意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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横浜騒乱編24

主任から連絡があった。ノースアメリカンXー15を手に入れたそうだ。

 

Xー15は、アメリカで開発された高高度極超音速実験機。ノースアメリカン社によって3機が製作された。ジェットエンジンではなくロケットエンジンにより高高度まで上昇出来る能力を持つロケットプレーンであり、1967年10月3日に行われた188回目のフライトで、ウィリアム・J・ナイトの操縦するX-15A-2が最高速度7,274km/h(マッハ6.7)を記録した。

 

ただ、理論上はマッハ8が最高速度だったらしいので、実験としては成功とは言えなかったそうだ。

 

これらは100年以上昔の話だ。なので機体はスミソニアン航空宇宙博物館とか国立アメリカ空軍博物館に展示されていたと思う。

 

どうやって手に入れたのか?もしかして100年経過したから特許だの何だのが全て期限切れになったのかも知れない。Fー35のリボーン(魔改造)に成功した空軍が調子に乗ってアメリカから安値で買えたのかも知れないし、置場に困った博物館から廃品回収したのかも知れない。

 

兵器開発は、その国のお国柄が如実に現れる。アメリカは他の追随を許さない兵器を開発したがる。時にあまりに欲張り過ぎて実戦投入不可のものまで作り上げてしまう。上記のXー15はその代表の一つだしFー22と呼ばれた戦闘機もそうだ。魔法師の「開発」も上昇志向があり過ぎて予算の割には成果が上がっていない。むしろ非魔法系通常兵器や核兵器の開発の方が上手く行っている。

 

大きな声では言えないが、西暦2000年頃から秘密裏に進められた日米の軍事関の協力がその主な原因だ。やたらに安いミサイルが一番わかりやすい。一発一億円以上したものがいきなり半額以下になったのだ。さらに激安無人機の登場と省エネレーザー兵器と共同開発は進み一発一万円となった。

 

ここまで来ると大量破壊兵器ならぬ価格破壊兵器である。しかもこれが反日米同盟に多大な影響を及ぼした。

 

これらを他の同盟も真似せざるを得なくなった。それもあって世界は、2096年時点で、USNA、新ソ連、インド・ペルシア、大亜連合が世界の四大勢力となっていった。共同兵器開発を前提とした軍事同盟が成立できる国々が寄り添っているのだ。しかし、日米同盟の安くて良い兵器に敵う同盟はこれまでもこれからも出現しないだろう。

 

これが反日米同盟に焦りと苛立ちと恐怖を常に突き付ける。焦りは愚かな行為を誘発する。

 

以前日本の魔法師を騙して拉致して好き放題実験したどアホがいた。日本は米国と違って即座に報復して来ないだろうと過去に朝鮮民主主義人民共和国(今の大亜連合の朝鮮自治区)が実行した日本人拉致を参考にして自分達の都合の良い見通しを立ててしまったようだ。

 

その魔法師一族が国家の制止を振り切って拉致被害者奪還と拉致犯罪者への私刑を断行した。(ぶっちゃけ一国を滅ぼした。)今でもその一連の事件は遺恨を含めて悪影響を及ぼしている。当人達の預かり知らぬ所で。大亜連合だけでなく同盟国の米国までビビらせてしまったのだ。

 

「四葉を怒らせるな」

 

本当は、四葉の大漢崩壊事件だけではない。我国においても最近では博多の魔法師殺人事件(まさかその渦中の人物と知り合いになるとは思わなかった。)京都大停電事故(これは、関係者なので今は詳しく書けない。)等、一国を滅ぼすほどではないがかなり際どい事件や事故は今も起きている。

 

一高で起きたテロ事件や九校戦でのテロ未遂事件も詰まる所我国の魔法師戦力をいたづらに警戒している勢力が過激な行動をしていると見て良いのだ。

 

さて兵器開発に話が戻るが、非魔法系兵器と魔法系兵器(魔法師の開発?)を全方面に開発しようとすれば国家予算がいくらあっても足りない。日米同盟が他の同盟を寄せ付けなくなったのは秘密裏に分業しているからだ。米国は新世代や画期的な兵器を我国は次世代と再生だ。噂では米国は魔法だけで軍艦を動かそうと試みているらしい。阿呆なのだろうか?制御に魔法を使用するならすぐに結果が出せる。我国は現実的なこちらを主に選択している。

 

主任がFー35やXー15を何故かオモチャにできるのはこうした国際兵器開発の大人の事情があるからだ。

 

「河原くん。少しいいかな?」

横浜国際会議場に引率で来ている設楽さんから話しかけられた。

 

「なんでしょうか?教授」

本当は助教授なのだが、こういう時はわざと教授と言っておいた方が社会に出た時に役に立つぞ!課長代理には課長とよんで差し上げよう。ただし次長を部長と呼ぶのはやり過ぎかも知れない。過ぎたるは及ばざるが如し。

 

「君は、司波くんの応援で来ているのかい?」

設楽さんは、僕が引き摺っている荷物に目をやった。

 

「気になりますか?これ」

 

「ああ。そうだね」

 

「これは、キャリーバックです。たくさん荷物を持って来てます。僕、心配症なんで」

 

設楽さんが苦笑いしている。

 

「何か嫌な予感がします?してるなら正解です。でも教授。森羅万象をモデル化して未来予想する手法では、2兆分の1程度の確率で起こる事象を0に近似してしまうんで頼りにならんですよ」

 

「何か、具体的な事例があったのかい?」

さすがは、教授!自分のライフワークと言っても言い過ぎでもない研究を完全否定したのにまるで全人格を否定された様に脊髄反射する連中とは違って冷静な反応をされている。

 

「ロングタームキャピタルマネジメントの崩壊が有名です」

 

ロングタームキャピタルマネジメント(英語:Long-Term Capital Management、略称:LTCM)は、1994年から1999年まで存在したヘッジファンド。

 

LTCMは金融工学を駆使し、その運用方針は、流動性の高い債券がリスクに応じた価格差で取引されていない事に着目し、実力と比較して割安と判断される債券を大量に購入し、反対に割高と判断される債券を空売りするものだ。

 

コンピュータを用いて多数の銘柄について自動的にリスク算出、判断を行って発注するシステムを構築した。また、個々の取引では利益が少ないことから、発注量を増やし、レバレッジを効かせて利益の拡大を図った。

 

 1997年に発生したアジア通貨危機と、その煽りを受けて1998年に発生したロシア財政危機が状況を一変させた。投資家が東南アジア諸国から証券投資を引き揚げつつあったところへロシアが短期国債の債務不履行を宣言したので、新興国の債券・株式は危険であるという認識が急速に広がったのである。LTCMはロシア国債が債務不履行を起こす確率は100万年に3回(シックス・シグマ)だと計算していた。

 

結果としてLTCMの運用は破綻し、資産総額が下がり始めてから約8ヶ月の間で1994年の運用開始時点の額を下回った。

 

「それは、興味深い話だね。しかし、ノーベル経済学賞達が予想できなかった事態をどうやって君は予想するつもりなんだい?」

 

「預言です。教授もたまにしているはずです」

 

設楽さんは、リアクションに困っている。彼の研究は、預言を理論的に説明しようとする試みでもある。僕は預言の仕組みに興味はなくただ当たればいいと思っている。価値観が違うのだ。

 

「本日15:30戦闘開始です。それよりも、いいことを教えましょう。本物の預言は日時がハッキリとわかるんです」

 

「何ですって?」

聞こえない振りをしていた小野さんがたまらず口を出してきた。今まで存在感を薄くしていたのは、さすが忍者の弟子だ。

 

「小野先生。武器は持って来ましたか?ここは戦場になりますよ」

 

彼女の意識が、左下に向いた。そこに武器を隠し持っているらしい。わかりやすい人だ。今しがた会った人物も彼女の心に引っかかっている。

 

「彼女のことは気にせんでええですよ。彼女より、あなたの方が女、いや雌として優れていますから」

僕は、小野さんの強力な女の武器をガン見しながら言った。

 

「それは、小野先生に対する預言かい?」

設楽さんが、皮肉とも取れる質問をしてきた。

 

「なんなら、小野先生がいつ結婚するか当てあいっこしてみますか?」

 

「二人とも何を言っているんですか!いい加減にして下さい」

 

怒った顔も愛嬌がある小野さんだった。藤林さんは、小野さんのそんなところに敵愾心を持っているだけなのだ。

 

女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥。




暑いですね。熱中症に注意して水分(白湯が良い)をこまめに取りましょう!

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