夢から始まる君とのLIFE   作:U.G.N

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 にっこにっこにー!
 あなたのハートににこにこにー♪
 笑顔届ける 矢澤にこにこ♪
 
 皆ごめんねぇ。うちの作者ってば、にこにーの話がまだまだ途中だったのにぃ、突然思い付いたとか言って別の作品書き始めちゃったの。もう!ひどいひどい!

 何でも、戦車を乗り回す女の子のお話なんだってぇ。やだー、にこにー野蛮なの苦手ぇ!
 そんな野蛮な話よりも、超プリティーなにこにーの話の方がいいに決まってるじゃない!

 みんなも、にこにーのことずっと待っててくれてたんだよね?


 え? そんなことない?


 ぬわぁんでよ!!




このモヤモヤはいったい……

『え? 矢澤先輩もなんですか?』

 

 電話口からはうちの情報源でもある、とある男の娘の声が聞こえる。

 

「そうなんよ。この間のライブが終わった後くらいからにこっちがずっと心ここにあらずな感じだから戸塚くん何か知ってるかなって思ったんやけど……」

 

『実は八幡もライブの次の日くらいから、何だかボーッとしてることが多くて……』

 

 うちと戸塚くんは電話越しに、うーんと唸り声を上げる。

 

「比企谷くんはライブ終わった直後は普通だったの?」

 

『はい。普通というか、まぁ、A-RISEとμ'sのライブを観た直後だったんで、いつもよりはテンション高めでしたけど、特に変わったことはなかったですかね』

 

「戸塚くんも一緒にいたん?」

 

『はい。ぼくもちゃんと観ましたよ。すごく良かったです』

 

 素直に感想を言われると少し照れるな。きっと今も電話の向こうはあの女の子みたいな可愛らしい笑顔なんやろうなぁ。

 

 はっ! いかんいかん、危うく戸塚くんの可愛さにやられてしまうとこやった!

 

「ははは、ありがとな。それで、帰り道とかでも特に比企谷くんに変わった様子はなかったと」

 

『ええ、ぼくや雪ノ下さんたちにμ'sの素晴らしさについて語ってましたね。初めはぼくが八幡にμ'sのこと教えたのに、今じゃぼくなんかより遥かにμ'sのこと詳しいですよ』

 

 むふふ、比企谷くんがμ'sの大ファンっていうのはやっぱり間違いないみたいやね。

 

 

 ……………………ん? 

 

 

「えっと、戸塚くん? ライブの日、UTXまで比企谷くんと2人で来たんだよね?」

 

『いえ? 違いますよ? ぼくと八幡、それに八幡の部活仲間の雪ノ下さんと由比ヶ浜さんの4人で行きました』

 

 おっと? これは初耳だね。戸塚くんがさん付けってことは……

 

「その2人って、女の子?」

 

『……? はい、そうですけど……』

 

 リーチ。

 

「あと1つ聞きたいんやけど、ライブの帰り、にこっちと会った?」

 

『矢澤先輩と? いえ、ぼくは会ってませんよ。八幡もずっと一緒にいたから会ってないはずです』

 

 ビンゴ。

 

 そういうことか。ライブの後、にこっちが慌てて外に出ていって、帰ってきたらおかしくなってたもんだから、てっきり比企谷くんと何かあったのかと思ったけど……

 

 ま、比企谷くんからメールか何かが来て、慌てて会いに行ったけどいざ行ってみたら知らない女子2人と歩いていたもんだから話しかけられなくて、ずっもモヤモヤしてるってとこかな?

 

 そして、その2人が気になって未だにそのときのメールに返信できていないため、比企谷くんもにこっちもソワソワして心ここにあらず状態になってるってことやね。

 

「因みに比企谷くんって、携帯見てソワソワしたりしてる?」

 

『あ、してますしてます! スマホをチラッと見て溜息ついたりしてます』

 

 はい、確定~

 

「戸塚くん。希お姉さんには全てわかりました」

 

『え、そうなんですか!? いったい2人に何が起きているんですか?』

 

「むふふ、それはねーーーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 ーー

 

 ー

 

 

 

「はぁ~」

 

 にこは溜息をつきながら、スマホをつけてメールの受信ボックスを開く。

 

『良かった』

 

 ………………。

 

 いかんいかん。つい頬が緩んでしまう。

 

 ていうか、このメールが来てから、つまりあのライブからもう1週間。

 

 1週間もメールに返信していない。これは普通に失礼なことだろう。でも、どうやって返信していいのかわからない。

 

 ありがとう。何かそっけないかな? 当たり前よ! な、何様ってなるわよね……。

 

 う~ん。

 

 それに、他にも聞きたいことがある。

 

 あの2人は誰だったのか。

 

 あの男の娘は知ってる。でも他に女の子が2人いた。私の知らない女の子。そりゃあ、私はあいつの友人関係なんて知らないし、学校も違ければ、住んでいる県さえも違う。

 

 結局、私はあいつのことを何も知らないのだ。

 

「はぁ~~」

 

 

「あー、もうっ! にこちゃん、さっきからうるさい!!」

 

 先程から流れていた綺麗な曲が突然途切れ、ヴァァン! と大きな音をたてながら立ちあがり、真姫ちゃんがにこに向かって怒鳴る。

 

「……? なに? どうかした?」

 

「それはこっちの台詞よ! 突然音楽室に来たと思ったら隣で溜息ばっかりついて! 何? 邪魔しに来たの?」

 

 どうやらにこは無意識に真姫ちゃんを邪魔していたようだ。

 

「別にそんなつもりはなかったんだけど、ごめん、確かに邪魔だったわよね。もう行くわ」

 

 そう言い席を立つと、逆に真姫ちゃんはピアノの椅子に腰をかけた。

 

「待ちなさいよ。何かあったんでしょ? あのライブの日からにこちゃんがどこかおかしいのは皆気付いてる。ここで一旦全部話してみなさい。解決できるかは置いといて、少しはスッキリするでしょ」

 

 真姫ちゃんが真剣な眼差しでにこを見つめる。

 

「真姫ちゃん……」

 

「ホラ、早く言いなさいよ」

 

 にこは再び真姫ちゃんの隣の席に座ると、ポツリポツリと今までのことを話始めた。

 

 初めは変な夢を観たこと。その夢に出てきた見たことのない男の子と偶然秋葉原で会ったこと。そして神田明神でこれまた偶然出会い、アドレスの交換をしたこと。

 それからちょくちょくメールをするようになり、1度千葉で遊んだこと。穂乃果がラブライブに出ないって言ったとき、アドバイスをくれたこと。そして、あの日、あのUTXでのライブの日。あいつが知らない女子とライブを観に来ており、それから何故かずっとモヤモヤすること。全てを真姫ちゃんに話してみた。

 

「…………」

 

「…………」

 

 全てを話し終えると、音楽室が静寂に包まれる。

 

「に、にこちゃん……」

 

「なに? このモヤモヤが何なのか、わかった?」

 

 それなら教えてほしい。いい加減鬱陶しいから。

 

「ぎゃ、逆にわからないの?」

 

「え? なにが?」

 

「そのモヤモヤが何なのか」

 

「真姫ちゃんわかるの?」

 

「…………」

 

「…………」

 

 再び音楽室が静寂に包まれる。

 

「はぁ。いい? にこちゃん、私も経験がないから断言はできないんだけど、それでも多分当たってると思うわ」

 

「ほんと? すごいじゃない。じゃあ教えて」

 

 まさか、真姫ちゃんがこのモヤモヤについてわかるなんて。流石は医者の娘ね。真姫ちゃんに相談してよかったわ!

 

 

 

「恐らく、それは″恋″よ」

 

 

「……………………………………はい?」

 

 

 




 お久しぶりです。本当にお待たせしました。

 久しぶりすぎて前までの話を忘れている人がほとんどだと思います。よかったらまた1話から読んでいただけたら、そんなに話数もないのですぐ読み終わるかと。

 さて、真姫ちゃんによるそれは恋発言。
 とうとう、にこっちがそれに気付くときが来たようです。
 
 次回から(まぁ今回からなんですが)真姫ちゃんを絡めていきたいと思っています。
 ぜひお楽しみに

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