホニウム(英: nihonium)は、原子番号113の元素。元素記号は Nh。2016年(平成28年)11月に正式名称が決定するまでは、暫定的に IUPAC の系統的命名法に則りウンウントリウム(⇦この名前も面白い。)と呼ばれていた。』

 

『マジンガーZの開発者・兜十蔵博士が富士火山帯の地層から発見した新元素ジャパニウム。「ジャパニウム核分裂の過程で抽出される光のエネルギー」が光子力である。作中、富士山麓にある光子力研究所で報道陣に対して超合金Zと光子力のデモンストレーションが行われ、ジャパニウムのブロックにビームを照射する事で膨大な光を発する描写がされている。』(⇦光電効果と原子力をごちゃ混ぜにした永井豪らしいギミックだ。アイシュタインもビックリだろう。)

 

 

さて、光井さんに話を戻そう。彼女をいわゆる受験型優等生と考えてしまうと痛い目をみると言う話だ。魔法実技と入学試験で上位の成績を残すのは、魔法力を試験の課題で発揮できるように開発し入学試験用の勉強をすれば可能だ。しかし、魔法科高校に入ってしまうとそれだけでは通用しなくなる。周りも全員そのハードルを超えているのだから。

 

入学してからも魔法力が伸びて行かないと(魔法理論はしっかり勉強しているのが前提)周りの進歩に付いて行けなくなり、結果的に成績は落ちてくる。ところが、魔法力の強化が今だに指導教官の勘と経験に大きく寄っていたり、個人の努力に委ねられている。何をすれば魔法力を強化できるのか本当は誰もわからないのだ。

 

とはいえ、明らかに自分より魔法力のある人物と長く付き合っていれば何となく自分の魔法力も強化されて来る。良い意味での『朱に交われば赤くなる』だ。

 

それを、実践しているのが光井さんだ。入学当初は森崎くん達とつるんでいたようだが早々に見限り司波兄妹を中心とした実質的A級魔法師グループに滑り込んでいる。見限られた森崎くんは、相変わらず自分より劣っている(魔法力で)者と付き合っている。僕は、光井さんは伸び、森崎くんは停滞すると当初予想していた。表面上では、二人の差はまだ現れてなかったがこの九校戦でその差が現れて来たようなのだ。

 

森崎くんは、勝ち切れない。一方、光井さんは優勝しそうだ。それを確かめたいので僕はアイスピラーズブレイクを見たらすぐにバトルボードを見る為に会場に戻らなければならない。

 

◇◇◇

 

九校戦の新人戦は、オッズが公開されてないそうだ。新人戦は、オッズをつけるデータが揃わないから当然だろう。しかし、よく観察していれば順位予想は可能になる。

 

仮に、新人戦アイスピラーズブレイクの順位予想をすれば、優勝は司波さんだ。魔法力の大きさは、使える先天の気の豊富さでわかる。馬鹿がつくほどの健康体ならば良いわけだ。彼女は、周りがたじろぐ程の美しさをお持ちになられているが自然ではあり得ないほどの超自然健康体だ。(これは、彼女が調整体だと主張しているわけではない。)

 

ということで、アイスピラーズブレイクの予選は観戦しなくても良いと考えたのだ。ただ、司波さんみたいな規格外と付き合っている北山さんと調整はしていないものの交配を工夫した(本当に当人達が熱愛して国際結婚に至ったかも知れないが)明智さんがどれほどやれるのかは興味があった。司波くんが二人の担当エンジニアをしているからだ。

 

三人の出場選手が全員三回戦進出だけで快挙ではあったが、僕は上位独占もありうると僕は考えていた。

 

 会場で少佐に合流した。

 

「司波さん。またパーフェクトだったわ」

少佐は呆れていた。三回戦の相手に対して自陣の氷柱を一本も倒させないのは普通は考えられない。特に、追い込まれた相手は一矢報いんとして終盤に防御を疎かにして攻撃して来る。その全力攻撃を封じるのは至難の技だ。少佐が呆れるのはもっともなのだ。

 

ところが、さらに驚かされる。北山さんと明智さんも絶好調なのだ。二人の魔法力が相手を圧倒しているように観えないにも関わらず。

 

「事象改変されるのが速いのよ」

少佐が教えてくれた。彼女の眼には起動式、魔法式が詠唱されて行く様子と事象の改変が始まるのが良く視えているのだろう。確かに、一旦事象改変が始まってしまうとそれを固定する慣性の法則も働くので、相手はすぐに攻撃も防御も強化しなければならなくなる。この時点で後手を踏むのでその後は攻められっぱなしとなり、結果的に負けてしまう。

 

しかし、広範囲に及ぶ事象改変は時間がかかる。北山さんと明智さんのサイオン量から観るとそれは不可能に思える。ということはデバイスの違いだ。とはいえ、北山さんがスピードシューティングで披露した特化型CAD並みの速さで汎用型並みの自由度で魔法を発動させるような芸当は今回のアイスピラーズブレイクではされていない。

 

兎に角、単純に早いし速いのだ。どうもおかしい。司波くんは、一般に知られていない何かを起動式や魔法式を組み込んでいるのではないのだろうか?

 

一つは、わかった。スピードシューティングで北山さんが付けていた照準器。光井さんが行った体型が変わるほどの筋力トレーニング。彼は、魔法式の一部を電子デバイスや魔法師の本人の肉体改造で補いその分だけ起動式や魔法式を小さく組み直しているのだ。ただ、これだけではない。

 

「少佐。北山さんや明智さんの魔法が発動して、事象改変が始まる時に他の選手とは何か違った現象は視られた?」

 

少佐は、少し考えてから言った。

「彼女達の発動している魔法の規模に比べて視えるサイオンの量が少ないくらいかな?」

 

「他の選手は、もっと多いのかい?」

 

「彼女達が効率良く発動させているだけかも知れないけど。それにしても少ないのよ」

 

これでわかった。司波くんは、最初からこちらの魔法が速く事象改変するのを前提に起動式と魔法式のコードを減らしているに違いない。

 

対戦形式で魔法を打ち合うには、事象改変を確実に行わせる為に魔法式が大きくなりがちだ。

 

 それは、通常は外乱を前提とした閉ループ伝達関数となるからだ。つまり、外乱ありのフィードバック制御になってしまうからだ。

 

これを外乱なしのフィードバック制御にすれば、それだけ処理は早くなる。

 

 これをさらに早くするにはフィードフォワード制御にすれば良い。

 

「司波くんがどちらを採用しているかまではわからないけどね」

と、言い終えた僕の顔を少佐が訝しげに見ている。

 

「どうしたの?」

 

「そこまでわかっているのに師匠は魔法理論で20位に入ってないの?」

 

「いや~、どうしてかな~?」

僕に答案に難癖をつけて懲罰的な採点をした教官のことは黙っておいた。少佐に言ったら私刑しかねない。それにしても、僕の魔法理論の成績までチェックしていたとは驚きだ。

 

              ◇◇◇

 

 前回紹介した について。これは、『無為』で行うのが前提です。「無意識」ではありません。もっと正確に表現すれば『無為』によって『神意』を察知できるようになった後に、『神意』によって を実践するのが正解です。

 つまり、意識的に実践するのは現象が起こらないか、起こったとしても健康を損なったり気が狂ったりするのでお勧めしません。

 

クンダリニー半覚醒(小周天)法

 

 1 静坐し、軽く目を閉じて黙想すべし

 2 丹田に意を集め、腹式呼吸にて煮え立つ鍋を観想せよ

 3 下腹部に渦巻く熱と圧力が生じ、煮え立つ湯が湧き出すが如く感じるまで続 くべし

 4 沸き出す湯を会陰、尾閭、背中へ導くべし

 5 背中に昇りくる湯に意を集め、しばし瞑想すべし

 6 さらに上へ導き、泥丸に集めるべし

 7 泥丸にて煮えたつ湯気が渦巻きながら冷え、冷露となるまで瞑想すべし

 8 澄みわたる露を全身に降ろすべし

 9 熱となり、湯となった露が全身に染み入り満たすまましばし瞑想すべし

 10 丹田に意を集め、煮え立つ湯の泉にしばし瞑想すべし

 

 この法を行じる者は、たとえ身を損ない自らの熱に焼かれるも可也の決意を持つて臨むべし

 稀に3にて火龍が目覚め、大周天に至ることこれあり。

 

 

 


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