魔導師のヒーローアカデミア   作:北方守護

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救助訓練 (前編)

マスコミ侵入事件から数日後………

 

午後からの授業はヒーロー基礎学だった。

 

「今日の授業だが、俺とオールマイト………

そして、もう一人の3()()()()()()()()()()()()

 

(なったって……特例なのかな?………)

 

「はーい先生 何するんですか?」

 

「災害水難何でもござれ人命救助訓練(レスキュー)だ」

瀬呂の質問に相澤はRESUCEと書かれたカードを見せた。

 

「レスキューか………今回も大変そうだな……」

 

「そうだよねぇー」

 

「バカか!これこそがヒーローの本質だろうが!」

 

「水難なら私の得意分野だわ………」

 

「おい、まだ話の途中だ……」

各々に喋り始めたが相澤が睨むと黙り込んだ。

 

「今回コスチュームの着用は各々の判断に任せる。

中には活動を制限する可能性の物もあるからな。

それと訓練所は少し離れた場所にあるから()()()()()()()()

では、各自準備しろ」

 

「えっと……相澤先生、俺は歩いて行きたいんですけど………」

 

「悪いが、そいつは合理的じゃないからお前もバスで行け」

武昭は相澤に進言するが断られていた。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

その後、着替えた皆はバスに乗り込んだが……

 

「うぁーーー早く着かないのか?………」

 

「おいおい創史、大丈夫か?」

武昭が乗り物酔いをしてると心配した尾白が声をかけた。

 

「あぁ…大丈夫だ……降りれば………」

 

「いや、どう見ても大丈夫に思えないんだけどよ………」

 

「まさか、あんだけ派手で強い創史が乗り物酔いするなんてな

俺の個性は硬くなるだけだから なんか地味なんだよな」

 

「そんな事ないよ切島君、僕は凄くカッコいいと思うし

プロにも充分通用する個性だよ」

 

「それに、体を硬く出来るんなら ジャンケンみたく

グーでハンマー、チョキで槍、パーで剣って出来るんじゃないのか?

ん?皆、どうしたんだ?」

武昭が切島に意見を出すとバス内の視線が幾つか向いた。

 

「なぁ創史!それって本当に出来るのか!?」

 

「まぁ、切島の個性が何処まで硬く出来るか分からないけど可能性としてはな……」

 

「だったら!俺の個性はどうしたら良いと思う!?」

 

「ん?上鳴の場合か?確か電気を使うんだったか?」

 

「あぁ、電気を放出するんだけど、どうにも使い勝手が悪いんだ……

味方がいたら巻き込んじまうんだよ」

 

「だったら味方に行かない様にすれば良いだろ

例えば通電性の良い金属の鎖を相手に当てるとかして」

 

「おぉ!そんな方法があったのか!よーし暇な時にやってみよう!!」

 

「ねぇねぇ!私は………」 「待てよ、俺だって聞きたいんだ!」

数人は武昭にアドバイスを貰おうとしていた。

 

一方……

 

(ふむ……さすがは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……)

相澤は以前に武昭から聞かされた話を思い出していた。

 

そんなこんなしてる内にバスは訓練所に到着した。

 

「スッゲー!!」 「USJかよっ!!!」

皆が訓練所の大きさに驚いていると宇宙服を着た人物が来た。

 

「皆さん、ようこそ 水難事故、土砂災害、火災現場etc……

あらゆる事故や災害を想定して僕が作り上げた演習場、その名も………

 

U(嘘の)S(災害や)J(事故ルーム)です」

 

(本当にUSJだった………)

 

「あっ!スペースヒーロー「13号」だ!

災害救助で活躍してる紳士的なヒーロー!!」

 

「わー!私大好きなの13号!!」

13号を見た緑谷と麗日が歓声を上げていると相沢が耳打ちをした。

 

(13号、オールマイトはどうした?ここで合流する予定だったんだが……)

 

(先輩、それが通勤中にギリギリまで活動して今は仮眠室で休んでます………)

 

(不合理極まり無いな……まぁ、今回は念の為の警戒態勢だからな………

それに……()()()()()()()()そんなに気にする事も無いか………)

 

「大丈夫ですか?武昭さん………」

 

「あぁ……何とか落ち着いてきたよ………」

相澤の視線の先には百に背中をさすられている武昭がいた。

 

「仕方ないから、これで始めるぞ」

 

「えー では始める前にお小言を一つ二つ、三つ……四つ……」

 

(だんだん増えて行ってる………)

 

「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性は【ブラックホール】です

この個性で、あらゆる物をチリにします」

 

「知ってます!その個性でたくさんの人たちを災害から救助してきたんですよね!?」

 

「そうです………けど裏を返せば簡単に人を殺せる個性でもあります……」

 

「あらゆる物をチリにするって事は人間でも出来るっ事ですよね?」

 

「えぇ、そうです……皆さんの中にも、そんな個性を持ってる人達が居るでしょう………

ですが、この授業では、どの様に個性を使って人命救助をするか学んでいきましょう……

君たちの力は傷付ける為にあるのではなく助ける為にあるのだと心得て下さい。

それではご静聴ありがとうございました」

13号の話が終わると皆は自然と拍手をしていた。

 

「そんじゃ、まずは……」 「ん?相澤先生………何か嫌な感じがします」

相澤が指示を出そうとした時に武昭が何を感じた。

 

そうしてると皆から離れた場所にある噴水の近くに黒い靄が現れると

中から黒い服に顔中に人の手をつけた痩身の男性や様々な者が姿を見せた。

 

「皆!ひと固まりになって、その場から動くな!」

 

「先生!真ん中にいる顔に手を付けた男!

アイツから()()()と同じ感じがします!!」

 

「チッ!やっぱり アレは敵が関係してたか」

 

「先生、あいつらの相手は俺がしますから相澤先生は13号先生とクラスの皆を守ってて下さい」

 

「おい!待てよ創史………幾らお前でも、あんな奴ら相手に一人で戦えるのか?」

武昭が向かおうとすると轟が肩を掴んで止めた。

 

「あぁ、あんなチンピラ達なら俺一人で充分だ……

それに、轟やクラスの皆からすれば雄英での日々は夢を目指す為の大切な一歩なんだよ……

沢山の感情があったんだ……それをあいつらは踏み躙ったんだ!」

 

「創史……お前………」

 

「相澤先生、13号先生……皆を頼みます………」

武昭は轟の手を振り払うと敵達の所に向かった。

 

「なっ!?おい!創史の奴!一人でアイツらとやる気だぞ!!」

 

「だったら俺達も「止めろお前らは行くな」相澤先生?……なんで止めるんすか!?」

 

「簡単だ……創史の奴ならアイツらをどうにか出来るからだ」

 

「けど!幾ら創史が強くてもあれだけの数をどうにか出来る訳ないっすよ!!」

 

「あの時のアイツの目は本気だったよ……お前らを守るって言う強い意志を感じた……

(もし、アイツが失敗したら、その時は俺達がやるだけだ)」

相澤は敵達に向かう武昭の背中を見ていた。

 


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