意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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2018.09.02脱字修正。


横浜騒乱編28

「「「えー」」」

 

そのえーは何?人を指さすのは失礼ですよ。皆さん。

 

「お前、本当に軍人だったのか?」

渡辺さん、そりゃないわ。河原真知、嘘は嫌いです。(嘘をつかないとは言ってないし、方便は非常にしばしば使用する。)

 

「みんなを安心させる為のウ、ハッタリだとてっきり」

ウソと言いかけたでしょ。七草さん。というか、ハッタリでも同じことですよ。

 

今まで、陸軍少尉はウソやハッタリだと思われていたのか!

 

そんな中、市原さんは元一高生徒会長であり在学中に大量破壊兵器の原理を発表しようとして学校にとめられた今は「主任」と言葉を交わしていた。市原さんが微笑んでいるのを始めて見た気がする。

 

「それと、師匠!『殿下』って何だ?」

渡辺さんが何故か剥きになっている。七草さんも大きくうなづく。

 

「お前、もしかして十師族。しかも当主候補?」

 

渡辺さん。想像力があさっての方角に暴走してますよ。僕は、十師族ではないし当主候補でもない。継承権は保持しているが。でも、確か十何番目だから継承することはまずない。

 

「四葉?」

 

七草さんが声を潜めた。四葉って、そんなに触れてはいけないタブーなのか?

 

面倒くさいのでわざと一瞬だけ視線を彷徨わせてからわざとらしく強く否定しておいた。彼女がどう誤解しようとも僕の知ったことではない。

 

◇◇◇

 

光学系と振動系魔法を駆使した安上がりアクティブフィルタ迷彩のおかげでFー35の機体も爆音も周辺に見えないし聞こえない。(光学迷彩は高額明細となって戦闘機を隠すのは実用的ではない。米軍みたいに潤沢な予算があれば話は変わるが。)

 

近くによると熱気が凄まじいのでバレてしまう。特に垂直離着陸をいきなりかますともう隠しようがない。これは今後の課題だ。フルメタルパニックみたいに簡単には出来ないのだ。

 

今いいアイディア思いついた。垂直離着陸時にも飛行魔法を使用すればよい。これで熱風問題は解決だ。次回試してみよう。

 

一昔いやふた昔前のイージスシステムだが良く働いてくれている。どうせ実戦経験のほとんどない元人民解放軍幹部が2014年のロシアによるクリミア侵攻等を参考にした作戦を立ててくると踏んでその対抗策をAIにシュミレーションさせていた。なので、少ない戦力で充分に対応できている。

 

正確に言えば佐伯広海少将率いる国防陸軍第101旅団の独立魔装大隊しか本格的な戦闘をしていない。元々十師族を頂点とする民間の魔法師戦力に対抗する戦力の確立が旅団設立の目的であるから、このような事態でも国軍本体が本格的に戦闘開始するまでに我々独立魔装大隊が奮闘しなければならないのだ。

これは余談だが第203航空魔道大隊とは違うので混同しないように。

敵は、空母を出せない。そんなものを投入すれば堂々の宣戦布告をしたのと同じになりガチ武力衝突ありの戦争になる。同じ理由で中国大陸からのミサイル攻撃もNGだ。我軍よりも米軍がいち早く報復するはずだ。ミサイル飽和攻撃で。北京が消えるアルよ。

 

敵は予想通り偽装揚陸艦で横浜港に入港。空母ではないから艦上戦闘機が出てくる事はなかった。このお陰で主任と僕は攻撃力のほぼない敵無人機を好き放題撃墜出来た。地対空ミサイルも艦対空ミサイルも飛んで来ないからだ。

 

携帯式防空ミサイルは、1人で携行可能で肩に乗せて射撃できるが低空を飛ぶ航空機、特にヘリコプターにしか有効ではない。このF-35を撃墜するのは至難の業だ。

 

よって僕等はやりたい放題できた。これはある意味マンハントだ。

 

ピ——————————————

 

下だ!と僕が感じたのと同時に主任は急上昇。そして僕らを追尾してくるミサイルを迎撃した。ついでにミサイルを発射した敵魔法師にミサイルをプレゼント。こんにちは。そして、さようなら。

 

殺気を消して狙って来た。なかなかやるな!スーパー・ソニック・ランチャーでミサイルを撃破するような芸当が出来るのは真田さんだけかと思った。

 

警報停止、リセット。

 

これってazbilの温度指示調整形では?

 

「調教済みよ」

主任が答えた。

 

こんな使い方をしようとして必死になって取り付けようとしたのか!しかしどのように魔改造すればこんな機能を追加できるのか?

 

「それは秘密です」

 

わかっていますとも。これが主任の隠し球、秘密の特技。これがある限り軍は彼女を大切に守ってくれる。F-35に限らずF-22もいやF-15でさえ主任は魔改造してしまうだろう。操縦できる人物がいるのか怪しいが。

 

とにかく無事伏線回収を終えて、僕らは移動した。

 

保土ヶ谷駐留部隊が侵攻軍と交戦中。鶴見と藤沢より各一個大隊が当地に急行中。魔法協会関東支部も独自に義勇軍を編成し、自衛行動中だったが、論文コンペが開催された横浜国際会議場で魔法科学生を人質にするのも地下シェルターに逃げた一般人を人質にするのも偽装揚陸艦からのミサイル攻撃も不発に終わり、仕方なく敵は機甲部隊を投入してきた。とはいっても時代遅れの自立戦車と装甲車だが。

 

 しかし、いくら時代遅れでも戦車は戦車だ。ハイパーライフルとは火力が違う。義勇軍や武装警察では苦戦を免れない。十師族レベルの魔法師でなければ対応できない。

 

そこで、AIが選んだ進路は横浜ベイヒルズタワーだ。魔法協会支部がある建物だ。

 

一般的に戦車や装甲車の装甲は四方八方と腹部には強いが上部は比較的弱い。敵魔法師が防御要員として乗り込んでいるようだがこちらも火力は強化している。

 

と言うことで、僕等は上空から義勇軍を援護した。敵戦車や装甲車を木っ端微塵にする必要はない。戦闘不能にすれば良いので簡単だ。とにかく当てればいいだけなのだ。

 

この機体には約8トンの兵器が搭載できる。しかも空対空ミサイルは一切積まないで空対地に特化しておいた。とはいえ、ミサイルはかさばるので小直径爆弾(細長い弾体に展張式の翼を備えた滑空式の誘導爆弾)とガトリング式ロータリー機関砲(GAU-12 イコライザー)も積んでおいた。

 

 ちなみに装甲車の中で敵兵がミンチになっても僕は気にしない。自立戦車の爆発に巻き込まれて敵兵が粉々になっても気にしない。

 

むしろ大亜に対する良い学習の機会だと確信している。中国は大戦で勝った経験が一度もない。戦争は残酷であり無慈悲であり無情であり非人道的である。そのストレスに耐えられない民族は軽々しく他国に戦争を仕掛けるのは自分の身を危うくするだけなのだ。今一度そのことを思い出させてあげる良い機会だ。

 

予想通り、魔法師の防御魔法がこちらの火力を無効化できないとわかると装甲車から逃げ出す敵兵も出始めた。彼等は軍服を着ていないゲリラなのだ。よって戦時国際法の保護外だ。白旗を振っても無視。ミンチにした。

 

 このことは、一条くんを始めとして個人の戦闘力が高い人物には予め伝えておいた。

 

『降伏拒否!』と言ってその場で敵を殺せと。

 

 AIが選んだ次の地点は、

 

「あいつら何しとんねん?!」

思わず口からでた。

 

一高生徒が地上戦を繰り広げている。

 

死が彼等に近づいている。

 

「いいの?」

主任が訊いた。二人の心の同調が乱れた。彼女は僕の迷いを察知している。

 

駅前の広場で民間人が避難民脱出用のヘリを呼んだ。民間人の氏名は七草真由美 、及び北山雫だ 。AIが選択したのは避難民脱出用ヘリの護衛だ。戦場で民間のヘリなんてただの的。護衛しなければすぐに撃墜される。

 

僕等は七草、北山ヘリの護衛に向かった。

 

この戦闘はすぐにあと一時間いや30分で終わる。たとえ死傷しても24時間以内に特尉の「再生」が有れば何とでもなる!はずだ。僕は自分に言い聞かせるように強く決意した。主任は小さく頷いた。




白隠 慧鶴 他1名
夜船閑話 白隠禅師法語全集 4 禅文化研究所

曲がりなりにも座禅に取り組んでいる人が訳しているので現代訳が良い。

身体を健康にする前に、道を得てしまった白隠が後年体調不良に苦しみ、とある仙人に出会って仙人の健康法を習う話。政治の話もある。


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