蒼空の会社員   作:kr36

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三話目説明回ですどうぞ


一般人の事情

 

顔をぷくっと膨らませながら大股で歩いて行く女子高生をスーツのおっさんと女子高生が追いかけながら謝っている奇妙な光景が展開されていた。

 

「マキちゃんごめん」

 

「無視して二人で盛り上がってすまんかった」

 

マキは顔を膨らませながら二人の方に振り向いて中断された話の続きを促した。

 

「で、結局遠坂さんってどんな人なの?」

 

「さっきいったとおり栗原の同僚兼学校の社会人整備支援者やで」

 

「整備支援?」

 

「あ、マキちゃん知らへんのか、学校の通学に飛行機使ってええところはだいたいの所は一般人に滑走路の提供もしとるんやで」

 

「そうなの?」

 

「なんでしらんのや……」

 

「だって地元は公共の飛行場多かったし 、学校の飛行場は学生機専用だったから」

 

「ええなぁ、こっちは公共のはあっても一つ一つが離れ過ぎとるし、そもそも土地が足りひん、やから飛行場付きの店はたくさんの店舗が出資して土地買とる(こうとる)くらいやで」

 

「で、なんで整備支援者?をやってるの?」

 

「さっきいうたとおり飛行機通学okな学校は許可を出した会社や一般人何かに飛行場を提供しとるんや」

 

「うん」

 

「で、さっきの空戦見たようにここら辺では学校同士の空域を争うとる状態でな」

 

「うん?」

 

「学生の間での話とは言え飛行場を提供してくれとる学校が空域を手放すと生徒が飛行機登校をやめざる終えなくなって滑走路事態が取り潰しの危機に陥るんや」

 

「はい?」

 

「要点だけ出してまとめよか、それでも長いけどついてきてな?

 

昔の国の政策でだいたいの学校が飛行場を持ってる→

 

当時の不良達が縄張りとして空域を設定しだす→

 

もちろん不良同士の小競り合いになる→

 

空域が無くなると飛行機通学がへる→

 

1980年代以降に出てきた飛行機反対派の人たちが一定以下の稼働数の学校は飛行場の取り潰しをするよう法案の改正に成功する→

 

もちろん一般生徒も飛行機通学したいので空域維持や拡大に勝手に手を貸しだす→

 

今まで一般生徒には脅す程度だった不良達も一般生徒も攻撃対象に含めるようになる→

 

ここらへんの学校の生徒の中だけでの伝統になる。

 

以上や」

 

 

 

怒涛のラッシュによりマキの目に涙が浮かんでる。

 

「うう、歴史の授業みたい、頭いたい」

 

「法案関連の所は近代史にでるで?」

 

「むしろ歴史の授業だった!?」

 

「まあ、つまりいうとやな滑走路無くなると困るから手を貸してる社会人ボランティアの整備士が俺で通学機の護衛が栗原や他にもおるけどな」

 

「あ、他にもいるんだ」

 

「護衛ボランティアは殆どおらんけどな、ここの学校のボランティアは殆ど整備専門や」

 

「へー、で、栗原さんって?」

 

「電車のなかでもゆうたとおり、やつは狙撃の栗原って呼ばれてて遠距離から相手に被弾させるのが上手い飛行機乗りなんや」

 

「でも、千五百から当ててもそうそう落とせないんじゃないの?」

 

「そうや、でもあいつの乗る機体はガンポットを装備してて元々ついてる七ミリ機銃と合わせて計六門の機関銃と機関砲を乗っけとるんや、それだけに当てりゃあ相手もどこかしら破損するって寸法や」

 

「「うわ、えぐ」」

 

「いや、これでもあいつの元々の愛機の事を考えるとまだ優しい方やけど」

 

「元々の愛機?」

 

「あいつ、ここに転勤してきたとき元々乗っとった愛機叩き落とされとんねん、今修復中らしいけどな」

 

「二機持ちかぁ大人っていいなぁ」

 

「いや、あいつ四機もちや、給料吹っ飛んどるらしいけどな、独身貴族様々言うとったわ」

 

「四機!?駐機代だけでも大変そう」

 

「マキちゃん、田舎と違ってこっちの飛行場は立体化されてて少し安めに設定されてるんだよ、それでも土地喰い虫だから飛行機反対派の批判材料の一つにされるんだけど」

 

「せやで、おじさんはボランティアで整備しとるけどこっちじゃあ公共駐機場と契約した整備士がおるくらいなんや」

 

「そうなんだ」

 

「マキちゃん、立体駐機場は学割が効くんだよ」

 

「え!?そうなの!?」

 

「せやから学生の頃は飛行機のりで大人になったら乗らんようなったいうやつもようけおるで」

 

三人で歩きながら喋っていると通学機を含む学生機三機が着陸準備に入っていた。

 

「丁度降りてきとるな、まずは通学機、次に学生護衛機最後にあいつの順でおりて来るんや」

 

マキ周囲を見わたしてもスツーカらしき影わ見えない。

 

「でも栗原さんまだ来てないみたいですよ?」

 

「真上みてみ?」

「ん~、あっいた!」

 

「およそ三千メートル、空中警戒の為にあいつは学生機全員着陸するまでその高度で待機しとる」

 

「じゃあ着陸するまで時間がかかりそうだね」

 

「いや、全員着陸したらあいつは五分かけずにすぐ着陸すんで?」

 

「え、でも三千メートルって減速に時間かかるよね?」

 

見とき、そんな言葉と共に滑走路を見てると零戦と飛燕が滑走路におりて来ていた。

すぐに滑走路で待機していた学生達がきて滑走路を開けるように機体を押していった。

 

来るで、こいつ使いと言って遠坂さんは小さな双眼鏡を手渡してきた。

 

「あ、ありがとうございます」

それを受け取ってすぐに覗き込むと、そこにはエアブレーキを開いて学校から離れるように急降下していくスツーカがそこにいた。

 

「えっ」

 

「あいつが変態と呼ばれる理由その二やな、どちらかと言えば登校時間の風物詩やけど」

 

「毎回毎回あんな無茶な降り方してるんですか?」

 

「せや、あいつ普通に降りてると会社間に合わんからってあんな降り方しとるんや」

 

「エアブレーキ使ってても減速間に合わないと思うけど」

 

「あいつ水平飛行に入ったらフラップとエアブレーキ同時使用してまで無理やり減速して着陸してくるんやで」

 

アホやろ?そう遠坂さんは呟く、確かにアホらしい降り方だ。いつ事故に繋がるかわからない。

 

「あいつ時々ハードランディングになってでも無理やり降りてくるからなぁ、整備するこっちの身にもなってもらいたいわ」

 

遠坂さんは頭を抱えながら首を横に振っていた。

 

 

 




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