ヒーローだかヴィランだか知らんがヤクザ舐めんじゃねー‼︎   作:アンパンくん

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第4話

 

 

 春……それは始まりの季節である。

 ほとんどの学生は新しい学校やクラスとなり、自分はそこに馴染めるか新しい友達は出来るかなど初々しい悩みをするものだ。

 

 というわけで俺たちの雄英高校の入学が決定した。

 入学に対して条件が諸々あったが、親父の「破ってもバレなきゃいいだろ」という発言で即入学が決まった。(バレたらどーすんだろ?)

 

 なので、制服や必要な用具などを買い揃え、入学祝いの3日間ぶっ通しの宴会をこなした今日、ようやく初の登校日となった。

 

 

 ーーーーーー

 

 

「若、音無(おとな)様と(じん)様がいらっしゃいました」

 

「ん、あぁ、今行くわ」

 

 久しぶりに早起きをしてまだ少し眠いが、そろそろ行かなきゃマズイ時間だな。

 

 俺はバックを持って部屋を出る。

 まだ初日ということもあり教科書も配布されてないのでとても軽い。が、これからヒーローたちに囲まれての生活となると気分はとても重い。

 

「若、おはようございます」

 

 玄関まで行くと音無が新品の制服に身を包み不安げな様子で待っていた。

 

「よう、待たせたな……って、あれ」

 

 たしか俺を呼びに来た奴は音無と刃が来た、と言って呼びにきたのに刃の姿が見えない。

 

 トイレにでも行ったか?

 

「……あの、若、怒らないでくださいね」

 

「あん、どうした?、急に……」

 

 音無が何か言ってるがそろそろ本当に時間がヤバくなってきたから聞き流す。

 刃の奴はこの際どうでもいいので置いて行く事にする。

 

 急いでこの日の為に新調した靴を履き、玄関の引き戸を開けると、そこには黒塗りの高級そうなリムジンが止まっていた……え、なんでだ⁇

 

 ガチャッと運転席が開き、中から出てきたのは、やはりというべきかなんというべきか(バカ)であった。

 

「若、お待ちしとりました。さ、こちらへどうぞ」

 

 (バカ)が後部座席の扉を開け俺に入るよう促す。

 ここから中は少ししか見えないが如何にも高級そうで金が掛かっている雰囲気だった。

 

「……いちおう聞いておくが、そりゃなんだ⁇」

 

「なにって、送迎車に決まってんじゃないすか。この日の為に探したら、格安で売ってくれるって言う親切な人がいたんで若の為に買ったんですよ」

 

 頑張ったんですよ、褒めて。みたいな顔で俺に話す。

 成る程、音無はこれを知っていた訳か。

 

 俺は近くにいた組員を呼び、小声で話しかける。

 

(おそらくだがあのバカ、裏ルートで買ってるから見つけ出して軽く締めとけ。いいカモだと思われるからな)

 

 俺が組員にそう話していると、どうしたんですか、早く行きましょうよみたいな顔で(バカ)が待っているので分かりやすく時間をかけず説明してやる。

 

「いいか、時間がないから簡潔に説明するぞ。

 まずお前は車で行く気だったかもしれんが車での通学は禁止されている。俺たちが使うのは公共交通機関だ。

 そしてあの車はお前が買ったと言ったが未成年者は車を買えん。つまりお前は騙されたんだ。

 そんな狡くて足が付きやすい犯罪を犯すんじゃない! わかったか?

 ……でも、まぁ気持ちだけは受け取っておく」

 

 早口で相手の反論を言わせないように喋る。

 本当に電車の時間がヤバイからな‼︎

 

「……わかったか? なら行くぞ‼︎」

 

 どんな想像してたか知らんが穏便に終わって良かったと安心している音無と、見るからに落ち込んでいる(バカ)を連れて駅へ向かう。

 

 まぁ、帰ってきた後にあいつの親父に怒られて更にヘコむだろうけど……

 

 

 ーーーーーー

 

 

 無事、時間内に高校に着くことができた。

 遠くから見ても、多分あそこだろーなーと思うくらい立派で、でかかった。というか高校の大きさじゃないだろ。

 

 迷うなんてバカなことはしないように、入学案内と一緒に入っていた学校の見取り図を見ながら1ーA組を目指す。

 ちなみに刃はB組だったので途中で別れた。まぁ、入学させてもらえただけ感謝せねば。

 

 よく清掃されて綺麗な廊下を歩く。

 道が間違ってるんじゃないかというぐらい遠い。これは初っ端で見取り図無かったら迷ってたと思う。

 

 そんなこんなでようやく教室の前まできた。

 だいたい5、6メートルぐらいの大きさの扉をスライドさせて開ける。驚いたのは、5、6メートルもある扉なのに何故か開ける時の力は普通の扉と同じくらいだ。

 これは流石である。

 

 教室へ入ると結構な人数が座っていた。みんな早いものである。

 とりあえず、自分の席を探すと案外早く見つかった。廊下側の右から二列目の一番前の席だ。

 だいたいどんな学校も最初の席というのは名簿順と相場が決まっているものだ。

 ちなみに音無は一番窓際の一番前である。……後ろなら居眠りできたのに。

 

 しばらく座ってていると突然後ろから言い争う声が聞こえてきた。

 

「君! 机に脚をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ。てめーどこ中だよ端役が!」

 

 いや、いつのヤンキーだよ、お前……

 初の高校の初登校日で机に足をかけて待ってるの奴も、それを注意する奴も中々の強者である。流石雄英高校だ。既にキャラが濃い。

 

 そしてあの2人の様子を廊下で伺ってる緑のモジャモジャもなんだかんだいってキャラが濃そうだ。

 

 と、注意していたメガネがモジャモジャに気付いたのか話しかける。成る程、メガネが飯田天哉、モジャモジャが緑谷と言うらしい。

 

 メガネが試験の仕組みがどーたらこーたら言っているが、そろそろチャイムが鳴るのに座らなくていいのか。五分前行動が基本じゃないのか⁇

 とか思っていたらちょうど女子の生徒が「地味めの‼︎」とか言いながら今きた。……って、いやお前ら入口で駄弁ってていいのか?席つけよ!

 

 キーンコーンカーンコーンとチャイムの音が鳴る。……未だ喋ってる奴ら……あれ、俺がおかしいのか、いつから世間の常識は変わったんだ⁇

 

「友達ごっこがしたいなら余所へ行け。ここは…ヒーロー科だぞ」

 

 でも、もし変わったとしても、誰でもヌッといきなり寝袋に入った大人が現れたら なんか!!! いるぅぅ!!!みたいな反応は、するだろう。

 

「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」

 

 のっそりと寝袋から出てきたくたびれた男が言う。

 

 ん、待てよ。入口で寝袋で寝転がってたって事はどうやって来たんだ⁇

 歩いて来てあそこで寝袋に入った感じでは無かったし、まさか転がって来たのか‼︎

 ……だったらそっちの方が合理性に欠いてないか?

 

 俺がそんな事を考えている間に担任、相澤消太は自己紹介を終わらせ、ジャージに着替えて外へ出ろと言って来た。

 

 

 ーーーーーー

 

 

「「「個性把握……テストォ!?」」」

 

 高校に来て初の授業は、ガイダンスでも入学式でもなくテストだった‼︎

 

 種目は中学の時にやっている体力テストと同じ、計8種目。それに個性を使わせ、工夫させて記録を伸ばさせるテストらしい。

 現にくたびれ男がさっきの金髪ヤンキーに見本をさせようとしてる。

 

「じゃあ爆豪、お前ソフトボール投げ、何メートルだった?」

 

「……67m」

 

「じゃあ、個性使ってやってみろ。円から出なきゃ何しても良いから、思いっきりな」

 

 金髪ヤンキーは指示された円の中に立つ。

 どんな個性かは知らないが600メートルいきゃいい方じゃないのかな。

 

「んじゃまぁ……死ねぇ!!!」

 

 大きな爆発とともにボールが空を飛ぶ。

 おそらく、俺の予想を超えて700メートルはいったんじゃないか。

 しかし、この歳にしてあの爆発力か……想像以上の個性だ。伸び代もある。

 ただ悔やむべきはあの言葉使いだな、終始あれではなぁ〜……。

 まぁ、まだ初日だ。他の奴の個性も見ないとな。

 

 などと他の考え事をしていたらいつの間にか成績最下位者を除籍処分にするみたいな話になっていた。

 

 本当に大丈夫か、雄英高校⁇




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