魔導師のヒーローアカデミア   作:北方守護

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特訓と温泉と……

百が武昭の所に来た翌日………

 

「じゃあ今日は鬼ごっこをやるか」

 

「鬼ごっこ……ですか? それはどの様な物なのです?」

 

「簡単だよ………武昭が私達を追い掛けて捕まえるだけ………」

 

「けど、俺がスタートするのは2人が逃げてから10分後だ」

 

「それだけですか?他にルールとかは………」

 

「ここは私有地だから……個性を使っても良いんだよ………」

 

「そうだ、唯の言う通りだ、けど俺は個性は使わない」

 

「その様な事を決めて大丈夫なのですか?」

 

「百ちゃん……武昭を………甘く見ない方が良いよ………」

 

「ホラ、タイマーだ。これは10分経つと音が鳴るから、そうすれば俺はスタートだ」

武昭は唯と百に腕時計型のタイマーを渡すと自分も同じ物を付けた。

 

「じゃあ、俺のタイマーのボタンを押すとタイマーが動き出すからな、準備は良いか?」

 

「うん………私は良いよ………」

 

「私も構いませんわ」

 

「そうか………ならスタートだ!」

武昭が自身のタイマーを押すと唯と百の物も連動して動き出したので2人は、その場から離れた。

 

「さてと10分間は長い様で短いぞ……慣れてる唯はともかく、初めての百はどうかな?」

武昭は地面に座ると10分間待機していた。

 

唯side

 

武昭から離れた唯は百と別れていた。

 

「ふぅ……ちょっと休憩………」

唯は近くの木に背を預けると持っていた水を飲んだ。

 

「武昭なら……まずは私を捕まえる筈……だから………」

唯は水をしまうと何かを開始した。

 

百side

 

唯が休んでいた頃、百は何かを考えていた。

 

「確かに小さい時から、この様な所で遊んでいるならば、あれ程の身体能力も納得ですわ」

 

「ならば、最初に私がする事は……どの様にして逃げるかですわ………

まずは武昭さんに逃げた方向が分からない様に……」

百は何かを思いつくと、それに必要な物を作り始めた。

 

唯と百が逃げて10分後

 

「よしっ、時間か………最初はどっちにするかな……まずは唯にするか」

武昭は体をほぐすと2人を探し始めた。

 

唯side

 

何かを考え付いた唯は自身の個性で大きくした木の上にいた。

 

「ここなら……上から見る事も出来るし………いざとなったら………()()を使う」

唯が武昭を探しながらポケットにある物の確認していると武昭の姿が見えたので見つからない様に隠れた。

 

「あっ……武昭だ……」

 

 

「うーん……草の踏み荒らされてた感じからすると、コッチの方だと思うんだけどな………

ん?………この木………何か周りの木と成長の具合が違う様な……って事は、見つけた」

 

「やっぱり見つかっちゃったか……」

唯が武昭を見ると枝を変えながら飛び上がって来ていた。

 

「へっ、唯、見つけたぞ」

 

「確かに見つかったよ………けど………私はまだ捕まらないよ………」

 

「なっ!?バカッ!唯!何してるんだ!!……まさか、あんな方法があったのか」

武昭が唯を捕まえようとした時に唯が飛び降りたので慌てて見ると大きな葉っぱに乗っているのが見えた。

 

「なるほどな………道理で唯はポケットに片手を入れ続けてたのか………」

 

「私だって……考えてるんだよ……じゃあね……」

 

「一本取られたか………けど、俺だって諦めてないからな!」

武昭は木の上から大ジャンプをすると近くの木の幹を三角飛びしながら降りると2人を探し始めた。

 

百side

 

(私は、ここに慣れてません……でしたら、黙って隠れている方が良いですわ)

百は自分で迷彩柄の布地を創造すると、それをかぶって隠れていた。

 

(幾ら武昭さんでも……そう簡単に見つける事は出来ませんわ……来ました!)

 

「まさか唯があんな事をするなんてな………まぁ予定を変えて百を先に見つけるか」

 

(あの口振りからすると唯さんは逃げ切れたみたいですね……では私はここで動かないでいれば………)

 

「ん?………これは……って事は………百、見つけたぞ」

武昭は何かを見つけると、その近辺に潜んでいた百を見つけた。

 

「参りましたわ………まさか見つけられるとは……」

 

「理由は唯を見つけてから話すからスタートした場所に戻っててくれ」

 

「はい、分かりましたわ………ですが何故私は見つかったのでしょうか……」

百は見つかった理由を考えながらスタート地点に向かった。

 

「さてと予定は狂ったけど、まだ予想の範囲内だから問題は無い!」

武昭は百を見送ると唯を探しに向かった。

 

それから20分程経って武昭が唯を連れて戻ってきたが体中泥だらけだった。

 

「武昭さん!唯さん!どうしたんですか!?それは!!」

 

「いや探してた時に唯がぬかるみにはまってな」

 

「それで私は武昭に捕まったの……クチュン……」

 

「武昭さん、急いで家に戻った方が良いのではないのですか?」

 

「いや、ここなら家よりも良い場所があるんだ、確か唯と百は着替えと水着は持ってきてたよな?」

 

「うん………私はいつも持ってきてるよ………」

 

「私も唯さんに言われて持ってきましたが、どこで使うのですか?」

 

「心配するな、ちゃんと使える所はあるから、こっちだ」

武昭は唯と百を連れて何処かに向かった。

 

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武昭達が来た場所は木々が生い茂ってる中にある少し拓けた岩場で、そのそばの川からは湯気が出ていた。

 

「武昭さん、もしかしてこの川は……温泉ですか?」

 

「あぁ、父さんがこの山を買ったのも、これがあったからみたいなんだ」

 

「百ちゃん……向こうに更衣室があるから着替えに行こう………」

 

「えぇ、分かりましたわ」

 

「じゃあ俺も唯達と着替えるか」

 

「な、な、な、何を言ってるんですか!?武昭さん!!」

 

「もう……ダメだよ武昭………百ちゃんは、そういう冗談とかに慣れてないんだから………」

 

「ははは、そうだったな、悪いな百」

 

「い、いえ……私も普通に受け取ってしまって申し訳ありません

 

「さてと、唯が風邪をひいたら困るから早く入るか」

武昭がそういうと3人はその場を離れ更衣室に向かった。

 

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「うわぁ……凄い景色ですのね……」

着替えて温泉に来た百は景色を見て感激していた。

 

「私も昔からここには来てるけど………春には桜が………夏には青葉……

秋には紅葉って……その季節によって違う景色が見れるんだよ……」

 

「そうなのですか………では武昭さんには悪いですが先に入ってましょう」

 

「うん……武昭も直ぐ来るだろうし………」

唯と百は温泉に入った。

 

「へぇ……丁度いい温度ですね……」

 

「そうだよ………だから私もたまには入らせてもらってるの……」

 

「羨ましいですね……あら?武昭さんが来たみたいですよ。

武昭さん、遅かったですの……ね……」

百が湯気の中に影が見えたので声を掛けると武昭では無く熊だった。

 

「ひっ!?ゆ、唯さん!く、熊が来てますわ!!」

 

「熊?まさか……やっぱり……」

 

「唯さん!近付いたら危ないです………どういう事ですの?」

百が熊に近付いたら唯を引き戻そうとしたが熊が唯に懐いていた。

 

「えっと……これは一体?………」

 

「コイツは昔に俺と唯が助けた熊なんだよ」

百が軽く混乱してると武昭が入ってきた。

 

「武昭さん……この熊が昔助けた熊とは………」

 

「数年前にコイツが罠に掛かって弱ってたのを俺と唯が助けたんだ」

 

「それで、それからこの子が私達に懐いたんだよ………ねぇスピカ」

唯が名前を言うとスピカは嬉しそうに頭を撫でられていた。

 

「スピカとは、この熊の名前ですのね」

 

「あぁ、助けた時に唯が思い付いたんだ。

スピカ、彼女は俺と唯の友達で八百万百って言うんだ」

武昭がスピカに百を紹介すると近付いて来たので百が怯えていたが顔を軽く舐められた。

 

「ヒャッ!?武昭さん、唯さん、これは……」

 

「フフッ……スピカも百ちゃんを認めてくれたみたいだよ………」

 

「ホラ、頭を撫でてやれよ」

 

「わ、分かりましたわ………へぇ…始めは驚きましたけど、よく見ると可愛いのですね……」

百に頭を撫でられたスピカは喜んでいるのが分かった。

 

「さてと……唯、百、そろそろ上がって帰った方が良いんじゃないのか?

服も洗濯しないといけないから」

 

「そうだね……スピカ………バイバイ……」

 

「その様な顔をしないで下さい………また今度会いに来ますから」

帰ろうとした武昭達を見たスピカは悲しそうな表情を見せたが約束をすると喜んだ。

 

その後、武昭達はスピカに見送られながら家に帰った。

 

 


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