武昭がヒーローになると決めてから暫く経ったある日の事……
「うーん……この問題は、確か……ん?誰だ?」
武昭が受験勉強をしてると誰かが訪ねてきた。
「唯なら鳴らさないし、父さん達は鍵を持ってるからな……はーい」
「久し振りね創史君」
武昭が玄関に行くとマンダレイが来ていた。
「あっ、マンダレイさんお久し振りです、けどどうして俺の家が分かったんですか?」
「創史君、洸太に手紙を出したでしょ?それで分かったのよ」
「このまま外で話すのもアレなんで中へどうぞ」
「ありがとう、それと今日は私の他に一緒に来てる人もいるんだけど」
「やぁやぁ、君が血狂いマスキュラーと戦ったって言う子なんだね」
マンダレイが横にズレると二本脚で立ちスーツを着た顔右目に傷のある動物がいた。
「えっと……マンダレイさん、この人はどなたですか?」
「良いよ私が自分で紹介するから、私の名前は根津と言い雄英高校の校長先生なのさ」
「あっ、雄英高校の校長先生でしたか、まずは中へ入ってください」
武昭はマンダレイと根津を家の中に招いた。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
2人を招いた武昭はお茶を用意すると2人に出した。
「すみません、一人暮らしなもので、こんな物位しか出せませんが」
「いやいや、急に来たのは私達の方なんだから気にしないでいいよ」
「ありがとうございます、それで今日はどの様な用件で来られたんですか?」
「うん、実はね創史君に雄英高校へ来てもらおうと訪ねたんだ」
「俺を……雄英にですか? いえ、そんな事しなくても受験しようと決めてましたけど」
「おぉ、それは都合が良かった、けどね今回は創史君を特待生として勧誘しようと来たんだよ」
「特待生………ですか?」
「そう、ちょっと調べさせてもらったんだけど………
創史武昭、年齢は今年の誕生日が来て14歳になって……って色々調べていく内に
一つ気になった項目があったのよ、コレね」
マンダレイが出した書類には武昭の個性の結果が【無個性】と書かれていた。
「これを見る限り創史君は個性を持っていない………
けれど、あの時にウォーターホースからは様々な能力で戦ったと聞いたのよ」
「私も聞いたけど、話に出た中でも岩の壁を作ったり体を鉄に変化させたり
あろう事か炎と電気を食べたりとこれだけの能力が明かされてるんだよね
私が知る限りで、その様な個性を持つ人物を見た事が無いんだよ……」
根津はお茶を飲むと真っ直ぐに武昭を見た。
「一体、君は何者なんだい?」
「うーん……俺は俺としか言い様が無いですね」
「そうか………だったら私も無理には聞こうとしないよ、いつか創史君が自分から話してくれる迄ね」
「ありがとうございます、根津………先生?」
「いやいや、まだ生徒では無いのだから先生と呼ばなくて良いよ……
それで特待生の件なんだけど、どうかな?」
「確かに、それは嬉しいですけど………俺は断らせてもらいます」
「ふむ、話せるなら理由を聞いても良いかな?」
「俺は約束した奴がいるんですよか、一緒に雄英を受験しようって………
だから、ここで特待生を受ける訳にはいかないですよ………
申し訳ありません、ご厚意を断ってしまって……」
「ハハハ、別に良いよ、君には君のやり方があるんだから
それじゃあ、私達はこれで失礼させてもらうよ。
そうだ、もし心変わりする様な事があったら、ここに連絡をしてくれ」
根津は武昭に名刺を渡すと帰っていった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
帰りの車の中で根津がマンダレイと話していた。
「ふぅ、彼はどんな事でも自分自身でやりたいみたいだね」
「それだから、あの時にマスキュラーと戦ったんですよ………
それよりも校長、本当に良かったんですか?」
「あぁ、まだ1年あるんだし、彼なら一般入試でも合格するよ………」
根津は窓からの景色を見ていた。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
冬休みになって、百が武昭の家に遊びに来ていた。
「おっ、来たか百、よく分かったな」
「えぇ、唯さんが案内をしてくれましたから」
「けど……よく百ちゃんのお父さん達が許してくれたね……」
「はい、お父様達も武昭さんの家ならと許可してくれました」
「そっか、じゃあ泊まる部屋だけど、唯と一緒で良いか?」
「うん………私は構わないよ………」
「えっと……唯さんは武昭さんのお宅にお部屋があるんですか?」
「そうだよ………小さい時からだったから武昭のお父さん達が私の部屋を用意してくれたんだ……」
「そこはちょっと広いから2人でも大丈夫だからな、じゃあ荷物を置いてこいよ」
「百ちゃん………コッチだよ………」
「はい、お世話になりますわ」
武昭が百を招くと唯が部屋に案内した。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
百が荷物を置いたあと、武昭達は私有地の山に来ていた。
「さてと……百がここに来た目的は俺達がやってる事に加わりたいって事だったよな?」
「えぇ、武昭さんならまだしも唯さんも、あれ程の身体能力があるのが不思議なんです」
「うーん……そんな事言われても……私達は小さい時から……この山中を走り回ってた位しか……
思い当たらないよ………」
3人はストレッチをしながら話していた。
「多分………それですわ………ですから私も参加したかったのです………」
「そうか………だったら始めるか………俺は先に行くから唯は百を連れて来てくれ」
「うん……良いよ武昭………ゴールは………何処にするの?」
「今回は百がいるから大岩門(おおいわもん)にするか」
「あそこだね……じゃあ行こう………百ちゃん」
「はい、分かりましたわ」
武昭が合図を出すと3人は山中に入っていった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
30分後………
「ハァハァハァ………ここが………大岩門………なんですの?………」
山中にある大きな岩が互いに支えて門の様に見える場所の開けた場所に息が荒い百が横になっていた。
「うん……ここは………私が武昭に付き合って一緒にトレーニングした時に………
最初にゴールした場所なんだ………」
唯は説明しながら調理器具を用意していた。
「そう……なのですか………それよりも………武昭さんは………?」
「おーい、魚と野生の野菜を採ってきたぞー」
百が武昭を探してると数匹の魚と手に抱えられる程の野菜を持った武昭が戻ってきた。
「うん……ありがとう………じゃあ……私が作るから………武昭は百ちゃんをお願い……」
「おぉ良いぞ………百、疲れたんなら俺に任せろ……」
武昭が百に触れると少しずつ疲れが無くなっていくのが分かった。
「武昭さん、何をしたんですか?」
「ん?何をしてるって………回復魔法を掛けてるだけだぞ」
「その様な魔法も使えたのですね」
「あぁ、ウチのギルド以外の他ギルドのメンバーからも魔法を習ったからな、よしこれで大丈夫だろ」
「はい、先ほどよりも楽になりましたわ、ありがとうございます」
「武昭……少し火が弱いから、お願い……」
「わかったぞ
武昭が空中に炎と書くと、それが現実に存在した。
「へぇ……武昭さんはどれだけの魔法を使えるのですか?」
「俺が使える魔法か………滅竜魔法、造形魔法、回復魔法、固体文字、テイクオーバー………」
「私も詳しく聞いた事無かったけど……沢山あったんだね……」
「まぁ、フェアリーテイルの皆の魔法だけでも結構あるからな……
なぁ唯、食べても良いのか?」
「あっ、ごめんね出来てるから食べていいよ………召し上がれ………」
唯が言うと3人は食事を始めた。