意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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サブタイトル変更しました。


九校戦編16

作品中に、法律の文言がドバーッと出て来て、見ているあるいは読んでいる人を圧倒して何かわからないが凄い物を見た!と錯覚させる手法は、庵野秀明のシンゴジラ*から一般化したと考えて良い。

 

『庵野 秀明は、日本のアニメーター、映画監督、実業家。カラー代表取締役社長。株式会社プロジェクトスタジオQ創作管理統括。山口県宇部市出身。山口県立宇部高等学校卒業、大阪芸術大学芸術学部映像計画学科退学。血液型はA型。妻は漫画家の安野モヨコ。 』

 

『安野 モヨコは、日本の漫画家。株式会社カラー取締役。東京都杉並区出身、多摩市育ち。血液型O型。関東高校(現・聖徳学園高校)卒業。別名義に安野 百葉子(読み同じ)。夫は映画監督の庵野秀明。同じ漫画家の小島功は伯父にあたる。』

 

安野モヨコは、失礼ながら僕は知らなかった。今夜にでも「働きマン」を読んでみよう。本人の紹介では、アニメーターなのに妻の夫紹介では映画監督となっている。何故だろう?古いデータだから知る由もない。(ただ、こうしてみるとクリエーター一族がこのようにして出来上がって行くのがわかる。血がものを言うのは魔法師だけではなさそうだ。)

 

庵野秀明を知らない人は、エヴァンゲリオンの作者と言えばわかると思う。何回も何とかインパクトを起こして地球を何回も壊している映画だ。1995年にテレビ放映されたのが最初だ。登場人物が年を取らないだけではなく、死んだはずの人物が再び登場したりストーリーは破綻、作者も壊れる事態に追い込まれて行ったが、何とか着地点を見つけて大崩壊を免れている。

 

熱心な支持者がいるので、中途半端に話を終わらせるのが不可能になり作者は変わって今も続いている。

 

というか、今も映画を作れはヒットするから出資者が現れて作品が作られてしまうのが実情だ。

 

初期の作中に何回も登場する『人類補完計画』は、当時施行されていた国民保護法に基づく『国民保護計画』を参考にしているのだろう。

 

そんな庵野秀明が作ったシンゴジラは、当時の自衛隊が大怪獣ゴジラ出現に際して「防衛出動」「治安出動」「災害出動」なのか国家官僚が真剣に議論するシーンなどがあり、それらの法律用語の羅列で鑑賞者を圧倒して大ヒットした。

 

というわけで、この私小説でも法律用語がいきなり登場して、その後文言がドバーッと出て来てところで単なる演出の一つとして捉えてもらって構わない。興味のある方は、真面目に読むのも良いだろう。

 

 

「森崎は、一条達に勝てないの?」

少佐が質問して来た。少佐はシンゴジラに興味はなさそうだ。

 

「勝てない。使えるサイオンの量が違い過ぎる。奇策やデバイスで創意工夫を凝らしたとしても一泡吹かせるのが精一杯だ」

 

「師匠なら勝てる?」

 

「勝てない」

 

少佐が意外な顔になった。

 

「実戦なら話は変わるが、魔法力を競う試合なら森崎くんに勝ち目がないのと同じ理由で僕に勝ち目はないよ」

 

少佐は、腹に落ちない様だ。

 

「命がかかると、火事場の馬鹿力のたとえの様に日頃考えられなかった力を発揮することがある。一条くんのような十師族は火事場の馬鹿力を乱発しても良い身体になっている」

 

「調整体ね」

ちなみに、少佐も僕も調整していない。生身の身体だ。

 

「そう。ただ、調整体は作れるのに今だに魔法遺伝子が発見されてないのに注目して欲しい。脾臓増強でも少し触れたけど魔法力は使えるサイオン量に比例し、結局のところ他人よりも負荷に耐えられる過剰な健康体である、もっと言えば、寿命が長い丈夫な身体を遺伝子操作で産み出しているだけなんだ」

 

「だから、魔法遺伝子は発見されないのね」

 

「文字通り、一条くんと戦うのは命が幾つあっても足りないんだ。でも、全生命を一回の攻撃にかければ格下でも勝つ可能性はある。でも、試合でそれを期待するのは愚かな行為だ。本当に命がかからないと生命をかけた攻撃なんて実現しない」

 

「実戦なら、起きることもあるのね」

少佐はため息を吐く。

 

「でも、それでは納得できないでしょう?」

 

「実戦でなくても、十師族に勝てる方法があるの?」

 

「あるよ」

 

「教えて!」

少佐は、眼を見開いた。どんだけ十師族に勝ちたいだ。

 

「脳を含めた背骨を十師族以上に成長させれば良いのさ」

 

「うん!で、どうやってするの?」

 

続きは次回!

 

*『シン・ゴジラ』は、2016年7月29日公開の日本映画。総監督・脚本は庵野秀明、監督・特技監督は樋口真嗣。東宝製作のゴジラシリーズの第29作であり、『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラ映画である。キャッチコピーは「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」。

 

あらすじ(これを読むと見なくても良いくらいに詳しいあらすじだ。いわゆるネタバレ。)

 

11月3日8時30分ごろ、東京湾羽田沖で大量の水蒸気が噴出、同時に海底を通る東京湾アクアラインでもトンネル崩落事故が発生。政府は原因を海底火山か熱水噴出孔の発生と見て対応を進める。矢口蘭堂(やぐち らんどう)内閣官房副長官は、ネット上の一般人による配信動画や目撃報告から、いち早く巨大生物に起因している可能性を示すが、一笑に付される。しかし、まもなく巨大生物の尻尾部分がテレビ報道されたため、政府は認識を改める。巨大生物は多摩川河口から東京都大田区内の呑川を這いずるように遡上し、蒲田で上陸、北進を始める。

 

対処方針は駆除と決まり、政府は自衛隊に害獣駆除を目的とした出動を要請する。巨大生物は当初、蛇行に似た動作で進行していたが品川区北品川近くで突如停止、その直後、上体を起こし、新たに前肢を形成、倍以上の体格に発達しただけでなく、そのまま直立を果たすと二足歩行を始める。そのあまりにも急速な進化に驚きを隠せない矢口をよそに、自衛隊の攻撃ヘリコプターが攻撃位置に到着するが、同時に巨大生物も進行を停止する。巨大生物の形状が大きく変化している事を報告に上げつつ、攻撃の指示を待機していたが、付近に逃げ遅れた住民が発見され、攻撃は中止される。しかし、ちょうどその時、巨大生物は突如咆哮(ほうこう)を上げると、二足歩行から蛇行に再度切り替え、京浜運河から東京湾へと姿を消す。巨大生物は上陸から2時間強で死者・行方不明者100名以上の被害を出した。

 

巨大生物の再度襲来に備え、矢口を事務局長としさまざまな部署の突出した能力を有するが一癖も二癖もある問題児達を集めた「巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)」が設置される。そして被害地域で微量の放射線量の増加が確認され、付近の原発からの放射能漏れがなく巨大生物の行動経路と一致したことから、巨大生物が放射線源だと判明する。米国より大統領次席補佐官および大統領特使が極秘裏に来日し、巨大不明生物は太古から生き残っていた深海海洋生物が不法に海洋投棄された大量の放射性廃棄物に適応進化した、「ゴジラ(Godzilla)」と名づけられた生物であること、その生物を研究していた牧悟郎という学者が行方不明であること、牧が残した謎の暗号化資料等が日本側に提供される。巨災対はゴジラは体内の原子炉状の器官から活動エネルギーを得ており、そこから生じる熱は血液循環と補助として背部の背鰭からの放熱によって発散している。そのため、突如海に引き返したのは、その放熱システムがまだ、上手く働いていなかったためであると結論づけ、同時に血液循環を阻害すればゴジラは生命維持のため自らスクラム停止・急激な冷却を行い、活動停止するはずであると結論づけ、血液凝固剤の経口投与によってゴジラを凍結させる仮称「矢口プラン」の準備を始める。

 

4日後の11月7日、前回の倍近い大きさとなったゴジラが鎌倉市に再上陸し、横浜市・川崎市を縦断して武蔵小杉に至る。前回とは姿も顔付きも大きく変化したゴジラの姿を見て、一同は驚きを隠せない中、自衛隊は武蔵小杉から多摩川河川敷を防衛線とした、ゴジラの都内進入阻止のための総力作戦「タバ作戦」を実行するが、傷一つ付けることができず、突破されてしまう。ゴジラは大田区・世田谷区・目黒区へと進行する。米国からの大使館防衛を理由に爆撃機をグアムから日本に向かわせたとの通知を受けて、政府は正式に米国に攻撃支援を要請する。港区にまで進行してきたゴジラ。米軍の爆撃機は大型貫通爆弾によってゴジラに初めて傷を負わせることに成功するも、直後にゴジラは、背びれを光らせて黒煙を口から吐き出し始め、それを火炎放射に変化させると東京の街の一部の広範囲を火の海に変えた後、さらに火炎をレーザー光線に変化させ、爆撃機を一機破壊すると、直後に背部からも複数の光線を放射し始め、爆撃機をすべて撃墜し、途中から光線を再び火炎放射に戻しつつ、吐き出し続け、蹂躙(じゅうりん)しながら港・千代田・中央3区の市街地を破壊し、火の海に変える。総理大臣官邸から立川広域防災基地へ避難するところであった総理大臣らが乗ったヘリコプターも光線によって撃墜され、総理を含め閣僚11名が死亡する。一方ゴジラは、東京駅構内で突然活動を停止、凍り付いたように動かなくなる。

 

政府機能は立川に移転、総理大臣臨時代理も立てられ、矢口はゴジラ対策の特命担当大臣に任命される。米軍の爆撃で得られたゴジラの組織片の分析より、今後ゴジラは無性生殖によりネズミ算式に増殖でき群体化のおそれがあることや、個体進化により小型化や有翼化し、大陸間を超えて拡散する可能性が示唆された。また、2週間後には活動再開すると予測された。国連安保理はゴジラへの熱核攻撃を決議し、住民360万人の疎開が行われる。巨災対は核攻撃ではなく矢口プランによるゴジラ停止の完遂を切望するが、ゴジラには元素を変換する能力もあったことが判明し、血液凝固剤が無力化される懸念が生じてしまった。その直後、それまで謎だった牧の暗号化資料の解読の糸口が見つかり、解読・解析結果からゴジラの元素変換機能を阻害する極限環境微生物の分子式が得られる。それを抑制剤として、血液凝固剤と併せて投与することで解決の見通しが立った。

 

国連軍の熱核攻撃開始が迫る中、矢口プランは、「ヤシオリ作戦」という作戦名で、日米共同作戦として開始される。遠隔操作の新幹線N700系2編成に爆薬を搭載しそれをエネルギー回復中のゴジラに直撃させることで強制的に目覚めさせ、次に回復しきっていない残存エネルギーの消耗のみを狙った米軍の無人航空機群による攻撃が、ゴジラが光線を出せなくなるまで続けられる。ゴジラはエネルギー消耗を軽減させるため、背びれからの光線発射から尻尾の先端部からの発射と口腔からの発射に変更しながら、なおも撃墜を続けたが、エネルギー切れでレーザー状熱線が途切れたところで周囲に残っていた高層ビルを連続爆破・倒壊させてゴジラを強制的に転倒させ、建設機械部隊とコンクリートポンプ車隊が近づき、ポンプ車のアームより累計数百キロリットルの血液凝固剤をゴジラの口内に強制的に流し込む。だがその途中でゴジラが光線を吐き出し第一陣は全滅するも、血液凝固剤の効果で次第に動きが鈍くなり、表面には徐々に凍結が見受けられるようになる。再度、爆薬搭載した多数の遠隔操作で動く在来線列車の攻撃を受けて再び転倒、第二陣の血液凝固剤の投与を行う。最後の抵抗とばかりに立ち上がった状態で、ようやくゴジラの完全凍結に成功する。

 

その後、都心を汚染したゴジラの新元素の放射性物質は半減期が20日と非常に短く、おおよそ2 - 3年で人体への影響がなくなると判明したことから復興の希望も見えたが、ゴジラが活動を再開した場合には熱核攻撃のカウントダウンは即座に再開され、3526秒(58分46秒)後に実施、発射されるという。矢口はゴジラとは最早、長く付き合って行くしかないと覚悟を決め、凍結したゴジラを見据えながら、今後の責務や役割を果す決意を固める。

 

そして、東京駅脇に凍りついたまま立ちつくすゴジラの尻尾の先端には、背びれと尻尾を持つ謎の人型が数体、生じかけたまま静止していた。


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