魔導師のヒーローアカデミア   作:北方守護

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生き方と魔導士

公園に来た武昭達は転倒させた少女の治療をしていた。

 

「はい、武昭ハンカチを濡らしてきたよ」

 

「あぁ、ありがとうな唯、少し冷やっと来るから」

 

「ウッ……すみません、この様な事をしてもらって………」

 

「気にするなよ、俺が余所見をしてて転ばせたんだから。

そうだ、自己紹介がまだだったな、俺の名前は創史武昭で、彼女が幼馴染の…」

 

「小大唯です」

 

「私は八百万 百(やおよろず もも)と言います」

3人は自己紹介をすると軽く話していた。

 

「そうですか、お二人は此方へ旅行にいらしてたのですね」

 

「あぁ、それでそろそろ帰ろうとした時に八百万さんに会ったんだ」

 

「その様な事情があったとは………」

 

「そんなに固く考えなくて良いよ………私達も直ぐに帰るんじゃなかったから………」

 

「でしたら、私が家に連絡してお家までお送り致します」

 

「あぁ……それは嬉しいけど……そこまでしてもらわなくても平気だよ……」

 

(そうだよね………武昭は乗り物に弱いんだから……)

やんわりと八百万の申し出を断る武昭を見て唯はその理由を考えていた。

 

「ですが、私のせいで足止めしたのですから何かお詫びをしなくては……」

 

「だったら、何かお土産を売ってる所に案内してくれるかな?

俺達は、ここに来るのが初めてだから、何が良いか地元の人からアドバイスが欲しいんだ」

 

「その様な事で良いのなら……分かりましたわ、創史さん、小大さん」

 

「あぁ、あと俺の事は名前で呼んでくれるかな?友達や仲間達は、そう呼ぶから」

 

「だったら、私も名前で呼んで欲しいな……友達なんだから………」

 

「創…いえ、分かりました武昭さん、唯さん、では私の事も名前で呼んで下さい……

(けれども……私の事を知れば………)」

百は一瞬落ち込んだ表情を見せた。

 

「あぁ、分かったよ百」 「宜しく百ちゃん……」

 

「なら、お土産屋に行く前に喉が渇いたからジュースでも買ってくるけど何が良い?」

 

「じゃあ……私はいつもの炭酸無しのオレンジジュースで」

 

「では、私は紅茶をお願い致します」

 

「オレンジジュースと紅茶か、買ってくるから待っててくれ」

武昭が、その場を離れると唯は百に話しかけた。

 

「そういえば……百ちゃんの苗字は八百万って言ってたけど………もしかして……」

 

「えぇ……私は八百万カンパニーの一人娘ですわ……

ですから、学校でも近寄る方々は私を見ていません………」

 

「そうだったんだ………だから、さっき武昭が友達って言った時に暗い表情だったんだ………」

 

「気づいてたのですか………多分、武昭さんも、それを知れば私を………唯……さん?」

百が落ち込んでると唯が優しく手を包み込んでいた。

 

「武昭はそんな事無いよ……

だって武昭は役立たずの個性だった私を受け入れてくれたんだから………」

そう言うと唯は過去にあった武昭との事を百に話した。

 

「その様な事があったのですか………」

 

「そう………武昭にとって私は1人の小大唯だから………どんな事があっても………」

 

「唯さん………でしたら、私にも……ガッ!?」

2人が話してると急に百が気絶したので唯が駆け寄ろうとした時に体に痺れが来た。

 

「百ちゃん!?アッ!!(一体、何が………そ、そうだ……()()を……)」

唯が気絶すると物陰から数人の男達が出てきた。

 

「ヘヘッ、まさか、こんな所に八百万の一人娘がいるなんてな……」

 

「なぁ、こっちの女はどうする?」

 

「一緒に連れてって、言う事を聞かなかったら………」

 

「あぁ、それは良いな、じゃあ車に早く乗せろ」

男達は2人を縛ると停めてあった車に乗せて、その場から走り去った。

 

それから少しして………

 

「二人とも悪いな、近くの自販機が壊れてて………あれ?」

飲み物を勝った武昭が戻ってくると唯と百の姿が無かった。

 

「おかしいな……トイレにでも……ん?この匂いは……」

周りを見渡していた武昭はある事に気付いた。

 

「確か唯に渡してた奴からだ……クソッ!向こうからか!!」

武昭は匂いの行き先を確かめると、それを辿って行った。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

その頃………

 

「ん……ここは…………」

 

「百ちゃん、起きたんだ……」

2人が目を覚ますと何処かの廃墟ビルの一室だったが両手足が縛られていた。

 

「何故、この様な所に………」

 

「やっと、目を覚ました様だな、八百万家の一人娘さん」

百が声のした方を見ると数人の男達がいた。

 

「あなた方が私達にこの様な事をしたのですか!?」

 

「あぁ、ちょっと金が欲しくてな……あんたなら、それ位直ぐに用意できるだろ?」

 

「あなた方の様な者達に、その様な事をするいわれはありませんわ!!」

 

「まぁ、そう言うと思ったよ………けど……おい!」

 

「キャッ!離して………」 「唯さん!」

男達の1人はリーダーが指示を出すと唯を捕まえて拳銃を頭に突き付けた。

 

「別に断りたいなら、俺達は良いんだぜ?………

けど……そうしたら、この子の人生はここで終わるになるんだぜ?」

 

「くっ!卑怯な………分かり「ダメ!百ちゃん!!」唯さん!?」

 

「私なら大丈夫………だから、こんな奴らの言う事を聞かないで……」

 

「唯さん………ですが……このままでは……」

 

「おい、早くしないと、この子がどうなるか分からないぞ?」

 

「あなた達に忠告しておくけど……私達を直ぐに解放した方が良い………

さもないと、後悔する事になる………」

 

「ハッハッハッ!まさか、ヒーローが助けにでも来るって言うのか?

そんな都合良く来る訳が…………」

 

「唯と百に何してんだぁ!!」

 

「ガハッ!」

 

「な、何だとっ!?」

リーダーが笑ってると扉が飛んで来て唯に拳銃を突き付けていた男を吹き飛ばした。

 

「誰だ!?」

 

「テメェら……俺の仲間に何してんだコラァ!?」

 

「武昭!」 「武昭さん!?」

 

「大丈夫か!唯!百!」

武昭は部屋に入ると直ぐに唯と百に駆け寄って縛っていた両手足をぶち切った。

 

「武昭さん、ありがとうございます………」

 

「お礼はまだだ、まずはこいつらをどうにかしないとな……」

 

「へっ、助けに来たのは良いがガキ1人で、この数に勝てると思ってるのか?」

 

「あぁ、どんな相手やどれだけの数だろうとしても

仲間を守る為に立ち向かうのが俺の選んだ生き方だからな」

 

「ほう、その理由がそこにいる八百万家の一人娘だとしてもか?」

リーダーに指摘された百は体をビクッとさせた。

 

「ふーん………それがどうかしたのか?

例え百がどんな家の娘だとしても俺の()()であり()()である事には変わりないからな」

 

「武昭……さん………」

武昭の言葉を聞いた百は両手で口を抑えて涙を流していた。

 

「そうか……だったら、テメェら全員殺してやるよ!やれ!!」

 

「武昭さん!唯さん!私に構わず逃げて下さい!!」

 

「大丈夫だよ、百ちゃん………私達には武昭がいるから………」

 

「唯さん……ですが……」

 

「二人共、俺の後ろから動くなよ………」

そう言うと武昭は開いた左の掌に親指以外を握った右手を当てた。

 

「何をしようが、これだけの銃弾は防げねぇよ!」

 

「それは、どうかな?アイスメイク………城壁(ランパード)!」

男達が銃を撃ったと同時に武昭達の前に氷の壁が出来て銃弾を防いだ。

 

「何だとっ!?テメェ!氷の個性持ちか!!」

 

「さぁ?お前らに説明する義理は無いんでな!!」

武昭は壁を飛び越えると男達に向かった。

 

「チッ!テメェらあいつを始末しろっ!!」

 

「そう簡単に始末されてたまるかよっ!アイスメイク!槍騎兵(ランサー)!!」

先ほどと同じ様に手を合わせると両手から多数の氷の槍が飛び出した。

 

「クソッ!アイツに近付けねぇ!」

 

「だったら、俺の個性を使う迄だ! ハァッ!!」

1人の男が右手を振るうと電気が発生し武昭に向かったが当たる寸前で避けた。

 

「ほう……俺の電気を躱すとは………なかなかだな」

 

「どうやら、電気を発生させる個性って事か」

 

「あぁ、俺の個性は【発雷】 体内に貯めた電気を自由飛ばす事が出来るんだよ!」

 

「かなりの威力だね……けど、それも当たらなかったら意味が無いね!」

電気を交わしていた武昭が相手に近付いて殴ろうとした………

 

「へっ!俺がそんな事考えてないとでも思ってるのかよ!!」

男は殴ろうとした武昭の手を掴むとそのまま放電した。

 

「武昭さん!待ってて下さい!今、急いで避雷針を…「大丈夫……」唯さん?

何故、止めるのですか!?あのままでは武昭さんが……」

 

「武昭なら、あの位問題ない……見てたら分かる……」

 

「そんな事を言っても………え……」

 

「な、なんでテメェは平気なんだよ!?」

唯の言う通りに武昭を見ると高電圧を食らいながら平然としている武昭の姿が合った。

 

「ふん、この位の電気なんかじゃ俺はやれねぇよ!」

 

「ガハッ!………」

武昭は手を掴まれたまま男の服の襟を掴んで床に叩きつけた。

 

「ふぅー ちょうどいいから、()()()()()()()()()()

 

「なっ!?で、電気を………」 「食べている………」

武昭は手に溜まっていた電気をそのまま食べた。

 

「ふぃー 不味い電気だなぁ………」

 

「なんだよ!テメェの個性は!!」

 

「さっきも言ったろ?テメェらに言う義理はねぇって!

不味かったからお前らに返してやるよ!雷竜の咆哮!!」

武昭が強く息を吐くと口から電気が出てきて男達に当たった。

 

「さてと、これで残りはリーダーのあんただけだな」

 

「ケッ!そう簡単にやられてたまるかってんだ!!」

リーダーが両手から巨大な炎を発生させると武昭に、そのまま投げ当てた。

 

「ヒャッヒャッヒャッ!どうだ!俺様個性の【発火】は!?俺達に逆らうから、こうなるんだよ!!

さてと、邪魔者も消えたから「無駄だよ……」あ?」

 

「武昭をあの程度で倒せると思ったら……大間違い……」

 

「唯さん……幾らなんでも、あれでは武昭さんも……」

 

「あぁ、そこのお嬢さんの ゴキュゴキュゴキュ何の音……ハァッ!?」

男が音のする方を見ると武昭が燃え盛る炎を飲み込んでいるのが見えた。

 

「プゥー ご馳走さんと……さっきの電気もだけど、この炎も不味いな」

 

「な、な、な、何者なんだよぉ!お前は!?」

怯えた男が火の玉を投げつけるが武昭は時には交わし時には食べていた。

 

「最後に教えといてやるよ!俺は仲間を守る為に戦う、フェアリーテイルの魔導士だぁ!

火竜の………鉄拳!!」

武昭は右手に炎を纏わせると、そのまま男を殴り飛ばした。

 

「へっ、これで終わりだな、大丈夫だった……おっと」

 

「武昭………ありがとう……本当に……ありがとう………」

武昭が壁を溶かすと同時に唯が泣きながら胸に飛び込んできたので優しく抱き締めながら頭を撫でていた。

 

その後……

 

「悪いな、百、俺達の事を黙っててくれて」

 

「いえ、今回の事は私が原因ですので………」

百は武昭達の事を呼んだヒーローには話さなかった。

 

「武昭さん…すみませんでした……」

 

「百、俺は謝られる様な事はしちゃいないよ」

 

「ですが!「俺と百は友達だ、友達が危ないから助けに行った、只それだけの事だ」

……だとしても………」

 

「武昭の言う通り……百ちゃんは悪くないよ………悪いのはあの人達なんだから………」

 

「唯さん……」

 

「それに……百ちゃんがそうやって謝ってると………

武昭に助けられたくなかったって思うよ………」

 

「いえ!その様な事は………そうですね……他人から見れば、その様に見えますね……」

百は武昭の方を見ると頭を下げた。

 

「武昭さん!助けていただきありがとうございます!!」

 

「別に、そう畏る事じゃないよ、じゃあ俺達は帰るか」

 

「うん………そうだね………」

 

「アッ!ま、待ってください!!」

 

「どうしたんだ百?」

 

「よ、良かったら………私と……連絡先を……交換していただけないでしょうか?」

 

「あぁ、俺は構わないぞ、ホラ」 「なら……私とも……」

 

「ありがとうございます!」

 

「じゃあ、また来る事があったら連絡するから、その時は案内を頼む」

 

「分かりました!お任せください!!」

武昭と唯が、その場を離れた後も百は暫くの間、そこにいた。

 




今回はここまでです。

オリジナル設定として八百万の家は会社を経営してる事にしました。

因みに武昭達の年齢は中学1年生にします。

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