ヒーローだかヴィランだか知らんがヤクザ舐めんじゃねー‼︎ 作:アンパンくん
新緑も紅葉に変わり、紅葉も枯れ落ち白い息が出るようになった季節……皆さんはどの様にお過ごしですか?
さてここであのクソジジイに雄英に行けと言われてからの軌跡を見てみましょう。
まず、刃山んとこの息子、
つまり、今のままでは受からないのだ。勉強だけでは……。
雄英の試験は筆記試験だけではない。毎年、変わりはするが実技試験もあるのだ。そしてこいつはメチャクチャ戦闘能力が高かった。戦闘中は勉強してる時とは比べ物にならないくらい頭を働かせ、個性有りの俺とのタイマンでは相当な傷を負わせられた(そんなに戦闘中は考えれて勉強はできないのか謎だ)。
流石『武闘派』で知られる刃山組の息子だ。
というわけで勉強を最後まで死ぬ気でやり、実技試験で一位を取るぐらい頑張れば何とか入れるじゃないかと言っておいた。これからも勉強教えると思うとまた憂鬱だ……。
さて次に仁比山のとこの娘、
どのくらい良いかというと、個性がない時代も今も日本最難関で知られる東京大学の試験問題を一題出して見たらスラスラと解くぐらい良かった(俺は悩みに悩んで半分しか当たってなかった)
じゃあ此奴にあのバカの勉強任せりゃ良いじゃんと思ったが「申し訳ありません。あれだけにはどーしても出来ません」と顔に申し訳なさと絶対ムリという表情が出ていた。
戦闘能力もそれなりに高かったので油断しなければ今の状態でも大丈夫だろう、と伝えておいた。帰っていく後ろ姿が何となく残念そうにも思えたが、まぁ気のせいだろう。
そして最後に俺はというと……
「………グゥ……ガァァア……」
今現在、姿形を変形させられてます。
〜〜〜1時間前〜〜〜
「親父、入るぞ」
バカの勉強特訓が終わり晩飯まで散歩するか〜と思った矢先、部下から親父が呼んでいると言われた。もしかして雄英に行かなくていいと言われるかなぁと淡い希望を抱きながら部屋に入ると……
「おう、来たか。じゃあ早速だが鬼一……お前その成りから変われ」
親父と若そうな女が居た。
「……は⁇」
〜〜〜〜〜〜
西山変……親父の側近の1人である。
若々しく美しい女性のように見えるが俺が産まれた頃から変わってないらしく実年齢はだれも知らない。
個性……変形
物によって時間差はあれど触れたどんな物でも変形させることが出来る。しかし変形させるという事はその物の状態から無理矢理変えるということであり少なからず負荷が生じてしまう。そう人間なら皮膚や臓器、骨格に……
「……ガァァッ…グゥゥ…」
「いやなぁ〜悪の親玉と会う約束忘れとってな。ついさっき思い出したんよ。もう15歳だしやっぱり一度はお前を会わせといた方がいいと思ったんだけどな、お前を見せて興味持たれても困るからちょっと我慢しといてくれ」
……アツイ……アツイ……体が内側からえぐり取られていくような……
コンコン
「総大将、迎えの者がやって来ました」
「おう、じゃあ行くか鬼一。あ、あとお前の場合変形が解けてしまうから個性は使うな。それと儂の新しい側近という設定だから忘れないようにな」
…ハァハァ……体はまだ熱を持っているがだいぶ身長が縮み、親父より相当歳が入った老人の様な姿になった俺はよたよたと親父の後をついて行く。
客人を招き入れる応接間まで着くと親父は扉を開けて中に入っていく。中に入ると襟の高いスーツを着た黒いモヤモヤとした者がソファに座っていた。
「おう、待たせたな。じゃあ早速移動してくれ」
「はい、分かりました。其方のご老人も一緒に連れて行けばいいのですか?」
「あぁ、頼む」
すると黒いモヤモヤが急に俺らを包み込み、次の瞬間古いボロボロの廊下にいた。
「この先、真っ直ぐ進めば奥の部屋に先生がいらっしゃいます」
「そうか、ありがとう。では行くか」
先へ進む親父の後について行く。先へ進むほど死の気配が濃密になっていく。本気の殺し合いや抗争を何度か経験した俺でもこれほど濃密な『死』は感じたことがない。
どんどん進んでいくととようやく突き当たりに扉があった。親父が扉を開けると口元に機械を当てた男が体に何本もチューブを刺した状態で椅子に座っていた。
「やぁ、よく来たね」
「儂は来たかなかったけどな。この死に損ない」
「うん、君の言う通りだ。こうなる前に超回復系の個性を手に入れておければ良かったんだけどね。ところでそこの老人は?」
「あぁ、儂の新しい側近よ。おい、こいつが都市伝説とか何とか言われている悪の根源、オールフォーワンだ」
なっ⁈⁈。まさか本当に存在していたとは。どうせ老害どもの怖〜い話だろうと思っていたが……
「成る程、なら僕も紹介しないといけないね。おいで弔」
「……はい、先生」
「紹介しよう、彼は死柄木弔。僕の生徒で先代オールマイトの孫だ」
「ほう、あの女の孫か」
「そして彼の目的は……オールマイトの殺害だ」
「ほう……」
ムリだ。唐突だが俺はそう思った。彼にはそれをするという信念が感じられない。やりたいからやるではオールマイトは殺せないのだ。
「オールマイト殺しか……。したけりゃすればいい。だが何故そんな事儂らに言う必要があった⁇」
「うん、今色々準備をしているのだけど後一押し足りなくてね。どうだい、弔と一緒にオールマイトを殺さな「断る!」……そうか」
「なんか勘違いしとる様じゃが儂はどうでも良いとは言ったが殺したいとは言っとらん。儂らはな、自分のシマと約束を守る事しか考えとらんのだ。オールマイトが死ねば悪がやり易い世界になるだろう。それでも自分のシマをカタギに迷惑をかけず守りぬけるから言っとんじゃい。オールマイト殺しだとかはそっちで勝手にやってくれ」
おうおう、親父のヤツ随分とキレてんじゃねーか。大丈夫かな……親父が手出したら、この建物倒壊して、俺潰れ死んじゃうよ〜。
「ちっ……田舎もん風情が…」
バッ
親父が親指と人差し指をくっつけた状態で右手を前に出し、それと同時にオールフォーワンも手を前に出す。一瞬にして一触即発になり緊張感が漂う。
最初に手を下ろしたのはオールフォーワンだった。
「今のはこちらの失言だった。謝ろう」
その言葉を聞き親父も手を下ろす。
「いいかガキ、次舐めた口聞いたら問答無用で殺すからな」
親父はそのまま後ろを向き扉の方に歩いて行く。
「あぁそうだ。いいか、ウチのシマや組員に手出してみろ……てめぇらの計画、全て潰してやるからな」
そういって扉を出ていくので俺も後に続いた。
見た感じ交渉決裂で終わってしまったみたいだけど、いったい向こうは何がしたかったのだろうか……
〜〜〜〜〜〜
「分かったかい弔、あれがヤクザというものだ。他にも死穢八斎会などもあるけど、あそこら辺は小物だから後で写真で見ておけば良いだろう」
「あいつらはどう違うんですか⁇」
「うん、良い質問だね。さっきの組…大山組というんだけど彼らは関東周辺をシマにしていてね、ヒーローでは捌けない法の裏を突いてくる者や外国からやってくる……俗に言うスパイなども相手してるんだよ」
「ふーん」
弔は興味なさげに聞いていた。
「まぁ、彼らはシマを荒らしたり、組の者を相手にしなければ手を出して来ないからね。計画を始めるまでは大丈夫だよ」
「はい、先生」
「良い子だ。じゃあ今日の授業を始めようか」
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