意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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九校戦前夜3

魔法科高校と言えども、魔法以外の科目の授業はある。同盟国の米国の言語である英語もその一つだ。しかし、さすが魔法科高校と言うべきか定期試験に英語はなく提出した課題の評価だけで科目の成績が決まる。

 

以下が今回の課題。バカテス?なんと第45代米国大統領のトランプ氏のツイートからだ!このツイートの日本語訳の誤りを正すのが課題だ。

 

North Korea has just launched another missile.

Does this guy have anything better to do with his life?

Hard to believe that South Korea

北朝鮮は、また別のミサイルを撃った。

この男(金正恩)は人生で他にやること無いのか?

南朝鮮を信じることは難しい。

 

....and Japan will put up with this much longer.

Perhaps China will put a heavy move on North Korea and end this nonsense once and for all

そして、日本は、これ以上耐えられない。

たぶん、中国は北朝鮮に重大な動きをする。

そうすれば、こんな馬鹿げたことは二度と無くなる。

 

で、僕の作った解答。

 

直す箇所は特にない。第三次世界大戦で勝利した米国は、大戦以前から例文にあるように東側諸国を警戒していた。特に警戒を強めたのがトランプ第45代米国大統領だ。当時、米国と南朝鮮は軍事同盟を結んでいたが南朝鮮の行動に不審感を持ったトランプ大統領が例文の様にツイートした。

 

多くの人が南朝鮮を信用出来ないと誤解するのを承知でこの様に書いたのだろう。実際に当時の南朝鮮の文大統領はICBMの発射実験まで断行している北朝鮮と戦争はしないと公言していた。これでは同盟国の米国から信用されるはずがない。(実際にこの後、米国に見捨てられた南朝鮮は北朝鮮とともに体制が崩壊し大亜連合に組み入れられ独立を失った。両朝鮮で魔法師がほとんど出現しなかったのも独立を失った原因の一つと考えられる。同じ現象が南米でも起きている。ブラジルだけが魔法師育成に成功して他国に圧勝しているのだ。)

 

ピリオドがないのでthatを形容詞ととらえずに接続詞と解すれば、北朝鮮のミサイル実験に耐えられないのは日本と南朝鮮になる。

 

部活で英語の課題が話題になった。

 

「しまった!that A and B will put up with 〜だったのか」

白石くんは、文法解析ができなかったらしい。

 

ただ、この課題は日本語訳の文法的な誤りを指摘して正すのが目的ではないと思うよ。白石くん。おそらく、トランプ大統領は僕が解答した通りにわざと誤解させるようにツイートしたのだろう。当時、大統領は敵対していた米マスコミに記者会見をせずにネット上でツイートして情報発信を行っていた。なので、自分の意図が誤解されるような表現は避けたはずなのだ。

 

「ふ〜ん」

涼野さんは、この話に多少の興味があるようだ。

 

「中国ではなくて中華人民共和国よね」

朝田さんは、とても優秀な頭脳をお持ちのようです。朝鮮民主主義人民共和国を噛まずに言えるかも知れない。ちなみに南朝鮮は大韓民国だったらしい。

 

「ツイートって何?」

長岡さんには、もっとはじめから丁寧に説明をするべきだった。

 

ちなみにこの時期に僕が習っている座禅は中国大陸から上陸した。中華人民共和国は、日米と対立していたが中国人の中には最終的にどこが勝つかを予め知っていた者がいた。(実力派の占師に見て貰えばすぐにわかる。)特に海外に移住しているいわゆる華僑の中にそのような者が多かった。そこで、連中は両建てした。

 

西側が勝っても東側がかっても自分たちに害が及ばないように。しかし、これは表向きの話だ。実際は、東側に顔を向けて軸足を西側に置いていた。

 

 最初から、日米同盟側が勝つと予想している者が連中の中枢だったからだ。第三次世界大戦の勝敗を簡単に言い切るのは困難であるとされているが、中華人民共和国とロシア連邦はなくなり両国は世界中の経済領土を失った。大亜連合や新ソビエト連邦が成立して勢力が拡大したかに見えるがその市場には日欧米が進出して、実質的な経済領土になっている。(植民地とまで言わないがそう言っても差し支えない事もある。)

 

 国境でたまに起きる侵略は、単なる軍のガス抜きの一種で本格的な侵略に程遠い。せいぜい魔法師の実戦訓練を積ませる効果しか得られてないのが現実だ。

 

 とこの百年を簡単にまとめてみたが、これでも僕はまだ足りないと感じる。

 

 むしろ、国と国の本格的な争いはすでに終了していると考えているのだ。核兵器等の大量破壊兵器と戦略級魔法師等が本格的に投入されれば戦争に勝つ負ける以前に国が滅びる。国民動員法が施行させてなくても国民がほとんど死ぬ。もっと突き詰めれば国破れて山河無しだ。

 

 では、今行われている国と国との小競り合いはいったい何なのか?

 

 これは、魔法師が人間社会を自然に支配していく為に仕組んだ大いなる茶番である。

 

 戦争があるから、敵国より強力な兵器が必要だとして兵器開発に莫大なコストが費やされて来た。そのために武器開発メーカー等が巨大化し権力を持つようになり戦争をたまに起こして兵器が売れなくなるのを防いでいたのとよく似た現象が起きているのだ。

 

 戦争があるから、敵国より強力な魔法師が必要だとして魔法師養成に莫大なコストが費やされている。そのために魔法師集団が巨大化し権力を持つようになり戦争をたまに起こして意図的に魔法師の社会的な需要を常に逼迫させているのだ。現代魔法の平和利用だけでの需要はすでに十分満たされており莫大なコストを費やしてでも魔法師を育成する理由を正当化できない。

 

 魔法師は全人類の数パーセントも存在しない。その魔法師が軍だけでなく警察や諜報まで影響下に置いている。実際は、科学分野も現代魔法の応用研究に一番予算が割かれており、このままいけば人類の主要分野は魔法師が抑えてしまう。

 

はたして、魔法力を持たない残りの大部分の人類がその状況に甘んじられるだろうか?

 

 僕は、楽観していない。この状況を放置すればいずれ魔法師と非魔法師との階級闘争が始まってしまう。

 

 僕が、戦略級魔法師を瞬殺する方法を開発しようとしているのはこれを防ぐ為だ。核兵器は科学技術の発達によりその防衛手段が確立されてしまった。その為、核拡散防止条約は大した意味を持たなくなった。核兵器を使用する前に必ずバレてしまい、その維持費が膨大な核兵器を保有したがる物好きは最近ほとんどいない。

 

ところが、核兵器と同等の破壊力を持つ戦略級魔法師の存在は厄介だ。何しろ防衛出来ない。一個人の意志で発動されるのだから。極端な話、新ソ連の戦略級魔法師がトチ狂ってモスクワを焦土にする可能性だってあるのだ。自国でさえ自国の魔法師の管理が完全ではない。

 

今のところ、そのような事態は起きてないようだが将来起きない保証はない。また、この保証のない状態が続くのもまずい。これでは百年前のいつ核戦争が起きるかと心配しながら生きて行かなければならない状態と何も変わってないのだ。

 

戦略級魔法師に対する抑止力を持てば万事解決とはならない。核兵器の完全な防衛が米国を中心としたシステムでしか確立しなかったのが参考になる。同じように戦略級魔法師の暴走を止めるのがどこかの国や組織や個人に限られる状況もまずい。戦略級魔法師とその暴走を止める人物が結託すれば監視機能が無くなってしまうからだ。

 

だから、戦略級魔法師の暴走を止める者も戦略級魔法師になる者もまとまった数だけ作り出すの必要がある。そうすれば、互いに抑止力が機能し個人の暴走で大量破壊が継続的に起きるのを防げる。それだけでなく、魔法師と言えども単なる人間社会の一構成員であり人間社会の上に君臨する者でも人間社会で兵器として道具として扱われる物でもないと説得力を持って主張出来る。

 

それまでに、正しい努力さえすれば誰でも魔法師になれる、つまり魔法師の民主化大衆化に成功しておかなければならないがそれは中学三年の時にある程度のメドが立った。しかも、五段階にさえなれれば現代魔法師に簡単になれるとこの1ヶ月で実証出来た。

 

後は、この三年間で六段階になれば戦略級魔法師になれるし戦略級魔法師を瞬殺可能となるとする自説を証明して行こう!

 

このミッションは、戦略級魔法師の一挙手一投足に神経質になっている本当の権力者の皆様やいつ梯子を外されるか疑心暗鬼になっている戦略級魔法師の皆様に福音となるだろう。


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