蒼空の会社員   作:kr36

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始めましてkr36と言います。
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通学は飛行機で

春半ば、この暖かい日差しに思わず閉じてしまいそうになる目を擦りながら、男は眼下に見下ろした東京の街並みのなかに飛んでいる深緑色の双発機「一式陸攻」をその視界に収めながら飛行していた。

 

一式陸攻の回りには銀色の機体に緑の迷彩を施してある単発戦闘機「飛燕」と日本の戦闘機のなかではおそらく一番有名な機体「零戦」が悠然と飛行している。

 

男は無線に向かって話し始めた。

 

『こちら栗原、お蛍ちゃんたち異常ありませんか?』

 

『通学機、異常ありません』

 

『みやび、異常ありません』

 

『お蛍、異常ありません、栗原さん周りの様子はどうですか?』

 

『少し待ってください』

 

栗原の乗っている単発爆撃機についている爆撃用の小窓からでは周りを確認するのに視界が足りないので、エルロンを使い機体を上下逆さまにして東京の街をその視界いっぱいに収めて周りの状況を確認する。

 

『こちら栗原、周りに定期便が二機、一時の方角離れたところに三機別方向に向かってるな……ん?八時の方角の二機……』

 

栗原は、 双眼鏡を取り出し八時の方角の二機の様子を確認する。

 

『八時の方角の二機、そちらに向かってきてる、双発に胴が二つP38ライトニングだ、距離およそ五千』

 

栗原は機体を元に戻し方角を八時の方角に向けた

 

『こちらお蛍、いつもどうり監視して相手が撃って来たらお願いします。』

 

『栗原、了解』

 

二機のライトニングは高度をあげながら通学機の方角に向かってきている。

 

「奴ら初心者だな最短コースをとらずに真正面に通学機をとらえたまま向かってきている」

 

通学機の上空を飛んでいた栗原機が方向をかえてそちらに向かっているにも関わらず。

警戒をして遠回りのコースをとらない所を見るにこちらに気づいていないか、余程の実力者かなのだが、エネルギーロスがあるのにも関わらず方向舵を使って微調整をしながら上昇しているのだ。空戦エネルギーの事を考えていない初心者だろう。

 

『こちら栗原、奴さん達はこちらに向かっている模様』

 

『お蛍、了解、通学機は学校まで後少しの所だけどいったん上昇してください、みやびは通学機の上をとって上昇、私はいったん離れて相手の後ろをとります』

 

『みやび、了解』

 

『通学機、了解』

 

通信を受けて通学機と零戦は上昇を開始、飛燕は左に旋回しながら上昇し始めた。

 

三分後

 

爆撃用の窓からみえるライトニングの影が小さくなっていく

『こちら栗原、まだ距離二千の所だがライトニングが降下を開始、奴ら上をとったのにわざわざ通学機を後ろから襲う気のようだ』

 

『お蛍、了解、こちらは降下し線路の影から行く、栗原さんはいつもどうり上からお願いします』

 

『栗原、了解』

 

飛燕は降下を開始、高度を速度に変換しながら相手のしたにある線路まで降下すると線路に沿うようにして飛んでいる。

 

『こちら石神通学機、接近中のライトニング、そちらの意図を教えていただきたい』

 

『……』

 

ライトニングの片割れが無言のまま一気に高度を落とし距離を詰めて発砲を開始する。

それに対して通学機は銃座からの射撃を開始する。

 

『ライトニングからの攻撃を確認』

 

『了解、戦闘開始』

 

お蛍ちゃんからの戦闘開始の合図を受けて栗原は敵に向けての急降下を開始、零戦は急旋回して敵機の後ろに回り込む。

降下しなかったもうライトニングがさせまいと零戦に標準を合わせようとしたところで高架線路の影から高度を一気上昇した飛燕にどてっ腹を食いつかれて落とされていく。

これに気付いたライトニングが高度を落としながら旋回し戦線離脱を図った所で真上から不気味なサイレンの音が鳴り響き次の瞬間には翼を折られ墜落していった。

 




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