体育祭を翌日に控えた日の放課後……
「うーん……やっと明日には体育祭か………」
「うん……そうだね……」
武昭と唯は下校しながら話していた。
「どうした唯?緊張してるのか」
「うん……だって、明日の体育祭には沢山の人達が見に来るんだよ?
武昭は緊張してないの?」
「緊張か……俺は
「以前にって……それって武昭が
唯の言葉に武昭はうなづいた。
「俺が出た大会は大魔闘演武って奴でな……
その時は俺が目覚めてから7年経ってたんだ……」
「ん?武昭が目覚めてから7年後って……」
「そうか、唯には魔導師の時の詳しい話をした事はなかったか」
「そうだよ……私が知ってるのは武昭が、この世界とは違う世界で生まれた
魔導師だった……それ位しか聞いてなかったかな?」
「そうか……じゃあ帰ったら話すか………俺が
二人は、そのまま帰宅した。
帰宅した2人は夕食やお風呂を終えて休んでいた。
「それで俺が、こことは違う世界で魔導師だったって事は話してたな」
「うん……確か400年前に産まれたんだよね?」
「あぁ、その時に俺はある村で暮らしてたんだ 名前も無い小さな村だった……
その時の事を思い出した武昭は拳を強く握っていた。
「武昭……そのある事って………何なの?……」
「俺が村の近く山で狩りをしてた時に村が竜に襲われたんだ……」
「!………竜に……それで………」
「俺が村に戻った時は誰も生きてはいなかった……
それから俺は両親や村人達の墓を作って、そこを離れたんだ………」
「武昭……もう良いよ………それ以上は………」
唯は自分の胸に武昭を優しく抱き寄せた。
「ごめんね………武昭、辛い事を思い出させちゃって……」
「そんなに辛くは無いよ……今の俺には唯に父さんや母さん
雄英の皆がいるから………」
「本当に辛くないの?だったら……
武昭が顔を離して目を拭うと無意識に泣いていた。
「あれ?なんで泣いてるんだ?……もう、あの事を乗り越えた筈なのに……」
「武昭……今だけは強がらなくても良いんだよ……泣きたい時に泣いても……
この部屋には私達2人しかいないんだから……」
「ごめんな唯……今だけ、こうさせてくれ………」
「うん……良いよ………私は何があっても武昭のそばにいるから……」
唯が再び武昭を抱き締めると武昭が声を殺して泣いていた。