意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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九校戦前夜1

「俺の遥ちゃんがぁ!」

教室に入った途端に聞こえて来た男子の叫び。

 

お前が好きなのは小野局員、噛みました(ノ_<)!小野教員ではなくて小野教員の胸(推定Gカップ)だろう。

 

 どうせ、小野さんは情報でもリークし過ぎて上司に怒られているのだろうさ。勝手な約束までしているし。とはいえ、長期出張扱いならそのうち戻って来るだろう。変死体で発見されたりはしないと思うぞ。

 

「バカじゃないの」

後ろの方で、千葉エリカさんが舌打ちしている。黙れ、微乳女!どうせ、B程度だろ。

 

 僕は「あたし脱いだら凄いんです」とかは認めない。そんな事をいう女は、その場で脱いで証明しろと僕は強く主張したい。本人には、言いませんが。

 

( 僕の彼女に対するうがった見方はさておき、彼女の人気は絶大だ。彼女が意図して行動しているかはわからないが、引っ掻き回し役が板に付いていてほとんど嫌味にならない。引っ掻き回される方、特に西条くんは大変そうだが本気で嫌がっている様子はない。きっとマゾなのだろう。)

 

 ふと、視線を感じた方を見ると長岡さんが姿勢を正して座っている。彼女はじつは巨乳の部類に入っている。しかし、彼女の体型はボン・ゴー・ボンなので豊かな胸に見えないのだ。

(とはいえ、彼女は密かな人気を集めている。時折見せる「花々を背負って金粉撒き散らし睫毛大盛り黒瞳の中の煌く星々」は男子を一目惚れさせる。ただ、長岡さんは自分より弱い男子とは親しくしないと思うぞ。僕は他人の恋路を邪魔はしない。各自、頑張りたまえ。)おそらくDだ。

 

それに比べて、柴田美月さんはボン・きゅ・ボンなので母性をアピールする豊かな胸なのだ。多分Fだ。

(彼女は、人気があるのは誰も異論を唱えない。体型も性格もとても女性らしく、その上眼鏡がアピールポイントになっている。みんな同じ服装、つまり制服を着ている時に人との違いを際立たせるアイテムに眼鏡は持って来いだ。)

 

触らせて貰えば、その正確なボリュームを言い当てられると思う。ただ、触っただけでイカせられる『甘い生活』江戸伸介スキルはないので見るだけにしておこう。目指せ!巨乳評論家。でも、チカンは犯罪です!から触っては行けませんしガン見もダメです。よい子のみんなは、見てもバレないスキルを身に付けよう!

 

 先週土曜日に大活躍したと思える我らがヒーロー司波達也くんを観る。もちろん視線は合わさない。殺した人数は増えてないようだ。今日の彼は、ハッキリと軍人しているのに週末に誰も殺さなかったようだ。ただ、半殺しにはしたと想像はつく。

 

 はい。観るの終わり。これ以上観るとばれてしまう。

 

 それと、司波グループを詳しく調べる必要もなくなった。朝一、担当さんから返事があったからだ。

 

こういうことだ。昨晩僕は担当さんへ「?」と送信した。今朝の担当さんから僕への返信は「!」だったのだ。

 

どうやら、僕の一人称妄言小説もどきは予想外の支持を集めているらしい。

 

あとがきを書いたら、「もっと続けろ。〔捜査に〕支障をきたす」(〔〕内は僕の想像です。)「なんなら、十倍代金を払う」等の檄文が出版社に届いているそうだ。少し、脅迫じみている様に感じるのは気のせいだろうか?一体、どんな人達が読んでいるのか私、気になります!

 

 犯罪の世界でも、現代魔法が使われるようになって百年近く経過した。昔の捜査は簡単だった。ネット上を飛び交う犯罪関連キーワードを自動で検索し続けて怪しい人物を見つければその口座を調べそこで不自然な金の移動があれば、いよいよ怪しいとなって捜査員を投入し、証拠があつまれば最低でも共謀罪で検挙出来た。

 

 そのシステムのおかげで、日本は第三次世界大戦が始まる前に日本国内の敵勢力(特に現大亜高麗自治区人)の一掃に成功し大戦で実質的に勝利して戦勝国に返り咲いた。

 

 ところが、このテロ等重犯罪自動サーチエンジンは自己学習機能で対一般人には絶大な効果を発揮したが、対魔法師には効果が薄かった。

 

 犯罪に現代魔法が使われる頻度が多くなれば多くなるほど捜査当局はより魔法師に頼るようになった。同じことが国軍でも起きている。すでに、軍の実質的な主力は魔法師で構成される民兵や特殊部隊なのだ。(諜報も含む。)

 

 このままでは、国の中枢を魔法師に全て牛耳られてしまうと一般人が恐怖するのはある意味仕方ないことなのだ。実際は、非魔法師の既得権保持者達が一般人の魔法師に対する不安を煽っているのだが。

 

「凄いことになった!」

突然、白石くんが声を掛けて来た。でも、白石くんもう講義が始まるからまた後で。

 

                 ◇◇◇

 

 魔法史の講義は好きだ。魔法がどの時期から世界に広がって行ったのかが良くわかる。しかし、明らかに不自然な解釈も講義や教科書の中に見られる。

 

そもそも、現代科学の基礎はニュートンから始まった。彼が提唱したエネルギー保存則の考えがあまりに見事だったので総ての物理的な現象は初期条件さえ与えれば計算によってその結果が求められるとまで信じられてしまった。いわゆる、「科学教の時代」だ。(僕の造語です。)

 

ニュートンの前の時代は観察結果から法則性を見出すことで満足していた。ケプラーの法則は有名だ。

 

これらの法則や理論を打ち立てたのは、非魔法師系の一般人だった。その為に、事象改変などは思いもよらずむしろその逆である慣性の法則や作用反作用が絶対的に存在していると結論し世間もそれに追随した。

 

この影響は大きくダーウィンの進化論がにわかに信じられる様にもなった。エネルギー保存則的な考えを突き詰めれば過去より今の方はより色々と(エネルギーなど)蓄積されているのでより生物もより進化しているはずだと信じてしまったのだ。環境に合わせて生物がマイナーチェンジするのは知られているが交配不能な位の飛躍的な種の変化は今も昔も説明できないのだ。

 

これだけだと単に生物学の話で終わるのだが、新人類と言えなくもない魔法力を持った人類を魔法力を持たない人類よりもより進化した種であると考える魔法師がいるので厄介な事になる。(たとえば、森崎くん。)プライドや自信を持つのは悪くはないが選民思想にかぶれるのは良くない。魔法力を持つ者と持たない者とで交配可能であるから異なる種であると考えるのがそもそも間違えなのだから。

 

講義でも、昔の魔法より今の現代魔法の方が多様性や速効性などで優れていると教えている。いまだかって古式魔法と言われる本物の能力者が現代魔法師との発動速度で遅れを取った事はない。

 

実は、格闘技や武道に現代魔法を融合して相当強くなった人物が本物の武術家や導士に挑戦したことはかなりある。結果は、全敗。近接戦闘では、現代魔法の有無に関わらず功夫がある方が勝つ。別に秘密でも何でもないのだが何故かあまり知られてない。

 

それともう一つ秘密がある。かつて本物とカテゴライズされた武術家は五段階以上だった。ところが、現代魔法を駆使する格闘家も五段階の意識を持つ人物が現れる様になった。そこで、本物とカテゴライズされる武術家を六段階以上に条件を厳しくしたのだ。そのおかげで、六段階、つまり「道を得る」とか「悟りを開く」まで習い易く最近はなっている。

 

西暦2000年を過ぎた頃から徐々にそうなって行った。とはいえ、習い易くはなっているが誰もが六段階になるわけではない。

 

結論を言えば、西欧人が考え出したものは所詮エネルギー保存則に縛られているショボいものばかりだ。そんなものを習得させるために学生を競わせるのは無駄である。また、事象改変がしにくいと信じ込んでしまい魔法能力向上にも悪い影響を学生が受ける可能性も高い。

 

魔法科高校の教育カリキュラムが、魔法関連以外の一般教科、数学や語学や科学や社会学は試験を実施せずに普段の提出課題で学生を評価する事になっているのは非常に合理的で好ましいと考えられる。

 

ソースは僕。ここへ来てまだ1日も学校を休んでいない。自分で自分を褒めてあげたいくらいだが、この魔法科高校が僕に合っているのが最大の理由だろう。

 

ところで、白石くんは、何を言いたかったのだろう?

 


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